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渡航医学情報 ベトナム編

投稿者プロフィール
Toshi

Raffles Medical Group

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19

投稿した先生からのメッセージ

・現地医療状況

・海外での医療保険

・緊急搬送

など、海外で働いている中で学んだことを全部のせしたスライドです。

海外に住んでいる日本人は100万人を超えているので、日本国内で診察をしていても、100人に1人ぐらいは海外と繋がっていることになります。そんな方を診察するときに、何かの参考になれば幸いです。

概要

コロナ前の時期(2018年ぐらい?)に作成した、ベトナムで暮らす日本人、それに関わる医療者向けに作成したスライドです。

参考文献を辿ることで、ベトナム以外の国の医療状況が調べられるようにしてあります。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

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テキスト全文

渡航医学情報の目的と概要

#1.

医療者、海外人事担当者等向け 渡航医学関連情報 ~ベトナムの医療事情~ 作成者 日本国医師免許、Viet Nam Medical License 保有 日本人医師 中島敏彦 作成者所属 総合診療医 @ Raffles Medical Group 医療産業アドバイザー @ Clover Plus Co.,Ltd

#2.

• 趣旨 これまでの経験を通して得た海外、特にベトナムに関する医学的情報を現在・未来に活躍 する日本人医療者、海外人事担当者の方たちと共有するとともに、ベトナム邦人社会のさ らなる発展の一助になることを祈念して公開いたします。 今回の掲載にあたっては可能な限り情報が網羅的かつ公平なものになること、情報発信・ Updateの永続性を保つことを考慮して、あえて私が総合診療医として所属するRaffles HCMC Clinicではなく今回の意図にご賛同いただきましたYOKOYAMA KAIKEI GROUP 様および、私が医療産業に関するコンサルタントとして所属するClover Plus Co.,Ltdのホ ームページ内を使用させていただいています。 • 免責事項 ここで扱われている医療情報は、情報伝達目的で掲載されたものであり、必ずしも確立され たものばかりではありません。いまだ研究段階のものも含まれています。情報の選別には 細心の注意を払い参照元も掲載するように致してておりますが、掲載されている情報によっ て起こったいかなる結果に対しても一切責任は負えませんことをお断りいたします。 • 謝辞 今回この医療情報を公開するにあたり、JAMSNET東京を通じて外務省診療所所長 仲本 光一先生と在パプアニューギニア日本国大使館 参事官兼医務官 吉田常孝先生に多大 なご協力をいただきました。また掲載にあたっては株式会社 YOKOYAMA KAIKEI GROUP 横山 和寿氏、Clover Plus 佐々木英樹氏・山形守人氏に寛大なお心遣いをい ただきました。 心より感謝申し上げます。 © 2018 医療産業アドバイザー 中島 敏彦

#3.

この資料の使い方について • 下線に青字の文章はリンクの表示です。 • ページ右上の マークは目次に移動します。

ベトナムにおける健康情報の基本

#4.

ベトナムに関する渡航医学の基本となる情報ソース • メンタルヘルスを含む健康問題についての相談先 ・JAMSNET東京 • CDCによるデータ ・CDC in Vietnam ・Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View ・Health Information for Travelers to Vietnam Healthy Travel Packing List ・CDC Yellow book • WHOによるベトナムのデータ • IMHEによるベトナムのデータ • 厚生労働省 FORTHによるベトナムのデータ • 海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド • 海外渡航者の予防接種Q&A • 外務省からの情報

#5.

目次 1 ➢ 海外への渡航リスク ➢ 日本と海外の違い ➢ 生活習慣病 ➢ メンタルヘルス

#6.

目次 2 ➢ ベトナムで生じうる状況と対策 ➢ ベトナムと日本の比較 ➢ 交通におけるリスク ➢ 気候と環境によるリスク ➢ 熱中症・日焼け ➢ 大気汚染 ➢ 感染症 ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ベトナムの感染症概論 飲食に伴う感染症 寄生虫による感染症 インフルエンザ 蚊媒介感染症 狂犬病 破傷風 体液や性行為による感染症 麻疹(はしか)・風疹・流行性耳下腺炎(おたふく) 結核 ➢ その他のトラブル ➢ アタマジラミ ➢ やけど虫

海外渡航におけるリスクと対策

#7.

目次 3 ➢ ベトナムの医療及び医療機関の状況 ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ 医療に関する状況 医療機関について Work Permitのための検診について 渡航前の準備(ワクチン含む) 医療費の支払い 帰国する際・帰国後の注意

#8.

<宣伝>海外生活に必要な健康安全の知識 内容 パート I 海外進出企業の、労働者に対する安全配慮義務 について. パート II 渡航や企業の海外進出の際に検討すべき、 健康や医療に関するリスク. パートⅢ ベトナム進出の際に、考えるべき医療安全のリ スク. 本日お話した海外生活の中で起こるメンタルヘルス 問題についても詳しく説明してあります。 詳細はこちらをどうぞ ⇒『グローバル人材に必要なヘルスリテラシー 今注目のベトナムを事例に学ぶ』ご紹介

#9.

Topics ➢海外への渡航リスク ➢ベトナムで生じうる状況と対策 ➢ベトナムの医療及び医療機関の状況

#10.

日本と海外の違い 生活面の健康リスク • • • • • • • 日本では一般的ではない感染症 大気汚染・劣悪な衛生 呼吸器・眼科・皮膚科疾患 外食、油の多い食事、アルコール、 運動不足からくる生活習慣病 現地との軋轢、狭い日本人社会 メンタルヘルス 低い交通マナー 交通事故 • • • • • • • 肝炎 結核 HIV 腸チフス マラリア デング熱 狂犬病 • ただし上記の感染症に関しては ワクチンで予防できるものもある。 • 渡航前に行うことが勧められてい るワクチン。

生活習慣病のリスクと影響

#11.

