#4.
外傷性/医原性がない気胸での対応方法は? ① 経過観察も1つの選択肢かな・・・? ② 追加でCT検査だ! ③ まずは、ドレーン管理だ! ④ 即、手術でしょう!
#5.
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会 自然気胸治療ガイドライン 特殊病態の自然気胸か? • 緊張性気胸 • 両側同時気胸 • 胸水貯留気胸(血胸を含む) チューブ挿入し入院 肺の虚脱度 • 軽度 : 肺尖が鎖骨レベル以上、またはこれに準ずる程度 • 中等度 : 軽度と高度の間 • 高度 : 全虚脱またはこれに近いもの 高度 軽度 症状 中等度 無 or 軽度 *有症状時は規定されていない • 経過観察 *目安として胸腔内圧を計測し、陰圧であれば気漏は ないと考えられる. *穿刺脱気または安静で経過観察 *穿刺脱気を行う場合は8-20Frのチューブを用いる • 危険因子が無ければ外来通院での治療可能 症状 有:特に労作時呼吸困難や SpO2低下がある場合 *無症状時は規定されていない • チューブ挿入が望ましい *穿刺脱気も選択枝の一つかの様な記載あり • 20Fr以上のチューブを用いる • 一般的に入院管理だが、一方向弁を用いての 外来管理も選択肢 • チューブ挿入 • 20Fr以上のチューブを用いる • 一般的に入院管理だが、一方向 弁を用いての外来管理も選択肢
#6.
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会の分類 軽度:肺尖が鎖骨レベルまたはそれよりも頭側にある. またはこれに準ずる程度. 中等度:軽度と高度の中間程度. 高度:全虚脱またはこれに近いもの.
#7.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 明らかな外傷や医原性の原因の有無 無=自然気胸 有 外傷性/医原性気胸 基礎となる肺疾患の有無(HIV含む) 無=原発性自然気胸 有=続発性自然気胸 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能
#8.
British Thoracic Society(BTS)の 推奨するマネージメント Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31. 両側気胸 or 呼吸循環動態不安定 or 胸水貯留量が多い場合 Yes チューブ挿入し 入院 No 原発性 No • 50歳以上 • 著明な喫煙歴 • 身体所見や画像検査で明 らかな肺の基礎疾患 Yes 続発性
#9.
Joint European Respiratory Society (ERS)/ European Association for Cardiothoracic Surgery (EACTS)/ European Society of Thoracic Surgeons (ESTS) 臨床実践ガイドライン 原発性 No 肺疾患の有無 Yes 続発性 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#10.
Point1:原発性と続発性を区別! • 肺に基礎疾患をもたないものを原発性自然気胸。 → ただし、80%以上においてCTでブラ・ブレブが認められる。 • 肺の基礎疾患によるものを続発性自然気胸。 • ただし喫煙歴のある若年者も軽度の肺気腫を有することは稀ではなく、原 発性と続発性の境界が曖昧となることがある。 日本気胸・嚢胞性肺疾患学会編. 気胸・嚢胞性肺疾患規約・用語・ ガイドライン2009年版. 東京:金原出版, 2009.
#11.
続発性自然気胸の原因疾患 原因疾患 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) ・続発性自然気胸の57%1) ・続発性自然気胸患者の約30%は、1秒量が1L未満2) 間質性肺炎 ・特発性肺線維症における気胸発症頻度は3.6~6.3%3)4) 月経随伴性気胸 ・胸腔内子宮内膜症が原因で生じる。病変は横隔膜に多く、手術時によく観察すべき5)。 ・90%が月経の前後72時間で生じるが、まれに排卵期に起こる場合もある。 ・女性気胸の30%で見逃されているとの報告もあり、注意が必要。血清CA125≧39U/mlが診断の手が かりとなるという報告もある6)。 Birt-Hogg-Dube症候群 ・常染色体優性遺伝疾患。皮膚過誤腫、腎腫瘍、気胸を三徴とするも、全て揃うわけでない。 ・自然気胸患者の5~10%を占めると報告されており、特に家族歴がある場合は要注意7)。 ・本疾患患者の気胸発生頻度は25~100%と、報告によるばらつきあり8)。 ・気胸の家族歴とCTで下肺野縦隔側有意に分布する比較的大きな嚢胞が診断の手がかり9)。 リンパ脈管筋腫症 ・妊娠可能年齢の女性、結節性硬化症患者に特有の疾患。 ・初発症状の53%10)。 ・CTで両肺びまん性に分布する均一なサイズの小嚢胞が診断の手がかり。 その他 ・腫瘍性疾患:肺癌、転移性腫瘍 ・遺伝性疾患:Marfan症候群 ・感染症:抗酸菌感染症、HIV、寄生虫(特に肺吸虫) 1)Chen Ch, et al. Am J Emerg Med 2012;30:45-50. RW, et al. JAMA 1990;264:2224-30. 3)Franquet T, et al. Eur Radiol 2000;10:108-13. 4)Sakamoto N, et al. Acta Med Nagasaki 2006;51:23-6. 5)Visouli AN, et al. J Thorac Dis 2014;6 (Suppl4):S448-60. 2)Light 6)Bagan P, et al. Eur Respir 2008;31:140-2. PC, et al. Eur Respir 2015;45:1191-4. 8)Toro JR, et al. Am J Respir Crit Care Med 200
#12.
