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劇症型溶血性レンサ球菌感染症について

投稿者プロフィール
長谷川耕平

堺市立総合医療センター

45,303

97

概要

数年前から, 特にA群溶連菌による侵襲性感染が世界的に増加しており, 日本も例外ではありません。

国立感染症研究所の報告を元に, 簡単なまとめを作成しました。

お時間があればどうぞ。

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

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テキスト全文

劇症型溶血性レンサ球菌感染症の概要と分類

#1.

2024.04.16 劇症型溶連菌感染症の話 谷 長 立 堺市 総合医療センター 感染症内科 川耕平

#2.

β溶 性連鎖球菌とは, 液寒天培地上で24時間の培養後にβ溶 性を すコロニーを形 成する連鎖球菌属のうち, Lance eld分類によりA, B, C, G群に分類されるものを指す 示 • 血 連鎖球菌属:グラム陽性, カタラーゼ陰性で2つ以上の連鎖を形成する多様な細菌群 fi • 血 血 連鎖球菌

#3.

性連鎖球菌の分類 Lance eld PYR CAMP 尿酸加 分解 バシトラシン感受性 S. pyogenes A + ー ー + S. agalactiae B ー + + ー S. dysgalactiae subsp. equisimilis C, G ー ー ー ー PYR, pyrrolidonyl arylamidase 血 水 fi 臨床微 生 馬 β溶 物検査ハンドブック第5版より作成

β溶血性連鎖球菌の特徴と感染症法

#4.

Lance eld分類 • 逆受 A B C ラテックス凝集反応による • 被検菌と試薬を反応させる →陽性ならば凝集する (左図はG群) fi 身 D F G

#5.

それぞれの特徴 常在部位 S. pyogenes1-2) 咽頭, 膚表 >膣, 直腸 S. agalactiae3-4) 下部消化管, 殖器 (10-40%), 咽頭 (5-20%*) S. dysgalactiae subsp. equisimilis5-6) 中咽頭, 膚, 消化管, 泌尿 殖器 ( 性) 感染巣 咽頭炎, SSTI, STSS (稀に産褥期感染, 腹膜炎, 関節感染, 肺炎, 髄膜炎など) occult bacteremia, SSTI, 関節感染, IE, 新 UTIなど 咽頭炎, SSTI, 児敗 関節感染, occult bacteremia, IEなど *MSMは咽頭保菌リスク 1. Clin Microbiol Rev. 2014;27(2):264-301. 2. Pediatr Infect Dis J. 2015;34(4):447-449. 血 生 骨 骨 骨 女 面 生 皮 皮 生 3. Clin Microbiol Infect. 2021;27(1):129.e1-129.e4. 症, 4. Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 201, 2505-2512.e2 5. Microbiol Spectr. 2019;7(2):10.1128/microbiolspec.GPP3-0016-2018. 6. Infect Dis Clin North Am. 2022;36(4):861-887.

#6.

• β溶 性連鎖球菌によって • 本では感染症法に基づく感染症発 れている • • じる, 急激な経過で敗 症および各種臓器不全を呈する疾患 動向調査において, 5類全数把握疾患に位置付けら 国CDCのサーベイランスでは 清群Aが最多で特定のemm type (1, 3) が多い 死亡率は30-70% Clin Microbiol Rev. 2014;27(2):264-301. Infect Dis Clin North Am. 2022;36(4):861-887. Nat Rev Microbiol. 2023;21(7):431-447. 血 生 血 生 白 子 子 emm遺伝 …病原因 であるM蛋 をコードしており, この塩基配列の違いでS. pyogenesが分類される 血 日 米 劇症型溶連菌感染症 streptococcal toxic shock syndrome, STSS

劇症型溶連菌感染症の初期症状とリスク因子

#7.

