#4.
概要 日本ではこれまでに30 万人以上の乳幼児が川崎病に罹患しています その原 因はいまだに不明です 原因不明のため特異的な診断所見や検査もな く,診断の手引きに従って“川崎病”を診 断して いるのが現状です・・・
#5.
疫学 川崎病は5歳以下の乳幼児に多く,特に1〜2歳に発症するケースが多い 年齢別川崎病発症数 年長児でも 川崎病は念頭に! 第26回川崎病全国調査
#6.
川崎病の主要症状 2019年に改訂(6版) 1. 発熱 2. 両側眼球結膜の充血 3. 口唇・口腔所見 4. 発疹(BCG接種痕の発赤を含む) 5. 四肢末端の変化 6. 急性期における非化膿性リンパ節腫脹 この6項目は しっかり暗記!
#7.
発熱 川崎病の発熱は頻度が高く,乳児で発熱に伴い非常に機嫌が悪いのが特徴的 POINT 01 頻度:94~97% POINT 02 有意な発熱は 腋下温 37.5℃以上(深部体温では 38℃以上) POINT 03 38.5~39℃が多く,弛張熱or稽留熱 すごい機嫌が悪い時 は川崎病かも!
#8.
両側眼球結膜充血 血管が1本1本区別できる。 眼脂はないか,白色が少量のみ POINT 01 頻度:93% POINT 02 1 本 1 本の血管が拡張・蛇行し,他の血管と区 別される POINT 03 ほとんどの場合,眼脂を伴わない POINT 04 発症早期に虹彩毛様体炎を併発し ていることがある DALL-E3で作成
#9.
口唇・口腔所見 病日が経つと口唇 はひび割れてくる。口腔粘膜は全体に発赤 するが 扁桃に白苔が付着することはほとんどない POINT 01 口唇が紅潮し,乾燥や亀裂を伴うことが多い。 出血や血痂を伴うこともある POINT 02 奥舌が赤く隆起し,いちごの表面のように 見えるいちご舌が特徴的で,頻度は90%前後
#10.
発疹 多様であり,典型的には蕁 麻疹様,多型滲出性紅斑様,地図状である 川崎病疑う時はより 丁寧な診察を! POINT 01 頻度:定型例94% ,不全型65% POINT 02 臍周囲・会陰部から始まることもあり,おむつを外して診察を POINT 03 B C G接種部では接種後1年半の間に 高率に認める
#11.
四肢末端の変化 四肢末端の変化には,急性期に見られる硬性浮腫と回復期の指先からの 膜様落屑が含まれる 急性期の硬性浮腫 回復期の膜様落屑 四肢末端の変化のうち,急性期には手 掌や足底に硬性浮腫が見られ,これは 症例の約82%に出現する。痛みを伴 うこともある。 解熱後の第10 病日以降に指先 の爪 皮膚移行部に亀裂を生じる(膜様落 屑)。膜様落屑は90%以上の 高頻 度に認められる
#12.
非化膿性リンパ節腫脹 片側性または両側性で有痛性で,多層性リンパ節が特徴的 POINT 01 他の主要症状に比べて発現頻度が低い(65%) POINT 02 3 歳以上では約90%に見られ,初発症状 になることも多い POINT 03 超音波検査では多房性リンパ節腫脹(grape sign)
#13.
補助症状 特異的ではないが、川崎病で見られることのある所見 消化器症状 呼吸器症状 腹痛・嘔吐・下痢など軽いものを含めると 約3分の2に認める。半数近くに程度の差 はあるが胆囊の腫大を認める。麻痺性イレ ウスには注意 約3割で咳嗽・鼻汁など気道症状を認める 関節症状 2.0~7.5%で関節の疼痛、腫脹が見られる。若年 性特発性関節炎との鑑別が難しいことも(若年 性特発性関節炎ではIL-18が著明に上昇)
#14.
診断 a. 6つの主要症状のうち、経過中に5症状以上を呈する場合は、川崎病と診断する。 b. 4主要症状しか認められなくても、他の疾患が否定され、経過中に断層心エコー法で冠 動脈病変(内径のZスコア+2.5以上、または実測値で5歳未満3.0mm以上、5歳以上4.0mm 以上)を呈する場合は、川崎病と診断する。 c. 3主要症状しか認められなくても、他の疾患が否定され、冠動脈病変を呈する場合は、不 全型川崎病と診断する。 d. 主要症状が3または4症状で冠動脈病変を呈さないが、他の疾患が否定され、参考条件か ら川崎病がもっとも考えられる場合は、不全型川崎病と診断する。 e. 2主要症状以下の場合には、特に十分な鑑別診断を行ったうえで、不全型川崎病の可能 性を検討する。
#15.