続発性自然気胸の原因疾患 原因疾患 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) ・続発性自然気胸の57%1) ・続発性自然気胸患者の約30%は、1秒量が1L未満2) 間質性肺炎 ・特発性肺線維症における気胸発症頻度は3.6~6.3%3)4) 月経随伴性気胸 ・胸腔内子宮内膜症が原因で生じる。病変は横隔膜に多く、手術時によく観察すべき5)。 ・90%が月経の前後72時間で生じるが、まれに排卵期に起こる場合もある。 ・女性気胸の30%で見逃されているとの報告もあり、注意が必要。血清CA125≧39U/mlが診断の手が かりとなるという報告もある6)。 Birt-Hogg-Dube症候群 ・常染色体優性遺伝疾患。皮膚過誤腫、腎腫瘍、気胸を三徴とするも、全て揃うわけでない。 ・自然気胸患者の5~10%を占めると報告されており、特に家族歴がある場合は要注意7)。 ・本疾患患者の気胸発生頻度は25~100%と、報告によるばらつきあり8)。 ・気胸の家族歴とCTで下肺野縦隔側有意に分布する比較的大きな嚢胞が診断の手がかり9)。 リンパ脈管筋腫症 ・妊娠可能年齢の女性、結節性硬化症患者に特有の疾患。 ・初発症状の53%10)。 ・CTで両肺びまん性に分布する均一なサイズの小嚢胞が診断の手がかり。 その他 ・腫瘍性疾患:肺癌、転移性腫瘍 ・遺伝性疾患:Marfan症候群 ・感染症:抗酸菌感染症、HIV、寄生虫(特に肺吸虫) 1)Chen Ch, et al. Am J Emerg Med 2012;30:45-50. RW, et al. JAMA 1990;264:2224-30. 3)Franquet T, et al. Eur Radiol 2000;10:108-13. 4)Sakamoto N, et al. Acta Med Nagasaki 2006;51:23-6. 5)Visouli AN, et al. J Thorac Dis 2014;6 (Suppl4):S448-60. 2)Light 6)Bagan 比較的若年者でも、 続発性に分類される時もある!! P, et al. Eur Respir 2008;31:140-2. PC, et al. Eur Respir 2015;45:1191-4. 8)Toro JR, et al. Am
#13.
CASE1:16歳男性、基礎疾患なし • 何となくの胸部違和感で来院。 • バイタルサイン:血圧 121/63mmHg、脈拍 77/min、呼吸数 16/min、 体温 36.1℃、SpO2 99%(RA) • 試験が近い事もあり、なるべく入院したくない。
#14.
胸部単純X線写真
#15.
さあ、どうする? ① 本人希望もあるから、外来フォローかな・・・。 ② こっちが心配だから、ひとまず経過観察入院させよう。 ③ 早く治療が必要だから、ドレーン挿入だ! ④ 即、手術しましょう!
#16.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント:原発性 Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 全て満たす 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 安定 Small(< 3cm) • ERで3-6時間観察し、X線 写真で悪化が無ければ帰宅 *穿刺脱気やチューブ挿入 はほぼ不要 • 12時間後~2日以内までの 間に再診 • 外来フォローが難しい場合 は入院 気胸の程度 満たさない項目あり 不安定 Large(≥ 3cm) Large(≥ 3cm) *Smallは想定されていない • 穿刺脱気 orチューブ挿入を行い入院 *穿刺脱気は14Fr以下、チューブ挿 入の場合は16-22Fr *チューブは一方向弁(ハイムリッヒ 弁)か、水封に接続 *拡張不良時は吸引をかけて良い • 信頼できる患者が入院を希望しない場 合、穿刺脱気を行い再拡張を確認の上、 14Fr以下のチューブを留置しハイム リッヒ弁に接続、外来フォローとする (2日以内に再診) • 入院しチューブ挿入 *チューブのサイズは、臨床的 な安定度により細径(≤14Fr)か、 通常のサイズ(16-22Fr)を選択 *最初は水封式ドレナージとし、 再拡張が得られない場合に吸引 圧をかける *速やかに改善した患者では、 細径チューブ+ハイムリッヒ弁 に交換しても良い
#17.
