#4.
ある日の夜 l 救急隊から搬入依頼 l 75歳女性、本日から発熱あり、先程嘔吐あり救急要請 l 体温38.5℃、血圧110/70、脈拍100整、呼吸20、SpO2 98% l 呼吸音異常なし、腹部圧痛なし、CVA叩打痛+ l 血液・尿検査、培養、エコー、心電図、レントゲン、CTを施行 l 急性腎盂腎炎の診断 l 入院加療を勧めた
#5.
今日は無理なんです 帰らせてください
#6.
何を聞きますか?
#7.
なんで入院できないんですか? l きつすぎて救急車頼んじゃったけど、点滴(アセリオ)のお陰で だいぶん楽になりました… l 友達が最近、腎盂炎になったけど飲み薬で散らしたって言ってま した… l 実は家に介護が必要な夫がいて、目が離せないんです… l 入院費を出す余裕がなくて… そもそも最初から聞いておけば良くない?
#8.
患者中心の医療の方法 ①健康、疾患、病気の経験を探る ②全人的に理解する やま 疾患 病い 人間 健康 ③共通の理解基盤を見出す 統合された理解 問題 ゴール 役割 ↓ 相互意思決定 近位のコンテクスト 遠位のコンテクスト ④患者ー臨床家関係を強化する 患者中心の医療の方法 原著第3版 より
#9.
患者中心の医療の方法 ①健康、疾患、病気の経験を探る やま 疾患 病い 健康 l 疾患を探る質問だけでない問い l 患者がどういった体験をしているか l かきかえ:解釈、希望、感情、影響 l 始まりから目の前に至るまでの道程 l なぜここに来て、何を求めているのか 統合された理解 l 健康観 l どういった状態を望んでいるか l これまでどういった経験を乗り越えてきたか
#10.
患者中心の医療の方法 ②全人的に理解する l 患者を取り巻く環境 l 近位:家族、経済的安定、教育、雇用、趣味、 社会的サポートなど 人間 近位のコンテクスト l 遠位:コミュニティ、文化、経済、医療制度、 社会歴史、地理、エコシステムなど 遠位のコンテクスト l いろんな形で本人の健康に影響を及ぼしている
#11.
家族図 どこに住んでいるのか どれくらい会っているのか (関係性) なにか病気はあるのか
#12.
ちなみに l Social Determinants of Health(SDH) l 日本語で:健康の社会的決定要因 l 健康問題の50%以上に影響している というデータも… 健康の社会的決定要因(SDH)教育ポータル
#13.
Social Vital Signs(社会のバイタルサイン) https://sites.google.com/view/svstool
#14.
患者中心の医療の方法 l 医療者の推奨と患者の希望のすり合わせ ③共通の理解基盤を見出す 問題 ゴール 役割 ↓ 相互意思決定 l どちらかに偏らない協働意思決定 l これを継続して積み重ねることで医師患者関係が 強化される ④患者ー臨床家関係を強化する
#15.
Shared Decision Making https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3421̲03
#16.
患者の理解に基づく提案 l 医師は治癒率で考えがちだが、他のものさしもある 静注抗菌薬 (入院) 静注抗菌薬 (外来) 内服抗菌薬 経過観察 治癒率 95% 85% 75% 25% 悪化時に早期発見 しやすい ややしずらい しづらい しづらい 治療費 高い ほどほど 安い なし〜余計に高額 活動制限 多い やや多い 少ない なし l ①②で得た情報をもとに、どのカードを提示するか選ぶ l さらにセーフティネットをかける
#17.
患者中心の医療の方法 l 全部聞かなければならないわけではない l かけられる時間が短いときは取捨選択:特に解釈・期待・家族 l 病棟などでは1時間かけてじっくり聞くこともある l 患者・医療者双方が納得して医療を続けられることが目標! l 多様な期待に対して多数の対応策を提供できるように診療の幅を 広げていくことも大事(心理療法、運動療法、漢方などなど)
#18.
ちなみに…
#19.
後輩たち l 医学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版で初めて 「患者中心の医療」が掲げられた l ということは…2025年度に3年生以下の学年は皆これを学ぶ! l そして実習で回ってくる! l 「先生、こんなことも知らないの…」と思われないように
#20.
医学生が卒業するまでに身に付けるべき能力 GE 総合的に患者・生活者をみる姿勢 SO PR IP LL 10の資質・能力 CM RE CS PS IT
#21.
総合的に患者・生活者をみる姿勢 患者の抱える問題を臓器横断的に捉えた上で、心理社会的背景も踏まえ、 ニーズに応じて柔軟に自身の専門領域にとどまらずに診療を行い、 個人と社会のウェルビーイングを実現する。 01 02 03 04 全人的な視点とアプローチ 地域の視点とアプローチ 人生の視点とアプローチ 社会の視点とアプローチ
#22.
全人的な視点とアプローチ 患者の抱える問題を臓器横断的だけでなく心理・社会的視点で捉え、 専門領域にとどまらない姿勢で責任をもって診療に関わり、 最善の意思決定や行動科学に基づく臨床実践に関与できる。 01 02 03 04 05 06 臓器横断的な診療 生物・心理・社会的な問題への包括的な視点 患者中心の医療 根拠に基づいた医療<EBM> 行動科学 緩和ケア
#23.
学習目標 01 個々の患者の医療への期待、解釈モデル、健康観を 聞き出すことができる。 02 患者の社会的背景(経済的・制度的側面等)が 病いに及ぼす影響を理解している。 03 医療の継続性(時間・情報・関係等)がもたらす影響の 概要を理解している。
#24.
患者中心の医療の方法で 時短かつ丁寧な診療へ