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2022.12.30更新 細菌感染症の治療期間まとめ

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尿路感染症を通じて学ぶAntimicrobial Stewardship

投稿者プロフィール
新米ID
Award 2022 受賞者

総合病院鹿児島生協病院

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134

投稿した先生からのメッセージ

抗菌薬適正使用の参考になれば幸いです。

概要

尿路感染症とAntimicrobial Stewardshipについて講演で使用したスライドです

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

尿路感染症と抗菌薬耐性の現状

#1.

尿路感染症を通じて学ぶ Antimicrobial Stewardship

#2.

COVID-19 pandemic

#3.

抗菌薬耐性菌 pandemic

抗菌薬耐性菌の影響と経済的損失

#5.

英国 薬剤耐性レビュー委員会 薬剤耐性菌対策を行わなければ2050年には 年間死者数 1000万人 耐性菌によって毎年1000万人が死亡すると試算 死亡の要因  耐性菌感染症による直接死  癌治療や移植、集中治療といった高度医療の提供不全 https://iiif.wellcomecollection.org/file/b28644797_160525_Final%20paper_with%20cover.pdf

#6.

世界銀行 薬剤耐性菌対策を行わなければ2050年には GDP 3.8%減少 耐性菌によって世界の年間GDPは3.8%減少と試算 2008年に発生したリーマンショック級の金融危機 https://documents1.worldbank.org/curated/en/323311493396993758/pdf/final-report.pdf

抗菌薬の不適正使用とその対策

#7.

日本の力を結集する ―AMR(薬剤耐性)によって 亡くなる命を減らすために―

#8.

変異による耐性遺伝子獲得 伝播による耐性遺伝子獲得 抗菌薬に耐性化 する4つの理由 抗菌薬の不適正使用 感受性菌減少による選択圧

#9.

2020年 2027年目標値 バンコマイシン耐性腸球菌の罹患数 135人 80人以下 黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率 50% 20%以下 大腸菌のフルオロキノロン耐性率 35% 30%以下 緑膿菌のカルバペネム耐性率 11% 3%以下 0.1-0.2% 0.2%以下 人口千人当たりの一日抗菌薬使用量 10.4 15%減 経口3世代セフェムの千人あたりの一日使用量 1.93 40%減 経口フルオロキノロンの千人あたりの一日使用量 1.76 30%減 経口マクロライドの千人あたりの一日使用量 3.30 25%減 カルバペネム静注薬の千人あたりの一日使用量 0.058 25%減 AMRアクションプラン (2023-2027) 成果指標 微 生 物 の 薬 剤 耐 性 率 抗 微 生 物 剤 の 使 用 量 大腸菌・クレブシエラのカルバペネム耐性率

#10.

抗 菌 薬 の 不適正使用 を 第46回抗菌薬適正使用生涯教育セミナースライドを一部改変 不必要な使用  かぜに抗菌薬  無症候性細菌尿に抗菌薬  原因菌の感受性判明後の広域抗菌薬  不必要に広域な抗菌薬 不適切な使用  耐性菌に無効な抗菌薬  肝腎機能で調整しない抗菌薬 適正使用 へ

感染症診療の原則と評価方法

#11.

抗 菌 薬 の 不適正使用 を A ntimicrobial S tewardship 第46回抗菌薬適正使用生涯教育セミナースライドを一部改変 不必要な使用  かぜに抗菌薬  無症候性細菌尿に抗菌薬 不要な抗菌薬使用の制限、抗菌薬の選択・量・投与ルート・期間を最適化することで  原因菌の感受性判明後の広域抗菌薬  不必要に広域な抗菌薬 不適切な使用  耐性菌に無効な抗菌薬 臨床的な治癒を最大限にし、耐性菌の抑制や 副作用の回避を狙う  肝腎機能で調整しない抗菌薬 適正使用 へ

#12.

抗菌薬適正使用支援チーム Antimicrobial Stewardship Team  多職種協働のチーム  Antimicrobial stewardship推進の活動を行う 活動内容例 ① 職員への教育・啓発活動 ② 院内マニュアル作成 ③ アンチバイオグラム作成 ④ 治療薬物モニタリング (TDM)や用法用量調整

#13.