British Thoracic Society(BTS)の 推奨するマネージメント Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31. 両側気胸 or 呼吸循環動態不安定 or 胸水貯留量が多い場合 No No 原発性 *高度気胸でも、症状が乏しい場合は 保存的加療可能 気胸 > 2cm Yes* and/or 呼吸困難 • 50歳以上 • 著明な喫煙歴 • 身体所見や画像検査で明 らかな肺の基礎疾患 16-18Gで穿刺脱気 最大2.5Lまで †細径チューブ+ハイム リッヒ弁接続による外 来管理も選択肢 No 外来経過観察を考慮 2-4週以内に再診 Yes 気胸 < 2cm かつ 呼吸困難改善 No 8-14Frのチューブ挿入し 入院 Yes チューブ挿入し 入院
#18.
虚脱度の評価方法 C (A) Light:100×(1-(A/B)3) (%) (B) Collin:4+14×(C+D+E)/3 (%) D A (C) Rhea/Choi:4+9×(C+D+E)/3 (%) F 肺門の高さ B (D) ACCP:C ≥ 3cm = large C < 3cm = small (E) BTS:F ≥ 2cm = large F < 2cm = small E Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31.
#19.
Joint European Respiratory Society (ERS)/ European Association for Cardiothoracic Surgery (EACTS)/ European Society of Thoracic Surgeons (ESTS) 臨床実践ガイドライン 原発性 No 肺疾患の有無 PICOs1-4と意思決定補助ツールを参照 症状がある患者 外来ケアが可能 携帯デバイスを提案 (PICO3) 症状がある患者 穿刺吸引を推奨 (PICO2) 症状が少ない患者 臨床的に安定 保存的ケアを提案 (PICO1) 胸部Xpで改善 経過観察後安定 Yes 外来フォロー No 胸腔ドレーン挿入 (通常の方法) 予防優先する患者には VATSを考慮 (PICO4) No Yes 外来フォロー Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#20.
Point2:原発性では外来フォローとすることも! • 初発の中等度~高度自然気胸患者にて保存群(ドレナージなし)と介入群 (ドレナージ)で比較したところ、8週目の治癒率は保存群 94.4% vs 介入群 98.5%と差はなかった。 Brown SGA, et al. N Engl J Med. 2020;382:405-415. • 発症から48時間以上経過した自然気胸患者では、穿刺脱気による即時成 功率が高い傾向にある(34.5% vs 7.1%:p=0.005)。 Constance Vuillard, et al. Thorax. 2019 Aug.;74(8):780-786. • 原発性自然気胸で外来装置による治療は、標準治療(穿刺脱気・胸腔ド レーン挿入)と比較して、入院期間が有意に短い(0日 vs 4日:p<0.0001)。 Hallifax RJ, et al. Lancel. 2020.;396:39-49.
#21.
ソラシックエッグ®(住友ベークライト製) <注意点> • 気漏の評価が出来ない。 • 気胸拡大、再膨張性肺水腫、漏出、脱落などの有害事象もある。
#22.
CASE2:76歳男性、COPDあり • 労作時呼吸困難・動悸の自覚があるが、安静時の症状はなし。 • バイタルサイン:血圧 152/98mmHg、脈拍 99/min、呼吸数 16/min、 体温 36.5℃、SpO2 94%(RA) • 病院嫌いで、なるべく入院したくない。
#23.
胸部単純X線写真
#24.
さあ、どうする? ① 入院拒否もありそうで、外来フォローかな。 ② 基礎疾患あるし、ひとまず経過観察入院させよう。 ③ やっぱり、ドレーン挿入だ! ④ 即、手術しましょう!
#25.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント:続発性 Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 全て満たす 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 安定 満たさない項目あり 不安定 気胸の程度 Small(< 3cm) • 入院し経過観察 • ERでの経過観察や穿刺 脱気のみは推奨しない Large(≥ 3cm) • チューブ挿入し入院 Large(≥ 3cm) *Smallは想定されていない • チューブ挿入し入院
#26.
