テキスト全文
心房細動の概要と問題点
#1. 心房細動でよくある間違いや注意点 ★一読すること必須! ドクターくりつべ@Youtube
#2. 概要 心房細動の2つの問題点:頻脈発作と血栓
救急外来での心拍数コントロール:ベラパミルの使い方
電気的除細動はいつ考える?除細動前にみるべきポイント
入院患者の心拍数コントロール:ランジオロールの使い方
本当に全ての頻脈を治すべきなのか?
カテーテル的焼却術とは?適応は?
左心耳閉鎖術とは?適応は?
#3. 心房細動の問題点 ①頻脈発作:動悸や心不全の原因
②血栓形成:脳梗塞の原因
救急外来での心拍数コントロールとベラパミルの注意点
#4. 救急外来での対応〜ベラパミルの使い方、注意点〜
#5. 救急外来「どきどきする」 『とりあえずベラパミル(ワソラン®︎)1A投与』 不整➡︎心房細動
#6. よくある光景ですが、とりあえずベラパミルは大変危険です!
#7. 大原則 血行動態が不安定 まずはじめにどの不整脈でも 除細動! 何よりもバイタルの評価が大事!
#8. 心房細動の心拍数コントロール ※決して洞調律復帰が目標ではない! ★入院が必要な状態か
→心不全がある場合は入院
(胸部レントゲン撮影) 心機能が良いか?悪いか? (2020年度改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン) ERでよく使うベラパミルはここ! ※血行動態は安定
#9. 注:ジルチアゼム、ベラパミル 心臓の力をマイナスにする作用
(=心収縮抑制) 注:血圧低下
心不全増悪 (2020年度改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン) 特に
#10. ただし、実臨床では使用します! 単回投与で使える静注薬は少ないため
ベラパミル1A+生食20ml
5mlずつゆっくり投与
むしろERでは多用されている
電気的除細動のタイミングと注意事項
#11. 心拍数コントロールができれば 基本的に帰宅可能
ベラパミルやジルチアゼムの頓服を処方
塞栓リスク(CHADS2スコア)により抗凝固薬を導入
生活習慣の是正を指示 (禁煙など)
#12. 救急外来での対応〜電気的除細動のタイミング・注意点〜
#13. 電気的除細動を考えるタイミングは? 薬で心拍数コントロールが難しく、自覚症状が強い時、患者が希望する場合 (血行動態破綻以外に)
#14. 電気的除細動前に絶対確認 発症から48時間以内か
病歴聴取が重要! DOAC は服薬した日からその効果が発現するため
除細動前の服薬期間は3 週間でよいと考えられる 48 時間以内であっても脳伷塞のリスクが
きわめて高い症例では経食道心エコーを考慮する 抗凝固期間
3週間以上
#15. 電気的除細動前に絶対確認 発症から48時間以内か
病歴聴取が重要! DOAC は服薬した日からその効果が発現するため
除細動前の服薬期間は3 週間でよいと考えられる 48 時間以内であっても脳伷塞のリスクが
きわめて高い症例では経食道心エコーを考慮する 経食道エコーで確認 抗凝固期間
3週間以上 2つとも満たさない時には
#16. 除細動する時 鎮静
適切な抗血栓対策の確認
(抗凝固内服ない方:ヘパリン2000〜5000単位)
同期下、50〜100J
12誘導心電図
覚醒や神経学的な異常所見ないかチェック 準
備 除細動 施行後 個人的にはイソゾール(超短時間作用)で鎮静、バックバルブマスク準備 慣れている鎮静薬なら何でも可(プロポフォールやミダゾラムなど)
#17. 救急外来での対応まとめ 心房細動頻脈は目標HR<110/分
(※決して洞調律復帰が目標ではない)
低心機能にはベラパミル注意、使用する前には心機能チェック
(投与の際は血圧低下など注意)
電気的除細動検討する時は血栓対策がきているか
(発症から48時間以内か、抗凝固薬3週間以上か)
除細動も理解すれば難しくない
入院患者における心拍数コントロールとランジオロールの使い方
#18. 入院患者での対応〜ランジオロールの特徴・使い方〜
#19. 心房細動の心拍数コントロール ※決して洞調律復帰が目標ではない! ★入院が必要な状態か
→心不全がある場合は入院
(胸部レントゲン撮影) 1〜10γ程度で使用 ★心機能が低下している方でも保たれている方でも使用できる! (2020年度改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン)
#20. ランジオロールは難しそう、使うのが怖い β拮抗薬だし心機能低下するんじゃないか?
血圧が下がるのではないか?
ICUの重症な方に使用しているイメージがある と思ってませんか?