リスクが増加する要因 • 文化、海外の環境、リスクに不慣れ。 • 医療状況や病院の使い方・医療保険の使い方の理解不足。 • 日本と違いサポート(家族・行政など)が少ない。 • 中高年の方が多く、高血圧・糖尿病などの基礎疾患を持っている 場合が多い。 • 日本人の独特な商習慣(過剰な接待、出張者に対する仕事以外の アテンド)に伴う生活の乱れに伴う生活習慣病の悪化。

#12.

外務省による海外邦人援護統計 • 2016年における死亡者数504人(世界で の)死因の1位は傷病(384人) • 一般的に傷病は心筋梗塞等の虚血性疾 患と脳卒中等の脳血管疾患が多いとされ ている。 • 青年期よりも壮年期、高齢期の方に多い。 • 2007年から2016年の10年間の死亡原因 は傷病が全体の8割近く。 • また自殺による死亡も1割近い(2位)。 年齢別では20代~30代、 性別では女性が多い。 (在NY総領事館のホームページより ) 東南アジア 精神障害・ 傷病による における 自殺による 死亡総数(人) 死亡総数(人) 死亡総数(人) 2016年 377 317 21 2015年 364 309 23 2014年 342 290 21 2013年 412 326 37 2012年 378 307 27 2011年 409 319 40 2010年 362 254 31 2009年 332 225 30 2008年 366 281 18 2007年 329 246 31 3671 2874 279 100% 78.30% 7.60% 合計 引用・参考文献 ・ 2016 年(平成 28 年)海外邦人援護統計 ・ JAPAN BUSINESS PRESS 2015.06.03

#13.

海外で暮らすことにより増加する 生活習慣病悪化のリスク • 車での移動が多くなることにより運動の機会の減少。 • 日本からの出張者の対応(夜や週末の付き合い)の常態化による食生活の 悪化。 • 喫煙習慣の悪化(途上国ではタバコが安いことが多い)。 • 単身赴任者は特に生活が乱れやすい。 • 高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療からの脱落。 – 多くの民間医療保険(海外旅行傷害保険など)は糖尿病・高血圧・ 高コレステロール血症・狭心症などの慢性的な病気に対する補償が180日まで。 – これにより病院に行かなくなり、気が付かないうちに病状が悪化し、突然致死的な疾患(脳 梗塞や心筋梗塞など)が発症する。 – Work Permit(労働許可証)の発行にも影響する。 引用・参考文献 ・ 海外渡航中はガンでも治療費補償、180日ルールのメリット・デメリットとは ; 海外旅行保険のブログ_保険のプロが教える・知って得する

#14.

生活習慣病(高血圧・糖尿病など)になると 致死的疾患(心筋梗塞・脳卒中など)のリスク上昇 血管障害が始まり様々な器官の機能不全が生じ始める 引用・参考文献 ・MGP株式会社 生活習慣病とは? 14

海外でのメンタルヘルスケアの重要性

#15.

海外でのメンタルヘルスケア 海外でみられるストレスの原因は複合的に出現することがある。 • 異文化にさらされることだけでなく、業務内容も日本にいるときとは大きく変わる。 • 現地と本社との板ばさみ。 • 業務外のアテンド(出張者の相手など)。 • 職場内にいる日本人は少人数のことが多いの、で人間関係がこじれると修復困難なこ とがある。 • 子どもの教育・進学問題。 • 配偶者のキャリアの分断。 • 家族が現地に適応できない。 引用・参考文献 ・ 海外赴任者のメンタルヘルス対策 ―異国での勤務をチャレンジングで成長する機会にするために;Business Labor Trend 2017.10 . ・ 海外の日本人とメンタルヘルス 外務省 吉田常孝医務官

#16.

海外で、メンタルヘルスの問題が 疑われた・生じた場合 • 疑うべき精神の症状としては意欲の低下、不安・イライラ感、集中力の低下、自分を責 めやすい、抑うつ的な気分などが続くとき。 • メンタルヘルスの問題の対応には母国語対応が望ましい。 • ベトナムにおける精神医療は充実していない上に日本語対応も不備なため宛にはな らないがいざというときはためらわず受診する・させる。 • 精神的な不調を来した場合は、まずは帰国させ本邦で治療を開始することが最善。 – ただし本人から自己申告しない例も多くみられ、周囲の人間が気づかないとそのまま現地で 治療が継続されることになる。 – 医療機関から職場に報告する義務はない。むしろ守秘義務違反となる。 • 精神の症状は身体にも現れる。 – 精神の不調に気づかずに、様々な身体症状だけ訴えることもあるので慢性的な不調がある 場合にも疑う必要がある。 引用・参考文献 ・ 海外赴任者のメンタルヘルス対策 ―異国での勤務をチャレンジングで成長する機会にするために;Business Labor Trend 2017.10 . ・ 海外の日本人とメンタルヘルス 外務省 吉田常孝医務官

#17.

精神の症状は身体にも現れる。 (精神に現れず身体だけのこともある) 精神症状 意欲の低下 楽しくない やる気が出ない 抑うつ気分 毎日ゆううつ 悲しい 集中力の低下 判断力がにぶる 身体症状 動悸、息苦しい 食欲不振、胃の不快 感、便秘、下痢 不安・イライラ感 ささいなことが不安 イライラする 落ち着かない 自分を責める 自信がなくなる 自殺を考える だるい つかれやすい 不眠 頭痛、めまい 性欲減退 生理不順

#18.