• 初期症状として, 悪寒, 筋 痛, 悪 ・嘔吐, および下痢など, インフルエンザ様の前駆症 状 (時に全 性紅斑) が出現し, 24-48時間で 圧低下・ショック状態に陥る • 膚が細菌の侵 であれば, 局所的腫脹や紅斑が初期の炎症徴候として現れ, 急速に 軟部組織〜筋膜に達する壊死が じる • 最終的には, 腎不全, 肝不全, 急性呼吸窮迫症候群, 播種性 全がしばしば じる 管内凝固症候群などの臓器不 血 血 心 生 肉 戸 門 入 生 Infect Dis Clin North Am. 2022;36(4):861-887. 身 皮 臨床症状

#8.

菌種 侵襲性感染リスク1) S. pyogenes 膚病変, 外傷, 慢性 膚疾患, 熱傷, PVD, IVDU, CVD, DM, ホームレス, アルコール乱 , 悪性疾患, 免疫抑制状態, 痘・インフルエンザ罹患後, NSAIDs S. agalactiae 新 児, 齢, 喫煙, CVD, DM, 肥満, 悪性疾患, 神経疾患, 免疫抑制状態, 末期肝疾患, CKD, 産褥 SDSE 齢, DM, CVD, 悪性疾患, 免疫抑制状態, 末期肝疾患, アルコール, IVDU • iGAS患者では, 33%に基礎疾患がなかったとする報告もある2) • また, 特に 児におけるiGASは基礎疾患の有無によらず発症する可能性がある3) 水 子 皮 用 小 高 1. Infect Dis Clin North Am. 2022;36(4):861-887. 2. Clin Infect Dis. 2007;45(7):853-862. 3. Emerg Infect Dis. 2008;14(2):202-209. 生 皮 高 リスク因

#9.

厚 労働省 (STSS) STSSの届出に必要な要件 (以下のアの (ア) 及び (イ) かつイを満たすもの) ア 届出のために必要な臨床症状 ア. ショック症状 イ. 以下の症状のうち2つ以上:肝不全、腎不全, 急 性呼吸窮迫症候群, DIC, 軟部組織炎 (壊死性筋膜炎を 含む), 全 性紅斑性発疹, 痙攣・意識消失などの中枢 神経症状 水 目 骨 血 水 血 心 非 水 血 皮 皮 人 子 非 女 非 皮 方 手 血 血 身 身 高 血 子 血 方 生 生 イ 病原体診断の 法 検査 法:分離・同定による病原体の検出 検査材料:通常無菌的な部位 ( 液, 髄液, 胸 , 腹 ), 検組織, 術創, 壊死軟部組織 血 日 水 母 本はSTSSのみを, CDCはGAS-STSS/iGASを サーベイランス対象としている CDC (STSS) CDC (iGAS) 臨床的症例定義 低 圧:sBP≦90mmHg (成 ), 年齢別 圧より5パ ーセンタイル以上低下 (16歳未満) 多臓器不全:以下のうち2つ以上 • 腎:Cre≧2mg/dL, or 正常上限の≧2倍, 腎疾患の 既往があればベースライン値の2倍以上上昇 • 凝固:Plt≦10万/mm3またはDIC • 肝:肝胆道系酵素が正常上限の2倍以上, 肝疾患の 既往がある患者ではベースライン値から2倍以上↑ • ARDS • 落屑を伴う全 性の紅斑性斑状 疹 • 壊死性筋膜炎または筋炎, 壊疽を含む軟部組織壊死 確定症例 • 培養によるGAS (S. pyogenes) の分離, または通 常無菌の部位 ( 液, 脳脊髄液, 関節液, 腹 , , 臓器など) からの核酸検査によるGASの検出 症例分類 • 疑似症例:臨床的症例の定義に合致する症例で, 他 の病因が確認されず、 滅菌部位からA群溶 性連 鎖球菌が分離された症例。 • 確定症例:臨床的症例の定義を満たし, 通常無菌の 部位 ( 液, 脳脊髄液, 関節液, 胸 , 嚢液など) からGASが分離された症例 可能性の い症例 • 体敗 症, 敗 症性ショック, STSS, 壊死性筋膜 炎などの重症疾患で, 病原となりうる他の細菌が 同定されておらず, GASが 無菌

日本におけるSTSSの動向と疫学

#10.

