テキスト全文
小児の解熱鎮痛薬の基本情報
#1. 小児の解熱鎮痛薬 鈴木政志 日本小児科学会専門医 @qN4eLNevmbBfew
#2. このスライドの対象者 ● ● ● 当直や外勤先で専門外だけど小児を診察しなければならない先生 小児科ローテート中の初期臨床研修医 小児科後期専攻医 何に役立つ ● ● アセトアミノフェンとイブプロフェンの違いを知り、使い分けができるようにな る。 救急外来や外勤先で小児に解熱鎮痛剤を処方する時の注意点を知ること ができる。
#3. これだけ覚えとけばOK! 小児に使う解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン 生後3ヶ月以降 10−15mg/kg/回 1日3回まで (内服、坐剤ともに同じ用法用量) →4~7枚目のスライドで解説します。 イブプロフェン 5~10歳 100mg/回 1日3回まで 11~15歳 200mg/回 1日3回まで →8~9枚目のスライドで解説します。
アセトアミノフェンの使用法と注意点
#4. 小児の解熱鎮痛薬 1st choice! アセトアミノフェン 抗炎症作用はなく、鎮痛効果は緩やか。 しかし、過量内服を除けば副作用が少なく、安全性に優れている。 用法用量 生後3ヶ月以降 10−15mg/kg/回 6時間以上あけて1日3回まで 錠剤、粉末、シロップ、坐剤、点滴など、多彩な剤形
#5. アセトアミノフェンQ&A 経口と座薬 どちらがよく効く? 薬って座薬の方がよく 効くんでしょ? 座薬で解熱剤を処方し て欲しいです。 アセトアミノフェンの血中濃度 経口の方が 早く、よく効く。 アセトアミノフェンの場合 座薬より経口薬の方が 早く、よく効きます。 アセトアミノフェン坐剤がハードファット (油脂性基材 )を使用していることによると言われている。 アセトアミノフェン坐剤を使用してはいけないわけではない。 拒薬で内服できず、坐剤を希望されるケースもあるので、臨機応変に対応しよう。
#6. アセトアミノフェンQ&A ジアゼパム坐剤とアセトアミノフェン坐剤 熱性痙攣に対してジアゼパム坐剤を使用する時に 解熱剤としてアセトアミノフェン坐剤を処方希望されることがあります。 投与順序はどうしたら良いですか? アセトアミノフェン坐剤の基材が影響してジアゼパムの吸収が悪くなります。 ジアゼパム坐剤を挿肛し30分あけてからアセトアミノフェン坐剤を挿肛しましょう。 ダイアップ ®(ジアゼパム坐剤 ) → アンヒバ ®(アセトアミノフェン坐剤 ) ダイアンって覚えてます。 覚えにくい? (笑)
イブプロフェンの効果と副作用
#7. ! K EC CH ® アセリオ の 用法用量に注意! アセリオ®で過量投与が報告されており、日 本小児科学会でも2021年12月27日に注意 喚起がなされています。 <アセリオ ®の添付文書上の用法用量> アセリオ ®・・・アセトアミノフェンの静注液 2歳以上の幼児および小児: アセリオ ®ってアセトアミノフェンだから 10~15mg/kgで投与すれば良いっ しょ。 2歳未満は用法用量違うよ!! 年齢確認してー!! 体重1 kgあたり10~15 mgを15分かけて静脈内投与 乳児および2歳未満の幼児: 体重1 kgあたり7.5 mgを15分かけて静脈内投与 低出生体重児、新生児および 3か月未満の乳児に対す る使用経験が少なく、安全性が確立していない。
#8. 小児で使用できる唯一のNSAIDs イブプロフェン アセトアミノフェンと比較して鎮痛効果が強い。 胃腸障害や腎障害、気管支攣縮など、注意すべき副作用が多い。 小児科領域では鎮痛効果を期待して第2選択として使用することが多い。 用法用量 5~7歳 200~300mg/day 1日3回まで 8~10歳 300~400mg/day 1日3回まで 11~15歳 400~600mg/day 1日3回まで まとめて下記のように覚えると楽! 5~10歳 100mg/回 1日3回まで 11~15歳 200mg/回 1日3回まで
#9. イブプロフェンQ&A アセトアミノフェンだけではダメ? アセトアミノフェン イブプロフェン 解熱作用 鎮痛作用 抗炎症作用 解熱作用 鎮痛作用 抗炎症作用 ◯ △ × 副作用は少ない 生後3ヶ月〜幅広い年齢に使用可 ◯ ◯ ◯ 副作用が多い 5歳未満では安全性が未確立 実臨床では・・・ 解熱剤としてはアセトアミノフェンを使用することがほとんどです。 イブプロフェンは学童期の偏頭痛や生理痛でアセトアミノフェンが無効な症例に使用すること が多いですね。
市販薬との併用と参考文献
#10. ! K EC バファリンルナ J CH ・・・アセトアミノフェン100mg 市販薬との 飲み合わせに注意 小児用バファリンチュアブル ・・・アセトアミノフェン50mg 小中学生用ノーシンピュア ・・・アセトアミノフェン200mg 解熱剤を処方する時は必ず市販薬を 飲んでないか問診で確認しましょう。 そうしないと、知らないうちにアセトアミ ムヒのこども解熱鎮痛顆粒 ・・・アセトアミノフェン450mg/3包(3.6g) ノフェンの過量内服をしていることも・・・ 「アンパンマンのやつ」って言う親 御さん多いです。
#11. Take Home Message 小児の解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンと イブプロフェンである。 アセトアミノフェンではジアゼパム坐剤と の併用、2歳未満でのアセリオ®の投与量 に注意が必要である。 市販薬は必ず問診で聴取しよう。