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低ナトリウム血症

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松野舞衣

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概要

診断と治療

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テキスト全文

低ナトリウム血症の鑑別と治療

#1.

低Na⾎症の鑑別・治療 研修医 監修 坂下舞⾐ 原先⽣

#2.

⽬次 ■低Na⾎症の鑑別 ■Na補正の仕⽅ ■過剰補正を防ぐには ■実際の症例 ■Take home message

#3.

⽬次 ■低Na⾎症の鑑別

低ナトリウム血症の鑑別方法

#5.

■低Na⾎症の鑑別 ①低Na⾎症をみたらまず⾎漿浸透圧を測定 低Na⾎症(Na≤130〜135mEq/L) ⾎漿浸透圧測定 <280mOsm/L 低張性低Na⾎症 等張性低Na⾎症 280〜295mOsm/L 等張性低Na⾎症 >295mOsm/L ⾼張性低Na⾎症 ⾎漿浸透圧=2×⾎清Na+⾎糖/18+BUN/2.8

#6.

■低Na⾎症の鑑別 等張性低Na⾎症(偽性低Na⾎症) ・細胞外液中に蛋⽩質や脂肪成分が増えることで⽣じる ・固形成分も含めて測定されるため、みかけ上低Naにみえる

#7.

■低Na⾎症の鑑別 ⾼張性低Na⾎症 ・細胞外液中にNa以外の有効浸透圧物質(糖、マンニトール 造影剤など)が増加することで⽣じる ・細胞外液の浸透圧が⾼値になり、細胞内から⽔が移動し、 Naの量が同じでも相対的に低く⾒える ● 補正Na=実測Na+ ●× ⾎糖値-100mg/dL 100mg/dL ⾎糖値<400mEq/Lでは⾎糖値が100mg/dL上昇すると Naが約1.6mEq/L低下(●=1.6) ⾎糖値≧400mEq/LではNaが約2.4mEq/L低下(●=2.4)

#8.

■低Na⾎症の鑑別 ⾎漿浸透圧測定 <280mOsm/L 低張性低Na⾎症 等張性低Na⾎症 280〜295mOsm/L 等張性低Na⾎症 >295mOsm/L ⾼張性低Na⾎症 尿浸透圧測定 >100mOsm/kg ⽔排泄障害 <100mOsm/kg ⽔中毒or溶質不⾜

#9.

■低Na⾎症の鑑別 ②低張性低Na⾎症と分かったら⽔中毒と溶質不⾜を除外 ・問診で飲⽔量、⾷事量を確認する 多飲 過剰な飲酒(beer potomania) 経⼝摂取量の減少(tea and toast) ・尿浸透圧を計算する 尿浸透圧(概算)=(尿⽐重の下2桁)×25~40 100 mOsm/L 未満⇨⽔中毒や溶質不⾜を疑う

#10.

■低Na⾎症の鑑別 ③尿Na濃度を測定 尿浸透圧測定 ⾎漿浸透圧 >100mOsm/kg <100mOsm/kg ⽔排泄障害 ⽔中毒or溶質不⾜ 尿Na測定 <30mEq/L ≧30mEq/L

細胞外液量の評価と尿Na濃度

#11.

※旧式 細胞外液量の評価(病歴・⾝体所⾒) 減少 正常 増加 尿Na>20mEq/L 尿Na>40mEq/L 尿Na>20mEq/L 腎性喪失 利尿薬 アジソン病 浸透圧利尿 SIADH 副腎不全 下垂体不全 甲状腺機能低下症 腎不全 尿Na<20mEq/L 腎外喪失 嘔吐、下痢 K⽋乏、胃液吸引 尿Na<20mEq/L ⼼不全 肝硬変 ネフローゼ症候群

#12.

※旧式 細胞外液量の評価(病歴・⾝体所⾒) 減少 尿Na>20mEq/L 正常 尿Na>40mEq/L 増加 尿Na>20mEq/L 病歴・⾝体所⾒から細胞外液量を予想するのは困難 腎性喪失 SIADH 腎不全 利尿薬 副腎不全 尿Na<20mEq/L アジソン病 下垂体不全 ⇨客観的な尿中Na濃度を重視するようになった ⼼不全 浸透圧利尿 甲状腺機能低下症 肝硬変 尿Na<20mEq/L ネフローゼ症候群 腎外喪失 嘔吐、下痢 K⽋乏、胃液吸引

#13.