1000 941 923 900 800 752 2023年は1999年以降最多 2024年は第13週 (3/31まで) のデータ 700 600 716 687 634 596 573 492 500 431 400 300 273 242 207 192 200 106 92 100 52 46 44 21 95 60 52 104 122 103 NIID, 感染症発 年 20 24 年 20 23 年 20 22 年 20 21 年 20 20 年 20 19 年 20 18 年 20 17 年 20 16 年 20 15 年 20 14 年 20 13 年 20 12 年 20 11 年 20 10 年 20 09 年 20 08 年 20 07 年 20 06 年 20 05 年 20 04 年 20 03 年 20 02 年 20 01 年 00 20 19 99 年 0 生 日 本でSTSSが増加している 動向調査週報ダウンロードより作成 (accessed April 16, 2024) https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html

#11.

• 2006-18年では, STSSの症例数 とともに徐々にG群の割合が増え ている • 2019年以降は後述 性レンサ球菌感染症の疫学情報.https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/ les/2018/182111/201818005A_upload/201818005A0020.pdf (accessed March 24, 2024) fi 血 和徳, 他.劇症型溶 石 大 血 清群別STSS報告数の推移 (〜2018年)

#12.

清群別STSS分布状況 (〜2018年) • G群は 齢者に多い • A群は 較的若い fi 性レンサ球菌感染症の疫学情報.https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/ les/2018/182111/201818005A_upload/201818005A0020.pdf (accessed March 24, 2024) 血 血 高 比 和徳, 他.劇症型溶 石 大 年齢・

GAS-STSSの増加とその影響

#13.

GAS-STSSが近年増加 (2019年〜) • 2023年1 1 から12 17 の期間で, 全STSS 874例のうちGASによるSTSS症例は340例 (38.9%) → 2018年以降の集計で2番 に多い • 2023年の届出時死亡例は97例であり, 2019年の101例に続き2番 に多い1) • 2024年もGASによるSTSSの増加傾向は続き, 第1〜11週に届け出られた全STSS 521例のう ち, 清群別ではA群が最多であった (A群 335例, B群 56例, G群 93例) • 2018〜2023年の期間では, STSS届出数全体に占めるA群の割合は30〜50%程度であったが, 2024年は64%と割合が上昇 • 50歳以上の届出割合が, 過去と同 1. IASR. A群溶 準 (76-88%)2) 性レンサ球菌による劇症型溶 性レンサ球菌感染症の50歳未満を中 とした報告数の増加について (2023年12 17 現在). available 日 目 月 日 月 心 目 水 日 血 月 血 日 月 血 血 立 at: https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/group-a-streptococcus-iasrs/12461-528p01.html (accessed March 16, 2024) 2. 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-astreptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024)

#14.

GASによる咽頭炎も増加傾向 • GASによる咽頭炎の発 • 2023年は第33週から増加し, 第50週にピーク (定点当たり報告数5.04) • 過去6年間の同時期の中で, 最も • 2024年第11週の定点当たり報告数は4.48で, 引き続き 動向は 児科定点報告されている い値だった 値である 高 日 月 高 小 生 血 立 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) available at: https:// www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024)

#15.

アメリカでもiGASが増加 • COVID-19で 時的に発 数は減少していたが, 2022年以降特に 児でiGASが増加している • コロラド州, ミネソタ州では, 2022/10/1–12/ 31の間に34件iGASが報告された • 3ヶ 平均の 較をすると, 2016-19で11件, 2020-21で4件 生 小 一 比 月 CDC. https://archive.cdc.gov/www_cdc_gov/groupastrep/igas-infections-investigation.html MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023;72(10):265-267.

iGASの増加とその要因

#16.

世界的にiGASが増加している • その他, フランス, アイルランド, オランダ, スウェーデン, イギリスなど, 欧 に10歳未満の 児においてiGASの報告が増加している • 国・地域によっては70歳以上の 齢者における増加も確認されており, 幅広い年齢層の報 告がある 諸国で特 米 日 月 高 血 小 立 WHO. Disease Outbreak News, Increased incidence of scarlet fever and invasive Group A Streptococcus infection - multi-country (published December 15, 2022). available at: https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON429 (accessed March 27, 2024) 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) available at: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ group-a-streptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024)

#17.

