#4.
そもそも、保湿剤を塗ると どんないいことがあるの︖ u ⾓質層の⽪膚の⽔分含有量を改善し、⽪膚バリア機 能を回復・維持することで、アレルゲンの侵⼊予防 と⽪膚炎の再燃予防、痒みの抑制につながる。 u アトピー性⽪膚炎のハイリスク群の乳児においては 出⽣直後から保湿外⽤によるスキンケアを⾏うこと で、アトピー性⽪膚炎の発症リスクを低下させる可 能性が⽰唆されている1)(PEBBLES研究による追跡 調査が進⾏中) 1)Zhong Y,et al:Emollients in infancy to prevent atopic dermatitis : A systematic review and meta-analysis.Allergy,2021
#5.
保湿には2種類あるって知ってますか︖ 〜モイスチャライザーとエモリエント〜 u モイスチャライザー︓天然保湿因⼦(NMF)など⽔分 保持作⽤を持つヒューメクタントを含み、⽪膚の⾓質 層に浸透して⽔分を保持する親⽔性の吸湿性物質。 (医薬品では尿素製剤やヘパリン類似物質などに代表される) u エモリエント︓⽪膚の表⾯に油膜を形成して⾓質中の ⽔分蒸発を防ぐ疎⽔性の脂質成分(ワセリンなど) u エモリエントよりもモイスチャライザーの⽅が 保湿効果は⼀般に⾼い2)。 2)野澤 茜ほか:保湿剤の効果に及ぼす⼊浴と時期の関係 .⽇⽪会誌,2021︔121︓1421ー6.
#6.
患者さんに分かりやすく伝える説明の極意 〜乾いた畑に⽔分とシートを︕〜 乾いた畑(⽪膚)に… ⽔分をおぎなうのが モイスチャライザー ⽔分を届ける物質がヒューメクタント ⽔分が蒸発しないよう シートで覆うのが エモリエント
#7.
保湿剤の種類、どんなものがあるの︖ ①医療⽤医薬品 モイスチャライザー編 成分名 ただし尿素20%では⾓ 質融解作⽤が強くなる 点に注意︕ (保湿⽬的なら10%) 商品名 剤形 規格 剤形・基材 ウレパール クリーム ローション O/W型クリーム ローション 5.7 5.7 クリーム 10% 10% 10%・20% 5.9 ソフト軟膏 ローション 10%・20% 10% O/W型クリーム W/O型クリーム ローション クリーム 20% 5.9 クリーム 0.30% O/W型クリーム O/W型クリーム 21.6 ソフト軟膏 ローション フォーム ゲル 0.30% 0.30% 0.30% 0.30% W/O型クリーム ローション フォーム ゲル 21.6 21.6 21.7 12.6 ヘパリン類似物質 スプレー 0.30% スプレー 10.3 ビタミンA ザーネ 軟膏 0.50% ビタミンE ユベラ 軟膏 O/W型クリーム O/W型クリーム 尿素 パスタロン ケラチナミンコーワ ヘパリン類似物質 ヒルドイド 薬価(円/g) 5.9 5.9 3 2.9
#8.
保湿剤の種類、どんなものがあるの︖ ①医療⽤医薬品 エモリエント編 医薬品名 主な成分 剤形・基材 薬価(円/g) ⽩⾊ワセリン 固形及び液状炭化⽔素 油脂性基材 2.4 プロペト 固形及び液状炭化⽔素 油脂性基材 2.4 ⻩⾊ワセリン 固形及び液状炭化⽔素 油脂性基材 2.4 親⽔クリーム ⽩⾊ワセリン、ステアリルアルコール、プロピレングリコールなど O/W型クリーム 吸⽔クリーム ⽩⾊ワセリン、セタノール、サラシミツロウ、セスキオレイン酸ソルビタ W/O型クリーム ンなど 親⽔ワセリン サラシミツロウ、ステアリルアルコール、コレステロールなど W/O型クリーム 亜鉛華軟膏 酸化亜鉛、⽩⾊軟膏など 油脂性基材 2.49 亜鉛華単軟膏 酸化亜鉛(10%)、単軟膏など 油脂性基材 2.03 亜鉛華単軟膏 酸化亜鉛(20%)、単軟膏など 油脂性基材 2.69 1.9−2.18 1.82 2
#9.