海外で、メンタルヘルスの問題 に対する日ごろの備え • いざという時のために常日頃から企業としてかかりつけ医を準備しておく。 • 処遇を気にして本人から自己申告しないことがあるため、赴任前にしっかりとしたいざという 時の処遇の説明と保証をしておく。また常日頃からお互いに目を配り(見守りという意味で) 、変化に気づけるようにしておく。 • 渡航先での精神医療資源を当てにすること無く、セルフマネジメント、もしくは事業 所毎に対策を講じる必要があり、企業では産業医もしくは健康管理担当者が目を 配る必要がある。 – 安全配慮義務違反があると日本の民法上認められれば企業が責任を負うことになる。 引用・参考文献 ・ 海外赴任者のメンタルヘルス対策 ―異国での勤務をチャレンジングで成長する機会にするために;Business Labor Trend 2017.10 . ・ 海外の日本人とメンタルヘルス 外務省 吉田常孝医務官 ・ 海外赴任中の社員の自殺と会社の責任; 法務ニュース 2016/07/19

ベトナムと日本の医療状況の比較

#19.

Topics ➢海外への渡航リスク ➢ベトナムで生じうる状況と対策 ➢ベトナムの医療及び医療機関の状況

#20.

ベトナムと日本の比較 日本と比べて、外傷・感染性疾患・母体および周産期の状態・ならびに 栄養不良を原因とする死亡が多い 2016年 ベトナムでの死因 2016年 日本での死因 1.脳血管疾患 1.アルツハイマー病 2.虚血性心疾患 2.虚血性心疾患 3.アルツハイマー病 3.脳血管疾患 4.肺癌 4.下気道感染症 5.COPD(慢性閉塞性肺疾患) 5.肺癌 6.糖尿病 6.胃がん 7.交通事故 7.大腸がん 8.慢性腎臓病 8.慢性腎臓病 9.下気道感染症 9.肝臓がん 10.結核 10.COPD(慢性閉塞性肺疾患) 引用・参考文献: •WHO Noncommunicable Diseases (NCD) Country Profiles , Vietnam •IMHE Country Profile

#21.

ベトナムと日本の医療の違い 2013年WHO statistical profile より

#22.

交通におけるリスク 日本の2倍以上の死亡事故 • 2017年のベトナムでの交通事故による死亡者数は8000人以 上(正確な統計見当たらず)。 • これに対して日本では2017年に3694人が交通事故により死 亡。 引用・参考文献 ・WHO Violence Injury Prevntion / Road Safety Status in 2015 in Vietnam. ・警察庁平成29年中の交通事故死者数について ・ベトナムのNews Paper Saigoneer: Saigoneer より

気候と環境による健康リスク

#23.

対策 • ベトナムの『現実的な』交通ルールを守り、信頼のできる交通機関を利用 する。 ⇒ 車ではシートベルトを締める。 ⇒ バイクではヘルメットをかぶる。 ⇒ 歩行者が道を渡るときは、車やバイクをよく見ながら一定の速度で歩く ⇒ 突然方向を変えたり、引き返したりしない。 ⇒ 歩道で後ろからバイクが突っ込んでくることがあるので常に背後に気 を付ける。 • いつでも病院に行けるようにパスポートの原本、もしくは携帯電話にパス ポートのPDF、そして保険にかかわる書類(カード)を携帯しておく。 引用・参考文献 ・Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View

#24.

特に病院の受診が必要な場合 • 後日のトラブルを防ぐため、全例病院に行くことを勧める。 • 特に ⇒ 破傷風ワクチンの追加接種をしていない場合。 ⇒ 鎖骨から上に外傷がある場合。 ⇒ 頭痛・嘔吐・意識混濁・記憶消失などがある場合。

#25.

気候と環境によるリスク • • • • 高温多湿:脱水・熱中症のリスク 上下水道の不備:感染症のリスク 食事のリスク:食中毒・寄生虫感染のリスク 雨期に蚊が増加: ・ 全土でデング熱・日本脳炎のリスクあり。 ・ 中部高原や東南部などの農山村地帯でマラリアのリスク。 • 街中の鶏や犬の放飼い:狂犬病・鳥インフルエンザのリスク • メコン川流域:その他の河川:寄生虫感染のリスク • 大気汚染によるリスク: ・ 短期間の暴露であっても鼻炎、喘息をはじめとしたアレルギー症状並びに循環器・呼吸器の基 礎疾患があると悪化しやすい。 ・ また汚染レベルが高い時には特に小児・高齢者は気道の感染症にかかりやすくなる。 引用・参考文献 ・厚生労働省 FORTH ベトナム・カンボジア情報 ・CDC Yellow book より

#26.

熱中症・日焼け 対策 1. 直射日光を避ける。 2. 暑さに適した衣服の選択: 3. こまめな水分補給。 4. 体調不良時には暑い場所を避ける:発熱、嘔吐、下痢などがあると、脱水状態に なりやすく、熱中症に陥りやすい。 5. 室内の温度測定:屋外だけでなく室内でも熱中症になる場合がある。 部屋の温度をこまめに測定しましょう。室温は28℃を超えないようにする。 6. 周囲への気配り:高齢者や持病のある人は、室内でも熱中症になることがある。 周りの人の体調の変化にも気を配る。

大気汚染とその健康影響

#27.

大気汚染 2017年11月8日の大気汚染:リアルタイム気質指数ビジュアルマップ

#28.

大気汚染 リアルタイム気質指数ビジュアルマップ参照

#29.

