テキスト全文
急性腹症のCTにおける基本概念と検査方法
#2. Air 遊離ガス (肺野条件F5を並べて検索する、気胸・後腹膜気腫も一緒に確認)
Bowel 腸管 (腸管拡張:小腸3・結腸6・盲腸9cm以上、先細り像の有無)
Dirty fat 脂肪織濃度上昇 (左右差がないか確認する、加えて腹水などの液体貯留も)
Obturator 閉鎖孔ヘルニア (痩せてる女性の腸閉塞で要注意、鼠径部も確認)
Mune 肺・心臓 (下肺野は肺野条件F5で気胸・胸水を検索、心臓は心嚢水の有無)
Ischemic 腸管虚血 (疑わしければ造影されている腸管と比較、早期後期の比較も)
Nephro 腎臓・尿路 (尿管結石・腎盂拡張の有無を確認、腎梗塞による造影不良領域)
Artery 大動脈・SMA解離/塞栓 (偽腔形成、SMAの分枝が追えるか)
Lady 婦人科疾患 (卵巣の造影不良、周囲の脂肪織濃度上昇があるか) 急性腹症のCT:ABDOMINAL ※腹腔内液体貯留のCT値
腹水:0-15HU 血性腹水:20-40HU 血腫・凝血塊:40-70HU 活動性出血:85-350HU 肺野条件・単純・造影早期・造影後期 並べて読影
4画面モードで[Shift]を押しながら各画面を選択 → スクロールが連動する
急性腹症患者の症例とCT画像
#3. 90歳 男性 主訴:嘔吐・腹痛 既往歴
強直性脊椎炎
両側膝関節偽痛風
内服歴
プレドニゾロン5mg
ケアラム25mg(抗リウマチ薬)
コルヒチン0.5mg
カルボシステイン500mg 腹部圧痛なし
全体的に硬
free airの確認とその重要性
#5. 画像 free airが小さいと
肺野条件で確認出来ない場合もある
#6. 画像 “くさび”の形をしたairは臓器間の隙間に
位置したfree airを疑う
肝臓表面のfree airと腸管ガスの境界
#7. 画像 肝臓表面に極小さなfree airしか
認められないこともある
#8. 画像 腸管ガスとfree airの境界は
肺野条件でしか分からないことがある ? ? ?
腸管壁の評価と穿孔の診断
#9. 画像 腸管壁の “内” or “外” はやはり造影CTで
腸管壁を追うのが有用 ? ?
#10. 画像 S状結腸内腔の内容物(便塊)と同じ内容が
腸管壁外に認められる 穿孔部位
手術所見と診断結果のまとめ
#11. 手術所見 S状結腸の憩室に穿孔所見あり
腹腔内は糞便で高度に汚染
急性腹症におけるfree air検索の重要ポイント
#13. Take home message ・free airを検索する際には肺野条件と他条件を並行して検索が有用。
・腹部条件だけだとairを見落とす可能性がある。
・free airと見分けにくい構造に注意する。他条件との比較が重要。
(例:肺実質、腸管内ガス、濃度の低い脂肪織)
・腸管“内”or“外”を見分けるには根気強く腸管を追うしかない。