British Thoracic Society(BTS)の 推奨するマネージメント Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31. 両側気胸 or 呼吸循環動態不安定 or 胸水貯留量が多い場合 Yes チューブ挿入し 入院 No • 50歳以上 • 著明な喫煙歴 • 身体所見や画像検査で明 らかな肺の基礎疾患 Yes 続発性 気胸 > 2cm Yes and/or 呼吸困難 No 16-18Gで穿刺脱気 最大2.5Lまで Yes 気胸 1-2㎝ No 8-14Frのチューブ挿入し 入院 No 気胸 <1cm まで改善 Yes 入院酸素投与 or 24時間経過観察
#27.
Joint European Respiratory Society (ERS)/ European Association for Cardiothoracic Surgery (EACTS)/ European Society of Thoracic Surgeons (ESTS) 臨床実践ガイドライン 肺疾患の有無 続発性 Yes 胸腔ドレーン挿入 (通常の方法) 胸部Xpで改善 かつリークなし Yes 外来フォロー No 自己血パッチ検討 (PICO5) Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#28.
Point3:続発性は入院必須! 可能なら胸腔ドレーン挿入も! • 基礎疾患を有し呼吸機能が低下している患者に発症するため、その分だけ 重症化する可能性が高い。 • 唯一BTSガイドラインのみ軽度であれば穿刺脱気を試みる記載はあるが、 それでも原則は入院が推奨されている。 • 続発性が疑われて、胸部単純X線写真で胸膜癒着があるためドレーン挿入 部位に迷う場合は、CT撮影を事前に施行することも検討である。 Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31.
#29.
CASE3:30歳男性、基礎疾患なし • 突然の胸痛で、救急搬送。 • バイタルサイン:血圧 207/131mmHg、脈拍 135/min、呼吸数 30/min、 体温 36.0℃、SpO2 92%(O2 5L)
#30.
胸部単純X線写真
#31.
さあ、どうする? ① 血圧が高い、降圧剤だ! ② まずは胸腔穿刺で胸水の性状を確認しよう! ③ やっぱり、ドレーン挿入だ! ④ 即、手術しましょう!
#32.
特発性血気胸
#33.
特発性血気胸 【疫学】 • 自然気胸の約 1.4~7.3 % に合併し、好発年齢は20~40歳代の男性である。 • 症状は自然気胸に比べて、胸痛が強い傾向がある。 • 出血量に関する明確な基準はないが、400ml以上の胸腔内出血を伴うもの を対象とすることが多い。 大森一光ら, 日呼外会誌1988; 36: 1059-64. 西村謙吾ら, 日呼外会誌2002; 16: 524-7. 遠藤克彦ら, 気管支鏡学2015; 37: 159-162. Calvin SH, et al. Current Opinion in Pulmonary Medicine 2006;12:273-277.
#34.
特発性血気胸 【機序】 • 臓側胸膜と壁側胸膜間の癒着組織内の血管 • ブラ有意に分布する血管 • 臓側胸膜と壁側胸膜間の先天性異常血管 →これらが気胸発症時に血管が破綻し出血を生じると、考えられている。 Hakim Azfar Ali, et al. Chest 2008;134:1056-1065. Eung-Soo Kim, et al. Ann Thorac Cardiovasc Surg 2008;14:149-153.
#35.
特発性血気胸 【治療】 • ただちに胸腔ドレーン挿入して、空気と血液をドレナージした方がよいと いう意見が多い。 • 一方で気胸発症初期は上昇した胸腔内圧で抑制されていた出血が、ドレ ナージによる内圧低下に伴い、再出血を来すという機序もある。 遠藤克彦ら, 気管支鏡学2015; 37: 159-162. → 一定の見解が得られておらず、輸血の手配をしながら外科コンサルトを 行い、状況に応じて対応していく。
#36.
各ガイドラインのおさらい
#37.