■低Na⾎症の鑑別 尿Na測定 <30mEq/L 細胞外液量増加 ⼼不全 肝硬変 ネフローゼ症候群 細胞外液量減少 嘔吐、下痢 Third space(胸⽔・腹⽔) ≧30mEq/L 腎不全 利尿薬 細胞外液量正常 SIADH 甲状腺機能低下症 細胞外液量減少 副腎不全 MRHE 中枢性塩類喪失症候群

#14.

■低Na⾎症の鑑別 低Na⾎症の検査セット ●採⾎検査 尿検査 ・Na/Cre/BUN/尿酸 ・U-Na/U-K/U-Cl ・⾎糖値/TG/TP ・U-Cre/U-UN/尿浸透圧 ・⾎漿浸透圧/BNP ・U-尿酸 ・バソプレシン ●その他 ・ACTH/コルチゾール ・胸部Xp ・TSH/fT4/fT3 ・⼼臓超⾳波検査 ・レニン活性/アルドステロン

ナトリウム補正の方法と注意点

#15.

⽬次 ■Na補正の仕⽅

#16.

■Na補正の仕⽅ ・急性の低Na⾎症では脳細胞の浸透圧に対する防御機構がまだ⼗分 に働いていないため脳浮腫を起こしやすい 重症度 中等症 重症 症状 嘔吐を伴わない悪⼼、錯乱、頭痛 嘔吐、深い傾眠、痙攣、昏睡(GCS≤8)

#17.

■Na補正の仕⽅ 急性症候性低Na⾎症 緊急補正 慢性症候性低Na⾎症 * 3%⾷塩⽔150mlを20分かけて投与 ⾎清Na濃度の0.5〜1mEq/L/時の 上昇を⽬指す 緩徐補正 ⽣理⾷塩⽔で補正 ⾎清Na濃度の0.5mEq/L/時程度の 上昇に抑える *3%⾷塩⽔100mlを10分かけて投与することを推奨する報告もある 過度な補正をした場合は再度Na濃度を下げる治療(5%ブドウ糖液 デスモプレシン製剤の投与など)により脳の脱髄性障害を防ぐ

#18.

■Na補正の仕⽅ ・3%⾷塩⽔の作り⽅ 4A加注 60ml捨てる ⽣理⾷塩⽔ 塩化Na補正液 ©

#19.

■Na補正の仕⽅ ・3%⾷塩⽔の作り⽅ 0.9%⾷塩⽔ 440ml NaCl 2.922g 20ml×4A 3%⾷塩⽔を l ml/kg/時で輸液⇒ l mEq/L/時で上昇する

#20.

■Na補正の仕⽅ 治療上限 急性 48時間未満 治療⽬標 慢性or不明 48時間以上 急性 48時間未満 慢性or不明 48時間以上 無症状 中等症 重症 Δ10mEq/L/24hr Δ18mEq/L/48hr Δ5mEq/L/24hr 無症状の場合は急いで治療をする必要はない 経過が不明な場合は慢性に準じて治療を⾏う

#21.

■Na補正の仕⽅ ・⾎清Na濃度予測式 Adrogue-Madiasの式 Δ[Na]= 輸液中[Na+K]-⾎清[Na] 総体液量(TBW)+1 TBW:体重×0.6(L) 尿のNa濃度への影響を考慮していないので、多尿の症例では 過⼩評価となる

#22.

■Na補正の仕⽅ ・⾎清Na濃度予測式 Edelmanの式 ⾎清Na濃度= [全Na量+全K量] 総体液量 [全Na量+全K量]=⾎中Na量+点滴から⼊るNa量-尿中Na+K量 総体液量=TBW+点滴量-尿量 ⾎清Na濃度に対して⾎清K濃度は⼩さいため無視する

過剰補正を防ぐための対策

#23.

⽬次 ■過剰補正を防ぐには

#24.