感 染 症 診 療 の 原 則 どんな患者さん? 発症場所-市中, 院内, 施設 免疫不全の有無 (好中球機能, 液性, 細胞性) 体内デバイスの有無を確認 感染源はどこ? 臓器特異的な症状, 身体所見を駆使 原因菌はなに? 常在細菌叢, 頻度, 患者背景を考慮 ドレナージはできない? ドレナージ: 確実・大量に原因微生物を除去可 投与時間と投与量は? PK/PDを考慮 (時間依存性 or 濃度依存性) 治療期間は? 採血・尿など一次検査, 画像所見等で同定 感染巣毎の細菌学的検査で同定 ドレナージ困難の場合組織移行性も考慮 腎機能と感染巣に応じた最大量で 感染巣やドレナージの有無で決まっている

#14.

感染症診療の原則 感染巣の評価     原因菌の追求  グラム染色  培養検査  遺伝子検査 臓器特異的症状・身体所見 簡易検査→複雑な検査 安価な検査→高価な検査 非侵襲性→侵襲性の検査 抗菌薬の選択  スペクトル  PK/PD  最大量で

非複雑性尿路感染の原因菌と診断

#15.

非複雑性尿路感染の原因菌 PEK プロテウス 1% 86% クレブシエラ 3% 大腸菌 82% doi: 10.1086/519268

#16.

腎盂腎炎 尿培養をいつとるべきか? 抗菌薬前投与歴 耐性菌リスク http://dx.doi.org/10.1016/j.idc.2013.10.003

#17.

尿 路 感 染 症 と 診 断 治 療 す る 前 に ✓ UTIの局所症状があるか ? ✓ 他感染巣がないか ? ✓ 細菌尿や膿尿があるか ? Infect Dis Clin N Am 31 (2017) 673–688 迅 速 な 抗 菌 薬 治 療 が 必 要 か ? すべて Yes で 抗菌薬 1つでもNo なら 培養を待つ ± 他疾患除外

#18.

感染巣と原因菌で決まっている

敗血症の定義と評価基準

#19.

血液=容易に採取できる無菌部位

#20.

菌血症=無菌部位に感染した緊急事態

#21.

血液培養採取フローチャート 重症敗血症/敗血症性ショック 菌血症陰性化の確認が必要か? S. aureus/S. lugdunensis/カンジダ菌血症 感染性心内膜炎/血管内感染症疑い Yes No 血液培養採取 菌血症の 血管内感染症疑い/血管内感染症リスクあり カテーテル関連血流感染後のカテ再留置前 検査前確率 High (>50%) Low (<10%) Yes No 50%>~>10% フォーカス例 フォーカス例 フォーカス例 血液培養採取 上記以外に血液培養 カテーテル関連血流感染 悪寒戦慄時 発熱のみ/白血球増多のみ 骨髄炎/椎体炎/関節炎 腎盂腎炎 非重症の蜂窩織炎 硬膜外膿瘍 胆管炎/肝膿瘍 膀胱炎/前立腺炎 の血液培養から皮膚常在 髄膜炎 重症市中肺炎 非重症市中/院内肺炎 菌検出 シャント関連感染 免疫不全者の蜂窩織炎 術後48時間以内の発熱 ソースコントロール不良 Yes No 人工呼吸器関連肺炎 フォローが必要か 人工物/血管内カテ留置者 で間欠的菌血症の原因と なる感染巣あり Yes 血液培養採取 血管内感染症のリスクがあるか? 感染局所から検体採取が困難な感染巣があるか? 血液培養結果で診療マネジメントが変化しうるか? 血液培養採取は 推奨しない https://doi.org/10.1093/cid/ciaa039

#22.

