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小児科
ゆきあかり診療所
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夜尿症 ゆきあかり診療所管理者 小林聡史
Take home message 夜尿症は多くは自然に良くなるものの、患児の自尊心を傷つけ、劣等感を抱かせやすいため、本人や保護者が悩んでいる場合には積極的に治療! 便秘や尿検査異常、その他の下部尿路症状がないかを必ず確認。 プライマリケア医として、生活指導やデスモプレシン投薬に習熟しておく。
スライドの中身 ほぼ、夜尿症診療ガイドライン2016を元に作成しています。(ネット上で閲覧フリー) 画像も、スライド上に記載がないものは上記からの引用です。 それ以外に参考にしたものはスライド下部に記載しています。
アルゴリズム
概要
夜尿症(NE:nocturnal enuresis)とは? 5歳以上の小児で1か月に1回以上の睡眠中の尿失禁が3か月以上続くもの 夜尿症の患児は自尊心が低く、劣等感を抱きやすいため、本人や保護者が悩んでいる場合には積極的に治療すべき!
疫学 過少報告で、 実際はもっと多い可能性 稀に成人になっても継続
経年的経過:多くは自然に良くなるけど 介入した方が改善しやすい 自然消失率:毎年約15-17% 治療介入例では約50%が治癒
分類①夜尿再燃例は注意 これまでに夜尿が消失してた時期が6か月未満:一次性夜尿症 75-90%の頻度と考えられている 6か月以上:二次性夜尿症 頻度は10-25% 二次性の場合には以下の頻度が多いため注意:生活上のストレス(保護者の離婚、同胞の誕生など)精神疾患の併存
分類②下部尿路症状がある場合は注意 下部尿路症状なし:単一症候性夜尿症(75%)monosymptomatic NE(MNE) 下部尿路症状あり:非単一症候性夜尿症(25%)non-MNE(NMNE) 過活動膀胱、尿路感染症、脊椎癒合不全症などの基礎疾患を考慮
夜尿症の原因:主に3つ 夜間多尿 主に就寝中のADH分泌低下によるとされる ほか、夜間の尿中Ca排泄増加、糸球体濾過量の日内変動異常、飲水過剰、塩分・蛋白の摂取過多が関連しているという報告もあり 排尿筋過活動 排尿筋抑制のサーカディアンリズム異常の報告あり 覚醒閾値の上昇 起こしても覚醒しにくいという報告あり その他の要因 発達の遅れ、遺伝的素因などが挙げられている
ほか、併存症として 便秘症など 夜尿をきたしうる疾患
評価
問診
下部尿路症状の問診も (再掲) 下部尿路症状がある場合には、過活動膀胱、尿路感染症、脊椎癒合不全症などの基礎疾患を考慮
尿定性検査:全例で推奨 尿糖陽性:糖尿病 尿比重低値:尿崩症や水中毒 亜硝酸塩や白血球反応陽性:尿路感染症
画像検査:ルーチンでは不要 考慮すべき状況は以下:重度な昼間の尿失禁尿路感染症の既往があるが画像検査歴なし先天性の泌尿器異常
治療
治療の種類 初期治療 生活指導 行動療法 積極的治療 アラーム療法 薬物治療 その他:十分に確立してない治療 催眠療法、鍼治療、カイロプラクティック、ホモトキシコロジーなど
生活指導:効果判定は3-6か月程度 https://onesho.com/patient/shared/images/download/pdf/pamphlet.pdf より画像引用
行動療法 夜尿がなかった日にご褒美 逆に夜尿したら罰を与えることは推奨されない 排尿訓練 できるだけ排尿を我慢、定時に排尿など 夜間に起こす or トイレに連れて行って排尿 短期の宿泊行事など限定的な状況下では検討しても良い
アラーム療法 https://onesho.com/patient/shared/images/download/pdf/pamphlet.pdf より画像引用 夜尿を本人に気づかせ、睡眠中の蓄尿量を増やす方法 夜尿が頻回な症例で、本人家族ともモチベーションが高い場合に導入を検討
薬物療法:漢方も選択肢
薬物療法: デスモプレシン
デスモプレシンの概要 合成バソプレシンアナログ製剤 バソプレシン=抗利尿ホルモン(AntiDiuretic Hormone:ADH) 腎臓の集合管のバソプレシン受容体に作用し、水の再吸収を促進させる
効果:割とよさそう J Urol 2010 Dec;184(6):2521 6-15歳のMNEの患児104名を、デスモプレシン(D)とアラーム療法(A)にランダム割り付けした研究 12週間の投与で、Full responseは37%(D)、50%(A)Successful resultは77.8%(D)、82%(A)いずれも有意差はなし Abstractしか手に入らなかったので、詳細はわかりません
用法用量 ミニリンメルト®OD錠60μg、120μg、240μg添付文書 1日1回120μg~240μg 就寝前または就寝30-60分前投与 原則として6歳以上の患者に使用
年齢について:5歳の場合は? ミニリンメルト®OD錠60μg、120μg、240μg添付文書 Enuresis, DynaMed 添付文書では原則として6歳以上の患者に使用となっている 国内第III相試験が6~11歳の患児に対して行われ、6歳未満に対する試験が行われてないため しかし、夜尿症の定義は「5歳以上」 Dynamedには7歳以上、または5-7歳で以下の場合に適応と書かれている(元文献は載ってない) 急な発症 and/or 早期の改善が望ましい場合 アラーム療法が不適当な症例や、アラーム療法を希望しない症例
使用上の注意~電解質異常(特に希釈性低Na血症)予防 服用1時間前~服用8時間後までの飲水量を240ml以内にする 服用時は水なしで飲む(OD錠のため口内で溶ける) 体液量や電解質異常を疑う時は服用中止(発熱、嘔吐下痢、激しい運動、水分多量摂取)
効果が不十分な場合:以下を確認 服薬アドヒアランス確認 寝る前に排尿をしているか 内服後に過剰な飲水をしてないか 中枢性/腎性尿崩症の可能性はないか
減量方法 夜尿症は年齢とともに自然軽快する傾向があるので、漫然とした投与継続は避ける 段階的な減量をした方が再発率が減少するかも例:240μg/日→120μg/日→60μg/日→60μg隔日投与→中止
まとめ
Take home message再掲 夜尿症は多くは自然に良くなるものの、患児の自尊心を傷つけ、劣等感を抱かせやすいため、本人や保護者が悩んでいる場合には積極的に治療! 便秘や尿検査異常、その他の下部尿路症状がないかを必ず確認。 プライマリケア医として、生活指導やデスモプレシン投薬に習熟しておく。