• ハノイの方がホーチミンよりも悪い傾向にあり、 特に乾季がひどくなる。 • 短期間の暴露であっても鼻炎、喘息をはじめとし たアレルギー症状並びに循環器・呼吸器の基礎 疾患があると悪化しやすい。 • また汚染レベルが高い時には特に小児・高齢者 は気道の感染症にかかりやすくなる。

#30.

島正之 先生 ~ヘイズによる大気汚染の健康影響とその対策~ より引用

感染症のリスクと予防策

#31.

島正之 先生 ~ヘイズによる大気汚染の健康影響とその対策~ より引用

#32.

対策 • N95マスクがあるが、完ぺきではない。 CDC Yellow book Chinaの頁参照。

#33.

大気汚染に関する引用・参考文献 • • • • 世界の大気汚染:リアルタイム気質指数ビジュアルマップ Air Now CDC Yellow book より Lung Cancer, Cardiopulmonary Mortality, and Long-term Exposure to Fine Particulate Air Pollution C. Arden Pope III, PhD; Richard T. Burnett, PhD; Michael J. Thun, MD; et al Eugenia E. Calle, PhD; Daniel Krewski, PhD; Kazuhiko Ito, PhD; George D. Thurston, ScD JAMA. 2002;287(9):1132-1141.doi:10.1001/jama.287.9.1132 • • ヘイズによる大気汚染の健康影響とその対策 兵庫医科大学公衆衛生学 島 正 之 先生 中国におけるPM2.5に関する説明・相談会 ~PM2.5による健康影響~ 京都大学 大学院 医学研究科 金谷 久美子 先生

#34.

感染症 一般的に言われているリスク • 汚染された食事・水からアメーバ赤痢、A型肝炎、コレラに感 染があるので安全な食事を選ぶ。 • 蚊などの虫を媒介した感染症(デング・ジカ・マラリア)がある ので蚊に刺されないようにする。 • 飼い犬ですら狂犬病ワクチンを打たれていないことが多いの で、狂犬病患者が毎年発生する。 • また鳥インフルエンザも多く発生するため市内でも鶏等に近 づかない。 • 河川には寄生虫がいるので、入らない。 引用・参考文献: ・海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド ・厚生労働省 FORTHによるベトナムのデータ

寄生虫感染症とその対策

#35.

環境的に起こるべくして起こる 引用・参考文献 ・CDC Yellow book ・Nikkei Trendy連載:受ければ安心、知らないと損する!! 日本の ワクチン 2011年1月12日号より ・Health Risks Among Travelers —Need for Regular Updates 2008 International Society of Travel Medicine, 1195-1982 Journal of Travel Medicine, Volume 15, Issue 3, 2008, 145–146, Robert Steffen , MD , Isis Amitirigala , MD , and Margot Mutsch , PhD, Centrefor Travel Medicine, Institute of Social and Preventive Medicine, World Health Organization Collaborating, Centre for Travellers ’ Health, University of Zurich, Zurich, Switzerland

#36.

一般的に言われているリスク • 汚染された食事・水からアメーバ赤痢、A型肝炎、コレラに感 染があるので安全な食事を選ぶ。 • 蚊などの虫を媒介した感染症(デング・ジカ・マラリア)がある ので蚊に刺されないようにする。 • 飼い犬ですら狂犬病ワクチンを打たれていないことが多いの で、狂犬病患者が毎年発生する。 • また鳥インフルエンザも多く発生するため市内でも鶏等に近 づかない。 • 河川には寄生虫がいるので、入らない。 引用・参考文献: ・厚生労働省 FORTHによるベトナムのデータ

#37.

基本的な対策 1. 手洗いが基本。 2. 生水、氷、カットしてあるフルーツ、生野菜にご用心。 3. 食べ物は十分に加熱(加熱後であっても冷めたものは危険)。 - 食中毒のリスク 4. 水遊びにご用心、特にはだしは禁物。 - 破傷風・寄生虫等のリスク 5. 虫(蚊、ハエ、ダニ、ノミ)を介した感染症に注意。 - デング、日本脳炎などのリスク 6. 動物・鳥を媒介した感染症に注意。 - MERS、インフルエンザ、狂犬病など 7. 人を介した感染症に注意。 - HIV、B型肝炎、梅毒などの性行為感染症のリスク 8. 感染の流行状況に気を配る:Health Map 引用・参考文献 海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド

#38.

なぜ感染症が流行し易い? • 高温多湿な夏の気候は伝染性の病気が流行するのに非常に好都合な 環境である。 • 出入りする旅行者・出張者が増えたり、下水設備の悪さも影響する。 • 急速に発展しているが不衛生な場所もまだ多い。

ワクチン接種の重要性と種類

#39.

飲食に伴う感染症 • 高温多湿の気候のため病原微生物が増殖しやすい環境に 加え、衛生管理が徹底されていない。 • 水道水の水質が悪いため、飲水に適さない。 • 様々な原因微生物 アメーバ赤痢・A型肝炎・腸毒性大腸菌・ロタウィルス・赤痢・サルモネラ・寄生虫 etc…..

#40.

対策 • ベトナムでは特に予防接種としてA型肝炎ワクチン・腸チフスワクチンの接種が必要 である。 • 避けるべき飲料・食事。 ⇒特に路上・ビュッフェ形式・外国人が少ない店はリスクが高い。 ⇒ 水道水・氷入り飲料 ⇒ 生もしくは十分な加熱をされていない肉、シーフード ⇒ 生の野菜、自分で皮をむいていない果物 ⇒ 豚の生血入り料理(髄膜炎や敗血症のリスク) • 捕捉として海産物アレルギーのある人には多くのベトナム料理がリスク(シーフード ソースが多く使われているため)。 引用・参考文献:・ CDC Yellow book

#41.