■過剰補正を防ぐには ・急速なNa補正はODSを起こす危険があるので必ず ⾎清Na濃度をモニタリングする 少なくとも2〜4時間ごとに確認 ・尿の電解質も同時に測定する ⾎清Na濃度<尿中Na+K濃度⇨低Na⾎症は進⾏傾向 ⾎清Na濃度>尿中Na+K濃度⇨低Na⾎症は改善傾向 薄い尿が⼤量に出始めたら過剰補正の恐れがある。

#25.

■過剰補正を防ぐには ⼤事なのは浸透圧性脱髄症候群(ODS)を起こさないこと 過剰補正を起こし得る病態 ・低K⾎症合併 ・嘔吐 ・⾎清Na濃度≦105mEq/L ・疼痛 ・低栄養 ・サイアザイド系利尿薬 ・⾼度肝障害 ・SSRI ・アルコール中毒 ・下垂体機能低下症

実際の症例に基づく低Na血症の分析

#26.

⽬次 ■実際の症例

#27.

■実際の症例 【現病歴】 3⽇前から倦怠感、嘔吐、⾷欲低下が出現。 前⽇こむら返りが出現し尻餅をついたため救急受診した。 Na115mEq/Lと低Na⾎症を認めたが、近医で鉄⽋乏性貧⾎を指摘され 紹介受診予定であったため帰宅となった。 翌⽇20時頃、症状が持続するため再度救急受診。 【既往歴】 気管⽀癌(術後)、⼼房細動、右側頭葉脳梗塞、鉄⽋乏性貧⾎ うっ⾎性⼼不全(2年前に当院⼊院)

#28.

■実際の症例 【現病歴】 3⽇前から倦怠感、嘔吐、⾷欲低下が出現。 前⽇こむら返りが出現し尻餅をついたため救急受診した。 Na115mEq/Lと低Na⾎症を認めたが、近医で鉄⽋乏性貧⾎を指摘され 紹介受診予定であったため帰宅となった。 翌⽇20時頃、症状が持続するため再度救急受診。 【既往歴】 気管⽀癌(術後)、⼼房細動、右側頭葉脳梗塞、鉄⽋乏性貧⾎ うっ⾎性⼼不全(2年前に当院⼊院)

#29.

■実際の症例 【内服歴】 フロセミド、スピロノラクトン、フルイトラン、ビソプロロール、エリ キュース、フェロ・グラデュメット、抑肝散、ラックビー、アストミン、 レンドルミン 【⾝体所⾒】 体温36.3度、脈拍61回/分、⾎圧157/88、SpO2 97% 体重64.7kg 意識清明 嘔気あり 両側下肢に浮腫を認める

#30.

■実際の症例 【内服歴】 フロセミド、スピロノラクトン、フルイトラン、ビソプロロール、エリ キュース、フェロ・グラデュメット、抑肝散、ラックビー、アストミン、 レンドルミン 【⾝体所⾒】 体温36.3度、脈拍61回/分、⾎圧157/88、SpO2 97% 体重64.7kg 意識清明 嘔気あり 両側下肢に浮腫を認める

低Na血症の検査と尿浸透圧の測定

#34.

①低Na⾎症をみたらまず⾎漿浸透圧を測定 ⾎漿浸透圧=2×⾎清Na+⾎糖/18+BUN/2.8

#36.

①低Na⾎症をみたらまず⾎漿浸透圧を測定 ⾎漿浸透圧=2×⾎清Na+⾎糖/18+BUN/2.8 ⾎漿浸透圧=2×106+130/18+24/2.8≒226<280mOsm/L ⇨低張性低Na⾎症 ②低張性低Na⾎症と分かったら⽔中毒と溶質不⾜を除外 ・問診で飲⽔量、⾷事量を確認する ⇨朝までは摂取量は減っていたが⾷べていた 尿浸透圧=(尿⽐重の下2桁)×25~40

#38.

①低Na⾎症をみたらまず⾎漿浸透圧を測定 ⾎漿浸透圧=2×⾎清Na+⾎糖/18+BUN/2.8 ⾎漿浸透圧=2×106+130/18+24/2.8≒226<280mOsm/L ⇨低張性低Na⾎症 ②低張性低Na⾎症と分かったら⽔中毒と溶質不⾜を除外 ・問診で飲⽔量、⾷事量を確認する ⇨朝までは摂取量は減っていたが⾷べていた 尿浸透圧=(尿⽐重の下2桁)×25~40 尿浸透圧(概算)=8x25~40=200~320mOsm/L>100mOsm/L ⇨⽔排泄障害

実際の症例から学ぶ治療経過

#40.

