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シンプルに考える褥瘡外用薬の選び方

投稿者プロフィール
ボブ@皮膚科医

総合病院

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概要

皮膚科専門医が褥瘡を治療する際の思考過程をまとめました。このスライドを読めば褥瘡治療の流れが把握でき、今日から使える実践的な知識が身につきます!

◎目次

・はじめに

・褥瘡治療の全体像

・①どんな患者さん?

・②褥瘡の状態を評価しよう

・③外科的デブリが必要か?

・④外用薬を選ぼう

・⑤定期的に処置しよう

・⑥1−2週間の間隔で傷の状態を再評価しよう

・褥瘡治療の流れ(おさらい)

・最後に追加してお伝えしたいこと

・Take home message

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

  • #1.

    -

  • #2.

    はじめに このスライドでは、作者(皮膚科専門医)が褥瘡を 治療する際の思考過程をまとめました。 このスライドを読めば褥瘡治療の流れが把握でき、 今日から使える実践的な知識が身につきます! このスライドをオススメしたい読者は? ・全ての初期研修医。 ・皮膚科常勤医不在の病院に勤務しているため仕方なく褥瘡の患者を自分で  診ているが、治療方針があっているか自信がもてない。 ・褥瘡に対して使用する外用薬の簡単な選び方を学びたい。

  • #3.

    褥瘡治療の全体像 褥瘡を診る時の思考過程:①〜⑥ 褥瘡の治療は当然、薬を選ぶだけではありません。 治療における思考の流れは、以下の通りです。 ①どんな患者さん?       ②褥瘡の状態を評価しよう。 ③外科的デブリードマン(以下、外科的デブリ)が必要か?  ④外用薬を選ぼう。⇦このスライドの本題 ⑤定期的に処置しよう。(創部洗浄・外用薬塗布・被覆材交換)  ⑥1-2週間間隔で傷の状態を再評価しよう。 次のスライドから、1つずつ順に解説していきます。 ④は本題のため、⑴〜⑻までご用意しています。

  • #4.

    ①どんな患者さん? まずは患者さんの状況を確認し、褥瘡の治りやすさをイメージします。 基本的な確認事項  年齢 :高齢者は以下のリスクを抱えている可能性が高い。 基礎疾患:活動性が低下(特に麻痺・寝たきり)しているとハイリスク。 栄養状態:痩せすぎはハイリスク。       カロリー・蛋白質・アミノ酸・ビタミン・微量元素など追加を検討。 若い・一時的な体動困難・食事摂取可能 → 治りやすそう!     高齢・寝たきり・禁食中    → 治りにくそう・・・。 イメージ

  • #5.

    ②褥瘡の状態を評価しよう⑴ ⑴ 改定DESIGN-R®️2020 細かい点まで網羅しており、継時的に評価することで治療効果判定や他患者との比較に役立つ。ただ細かすぎて、慣れないと評価すること自体が難しい。 ⑵ NUPAP分類(ステージ分類) 傷の深さに焦点を当てた評価方法。非常にシンプルで評価も簡単だが、評価後にどのように治療に役立てて良いかがわかりにくい。 当然どちらも非常に優れた評価方法なんですが、専門家以外には扱いにくいという意見もちらほら。 このスライドは専門家以外を対象としているため、上記の評価方法は扱いません。 続いて褥瘡の状態を評価します。 大前提として、褥瘡の評価方法は以下の2つが代表的です。 ※ここは読み飛ばしてOK! ここでは「綺麗か、汚いか」「湿っているか、乾いているか」を軸に褥瘡を 4種類に分類し、外用薬選択に直結できる評価方法をご紹介します。 (※私が昔、上級医に教わった分類法です。あくまでも個人的な意見ですがご了承ください。)

  • #6.

     ②褥瘡の状態を評価しよう⑵〜褥瘡の分類方法〜  褥瘡の傷自体を評価するために、ここでは2つの軸を用いて4つに分類します。 ・1つ目の軸は「汚い or 綺麗」です。壊死組織や感染兆候の有無で判断します。 ・2つ目の軸は「湿っている or 乾いている」です。傷表面の浸軟具合で判断します。 ※しつこいですが「なるべくシンプルに考えるための個人的な見解」です。 ポケットを形成している傷など、この中に当てはめられない褥瘡もあります。 ここから、色々な ことをこの図に当てはめながら解説していきます。

  • #7.