特に病院の受診が必要な場合 • 小児(特に5歳未満)、高齢者(55歳以上)では脱水による死亡リスクが高 まる傾向がある。またこれ以外でも免疫不全があったり心疾患、腎障害 などの基礎疾患があるような場合。 • ぐったりしている、高熱がある、重度の腹痛、血便、大量の下痢もしくは 嘔吐(つまり脱水のリスク)がある場合。 引用・参考文献:・今日の臨床サポート 感染性腸炎

#42.

寄生虫による感染症 • 便のしみ込んだ土壌に住む、蠕虫(回虫・鞭虫・鉤虫)による感染症がベトナムに は多い。2010年のWHOの調査によると人口の75%に蠕虫が感染していた。 • 感染経路と予防 • – 寄生虫の虫卵を含む土で汚染された食事(生野菜など)を摂取したり汚染された土に触った手から 口に虫卵が入ったり、小児においては遊びの最中に汚染された土を飲み込むことなどがある。 したがって不衛生な所で食事をしない、食事をする前によく手を洗う、十分に加熱されたものを食べ る、加熱せずに食べるもの(生野菜など)についてはよく洗うなどが予防法となる。 – また寄生虫の種類によっては皮膚から侵入してくるものもあるため裸足で歩き回らない、水溜りな どに踏み込まないことも予防となる。 症状は寄生虫の種類によって異なるが、症状がないことからしつこい咳、喘鳴、 慢性的な腹部症状、体重減少、貧血などさまざまである。 引用・参考文献: ・IMAT Country Health Advice Vietnam • 厚生労働省 FORTH 蠕虫症について • Don’t let worms wriggle in; Viet Nam News September 26 2016

狂犬病とその予防策

#43.

駆虫薬について • 寄生虫の感染率の低い日本では便検査や血液検査を行っ て虫卵などが検出された時などに駆虫薬を服用するが、ベト ナムは感染率が高率のため、幼児教育施設では政府の方 針で半年に一度義務的に配布・投与している。それ以上の 年齢に関しても推奨されている。 • ベトナムではMebendazoleもしくはAlbendazoleが利用可能で ある。 引用・参考文献: ・IMAT Country Health Advice Vietnam • 厚生労働省 FORTH 蠕虫症について • Don’t let worms wriggle in; Viet Nam News September 26 2016

#44.

カタツムリを介した広東住血線虫の感染 • アフリカマイマイを食べたり、触っただけでも感染することがあると報告さ れている。 • サイズが大きく日本ではあまり見ないため子供が興味を持ちやすい。 • 約2週間ほどの潜伏期の後、幼虫が消化管から血液やリンパ液を介して 脳・髄膜・眼球などに移行し,発熱,頭痛および髄膜炎症状、脳神経症状 などが生じる。 引用・参考文献: ・Angiostrongylus cantonensis Is an Important Cause of Eosinophilic Meningitis in Southern Vietnam; Angela M. et al. Clin Infect Dis. 2017 Jun 15; 64(12): 1784– 1787. ・ NIID 広東住血線虫症 ・ Snails carry brain-eating roundworm, doctors warn; THANHNIEN NEWS July 15, 2014

#45.

インフルエンザ • 赤道に近い国々(シンガポー ル、ベトナムなど)では 年に2回インフルエンザの流 行がある。

#46.

新型インフルエンザ • 新型インフルエンザとは2009年から2010年に世界的に流行した豚インフ ルエンザ(A型H1N1亜型:ヒト感染あるが通常のインフルエンザ並みのリ スク)や鳥インフルエンザ(H5N1亜型:致死率60%、 H7N9亜型ウイルス: 20~30%)。 • ベトナムでは1年を通じて各地で家禽類のH5N1型⿃インフルエンザの流 ⾏がみられる。これによりヒト感染例も散発的に報告がある。 • A/H5N1インフルエンザ・ A/H7N9インフルエンザ等の 流⾏の際に隔離・⼊院治療先は、 国⽴の指定病院に限られる (日本に帰れない!)。

インフルエンザと蚊媒介感染症のリスク

#47.

引用・参考文献: ・厚生労働省ホームページ 鳥インフルエンザA(H5N1)について より

#48.

対策 • 生後6ヵ月以上の者はインフルエンザワクチンを受ける(最重要)。 特に5歳以下の子供、65歳以上の高齢者、妊婦、喘息・呼吸器疾患・心疾患のあ る方。 • 具合の悪そうな人に近づかない。 • 生きた鳥や飼われたり売られているところに近づかない。 川や海辺で死んだ野鳥や家禽に近づかない。 生や完全に加熱されていない(黄身が流れるようではダメ)卵や鶏肉をたべない。 • インフルエンザに罹った場合、人に近づかない(病院に行くのは別)。 • 公共の交通機関(飛行機など)を利用しない(航空会社ごとに規定がある)。 引用・参考文献:・CDC Influenza

#49.

蚊媒介感染症 • 蚊媒介感染症とは、感染蚊に刺されることにより感染する感染症の総称。 • ベトナムを含む熱帯・亜熱帯地域で広く流行している。 • ベトナムに存在するのはジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱、 日本脳炎、マラリアなどであり、赤字は特に問題になることがあり注意が必 要。 • 共通する予防用として長袖、長ズボンを着用し肌の露出を少なくする、適 切な防虫剤を使用するなど。 引用・参考文献: ・厚生労働省 蚊媒介感染症の診療ガイドライン • 厚生労働省 FORTH 蚊媒介感染症について • CDC Yellow book

#50.