③尿Naを測定 尿Na測定 <30mEq/L 細胞外液量増加 ⼼不全 肝硬変 ネフローゼ症候群 細胞外液量減少 嘔吐、下痢 Third space(⽕傷・膵炎) ≧30mEq/L 腎不全 利尿薬 細胞外液量正常 SIADH 甲状腺機能低下症 細胞外液量減少 副腎不全 MRHE 中枢性塩類喪失症候群

#41.

■実際の症例 ・嘔気はあるが意識は清明(中等症) ・2年前から⼼不全に対し利尿薬を使⽤していた ⇨慢性低Na⾎症に準じた治療を選択 治療上限 急性 48時間未満 治療⽬標 慢性or不明 48時間以上 急性 48時間未満 慢性or不明 48時間以上 無症状 中等症 重症 Δ10mEq/L/24hr Δ18mEq/L/48hr Δ5mEq/L/24hr

#42.

■実際の症例 救急受診から3時間、ポタコール500mlを投与⇨Na値変わらず ⽣理⾷塩⽔250mlを2時間、ポタコール500mlを8時間のペースで追加 翌朝(受診してから12時間後)まで継続 Adrogue-Madiasの式 Δ[Na]= 輸液中[Na+K]-⾎清[Na] 総体液量(TBW)+1 翌朝、⾎清Naはどれくらい上昇している︖ ⽣理⾷塩⽔ ポタコール Na 154mEq/L、K 0mEq/L Na 130mEq/L、K 4mEq/L

#43.

■実際の症例 翌朝、⾎清Naはどれくらい上昇している︖ Δ[Na]= (154/2+134/2)-106 64.7kg×0.6+1 ≒1 1mEq/L上昇すると予想⇨実際は4mEq/L上昇 尿量が120ml/hあり予想より早く補正されていたと考えられる 嘔気は持続しており1⽇当たりポタコール1500ml、⽣理⾷塩⽔250ml の投与を継続した。 時間経過 受診時 3h後 7h後 12h後 ⾎清Na 106 106 107 110

#44.

■実際の症例 2⽇後:⾃覚症状消失、持参薬内服開始(フルイトランを除く) 3⽇後:⾷事開始(塩分8〜9g/⽇)、⽣理⾷塩⽔は750ml/day投与 7⽇後:輸液終了 低Na⾎症、鉄⽋乏性貧⾎の精査のため頭部CT、胸腹部単純CT 上下部消化管内視鏡検査を施⾏されたが原因は不明であった。 経過は良好で1か⽉後に退院した。 時間経過 2⽇後 3⽇後 4⽇後 7⽇後 11⽇後 ⾎清Na 118 121 123 134 135

#45.

■実際の症例 脱⽔を疑う所⾒ ・⾎漿浸透圧<280mOsm/kgだがAVP は6.5pmol/Lと⾼値 ・初診時の⾎中尿酸値7.4mg/dLと⾼値 ・腹部CTで下⼤静脈の虚脱を認める ・輸液負荷により腎機能が回復した ・BUN/Cre>20 ・前回⼊院時より5kgの体重減少 ⾎漿AVP濃度(pmol/L) 本症例の低Na⾎症の原因として利尿薬の使用による脱水 考えられる ⾎漿浸透圧(mOsm/kg)

#46.

■Take home message ・低Na⾎症で頭蓋内圧亢進症状があれば緊急性あり として対応する ・⾎漿浸透圧、尿浸透圧を測定し、補正が必要な 低Na⾎症かを判断する ・低Na⾎症の治療ではODSの発症を避けるため、 ⾎清Na、尿Na、尿Kを繰り返し測定し過剰補正 にならないように注意する

参考文献とさらなる学び

#47.

■参考⽂献 Step Beyond Resident 救急診療のキホン編part2 より理解を深める︕体液電解質異常と輸液 救急診療 好⼿と悪⼿ 病気がみえるvol.8腎・泌尿器 内科レジデントの法則 専⾨医による私の治療 レジデントノート増刊vol.20 No.2 電解質異常の診かた・考え⽅・動き⽅

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