#4.
リフィーディング症候群は増加している! 4
#5.
1. リフィーディング症候群の疫学 リフィーディング症候群(refeeding syndrome)は、発症した場合の死亡率は70%と報告されており、早期発見・予防が重要な症候群です。
高齢者、担癌患者、神経因性食思不振症が、高リスク群の患者背景として挙げられます。 高齢者 担癌患者 神経因性食思不振症 高リスク! 5
#6.
近年、摂食障害による低栄養患者の高齢化も報告されており、一般病院でもリフィーディング症候群に配慮した管理を必要とする症例が増加しています。
実際に筆者は初期研修の代謝内科の2か月間のローテート中に、BMI 10kg/m2前後の患者さん4人を経験しました。 6
#7.
病態生理は「低P血症」に注意! 7
#8.
リフィーディング症候群の病態生理 リフィーディング症候群は、飢餓状態への栄養投与により生じる、細胞内への水分移動や電解質移動に伴う症候群と定義されます。
低栄養状態では糖の供給が低下し、リン(P)を介さない脂質代謝となっており、インスリン分泌は低下しています。 8
#9.
ここに糖が供給され急激に糖代謝が進むことで、ATPや2,3-DPG産生のためにリン(P)が細胞内に移動・消費されるため、低リン血症を発症します。 糖の供給⇩ インスリン分泌⇩ 脂質代謝⇧ 低栄養状態 → → 糖の供給⇧ ⇧ 低リン血症 糖代謝⇧⇧ 糖が供給されると… → → Pの消費 9
#10.
ATP、DNA/RNA、タンパク合成への影響
→ 白血球の走化性や貪食能、血小板凝集能が低下します。
リン脂質合成能の低下
→ 細胞膜の維持が困難となり、さらに核酸や核タンパク質合成に支障をきたして細胞増殖が困難となります。
赤血球のリン酸の欠乏、2,3-DPGの低下
→ 溶血性貧血や、酸素運搬低下による末梢組織への酸素供給減少が生じます。 低リン血症を中心に、様々な異常を生じる 10
#11.
再栄養によりブドウ糖代謝が亢進して高インスリン状態となることで低カリウム血症も生じます。
また、リンが低いことで心収縮力低下をきたし、さらに低カリウム血症や低マグネシウム血症が不整脈の原因になります。
さらに低血糖が誘因でカテコラミン濃度が上昇することでたこつぼ型心筋症が引き起こされます。
低P 低K 低Mg 低Na 11 ……
#12.
さらに、インスリンとともにナトリウムが細胞内へ取り込まれることで水分も取り込まれ、低ナトリウム血症・高浸透圧になります。
代謝の急激な亢進でビタミンB1(VitB1)も使用されて、VitB1欠乏になります。 このように、リフィーディング症候群では低P血症, 低K血症, 低Mg血症, 低血糖, VitB1欠乏が、全身に様々な影響を及ぼします。 12
#13.
リフィーディング症候群の診断基準はない! 13
#14.
診断基準はない! リフィーディング症候群には、明確な診断基準がありません。
まずは高リスクの評価をして「NICEガイドライン」に沿って治療計画を立てていきます。
高リスクの評価(NICEガイドライン)
治療計画
モニタリング ※ NICE: National Institute for Health and Care Excellence(英国国立医療技術評価機構) 14
#15.
①または②を満たす場合に、リフィーディング症候群の高リスク患者と評価します。 1. 高リスクの評価(NICEガイドライン) BMJ. 2008 Jun 28;336(7659):1495-8. を元に作成 15
#16.
初期投与: 10 kcal/kg/日 から開始
4〜7日間かけて
24〜48時間ごとに2〜4 kcal/kg/日ずつ増量
ただし重症の場合※は、5 kcal/kg/日 から開始
※ 重症:BMIが14 kg/m2以下 or 15日間以上ほとんど栄養摂取していない場合 2. 治療計画 注意:この時の体重は理想体重ではなく現在の体重です。そしてブドウ糖投与速度は2mg/kg/分以下に抑え、投与量は150〜200 g/日以下とします。 16
#17.
頻回に低血糖を起こしやすいことから、食事を分割食にするという工夫も効果的です。
栄養療法開始時の水分量は800 mL/日に不感蒸泄を加えた量に制限します。
高齢者の場合には、必要維持水分量の下限と考えられる30 mL/kg/日程度から開始して徐々に増量していきます。 17
#18.
微量元素の補充も大切です。特にVitB1欠乏は心不全やWernicke脳症を引き起こすために投与必須です。
具体的にはVitB1 100mgを1日2回投与します。
経静脈栄養よりも経口・経腸栄養の方がよいといわれています。 18 VitB1欠乏 心不全 Wernicke脳症
#19.
少なくとも7日間はNa・K・IP・Mg・BUN・Creは毎日チェックします。
また心不全・不整脈の合併が多いことから、心エコー、ECG検査も行います。
RTP(rapid turnover protein)は、再栄養に起因する低リン血症のリスク評価として有効です。
※ RTP:プレアルブミン、レチノール結合タンパク質 3. モニタリング 19
#20.
リフィーディング症候群の徴候 20
#21.
リフィーディング症候群の徴候 救急外来でみられる摂食障害患者の疾患や徴候を、次スライドの表にまとめてみました。
意識障害
腹部・消化器症状
呼吸器症状
循環器症状
腎・泌尿器症状
筋・骨格筋症状
21
#22.
22 ①意識障害
#23.
23 ②腹部・消化器症状
#24.
24 ③呼吸器症状 ④循環器症状
#25.
『日本内科学会雑誌 105巻 4号』を参考に作成 25 ⑤腎・泌尿器症状 ⑥筋・骨格筋症状
#26.
最後に 26
#27.
最後に〜早期介入がとにかく大事! リフィーディング症候群は決して珍しくはなく、匙加減の栄養管理を間違えると死亡率が高い危険な病気です。
非常に厳密な栄養・電解質管理を必要とします。そして摂食障害・うつ病など精神科疾患とも密接に関わりあっています。
多職種で連携し、個々の患者背景に配慮しつつ早期から介入することが大切です。 27