    ③外科的デブリが必要か?⑴ 褥瘡の状態評価が終わったら、外科的デブリの必要性を判断します。 デブリとは「死滅した組織、成長因子などの創傷治癒促進因子の刺激に応答しなくなった老化した細胞、異物、およびこれらにしばしば伴う細菌感染巣を除去して創を清浄化する治療行為」です。(日本褥瘡学会 用語集より引用) ハサミやメスを用いてデブリを物理的に行うことを、外科的デブリといいます。     大量の壊死組織が付いていたり、ポケットが大きい場合はとても治りにくいです。ですが外科的デブリを急ぐ必要はありません。 ただし感染兆候が強い場合は、急いで紹介※しましょう。 外科的デブリの適応がなければ、保存的治療を選択します。 感染(蜂窩織炎や皮下膿瘍を併発)  : 敗血症など、緊急性があることも! 大量の壊死組織が付着している    : 緊急性は低いが褥瘡としては重め ポケット(皮膚の下の空洞)が大きい : 緊急性は低いが保存的治療では治りにくい 外科的デブリの適応 ※紹介を検討する先は、手術を行える皮膚科・形成外科・外科など。  手術スペースのない皮膚科クリニックなどに紹介するのは控えましょう。

  • #8.

    ③外科的デブリが必要か?⑵〜図の中で外科的デブリの適応があるのは?〜 先ほどの図に当てはめた場合、オレンジ円の部分の褥瘡はデブリの適応になる可能性があります。 もちろん少量の壊死組織や軽度の感染がある程度なら、保存的加療でも対応可能であり、 「傷が少しでも汚い褥瘡=外科的デブリが必要」ではありません。 デブリを検討する場合がある。

  • #9.

    ④外用薬を選ぼう⑴〜主な薬の名称と役割〜 外科的デブリが不要だった場合、次は外用薬を選びます。まずどんな薬があるのか把握しましょう。病院によって置いていない薬もあると思いますが、主に用いられるのは以下のような外用薬です。 ただ、表の内容がすべて頭に入っていても、実際にどんな傷にどの薬を選べばよいか適切に判断する のはなかなか難しいと思います。そこで、それぞれの薬を例の図に対応させてみます。

  • #10.

    ④外用薬を選ぼう⑵〜例の図に外用薬を当てはめると〜 4つに分割したそれぞれのゾーンに適切な外用薬を記載すると・・・  ※このゾーンだけ、 傷の色の違いによって  薬が変わります。 褥瘡を見た目で4種類に分類できれば、外用薬は自ずと決まってきます!

  • #11.

    ④外用薬を選ぼう⑶〜役割ごとにグループ分け〜 さらに薬の役割ごとにグループ分けをすると、以下のようになります。 ここまで把握していれば、褥瘡外用薬の基礎はバッチリです!

  • #12.

    傷を治すためには適切な湿潤環境を目指すことが大切! 湿・乾の度合いは治療である程度調整できますので、いかに湿潤環境を作るかが医師の腕の見せ所です。 『適度な湿潤環境』 のイメージ ④外用薬を選ぼう⑷ 〜適度な湿潤環境を作ろう〜 褥瘡に限った話ではありませんが、傷が治るためには湿りすぎても乾きすぎても良くありません。 外用薬などの治療によって創面の適度な湿潤環境(ちょっとしっとりした状態)を作っていくことが、 創傷治癒の促進につながります。 少し寄り道ですが 大事なお話

  • #13.

    ④外用薬を選ぼう⑸〜少し細かい使い分け〜  ⑴ ユーパスタ®︎とカデックス®の違い ⑵ プロスタンディン®とプロペト®の違い     これは結構細かいお話。 まずはユーパスタ®︎やプロスタンディン®︎が       使えればいいと思います。 さらに細かく学びたい人のために、同じゾーンにあった薬の 使い分けにも少しだけ触れておきます。

  • #14.

    ④外用薬を選ぼう⑹ 〜フィブラストスプレー®︎っていつ使うの?〜 ここまで触れませんでしたが、 フィブラストスプレー®︎も 褥瘡の治療薬として有名です。 血管新生・肉芽形成促進・表皮形成促進などの作用を持ち、綺麗な傷をより早く治すために用いられます。 ・冷蔵庫保存 ・使用期限は開封後2週間以内 ・高価 という点に注意が必要です。 (個人的には、褥瘡や傷を専門的に診ている医師以外は使用しなくても良いと思います。) フィブラストスプレー®︎を使用する場合がある。

  • #15.