#21. ランジオロールの特徴 心拍数の有意な減少の効果は、投与後2分~3分の早期から発現
半減期約4分:投与中止後20〜30分後には消失
(参:ジルチアゼムの半減期約1.9時間)
主な副作用:血圧低下
血圧低下時の対応:アトロピン、β1刺激剤、輸液や昇圧剤等
#22. ランジオロール以前にまだ安全性が高く使用していた
ジルチアゼムは現在は低心機能には禁忌 (2020年度改訂版
不整脈薬物治療ガイドライン)
#23. 投与法 1V = 50mgの製剤
おすすめは3Vを生食50mlに溶かす➡︎3mg/mlの溶液
(体重50kgとすれば) ●ml/hで投与すると●γ投与したことになる
1μg/kg/minで静脈内持続投与を開始する
心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する
心房細動の頻脈に対する治療方針
#25. 昼頃に心拍数116/分と頻脈、呼吸苦増悪
モニター上波形は心房細動
SpO2 88%(nasal2L)、呼吸回数30/回 心拍数120程度の心房細動あり
ベラパミル計2A投与し頻脈は若干改善
ジルチアゼム持続投与開始し経過観察 70歳女性、肝部分切除後にて入院中
#26. Take home question 洞性頻脈といえば何を考えますか?
心房細動の人はどうなるの?
洞性頻脈の頻脈は下げるの?
心房細動の頻脈は全て治療しないといけないの?
#27. 洞性頻脈といえば 脱水
貧血
疼痛
発熱 などなど
苦しくて代償するために脈が早くなっている BP = CO × SVR
CO = SV × HR
SVは前負荷、後負荷、心収縮で規定
#28. 先ほどの症例の対応 とりあえずやること
バイタル測定、血ガス採取(血液検査も採取)
12誘導心電図、心エコー
ポータブルレントゲン
看護師に聞くことは
術後何日目?
リハビリどのくらい進んでいるの?
ドレーンの排液量は?
食事摂取量や点滴量は?
疼痛コントロールは?
熱はあるの? などなど
#29. 最終診断は肺塞栓症でした 何も考えずに心拍数を下げることは
代償的にあがった心拍数上昇を抑えることにもなり
患者さんを危険に晒すことになりえます!
注意
#30. Take home message されど頻脈 頻脈性心房細動でも頻脈の原因がないか考え、
必要な際に心拍数コントロールしましょう!
カテーテル的焼却術の適応とその効果
#31. カテーテル的焼却術の適応
〜どういう患者を紹介すべきか〜
#32. カテーテル的焼却術とは? AF のトリガーとなる期外収縮の94%が肺静脈起源
拡大肺静脈隔離により、80~90%の症例で根治可能
この部分をカテーテルで焼く
#33. 良い治療適応は? 心不全
薬剤抵抗性
症候性
総合的に判断する! (不整脈非薬物治療ガイドライン 2018年改訂版)
#34. 知っとくといいこと 初発の発作性AFにおいて、その約半数では5年間の経過観察中に
2度と再発がなかったことが報告されている
➡︎AFが再発性であることを確認した上で治療適応を考慮する
AFには可逆的要因が存在する
➡︎要因がある方にはその改善を第一に考え、
是正後にも残存するAFには治療を考慮する Int J Cardiol 2015; 184: 674–679. 甲状腺機能亢進症
肥満
睡眠時無呼吸症候群
高血圧
糖尿病
高脂血症
アルコール多飲
喫煙
左心耳閉鎖術の適応と血栓リスク管理
#36. 心房細動の問題点 ①頻脈発作:動悸や心不全の原因
②血栓形成:脳梗塞の原因
#37. 塞栓症リスク ※弁膜症性とは
僧帽弁狭窄症、機械弁
(2020年度改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン)
#38. 左心耳閉鎖術とは (Boston Scientific Corporation) 心原性脳梗塞の主な原因
心房内で形成される90%以上の血栓が左心耳内に由来
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#39. 左心耳閉鎖術の適応 塞栓症のリ スクが高く、長期的に抗凝固療法が推奨される
非弁膜症性心房細動患者
以下のうちの1つ以上を含む、出血の危険性が高い患者
HAS-BLEDスコアが3以上の患者
転倒にともなう外傷に対して治療を必要とした既往が複数回ある患者
びまん性脳アミロイド血管症の既往のある患者
抗血小板薬の2剤以上の併用が長期(1年以上)にわたって必要な患者
BARC タイプ3に該当する大出血の既往を有する患者 (左心耳閉鎖システムに関する適正使用指針)
#40. HAS-BLEDスコア3点以上 出血に関連したHb3g/dl以上の低下
出血に伴う輸血
外科的介入を要する出血(歯科/鼻/皮膚/痔を除く)
頭蓋内出血
視力損傷を伴う眼内出血 BARCタイプ3 Cr2.26mg/dl, 透析
肝硬変, Bil> 正常上限×2, AST•ALT> ×3 (抗血小板薬、NSAIDsの併用)
心房細動における注意点のまとめ
#41. 何となくの対応は注意!! 心房細動はよくある疾患ですが
実は対応で注意するべき点は多いので復習してください! ありがとうございました