5版(2002年)からの主な変更点 発熱の日数の変更 01 川崎病の診断基準において,発熱の日数は問わないことになりました。こ れにより,疾患の早期診断が可能です BCG接種痕の発赤を主要症状に追加 02 BCG接種痕の発赤が主要症状に追加されました。これにより,診断の精度 が向上し,早期発見が可能となります 冠動脈病変の評価 03 主要症状が3つでも冠動脈病変があれば不全型川崎病と診断されるように なりました。心エコーによる内径z-scoreが推奨されました
#16.
鑑別疾患 川崎病と似た症状を持つ疾患を正確に鑑別することで,早期診断と適切な治療が 可能になります。 01 薬剤性 a.Stevens-Johnson 症候群 b.薬剤アレルギー 02 細菌感染症 a.溶連菌感染症 b.敗血症 c.化膿性頸部リンパ節炎 d.咽後膿瘍 e.蜂窩織炎 f.細菌性髄膜炎 g.尿路感染症 h.エルシニア感染症 i.マイコプラズマ感染症 j.チフス・パラチフス k.猫ひっかき病 l.Koch 現象 03 ウイルス感染症 a.EB ウイルス(特に抗菌薬使用後) b.アデノウイルス(咽頭結膜熱,流行性角結膜炎) c.エンテロウイルス (手足口病,ヘルパンギーナ, 出血性結膜炎) d.突発性発疹 e.麻疹 f.風疹 g.伝染性紅斑 h.パレコウイルス感染症 i.デング熱 j.Gianotti 病(Gianotti-Crosti 症候群) 04 自己炎症性疾患 a.若年性特発性関節炎 b.高安動脈炎 c.周期性発熱症候群 d.血球貪食症候群
#17.
川崎病らしさがある検査所見 川崎病の診断には血液検査,尿検査,髄液検査が補助になることがあります 01 血液 左方移動を伴う好中球増加、Alb低下、低Na血症、 肝機能障害、高ビリルビン血症、BNP(NT-pro BNP)上昇、 フィブリノーゲン増加、FDP/D dimer上昇、回復期の血小板増多 02 尿 無菌性膿尿 03 髄液 無菌性髄液細胞数増多 川崎病疑う時は血液、尿検査 心エコーは必ず行う!
#18.
不全型川崎病 主な症状が揃わなくても診断される川崎病で,近年その頻度が増加しており 注意が必要です。 0歳児、年長児では 不全型が多いので注意
#19.
不全型川崎病を疑うエコー所見 01 左前下行枝 or 右冠動脈の Z score が 2.5 以上 02 冠動脈瘤 03 次の4項目のうちの3項目以上を認める 左室壁運動低下,僧帽弁閉鎖不全,心膜液,左前下行枝 or 右冠動脈の Z score が2.0 ~ 2.5 *Z score:冠動脈などが年齢や体重,体長などの基準に対してどれだけ標準的かを示す指標
#20.
合併症 川崎病で1番注意する合併症は冠動脈瘤です 未治療であれば冠動脈瘤は約1/4 の症例に形成される 川崎病の治療目標は冠動脈瘤を 生じる前に炎症を鎮めること! 急性期治療の進歩の結果,現在では急性期で約10%,急性期を超 えて 発症1か月以上残存する心後遺症は約3%となっている
#21.
後遺症を残さないために 川崎病の治療は第7病日までに開始することが重要です 第 8~10 病日には,炎症細胞が内膜と外膜から中膜に浸潤し 動脈壁全層に及び汎動脈炎になってしまいます 第 10~12 病日には,脆弱化した血管に血圧がかかり 風船が膨れるように冠動脈瘤を形成します
#22.
まとめ 01 / 乳児発熱や年長児の発熱・頸部痛 では川崎病を念頭において診療を 行いましょう 02 / まずは本スライドや教科書の写真を見て典型例をイメージしておきましょう 03 / とにかく冠動脈後遺症を合併しないように適切な診断,早期治療開始が大切です
#23.
参考文献 本スライドの内容は、「川崎病の手引き」に基づいています。参考にしてください。