#4.
そもそも、慢性硬膜下血腫について~その2~ 4 ✓ 一般的には穿頭ドレナージ術が行われる ✓ 再発を繰り返す場合には中硬膜動脈塞栓術を行うこともある6 ✓ 手術を行った場合の再発率は、10-20%程度7 ✓ 慢性硬膜下血腫術後再発の予後不良因子7,8 抗凝固・抗血小板薬の内服 分厚い血腫被膜があること 術後の脳膨隆不良 手術中にドレーンを使用していないこと 血腫腔に空気が残っていること これら2つは術者が コントロール可能
#5.
穿頭血腫除去術の手順(あくまでもntk流) 5 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 術前のCTを基に、穿刺位置を決定 穿頭位置が一番天井側になるように頭の位置を調整 穿頭位置を中心にして、弧状に皮膚を切開する 帽状腱膜の層で皮弁を翻転、骨膜は穿頭部を覆うように切開 手回しドリルで穿頭(3つの層を意識する) 硬膜、血腫外膜を切開して血腫を除去 ドレーンを留置して洗浄、血腫を生食に置換する 骨膜、皮下、皮膚をそれぞれ縫合して終了
#6.
6 穿刺位置の決定 穿頭位置 この長さを 測っておく!! OM line※ 外耳孔 ※CTイメージ図 ①血腫が一番厚くなっている位置をCTのaxial画像で同定して穿頭位置を決定 ②CTのスライス厚を見て、外耳孔から頭側に何cmで目標の高さになるかを計測する ③そこから前方(後方)を穿頭位置とする ※OM line: orbitomeatal base line(外眼角と外耳孔を結んだ線)
#7.
7 穿頭位置が一番天井側になるように頭の位置を調整 肩枕を挿入したりベッドを動かしたりして 穿頭部が最も天井側になるように 頭の位置を調整する 手術前のこの調整で手術の成否が ほぼ決まります。 納得がいくまで何度も調整しましょう!
#8.
8 穿頭部を取り囲むような弧状の皮膚切開 穿頭部を覆うような骨膜切開 ①穿頭部を取り囲むように弧状の皮膚切開を行い 骨膜上の帽状腱膜の層で皮弁を翻転する ②皮膚と反対向きの弧状になるように 骨膜を切開して翻転する 顔の向き 断面から見ると。。。 ① ② ①で皮膚、皮下組織、帽状腱膜までを翻転する ②で骨膜だけを翻転する
#9.
9 手回しドリルで穿頭する 外板:ツルツルした手ごたえ 頭蓋骨の3層構造 板間層:ゴリゴリした手ごたえ 内板:ツルツルした手ごたえ 上記の3層を意識しながら1番・2番の手回しドリルを用いると素早い穿頭が可能になる ※1番の手回しドリルを押し込みすぎて脳実質まで損傷する合併症が報告されている ①ドリルの先端が今どの層にあるのかを意識すること ②押し込む力ではなく、ドリルが回転する力を使って骨を削っていくこと
#10.
硬膜、血腫外膜を切開する 10 ➢ 硬膜を十字に切開する。 ⇒直下に静脈が走っているときがあるので硬膜を焼灼する前に 十分確認する もしも静脈がいたときにはリューエルなどで穿頭を拡大し、 静脈が絶対にいないと自信を持てる部分の硬膜を切開する ➢ 血腫外膜を確認して、血腫を除去する ⇒穿頭位置がずれて直下に血腫がなかった場合でも 脳実質損傷だけは避けるために、必ず2段階(硬膜、外膜)で切開
#11.
ドレーンを留置して洗浄、血腫を生食に置換する 11 ドレーン刺入方向 最初の体位調整が上手くいっている場合には、 ただ生食で洗浄するだけでairは殆ど残らない ●硬膜下ドレーンは前方に向けて入れる (図の矢印の方向) 術後、患者さんがベッドの上で仰臥位になって いる時にairを効率よくドレナージできるようにする
#12.
骨膜、皮下、皮膚を縫合する 12 ① ② ①骨欠損部を覆うように骨膜を縫合する ②皮下・皮膚を縫合する ⇒ 皮切の直下に穿頭部があると、皮膚から侵入した細菌が そのまま頭蓋内に入り細菌性髄膜炎を生じうるので、 互い違いになるように縫い、感染のリスクを下げる
#13.
脳神経外科をローテーションする先生へ 13 手術とは ①文献的に正しい知識 ②解剖学的な知識 ③術者の(合併症の)経験 を統合したものです 文献的な知識と解剖学的な理解を土台として、術者の合併症の経験を 活かして様々なアレンジを加えていき、手術を変化させていきます 教科書や論文で勉強することはもちろんですが、 上司の(怖い)経験を聞いて自分の糧にして、手術を上達させ ていきましょう!
#14.
14 Take Home Message 1. 手回しドリルを使いながら、頭蓋骨の3層構造 (外板のツルツル、板間層のガリガリ、内板のツルツ ル)を感じよう 2. 再発予防のため、空気の残らない手術を目指そう
#15.
参考文献一覧 15 1) Weigel R, Krauss JK, Schmiedek P. Concepts of neurosurgical management of chronic subdural haematoma: historical perspectives. Br J Neurosurg 2004;18:8–18 2)Feghali J, Yang W, Huang J. Updates in Chronic Subdural Hematoma: Epidemiology, Etiology, Pathogenesis, Treatment, and Outcome. World neurosurgery. 2020;141:339-345. 3) Sajanti J, Majamaa K. High concentrations of procollagen propeptides in chronic subdural haematoma and effusion. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2003;74:522–4. 4) Friede RL, Schachenmayr W. The origin ofsubdural neomembranes. II. Fine structural of neomembranes. Am J Pathol 1978;92:69–84. 5) Lee KSS. Natural history of chronic subdural haematoma. Brain Injury 2004;18:351–8. 6) Fiorella D, Arthur AS. Middle meningeal artery embolization for the management of chronic subdural hematoma. J Neurointerv Surg. 2019;11: 912-915 7) Kolias AG, Chari A, Santarius T, Hutchinson PJ. Chronic subdural haematoma: modern management and emerging therapies. Nat Rev Neurol