なぜiGASが増えているのか? 1. S. pyogenesの病原性変化 行 2. 呼吸器系ウイルスの流 による獲得免疫低下

#18.

M1UK lineage • 2014年以降, 英国では猩紅熱やiGASが増加するにつれ, emm1型S. pyogenes (M1型株) が上気道から分離される頻度が上昇 • 遺伝 • M1UK系統株は, M1grobalと 較し, 発 毒素 (streptococcal pyrogenic exotoxin A, SpeA) の産 量が約9倍多く, 伝播性も いとされている 解析の結果, 従来のM1型株 (M1grobal) と 較し特徴的な27種類の単塩基置換を有 していることがわかり, UK系統株 (M1UK系統株) と呼ばれるようになった. 比 高 赤 比 生 子 Lancet Infect Dis. 2019;19(11):1209-1218.

M1UK系統株の広がりと関連性

#19.

国内の状況 • 国 感染症研究所において, 2018-2023年にSTSS患者から集められたGAS 760株のう ち, M1型株は215株 (28.3%) で, M1UK系統株株は50株 (23.3%) だった1) • 2024年1 1 〜3 15 の区間では, STSS患者から分離されたGAS 92株のうち, M1型 株が54株 (58.7%), M1UK系統株株は43株 (79.6%) であり, 前年度よりも い割合で推 移している2) 1. IASR. A群溶 性レンサ球菌による劇症型溶 性レンサ球菌感染症の50歳未満を中 とした報告数の増加について (2023年12 17 現在). available 高 日 月 日 月 心 日 血 血 月 日 月 血 立 立 at: https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/group-a-streptococcus-iasrs/12461-528p01.html (accessed March 16, 2024) 2. 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-astreptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024)

#20.

• 現在, 欧州のみならず北 ている1) • 国では, 期間1 (2015-2018年) から期間2 (2019 2021年) にかけて, iGASから分離さ れるM1UK系統株が1.7% (21/1230) から11% (65/603) に増加している2) • また, 南 (アルゼンチン) でも2023年に 児を中 にiGAS感染症の症例数, 死亡者数の 報告が増加し, 解析された菌株の多くがM1型株で, うちM1UK系統株が9.1%だった3) や豪州等でM1UK系統株がM1型株の中で主要な分離系統となっ ‒ 心 日 月 小 米 血 米 1. Lancet Infect Dis. 2019;19(11):1209-1218. 2. Emerg Infect Dis. 2023;29(10):2116-2120. 3. 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) https:// www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024) 立 米 M1UK系統株の世界的広がり

#21.

• , M1UK系統株の増加とiGASの増加との間に疫学的関連がないとする報告もあり, した 解が得られていない1) • つまり, iGASの増加にはその他の要素も関わっていることが の増加は, COVID-19の流 が影響しているかもしれない • パンデミック下で呼吸器系ウイルスの活動性が上昇しGASへの曝露機会が減少した結果, 般的なemm型に対する防御免疫が得られず, パンデミックにおける様々な制限が解除 された後で, 児がGASに感染しやすくなっている可能性がある2) 唆され, 特に 定 児iGAS症例 一 小 示 行 行 血 小 日 月 見 方 1. 国 感染症研究所. 国内における劇症型溶 性レンサ球菌感染症の増加について (2024年3 29 発表) https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcusm/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html (accessed April 5, 2024) 2. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023;72(10):265-267. 立 一 一 COVID-19流 の影響

治療法と抗菌薬の効果

#22.

呼吸器ウイルスとの共感染 • また, GASと呼吸器系ウイルスとの共感染は, 咽頭粘膜障害を介した菌 症や肺炎の発症 • 2022年以降, 英国やフランスでGASによる膿胸が増加した リスクである 因とされている1-2) 血 一 1. Lancet Infect Dis. 2023;23(2):154-156. 2. Open Forum Infect Dis. 2023;10(5):ofad188.

#23.

治療 • 壊死性軟部組織感染症など, デブリドマンが必要であれば速やかに外科的介 行 ペニシリン (+クリンダマイシン) (+免疫グロブリン) 入 • を う

#24.

