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医師がよく遭遇する嚥下障害の診かた

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14,130

30

2021/1/12
2021/1/13 更新
國枝 顕二郎

岐阜大学医学部附属病院

内科外科問わずどの診療科の医師も頻繁に遭遇する嚥下障害。看護師やSTは評価してくれるけども、最終的に方針を決めるのは医師。患者さんにとっては大事な問題ですが、医師が対応に困ることもしばしば。私たちも対応に悩むことも多いですが、少しでもお役に立てば幸いです。


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医師がよく遭遇する嚥下障害の診かた

  1. 嚥下障害の診かたどうしたら食べられるかを探る 岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 浜松市リハビリテーション病院 リハビリテーション科 國枝 顕二郎

  2. 自己紹介 2008年 2010年 2019年 【資格】 【活動】 岐阜大学医学部卒業 聖隷三方原病院 初期研修医 聖隷三方原病院・聖隷浜松病院 浜松市リハビリテーション病院 岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 リハビリテーション科専門医・指導医 総合内科専門医 嚥下相談医 嚥下関連の論文・書籍や雑誌など  年間数百件程度の嚥下機能評価(VFやVE)や嚥下指導 専門:嚥下圧検査 鼻からカテーテルを挿入

  3. 嚥下障害を見るのがめんどくさい理由もよく分かります 退院しても、また誤嚥性肺炎で入院してくる(当直で呼ばれる、夜中に呼ばれるとつらい) 嚥下は医者が診るものではない (研修医時代、自身が嚥下障害を専門にするとは1ミリも思っていませんでした。救急外来を受診する誤嚥性肺炎の患者さんが絶えないので、肺炎患者さんの診療は避けて通りたい位でした・・)

  4. 嚥下障害を医師が診てほしいと思う理由 食べていいかどうかは、最終的に「医師」が判断する必要がある 患者さんや家族にとって食べられるかどうかは大きな問題 嚥下障害は身近な問題だが、学生時代に学ぶ機会がほとんどない 禁食と評価されても、ちょっとした工夫で食べられる症例にしばしば出会う 食べられないと判断するためにも、きちんと評価と訓練などをしてから

  5. 嚥下障害に診療に従事してみて・・ ちょっとした工夫で食べられる患者さんがいる  姿勢の調整(リクライニング、頚部の前屈など)  食形態・とろみの濃度の調整  リハビリテーション手技の併用 食べられると患者さんや家族に感謝される  泣いて喜ぶ人もいる 栄養の投与経路の方針は医師が判断する 看護師やST任せになってしまうことも 

  6. 摂食嚥下障害の診療の流れ

  7. スクリーニング ●水飲みテスト  3ccで安全を確認後30ccを嚥下  SpO2 : 2%以上の低下は嚥下障害あり ●反復唾液飲みテスト(RSST)  口腔内を湿らせた後に空嚥下を30秒間繰り返す  30秒で2回以下が異常 ●頚部聴診  嚥下前後の吸音変化・嚥下音の延長

  8. 聖隷質問紙 スクリーニング

  9. 嚥下造影検査Videofluoroscopic examination of swallowing (VF) 造影剤の動きや嚥下関連器官の状態と運動をX線透視下に観察する嚥下機能検査. 「診断的検査」   形態的異常,機能的異常,誤嚥,残留などを明らかにする. 「治療的検査」   食物や体位,摂食方法などを調整    安全に嚥下し,誤嚥や咽頭残留を減少させる方法を探す.

  10. 正常な嚥下

  11. 水分の嚥下中誤嚥

  12. 食道入口部の通過不良

  13. 嚥下内視鏡検査 ベッドサイドで実際の食事摂取場面を観察 安全な摂食条件を設定 ・誤嚥や残留などの検出だけではない

  14. 唾液誤嚥

  15. 食物誤嚥(嚥下後誤嚥)

  16. 嚥下障害の治療の目標 経口摂取能力の回復 呼吸器合併症の予防  楽しみとしての経口摂取によるQOL改善  必ずしも元の機能を回復することに,こだわらない

  17. 嚥下障害の治療 原疾患の治療 嚥下リハビリテーション    改善する見込みあり→機能訓練が中心      ※直接訓練:食物を用いた訓練       間接訓練:食物を用いない訓練    改善しない・悪化が予想される→代償法や環境改善が中心     ※代償法:食形態や姿勢の調整    口腔ケア    栄養療法(代替栄養など)    理学療法(呼吸リハ・身体リハ) 薬物療法 手術(上記で改善しない場合:嚥下機能改善術・誤嚥防止術)

  18. 最もよい嚥下訓練は食べる事である

  19. 食道入口部を開きやすくする訓練

  20. リクライニング効果(喉頭蓋谷の残留軽減) 90度 30度

  21. 口腔ケアは肺炎の発症率を下げる

  22. 動画のポイント(80代男性 誤嚥性肺炎) 1,高齢者の(よくある)嚥下障害 2,咽頭収縮の減弱+食道入口部の開大不全 3,嚥下造影検査前に粘稠な痰は吸引(食べ物を誤嚥する) 4,咽頭残留がある 5,左に傾くと食塊は左に誘導される 6,左に傾く姿勢で食べると食べたものは左に誘導されて残留も少ない(残留も減る) <評価後は・・> 口腔ケアの徹底 (咽頭の汚染もあり) 左に傾く姿勢が良い ゼリー交互嚥下 (残留除去) 舌骨上筋群の筋力訓練 (嚥下おでこ体操) 全身のリハビリ継続 摂食中、たまに咳払い 栄養管理の徹底 (体重など) 採血等フォローアップ

  23. 太いチューブは嚥下運動を妨げる 8Fr.~10Fr.を選択

  24. 条件設定により肺炎の再発がなくなった リクライニング 頸部前屈(枕2個) 食形態の調整 口腔ケア 全身のリハビリ 家族指導・地域連携

  25. 嚥下障害の重症度評価(10段階)Food Intake LEVEL Scale; FILS フィルスと読む Kunieda K, et al. J Pain Symptom Manage 2013 臨床や研究(引用140件以上)で広く使用

  26. さいごに 嚥下機能評価は「どうやったら食べられるか?」を見つける評価 代償法が重要  ーポジショニング(頚部前屈・リクライニング位)  ー食事の形態の調整など 嚥下訓練だけが嚥下リハビリテーションではない  ー全身のリハビリテーション  ー口腔ケア・細めの経鼻胃管の選択  ー栄養管理(すぐに禁食は避ける)

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