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会 自然気胸治療ガイドライン 特殊病態の自然気胸か? • 緊張性気胸 • 両側同時気胸 • 胸水貯留気胸(血胸を含む) チューブ挿入し入院 肺の虚脱度 • 軽度 : 肺尖が鎖骨レベル以上、またはこれに準ずる程度 • 中等度 : 軽度と高度の間 • 高度 : 全虚脱またはこれに近いもの 高度 軽度 症状 中等度 無 or 軽度 *有症状時は規定されていない • 経過観察 *目安として胸腔内圧を計測し、陰圧であれば気漏は ないと考えられる. *穿刺脱気または安静で経過観察 *穿刺脱気を行う場合は8-20Frのチューブを用いる • 危険因子が無ければ外来通院での治療可能 症状 有:特に労作時呼吸困難や SpO2低下がある場合 *無症状時は規定されていない • チューブ挿入が望ましい *穿刺脱気も選択枝の一つかの様な記載あり • 20Fr以上のチューブを用いる • 一般的に入院管理だが、一方向弁を用いての 外来管理も選択肢 • チューブ挿入 • 20Fr以上のチューブを用いる • 一般的に入院管理だが、一方向 弁を用いての外来管理も選択肢
#38.
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会の分類 軽度:肺尖が鎖骨レベルまたはそれよりも頭側にある. またはこれに準ずる程度. 中等度:軽度と高度の中間程度. 高度:全虚脱またはこれに近いもの.
#39.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 明らかな外傷や医原性の原因の有無 無=自然気胸 有 外傷性/医原性気胸 基礎となる肺疾患の有無(HIV含む) 無=原発性自然気胸 有=続発性自然気胸 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能
#40.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント:原発性 Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 全て満たす 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 安定 Small(< 3cm) • ERで3-6時間観察し、X線 写真で悪化が無ければ帰宅 *穿刺脱気やチューブ挿入 はほぼ不要 • 12時間後~2日以内までの 間に再診 • 外来フォローが難しい場合 は入院 気胸の程度 満たさない項目あり 不安定 Large(≥ 3cm) Large(≥ 3cm) *Smallは想定されていない • 穿刺脱気 orチューブ挿入を行い入院 *穿刺脱気は14Fr以下、チューブ挿 入の場合は16-22Fr *チューブは一方向弁(ハイムリッヒ 弁)か、水封に接続 *拡張不良時は吸引をかけて良い • 信頼できる患者が入院を希望しない場 合、穿刺脱気を行い再拡張を確認の上、 14Fr以下のチューブを留置しハイム リッヒ弁に接続、外来フォローとする (2日以内に再診) • 入院しチューブ挿入 *チューブのサイズは、臨床的 な安定度により細径(≤14Fr)か、 通常のサイズ(16-22Fr)を選択 *最初は水封式ドレナージとし、 再拡張が得られない場合に吸引 圧をかける *速やかに改善した患者では、 細径チューブ+ハイムリッヒ弁 に交換しても良い
#41.
American College of Chest Physician(ACCP)の 推奨するマネージメント:続発性 Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. 全て満たす 臨床的に安定しているか? □ 呼吸数 < 24/分 □ 心拍数 61-109/分 □ SpO2 > 90%(室内気) □ 息継ぎせず文章での会話可能 安定 満たさない項目あり 不安定 気胸の程度 Small(< 3cm) • 入院し経過観察 • ERでの経過観察や穿刺 脱気のみは推奨しない Large(≥ 3cm) • チューブ挿入し入院 Large(≥ 3cm) *Smallは想定されていない • チューブ挿入し入院
#42.
British Thoracic Society(BTS)の 推奨するマネージメント Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31. 両側気胸 or 呼吸循環動態不安定 or 胸水貯留量が多い場合 Yes チューブ挿入し 入院 No No 原発性 *高度気胸でも、症状が乏しい場合は 保存的加療可能 気胸 > 2cm Yes* and/or 呼吸困難 • 50歳以上 • 著明な喫煙歴 • 身体所見や画像検査で明 らかな肺の基礎疾患 Yes 気胸 > 2cm Yes 16-18Gで穿刺脱気 最大2.5Lまで †細径チューブ+ハイム and/or 呼吸困難 リッヒ弁接続による外 来管理も選択肢 No 16-18Gで穿刺脱気 最大2.5Lまで No 外来経過観察を考慮 2-4週以内に再診 続発性 Yes 気胸 1-2㎝ No Yes 気胸 < 2cm かつ 呼吸困難改善 No 8-14Frのチューブ挿入し 入院 No 気胸 <1cm まで改善 Yes 入院酸素投与 or 24時間経過観察
#43.
虚脱度の評価方法 C (A) Light:100×(1-(A/B)3) (%) (B) Collin:4+14×(C+D+E)/3 (%) D A (C) Rhea/Choi:4+9×(C+D+E)/3 (%) F 肺門の高さ B (D) ACCP:C ≥ 3cm = large C < 3cm = small (E) BTS:F ≥ 2cm = large F < 2cm = small E Baumann MH, et al. Chest 2001;199:590-602. Mac Duff A, et al. Thorax 2010;65:Suppl 2: ii18-31.