保湿剤の種類、どんなものがあるの︖ ①⼀般医薬品 モイスチャライザー編 u 多価アルコール︓グリセリン、プロピレングリコール、ブ チレングリコール u 糖︓ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、 トレハロース、硫酸化トレハロース u ⽣体⾼分⼦︓ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン 硫酸)、コラーゲン、エラスチン、キチン、ムチン u その他の油性成分︓セラミド、コレステロール、リン脂質
#10.
保湿剤の種類、どんなものがあるの︖ ①⼀般医薬品 エモリエント編 機能 標準 抱⽔性 バリア機能改善性 分類 炭化⽔素 ロウ 代表的な成分 スクワラン、ミネラルオイルなど ミツロウ、ホホバ種⼦油など エステル ミリスチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸エチルなど 植物油脂 ロウ ダイズ油、オリーブ果実油など ラノリンなど エステル ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セ チル/ステアリル/べヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ (コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 細胞間脂質系 セラミド、グルコシルセラミド、ラウロイルグルタミン酸 ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) など エステル ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチ ルドデシル) など
#11.
保湿剤の基本的な使い⽅/指導法 u ⼊浴後に保湿剤を外⽤するまでの時間は、1時間後でも変 わらないとする報告があり必ずしも直後でなくとも良い2)。 u ただし⼊浴直後に塗らないと痒みやつっぱり感を訴えるこ ともあり、⼊浴後すぐの外⽤が伝わりやすい。 u 保湿回数は、1⽇1回より2回の⽅が有意に保湿効果が⾼く、 3〜4回で頭打ちとなるため、乾燥肌の⼈には1⽇2回の保湿 外⽤を⽬標とする。 u 塗布量はFTUが基本であるが、肌にティッシュ 1枚がくっつく程度、あるいは表⾯が油分で 光る程度、とする指導が簡便でわかりやすい。 2)野澤 茜ほか:保湿剤の効果に及ぼす⼊浴と時期の関係 .⽇⽪会誌,2021︔121︓1421ー6.
#12.
保湿剤の基本的な注意点 u ワセリンは遮光保存が基本。太陽光照射 により、成分変化により右図のような ⾊調変化をきたすため、注意が必要。 u 混和⽤の容器(軟膏壺)は遮光容器では ないため、遮光保存が基本である。 u ただしプロペト100g容器は遮光である。 u ヒルドイドソフト軟膏は⽩⾊ワセリンに よる2倍の希釈でも、有位に保湿効果が 低下する3) →保湿剤は安易に混和/希釈すべきではない︕ 3)眞部遥⾹:外⽤薬混合における保湿剤の臨床効果 .,Derma2021︔314︓89ー92.
#13.
季節や疾患に合わせた保湿指導を︕ u 外気の湿度が多い夏場などは、エモリエントを省 略してモイスチャライザーを中⼼にしても良い。 u ⽪脂腺の分布が多く⽪脂の多い脂漏部位(⾸のV ゾーンから頭部まで)は過度にエモリエントを使 ⽤しない。(ニキビや脂漏性湿疹の悪化に注意) u ニキビの患者さんの顔⾯には過度にエモリエント を⽤いず、オイルフリーの保湿剤を中⼼に使⽤す る。
#14.
季節や疾患に合わせた保湿指導を︕ u ベタつきを嫌がる場合は部位別に剤型を 使い分けるなど⼯夫する(嫌がって 塗らないならせめて塗れるものを) u 乳幼児では特に、⽪脂腺の多い脂漏部位と、 ⽪脂腺の少ない四肢で塗り分けるのも良い。 (特に乳児脂漏性湿疹がある場合、 脂漏部は⽔基材など軽めの保湿を 指導する) ⽪脂の少ない 四肢は油分も しっかり補う ⾸から上は 軽めの保湿︕
#15.
おまけ・乾燥に悩む⼈が気をつけたい ⽇常⽣活上の注意点3選 u ⼊浴温度は38〜40度で。(⽪膚バリア機能回復の⾄適温度) 42°C以上の湯温は⽪脂や天然保湿因⼦の溶出が⽣じ、 瘙痒が惹起されるため推奨されない4)。 u 電気⽑布は付けたまま就寝しない。 使うなら寝る前に布団を暖めておき就寝後はタイマー で切る、⾜先のみ使⽤する、などの対策を。 u ⼊浴時にナイロンタオルで体をこすらない。 4)佐伯 秀久,⼤⽮ 幸弘, 古⽥ 淳⼀ほか: ⽇本⽪膚科学会編「アトピー性⽪膚炎治療ガイドライン」, ⽇⽪会誌, 2021; 131(13): 2691-2777.