テキスト全文
眼科カルテの理解と目的
#1. 眼科のカルテ 分かりづらい! ドクターK@眼科医 twitter: @doctorK1991
#2. ある日の眼科カルテを見てみよう S)左眼が乾燥する O) cor spk+/spk++(short BUT) AC shallow clear lens G2/G2 fds np OCT ERM/np 視力 Vd=0.2(1.0×S-1.00D=C-0.25D Ax 90°) Vs=0.2(1.0×S-1.25D) A/P) DED→ヒアレインL)4× 2w ・・・よく分からん!
#3. このスライドの目的 • 眼科医が書いたカルテをざっくり理解する • 重要な所見も紛れているので見逃さない 研修医の頃、眼科を研修しましたが眼科のカルテはよ く分からなかったので、読み方を解説したいと思います
視力検査と前眼部所見
#4. 基本中の“き” cor spk+/spk++(short BUT) 右眼の所見 左眼の所見 眼科の所見は右眼→左眼の順に書か れています
#5. 視力検査 視力検査の結果です↓ ここ↓ Vd= 0.2( 1.0 ×S-1.00D=C-0.25D Ax 90°) Vs= 0.2( 1.0 ×S-1.25D) ※Vd=右眼視力、Vs=左眼視力 視力は矯正視力を必ず見ています この値の変動が大きいと精査します
#6. 前眼部所見(角膜、前房、水晶体etc) ① 角膜(cornea;cor) ・異常が無ければ “cor clear” と書いています S)左眼が乾燥する O) cor spk+/spk++(short BUT)・・・① AC shallow clear ・・・② lens G2/G2 fds np OCT ERM/np ・・・③ ・ドライアイがある場合はspk+やshort BUTなど記載がある ②前房(anterior chamber;AC) ・異常が無ければ “AC deep clear” と書いています →次のページで詳しく解説します ③水晶体(lens) ・白内障が無ければ “lens clear” と書いています ・白内障があればG○(G1~G5;GはGrade)と記載します
前房と後眼部の重要所見
#7. これだけは見逃してはいけない記述 ②前房(anterior chamber;AC) a. AC deep b. AC not so deep c. AC shallow (前房が深い) (前房があまり深くない) (前房が狭い) 前房は角膜と水晶体の間のスペースですが、ここの広さが非常 に重要な所見となります 特に、AC deepではない患者に抗コリン作用 のある薬剤を使うと、急性緑内障発作を生じ えます。必ず眼科医に相談ください。
#8. 後眼部所見(硝子体、網膜、視神経etc) S)左眼が乾燥する O) cor spk+/spk++(short BUT)・・・① AC shallow clear ・・・② lens G2/G2 ・・・③ fds np ・・・④ OCT ERM/np ・・・⑤ ④眼底(fundus;fds) • 目の奥(眼底)の所見に異常がなければ “fds np”と書いてい ます • fdsは硝子体・網膜・視神経・血管などを観察し、その所見を記 載します ⑤光干渉断層撮影(optical coherence tomography;OCT) • 現在の眼科診療にはなくてはならない検査機器です • 網膜と視神経などの状態を断層像で観察できます • OCTの所見に異常がなければ “OCT np”と書いています
眼科カルテの頻出単語と注意点
#9. (おまけ)眼科のカルテ頻出単語一覧 疾患 所見 • • • • • • • • AC;前房 conj;結膜 cor;角膜 disc;視神経乳頭 fds;眼底 iris;虹彩 shallow;(隅角が)狭い spk;角膜上皮障害 • • • • • • • • • AMD;加齢黄斑変性症 cat;白内障 DED;ドライアイ DR;糖尿病網膜症 gla;緑内障 IOL;眼内レンズ挿入眼 ptosis;眼瞼下垂 RAO;網膜動脈閉塞症 RVO;網膜静脈閉塞症
#10. Take home message • 眼科の所見は右眼→左眼の順に書かれている • AC deepではない患者には要注意 • 眼科医・施設による書き方の違いもあるので、その時は遠慮なく質 問してください