    ④外用薬を選ぼう⑺ 〜薬のお値段は?〜 その他: フィブラストスプレー250 (7238.4円/瓶) フィブラストスプレー500 (8572円/瓶) 褥瘡の外用療法は長引いてしまうことも多く、医療費も馬鹿になりません。 慣れてきたら、薬のお値段も気にしてみましょう。 きっと判断材料の一つになると思います。 それぞれの薬のお値段は左に記載した通りです。 :23.9円/g :60.3円/g :20.8円/g :45.8円/g :2.38円/g フィブラストスプレーは 特に無駄遣いできませんね。 (※薬価は2022年2月現在のものです。)

  • #16.

    結論から言うと、褥瘡に対してゲンタシン®︎軟膏を使用することはほとんどありません。 ④外用薬を選ぼう⑻〜ゲンタシン®︎軟膏は使わないの?〜 ご存知の通りゲンタシン®︎軟膏は様々な傷の治療に使用されていますが、メチシリン耐性黄色ブド ウ球菌(MRSA)やメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)や緑膿菌等において、耐性菌の発生が以前から報告されています。  また褥瘡診療ガイドラインでは、局所処置で抗生物質含有軟膏を使用することには感染を制御するための十分な根拠がないとされ、使用しないことが提案されています。 Ida T, et al . Epidemiological survey of methicillin-resistant Staphylococcus aureus isolated from 34 hospitals in Japan . Jpn. J. Antibiot. 1994 , vol.47. Tsuchimochi N, et al. Antimicrobial susceptibility and molecular epidemiological analysis of clinical strains of Pseudomonas aeruginosa. J. In-fect. Chemother. 2008 , vol.14. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン−2:褥瘡診療ガイドライン,2017 抗菌薬の不適切な使用は避けたいところですね!

  • #17.

    ⑤定期的に処置しよう 少し長くなりましたが、これで外用薬は決まりました。 しかし褥瘡の治療は外用薬を一度塗って終了ではなく、定期的な処置が欠かせません。 基本的には1日1回、傷を洗います。(※傷の消毒は必要ありません。) ただし浸出液や排膿量が多ければ洗浄回数を増やしてもかまいません。 傷を洗う際には十分な量の生理食塩水または水道水を用いることが推奨されています。 石鹸は使っても使わなくてもかまいませんが、しっかり洗い流しましょう。                                        褥瘡予防・管理ガイドライン第4版, 2015 毎日ご自身で創部を観察&処置するのが理想的ですが、実際はなかなかそこまで手が回らないと思います。患者さんを担当するチーム内で交代性にしたり、医師が処置できない日は看護師に依頼するなどして、可能な限り連日処置を行いましょう! 傷の大きさに合わせ、十分な量の外用薬を塗布し、創面をガーゼで保護します。 ガーゼの枚数は浸出液の量に合わせて適宜増減しましょう。 傷の洗浄 外用薬塗布とガーゼ保護

  • #18.

    ⑥1-2週間の間隔で傷の状態を再評価しよう 最後に忘れてはならないのが傷の再評価です。 治癒過程で傷の状態は変化(改善もしくは悪化)します。 そのため定期的に傷の再評価を行い、その時点の状態にあわせて 最も適した治療法に変更していきます。 (デブリの追加・外用薬の変更など) 黒くて乾いた傷に ゲーベンを使用したら 汚くて湿った 黄色い傷に変化! 例) このような経過をたどった場合、ゲーベン®︎からユーパスタ®︎などへの変更が検討されます。

  • #19.

    以上が褥瘡治療の流れです。①〜⑥を繰り返し、褥瘡の 状態にあわせて常に最適な治療を提供していきましょう! 褥瘡治療の流れ(おさらい)

  • #20.

    褥瘡の評価方法に関して このスライドでは、褥瘡を簡易的に評価して外用薬を選択する方法を示しました。標準的に使われてる方法とは異なりますので、もっと深く勉強したい人は病期分類やDESIGN-R®などに関しても勉強してみてください。 最後に追加してお伝えしたいこと 今回触れた外科的デブリと外用療法以外にも、局所陰圧閉鎖療法・植皮術・皮弁形成術・貼付剤など、褥瘡治療の選択肢はまだまだたくさんあります。また、褥瘡予防に関する知識も大切です。このスライドをきっかけに、さらに学びを深めて患者さんに還元してもらえると幸いです。 褥瘡の治療に関して

  • #21.

    Take home message 褥瘡の傷は「綺麗か、汚いか」「湿っているか、乾いているか」を軸に、4つに分類しよう。 傷を早く治すための「適切な湿潤環境」を目指そう。 ゲーベン®︎・ブロメライン®︎・ユーパスタ®︎・  カデックス®︎・アクトシン®︎・プロスタンディン®︎・  プロペト®︎の7種類を覚えよう。

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