敗血症 感染症によって臓器障害が引き起こされる状態 ICU/HUC:臓器障害をSOFAスコア (2点以上)で評価 外来/病棟:qSOFA (2項目以上)で評価 敗血症性ショック 敗血症の中でも急性循環不全による重症な状態 平均動脈圧≧65mmHg維持に要輸液 or 血管収縮薬 かつ、血中乳酸値 2mmol/Lを越える状態

抗菌薬の適正使用と変更基準

#23.

耐性菌リスク MRSA ESBL 1 12ヶ月以内の感染歴/ 保菌歴 6 免疫抑制薬使用中 1 12ヶ月以内の感染歴/ 保菌歴 6 2 血液/腹膜透析 7 関節リウマチ 2 長期入院歴 7 3 CV含む血管内カテ留置 8 薬物依存者 3 尿道カテーテル留置 8 4 30日以内の抗菌薬歴 9 12ヶ月以内の施設入所/ 入院歴 4 30日以内の抗菌薬歴 9 5 免疫抑制状態 10 MRSA保菌者との接触歴 5 胃瘻造設状態 10 カンジダ 緑膿菌 1 12ヶ月以内の感染歴/ 保菌歴 6 尿道カテーテル留置 2 30日以内の抗菌薬歴 7 6週以上ステロイド使用 3 感染を繰り返しうる 肺の構造的異常 8 好中球減少性発熱 4 80歳以上の高齢者 9 嚢胞性肺線維症 5 血糖コントロール不良 10 1 免疫抑制状態 6 長期広域抗菌薬歴 2 CV含む血管内カテ留置 7 壊死性膵炎の既往 3 中心静脈栄養 8 真菌の感染歴/保菌歴 4 10日以上の入院歴 9 5 直近の手術歴 (特に腹部手術歴) 10 https://doi.org/10.3390/jcm12093188

#24.

静注抗菌薬から内服抗菌薬へ変更する条件 S T O P Signs of clinical improvement ? 臨床的に改善しているか  バイタルサインが安定し48-72時間経過  炎症反応が改善傾向 Tolerating oral medicines ?  腸管吸収に問題がないか 経口や経管投与が可能か 内服薬に認容性があるか?   併用薬との相互作用は問題ないか Oral option available ? 静注薬に変わる内服抗菌薬はあるか? Prolonged therapy required ? 静注薬で長期治療が必要ではないか? 抗菌薬を継続する必要があるか?  原因菌に感受性がある内服薬があるか  バイオアベイラビリティーは良好か  感染巣に十分量移行するか  髄膜炎, 壊死性筋膜炎, デバイス関連感染  黄色ブドウ球菌菌血症  骨髄炎, 関節炎, 感染性心内膜炎, 深部膿瘍など 静注薬で一定期間治療が必要な疾患ではないか  抗菌薬を内服に代えず終了できないか

#25.

経口第3世代セフェム系抗菌薬の問題点 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0281518 過剰な国内の使用量 低い生体内利用率 カルニチン欠乏リスク 耐性菌獲得リスクや副作用の懸念

#26.

最 適 な 治 療 期 間 は ? 複 雑 性 尿 路 感 染 症 の 再 燃 リ ス ク を 最 小 と す る 24施設, 1099人の菌血症を合併した複雑性尿路感染症患者を対象とした観察研究 再燃リスク short course 10 日 7日 7 日 点滴継続 ST or FQ内服変更 ≓ > ≓ long course 14日 14 日 14日 aOR=0.99 (0.52-1.87) aOR=2.54 (1.40-4.60) aOR=0.76 (0.38-1.52) 静注継続または生体内利用率の高い内服であれば7日治療でも再燃リスクは同等 https://doi.org/10.1093/cid/ciad009

敗血症患者における抗菌薬の選択

#27.

薬剤師の診療支援内容 過剰な投与期間の是正 de-escalation 実施率 提案受諾率 23.4% 86.9% 15.3% 80.8% 投与量や投与間隔の調整 15.1% 100% 過剰な抗菌薬併用の是正 12.2% 94.2% AUD (/1000 patients-days)の変化 全抗菌薬 1000 500 0 点滴静注から内服への変更 初期治療抗菌薬の適正化 escalation 11.0% 80.6% 10.0% 84.7% 6.9% 94.8% 支援前 支援後 カルバペネム 100 50 不要な抗菌薬の中止提案 5.2% 84.1% その他 0.9% 87.5% 0 支援前 支援後 https://doi.org/10.1038%2Fs41598-022-13246-6

#28.