デング熱(Dengue fever) • デングウイルスをもつ蚊(ネッタイシマカとヒトスジシマカ)に刺された3-14日後に高 熱で発症。→帰国してから発症する上、日本の一般病院では診断が難しい(検査 キットがない)。 • ベトナムでは1年を通じて発生し、特に夏の雨期にピーク。 • 再感染時にはデング出血熱を発症しやすいといわれて いる。

マラリアとその対策

#51.

デング対策 • • • • • • 蚊が発生しないようにする(ボウフラの駆除)。 明るい色の長袖・長ズボンを着用。 DEET、IR 3535、Icaridin の入った虫よけを使う。特 にIcaridinは年齢制限がなく使いやすく日本でも販売 されている。 網戸や蚊帳を利用する。 デング熱ワクチンに関してはベトナム保健省は導入 未。 おかしい(高熱・寒気・頭痛・嘔吐・下痢・腹痛・血便・ 目が黄色いなど)と思ったら 病院に行く。 引用・参考文献: ・WHO Viet Nam Update #3 on Dengue 28 August 2017

#52.

ジカ熱(Zika Fever) • ジカウイルスをもつ蚊(ネッタイシマカとヒトスジシマカ)に刺されたおよそ2-7日 後に高熱で発症。 • デングウイルスとよく似た症状だが重症化することは少ない。 • 軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛などが主な症状 • 気を付けるべき事項として ・ 時にギランバレー症候群(両手両足に力が入らなくなる)を起こすことがある。 ・ 妊婦に感染すると胎児に小頭症などの先天奇形を生じることがある。 引用・参考文献 ・厚生労働省 ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて ・CDC Zika and Pregnancy ・CDC Zika Virus

#53.

新生児への影響 • ジカ感染陽性群では125人が、陰性群では61人がその後も追跡可能だった。胎児 死亡は前者では9人(7.2%)、後者では4人(6.6%)で、統計学的有意差はなかった。 • 一方、前者では新生児116人中49人(42%)に、後者では57人中3人(5.3%)にのみ 新生児異常が認められた(異常は奇形のみならず、神経学的診察所見なども含 む)。異常が認められたジカ感染群新生児の49人中4人は、生後の小頭症だった。 リオデジャネイロの住民を対象としたアクティブ・サーベイランスを用いた研究より。 **Brasil P, et al. Zika Virus Infection in Pregnant Women in Rio de Janeiro. N Engl J Med 2016; 375(24): 2321-2334

#54.

ジカ対策 • • • • 特効薬・ワクチンはないので感染しないことが最重要。 妊婦はベトナムへの旅行を控える。 基本はデング対策と同じ。 性行為における注意:ジカ熱の症状が現れなくとも、感染は否定できない! 女性側 ・ 流行地域に滞在中はコンドームを使用するなど、安全な性行為を心がける。 ・ 流行地域から帰国した女性は帰国後6ヵ月間は妊娠を控える(今後さらなる研究により 短縮される可能性あり)。 • 男性側 ・ 6ヵ月間は精液中にウィルスが排出されている可能性があるので、妊婦との性行為、 妊娠目的の性行為は控え、必ずコンドームを着用する。 引用・参考文献 ・厚生労働省 ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて ・CDC Zika and Pregnancy ・CDC Zika Virus

日本脳炎とその予防策

#55.

その他引用・参考文献 デング • • 厚生労働省 FORTH デング熱について CDC Dengue in Vietnam ジカ • 流行地情報:CDC Travelers’ Health 共通 • • 虫よけについて: WHO Viet Nam Update #3 on Dengue 28 August 2017 重篤なショック,多臓器不全を呈し救命し得なかった重症型デングの1例(A fatal case of severe dengue infection complicated by refractory shock and multiple organ failure) 遠藤 真佑 他: 日本では診断され づらいという例 →帰国後体調が悪い時には日本渡航医学会 帰国後診療医療機関リストより近くの病院を検索。

#56.

マラリア • マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されたおよそ1週間から4週間ほどたってから、発熱、 寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出る。 • マラリアには4種類(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア)ある。その中 でも、熱帯熱マラリア、三日熱マラリアがベトナムの限られた地域に存在する。ハノイ,ホーチミン, ダナン,ハイフォンなどの都市部,紅河デルタ一帯,ニャチャン以北の沿岸リゾート地などのマラリ ア感染リスクは極めて低いといわれている。 • 熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死にるため、素早く診断 にたどり着くことが大事。 引用・参考文献 ・厚生労働省 FORTH マラリアについて ・CDC Malaria Information and Prophylaxis in Vietnam

#57.

マラリア対策 • ハマダラカは主に夕暮れから明け方に活動する。蚊に対する対策は基本はデング対 策と同じ。 • 予防薬があるが薬剤耐性のことがあったり地域によって処方内容が変わることがあ るあるので、常に最新の情報 (https://www.cdc.gov/malaria/travelers/country_table/v.html)に留意した処方を渡 航外来専門医に行ってもらう。 引用・参考文献 ・厚生労働省 FORTH マラリアについて ・CDC Malaria ・fitfortravel Vietnam Malaria Map

#58.

日本脳炎 • 1ケ月以上長期滞在する方、もしくは短期であっても農村部や郊外で日本脳炎ウィルスを持 つ蚊にさらされる可能性がある方には日本脳炎ワクチンの接種を推奨。 • 日本脳炎ウイルスに感染したブタやイノシシなどの血を吸った蚊を介してヒトが感染する。 • 5月から10月にかけて季節性に発生し、特にハノイの北部地域周辺や北部の中国と国境を 接する地域にも存在する。 • 多くの場合(99%以上と言われている)は無症状だが、発病した場合(高熱、痙攣、意識障害 など)は30%程度が死に至る。また死を免れたとしても半数以上は脳に障害を残し重篤な後 遺症が残る。 • ウィルス性の疾患であるため発症したら対症療法しかなく、抗生物質などは効果がない。 引用・参考文献 ・CDC, Yellow Book, Japanese Encephalitis ・CDC, Travelers' Health, Vietnam ・NIID 国立感染症研究所 日本脳炎とは

性感染症のリスクと予防対策

#59.