• S. pyogenesではPCGに親和性の低いPBPが発現した場合, 発育不良, 発育速度の低下, 形 態異常などが認められる1)。また, M蛋 産 が減少したS. pyogenesは, PCG耐性となる で病原性を失う2) • pbp2x変異 (T553K置換) によりβLのMICが上昇しているS. pyogenes (PCG→, ABPC↑, AMPC↑, CTX↑) が最近報告されているが3), 極めて稀かつペニシリン耐性株 の報告はない • S. dysgalactiaeは, pbp2x, 1a, 2b変異によるペニシリン 感性株の報告がある4) • JANISの年報ではS. agalactiaeについて, PCG, ABPC, CTX のそれぞれ5.3%, 1.3%, 1.2%が 感性5) 4. J Antimicrob Chemother. 2016;71(12):3376-3380. 5. JANIS 2021年1 12 年報(accessed April 6, 2024) https://janis.mhlw.go.jp/ report/open_report/2021/3/1/ken_Open_Report_202100.pdf 非 生 白 月 ~ 月 非 1. Clin Infect Dis. 1998;26:1341-1345. 2. Acta Pathol Microbiol Scand. 1958;42:181-188. 3. Clin Infect Dis. 2020;71:201-204. 方 一 基本的にペニシリン感受性

CLDM併用療法の効果と耐性

#25.

STSSに対するCLDM併 • 壊死性筋膜炎やSTSSなどのようなiGASに対して, しばしばペニシリンとCLDMが併 さ れ, 併 により院内死亡率が低下する可能性がある (aOR 0.40, 95%CI 0.15–0.91)1) • 作 機序:CLDMはリボゾームに作 することで, 外毒素産 e ectによらない効果やPAEを有する • 併 期間はコンセンサスがないが, 4-5 とが多い の抑制をはじめ, Eagle かつ臨床的に安定し48-72時間程度継続するこ 用 用 生 日 用 用 用 用 ff 1. Lancet Infect Dis. 2021;21(5):697-710.

#26.

• 濃度の抗菌薬に曝露された細菌が, 細胞死速度の低下により, 逆説的に in vivoで確認されている現象1) • 細胞壁に効果のある薬剤 (ex. ベータラクタム) が, 菌量が 分に増え細胞分裂をあまり なっていない細菌に投与された場合に効果が落ちる可能性がある • 背景にあるメカニズムははっきりとわかっていないが2), inoculum e ectとoverlapする 部分もあれば, 区別される部分もある 存するという 生 ff 十 1. J Exp Med. 1948;88(1):99-131. 2. Trends Microbiol. 2019;27(4):339-354. ff 高 行 Eagle e ect

#27.

CLDMの誘導型耐性と構成型耐性 • EM ≧8μg/mlの場合にCLDM ≦0.5μg/ml (Staph), ≦0.25μg/ml (Strep) - D test陰性 → CLDM感受性 (erm遺伝 , M phenotype) - D test陽性 → CLDM誘導型耐性 (erm遺伝 +) • CLDM ≧4μg/ml (Staph), ≧1μg/ml (Strep) → CLDM構成型耐性 (erm遺伝 D-test erm遺伝 EM +) 抑制機構 リーダーペプチドの翻訳により 複雑な塩基構造を維持している CLDM 子 子 − 子 子 Antimicrob Agents Chemother. 1995;39(4):797-805.

感染対策と予防策の重要性

#28.

CLDM耐性でも有効なのか? S. pyogenesの外毒素産 きるかもしれない1) - 容量CLDMで抑制で 尚, S. aureusの場合, 誘導型耐性ならばCLDMでTSST-1を抑えられるかもしれないが3), 構成型では毒素産 を抑制できない可能性がある4) 高 血 1. 2. 3. 4. 生 • は, CLDM耐性 (誘導型 or 構成型) でも CLDM耐性 (構成型33%) のβ溶 性連鎖球菌による壊死性筋膜炎は四肢切断が増える 可能性がある2) 生 • J Infect Dis. 2017;215(2):269-277. Clin Infect Dis. 2021;73(11):e4592-e4598. Ann Clin Microbiol Antimicrob. 2018;17(1):38. Infect Immun. 2001;69(5):2996-3003.