敗血症 感染症によって臓器障害が引き起こされる状態 ICU/HUC:臓器障害をSOFAスコア (2点以上)で評価 外来/病棟:qSOFA (2項目以上)で評価 敗血症性ショック 敗血症の中でも急性循環不全による重症な状態 平均動脈圧≧65mmHg維持に要輸液 or 血管収縮薬 かつ、血中乳酸値 2mmol/Lを越える状態

#29.

子 緑膿菌 ・ 院内感染 ・ 尿道留置カテーテル ・ 抗菌薬の前投与歴 ・ ステロイド使用者 ・ 尿路変向を伴う手技 Infection and Drug Resistance 2018:11 2571–2581 ス リ 因 ク Rev Clin Esp (Barc) 2021:221 375–383 ・ 男性 ・ 尿道留置カテーテル ・ 抗菌薬の前投与歴 ・ 尿路泌尿器系の悪性腫瘍 ・ 免疫抑制状態 ・ 尿閉 腸球菌

#30.

敗血症患者に対する初期抗菌薬はカルバペネムが良いのか? 1.22 aOR= uro sepsis 対象: 日本における3次救急医療施設 aOR=0.57 方法: 多施設共同後方視観察研究 ICU 敗血症と診断され入院加療を開始した18歳以上の成人を対象 敗血症性 ショック 初期治療: カルバペネム 3547人 aOR=0.49 初期治療: 広域βラクタム薬 (PIPC/TAZ or 4世代セフェム) 3845人 入院全死亡を評価 0.88 カルバペネムを使用しても 死亡率低下と関連せず aOR= 全患者層 カルバペネム推奨 1.0 非カルバペネム推奨 DOI: 10.1097/CCM.0000000000005932

抗菌薬の経過フォローと使用基準

#31.

抗菌薬開始後の経過フォロー DOI: 10.1056/NEJMcp1702758 1~2日 治療開始 症状 持続 or 悪化 経過観察の指標  バイタルサイン  背部痛や叩打痛  尿グラム染色 膿瘍 閉塞 の検索

#32.

CRPは尿路感染症診療に寄与するか? Pro  小児のCRP<2mg/dl: 腎盂腎炎を除外可? https://doi.org/10.1002%2F14651858.CD009185.pub2 Con  重症度と関連しない https://doi.org/10.1186/s12879-019-3789-6  治療効果の評価指標にはならない doi:10.1001/jama.2020.6348

#33.

経口キノロン薬を使用すべきか?  治療期間を短縮可  高いバイオアベイラビリティ  感染巣内への高い移行性  キノロン耐性菌増加で使用困難  耐性GNRやMRSAなど獲得リスク増加  キノロンによる副作用の懸念 DOI: 10.1093/cid/ciq257 Mandell p983

#34.

抗 菌 薬 の 不適正使用 を A ntimicrobial S tewardship 第46回抗菌薬適正使用生涯教育セミナースライドを一部改変 不必要な使用  かぜに抗菌薬 感染症診療の原則に基づき、抗菌薬の選択・量・投与ルート・期間 を最適化することで  無症候性細菌尿に抗菌薬  原因菌の感受性判明後の広域抗菌薬  不必要に広域な抗菌薬 不適切な使用  耐性菌に無効な抗菌薬 臨床的な治癒を最大限にし、耐性菌の抑制や 副作用の回避を狙う  肝腎機能で調整しない抗菌薬 適正使用 へ

医療チームの役割と協力体制

#35.

医師 診断、処方、ドレナージ 看護師 患者のケア・観察、抗菌薬の投与 薬剤師 抗菌薬の提案、相互作用の確認 検査技師 細菌の情報提示と助言

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