対策 • ウィルス性の疾患であるため発症したら対症療法しかなく、抗生物質など は効果がないため蚊に刺されないことが重要。 • 一ケ月以上長期滞在する方、もしくは短期であっても農村部や郊外で日 本脳炎ウィルスを持つ蚊にさらされる可能性がある方には日本脳炎ワク チンの接種を推奨。 引用・参考文献 ・海外渡航者の予防接種Q&A

#60.

狂犬病 • ベトナムの飼い犬は必ずしも狂犬病ワクチンを打っていない(狂犬病予防注射 の接種率は60%以下)。 • 犬以外の哺乳類(猫・コウモリ)も感染していることがあり、唾液を介して感染す る。 • 狂犬病は罹患は稀だが、発症した場合は死亡率が ほぼ100%なので優先度が比較的高い。 • 特にアウトドアや洞窟探検に参加する旅行者はリスクが高い。 • 小児は噛みつかれやすい。 引用・参考文献 ・ Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View ・ CDC, Rabies ・外務省からの情報 ・WHO, Fact sheets, Rabies

#61.

予防対策 • ベトナムは輸入の狂犬病グロブリン・ワクチンに頼っているため十分な量が供給さ れずに、病院に受診しても在庫がないことが頻繁にある。 • 事前対応としては予防接種が重要。 – – • WHO/CDCからの情報(2018年5月時点)ではDay0, 7,(21 or 28)となっている。 暴露前予防接種は個人ごとに状況が変わるので日本国内にいる間にトラベルクリニックに相談して おく。 ただしベトナム厚生省の方針としては暴露前予防2回接種の方針になっていないため、日本で2回し か接種していない場合に認められない危険性がある。 予防対策を行うメリット ・ 噛まれたときにすぐに病院(国外)に行けないという状況の際でも既に持っている免疫での 防護が期待できる。 ・ ワクチン投与済みならば、グロブリン(血液製剤であり、投与に伴いHIV・その他の感染リス クがある)の投与が必要なくなる。 • デメリット 手間と金銭(自費診療)。 引用・参考文献 ・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018 ・CDC, Travelers' Health, Rabies

#62.

ワクチン未接種で噛まれると WHO狂犬病情報より 分類 接触状況 暴露後予防法 Category 1 • 動物(犬・猫・その他哺乳類)を撫でた、餌を与えた。 • 接触歴が確かなら、治療は不要。 (しかしながら精神的に成熟していないもの、精神に問 題がある者の接触歴はあてにならないとされている) • 傷や病変のない皮膚を舐められた。 Category 2 • 素肌を軽く噛まれた。 • 出血のない小さなひっかき傷や擦り傷がある。 • 直ちに狂犬病ワクチンを接種開始。 (動物がイヌやネコの場合は10日以上観察の上動物が 健康であれば、もしくはその動物を殺処分しウィルスが ネガティブであれば治療中止が可能) • 創部の治療 Category 3 • 一か所以上の皮膚を貫通する咬傷、ひっかき傷があ る。 • 傷ついた皮膚を舐められた、唾液で粘膜を汚染され た。 • 直ちに抗狂犬病免疫グロブリンと狂犬病ワクチンを投与。 (動物がイヌやネコの場合は10日以上観察の上動物が 健康であれば、もしくはその動物を殺処分しウィルスが ネガティブであれば治療中止が可能) • 創部の治療 • コウモリと接触した。 • • 咬みついた動物(犬・猫)が10日間の経過観察において健康であれば治療を中止することができる。 上記に追加事項として以下のことがある場合にはリスクがさらに上昇する。 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ • 原因となった動物が狂犬病を媒介する動物であった場合。 狂犬病がまだ流行している地域で接触した。 動物が病気っぽかったり異様な行動をしていた。 創部や粘膜部が動物の唾液と接触した。 何もしていないのに咬みつかれた。 ワクチンを受けていない動物に咬みつかれた。 輸入に頼っているためベトナム国内にワクチン・グロブリンがないことがある。

ベトナムでの医療機関の利用方法

#63.

動物(犬・猫・その他哺乳類)と接触してしまったら • 噛まれたらすぐに水と石鹸で傷口をよく洗う。 • その後間を置かず病院受診。たとえすぐに行けなくても必ず病院に行く。 • 選べるならば信頼のあるインターナショナル病院。 ローカル病院において規定通りの暴露後接種がされていないことが散見 される。 • ただしベトナムにはグロブリンがないことが多く、日本でも入手困難なので タイかシンガポールに行ってもらうことが多い。 引用・参考文献 ・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018 ・CDC, Travelers' Health, Rabies

#64.

病院に受診し暴露後予防接種 暴露前接種をしていない場合 Day 0 傷口を石鹸と水で洗浄後、ワクチンのうてる国際病院に直ちに行く。 遅くとも5日以内。 病院では傷口の治療、抗生物質投与、狂犬病ワクチン1回目、抗狂犬病ガンマグ ロブリンを接種する。 Day 3 狂犬病ワクチン2回目を接種する。 Day 7 狂犬病ワクチン3回目を接種する。 Day 14 狂犬病ワクチン4回目を接種する。 (Day28) 以前はここで5回目があった。 暴露前接種をしている場合 Day 0 傷口を石鹸と水で洗浄後、ワクチンのうてる国際病院に直ちに行く。遅くとも5日以 内。 病院では傷口の治療、抗生物質投与、狂犬病ワクチン1回目 Day 3 狂犬病ワクチン2回目を接種する。 引用・参考文献 ・CDC, Rabies Vaccination Information Statements ・Rabies vaccines: WHO position paper – April 2018

#65.