#44.
Joint European Respiratory Society (ERS)/ European Association for Cardiothoracic Surgery (EACTS)/ European Society of Thoracic Surgeons (ESTS) 臨床実践ガイドライン 原発性 No 肺疾患の有無 続発性 Yes PICOs1-4と意思決定補助ツールを参照 症状がある患者 外来ケアが可能 携帯デバイスを提案 (PICO3) 症状がある患者 穿刺吸引を推奨 (PICO2) 症状が少ない患者 臨床的に安定 保存的ケアを提案 (PICO1) 胸部Xpで改善 経過観察後安定 胸腔ドレーン挿入 (通常の方法) Yes 外来フォロー No 胸腔ドレーン挿入 (通常の方法) 予防優先する患者には VATSを考慮 (PICO4) No Yes 外来フォロー 胸部Xpで改善 かつリークなし Yes 外来フォロー No 自己血パッチ検討 (PICO5) Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#45.
原発性自然気胸の意思決定支援 治療オプション (侵襲性の低い順) 経過観察 (保存的) 穿刺吸引 携帯デバイス 胸腔ドレーン 手術 平均初回入院日数 1.0日 2.6日 0日 4.8日 4日 1年以内の再発率 9% 25% 24% 21% 6% 再処置の必要頻度 15% 22% 21% 25% 3% 皮膚感染 1% 0% 1% 3% 0% 局所出血 0% 0% 7% 3% 0% 外科的気腫 0% 0% 6% 6% 0% 血胸 3% 1% 0% 0% 0% チューブ閉塞/位置ずれ 0% 0% 5% 11% 3% 合併症率(%) Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#46.
PICO1:経過観察は自然気胸に使用すべきか? (針吸引/胸腔ドレーンと比較して) • 選択された症例(症状が最小限で臨床的および放射線学的に安定している 場合)において、気胸サイズに関係なくPSPの保守的管理を提案している。 • SPPに対する保守的管理について、エビデンスの不足から推奨を行うこと が出来ず。 *PSP:原発性自然気胸 *SPP:続発性自然気胸 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#47.
PICO2:自然気胸の急性発症時に針吸引を使用すべきか? (胸腔ドレーンと比較して) • PSPの初期治療において針吸引を胸部チューブドレーンより推奨している。 • SPPに対する針吸引の有効な代替としての推奨は、結論的なエビデンスの 欠如から行わず。 *PSP:原発性自然気胸 *SPP:続発性自然気胸 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#48.
PICO3:自然気胸の急性発症時に外来管理を使用すべきか? (針吸引/胸腔ドレーンと比較して) • 適切な専門知識と外来管理の経路を持つ施設において、PSPの初期治療に 対して外来管理を提案している。 • SPPの初期治療に対して小口径(8Fr)の外来デバイスの使用を推奨せず。 *PSP:原発性自然気胸 *SPP:続発性自然気胸 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#49.
PICO4:自然気胸の急性初期発症時に 早期手術管理または内科的管理を使用すべきか? • 再発予防を優先する患者のPSP初期治療において、早期手術介入を考慮す ることを提案している。 • SPPの初期治療における早期手術介入については、エビデンスの不足から 推奨を行うことが出来ず。 *PSP:原発性自然気胸 *SPP:続発性自然気胸 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#50.
PICO5:自然気胸における遷延性空気漏出の管理に 自己血パッチを使用すべきか(胸腔ドレーン単独と比較して)? • エビデンスがないため、手術に適さない遷延性空気漏出を伴うPSP成人に おける自己血パッチの使用を推奨する、または推奨しないという推奨を行 うことが出来ず。 • 手術に適さない遷延性空気漏出を伴うSPP成人では、自己血パッチを検討 出来ると提案している。 *PSP:原発性自然気胸 *SPP:続発性自然気胸 Walker S, et al. Eur Respir J. 2024 May 28;63(5):2300797.
#51.
Take Home Massage • まずは原発性/続発性を確認する。 • 原発性は、何でもドレーン挿入とは限らない。 • 続発性に関して入院は必須で、可能ならドレーン挿入も考慮する。 • 血気胸では手術も念頭に入れつつ、速やかに外科コンサルトや輸血 など集学的加療を行う。
#52.
ご清聴ありがとうございました。 Facebook Instagram ブログ 飯塚病院呼吸器内科に興味のある方、見学お待ちしております!!