#29.

• 国の 規模コホート研究において, non-group A/B streptococciに対するCLDM併 は院内死亡率が上昇する傾向(aOR 2.60, 0.94–7.52)1) • PSMを いた後 視的コホート(@ 本)では, 侵襲性GBS, SDSE感染症に対するCLDM追 加は, 院内死亡率を改善しなかった (リスク差 -0.3%)2) • GPC chainによるNSTIと診断したら, ひとまずCLDM併 → S. pyogenesなら継続, その他なら中 開始 がよい 用 用 用 止 日 方 大 1. Lancet Infect Dis. 2020;S1473-3099(20)30523-5. 2. Acute Med Surg. 2021;8(1):e634. 用 米 GAS以外のNSTIに対するCLDM併

#30.

LZDによる毒素抑制 • LZDはリボソーム50Sへの作 • 現在, 連鎖球菌のCLDM耐性率が上昇しており, iGASに対するLZDが注 • ただしGASに対するCLDMによる外毒素抑制は感受性によらない可能性もあり, 後 視的 研究ではGASによるSTSSに対するCLDM or LZDのいずれかを投与された患者において, 使 抗菌薬間で院内死亡率に差はなかったと報告されている4) • LZDがβL+CLDMに勝るかは今後の臨床試験次第 を介し, TSST-1を始めとした外毒素産 を抑える1-2) されている3) 1. Clin Infect Dis. 2006;42(5):729-730. 2. J Infect Dis. 2013;208(1):75-82. 3. Clin Infect Dis. 2023;76(2):346-350. 方 目 生 用 用 4. Open Forum Infect Dis. 2023;10(12):ofad588.

#31.

IVIg併 の効果 • 5つの観察研究のSR&MA • それぞれの研究ではCLDM投与サブグループに おけるIVIg投与が死亡率を低下させる傾向が あったが有意差なし • 統合分析では, IVIg投与により死亡率が低下 (33.7%→15.7%, RR 0.46; 95%CI .26–.83, I2=0%) 用 Clin Infect Dis. 2018;67(9):1434-1436.

#32.

感染様式 • S. pyogenesは, 主に 感染経路として から 咽頭粘膜および 膚に定着しており, へ伝播する → S. pyogenes感染者の家族や濃厚接触者は, • iGASの 般集団よりも感染リスクが い1) 次感染は稀であるものの, 交差感染株から同 パターンが 沫感染, 接触感染を主要な のパルスフィールドゲル電気泳動 されたことにより, 家族や医療従事者への伝播の可能性が 分に 証されて いる2) われており, ホームや病院など 立 高 十 人 老 1. 2. 3. 4. 飛 一 言 一 皮 人 鼻 人 iGASの10%が医療従事者を介した医療関連感染と でのアウトブレイク例が報告されている3-4) 示 二 • Clin Microbiol Rev. 2014;27(2):264-301 Clin Infect Dis. 1997;24(6):1118-1121. Emerg Infect Dis. 2007;13(12):1852-1859. Clin Infect Dis. 2005;41(3):334-342.

#33.

感染対策 • GASによる感染症を起こした患者に対し, 有効な抗菌薬投与24時間経過するまでは 沫感 染予防を い, 壊死性筋膜炎や熱傷などの創部感染があれば, 分改善するまで 沫・接 触感染予防策を継続する 飛 飛 十 行 CDC. Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings (2007) available at: https://www.cdc.gov/infectioncontrol/guidelines/isolation/appendix/type-duration-precautions.html (accessed April 6, 2024)

#34.

• STSSは致死的疾患であり, • S. pyogenes M1UK系統株の増加が関連している可能性があり, COVID-19による制限が 解除されたことも影響しているかもしれない • 治療は速やかに抗菌薬投与を開始し, 必要に応じて外科的介 本において増加している 行 沫・接触感染予防策を講じる 入 次感染を防ぐため, 日 • 飛 二 まとめ を う必要がある

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