猿咬傷 • 観光地であるソントラ半島、カットバ島において多数の猿(マカク属)が存 在しており観光客が咬まれたり引掻かれたりするケースが見受けられる。 • CDCの勧告によると狂犬病・破傷風・Bウィルスが感染する可能性がある。 ⇒サルからの咬傷、引っ掻き、サル生材料取扱中の針刺し事故などがあった場合には暴露 後発症予防処置を考慮すべきである(詳細は引用参照)。 • 暴露後発症予防処置は狂犬病対策に加えて、Bウィルスに対して抗ウィル ス療法が必要になる(詳細は引用参照) 。 引用・参考文献 ・CDC B Virus ・Bウィルス感染症とその対策 モダンメディア 55巻11号 277 – 282 ・Travelers Guide to Animal Bites, COAST VIETNAM

#66.

破傷風 • 土壌や、動物の排せつ物に触れる機会が多い地域で感染しやすい。 • 感染経路としては、動物咬症やそれ以外の怪我(擦過傷、火傷含む)を負った際の 傷口から。 • ベトナムでは軽微な怪我でも日本に比べリスクが高い。 • 犬以外の哺乳類(猫・コウモリ)も感染していることがあり、唾液を介して感染する。 • 潜伏期間は3-21日であり(多くは10日)、筋硬直・こわばり・痙攣が顎や頸部を中心 に様々な部位(怪我を負った部分も含む)に生じる。治療が遅れると死亡することも ある。 引用・参考文献 ・CDC, Yellow Book, Tetanus ・厚生労働省 FORTH 破傷風 ・CDC, Pink Book, Tetanus

医療費用の支払い方法と注意点

#67.

予防対策 • 病院に受診しても在庫がないことが頻繁にある。 • 予防対策を行うメリット ⇒怪我を負ったときにすぐに病院(国外)に行けないという状況の際でも既に持っている 免疫での防護が期待できる。 • デメリット ⇒手間と金銭(自費診療)。 引用・参考文献 ・CDC, Yellow Book, Tetanus ・厚生労働省 FORTH 破傷風 ・CDC, Pink Book, Tetanus

#68.

暴露後予防接種 過去の破傷風ト 清潔で小さな創傷 キソイド投数 破傷風 免疫 ワクチン グロブリン それ以外の創傷 破傷風 ワクチン 免疫 グロブリン <3 もしくは不明 + - + + ≧3 最後の投与 が10年以上 前の場合 - - 最後の投与 が5年以上前 の場合 日本のスケジュールならならば 22歳以上で投与検討 引用・参考文献 ・CDC, Yellow Book, Tetanus ・厚生労働省 FORTH 破傷風 ・CDC, Pink Book, Tetanus

#69.

体液による (性行為・Tattooなど)感染症 • ベトナムには隠れた性風俗産業が存在する。 • シンガポールなどの国家とは違って現時点では違法。 • つまり性病のコントロールはされていない。 • 形体的には個人間の売買が主で店も 性病コントロールの義務を負わない。 • タトゥーを提供する店も多く存在する。 • 麻薬のまわし打ちも存在するため、 エイズ・肝炎も非常に多い。

#70.

様々な性病 • • • • • • • • • 性器クラミジア感染症 淋菌感染症 HIV感染症/エイズ 梅毒 腟トリコモナス症 性器カンジダ症 性器ヘルペス 尖圭コンジローマ(ヒトパピローマウイルス) 非クラミジア性非淋菌性尿道炎 •ケジラミ症 •疥癬 •軟性下疳 •A型肝炎 •B型肝炎 •C型肝炎 •赤痢アメーバ症 •細菌性腟症 •伝染性単核球症(キス病) •サイトメガロウイルス感染症 •成人T細胞白血病 2015年7月25日発表 ベトナムにおけるB型・C型肝炎ウィルスの感染者数は、 合わせて2000万人(4 – 5人に1人)に上る 引用・参考文献 ・日本性感染症学会 ・Viet Jo ニュース 70

帰国後の健康管理とフォローアップ

#71.

世界のB型肝炎の有病率 ベトナムは高頻度地域;8%以上の人がB型肝炎の抗体(HBs抗原)を持っている 引用・参考文献:WHO Hepatitis Data and Statistics

#72.

対策 • そういうところに行かない・連れて行かない。 • 旅行の目的が性交渉・タトゥーなどなら、事前の教育ならび にB型肝炎ワクチン接種が必要。 • 性交渉後、不安・症状があるなら病院受診。

#73.

性感染症予防対策10ヶ条 1.セックスの相手を限定する 2.コンドームは必ず付ける現在では、性感染症を予防できる唯一の手段が コンドーム。オーラルセックスでも性感染症はうつるので最初から着けておく ことが大切。 3.性行為=インサート(ペニスの挿入)ではない「性行為で感染する病気」と聞 いて、直接インサートをしなければうつらないと思うのは間違い。口や指か らも感染する。 4.体調不良時のセックスは厳禁。 5.セックス前はシャワーで清潔に。 6.屋外でのセックスはしない。 7.寝具はつねにキレイにしておく。 8.性器が傷つくようなことはしない。 9.排尿・排便をすませてからする。 10.月経中のセックスはしない。 73

#74.

特にベトナムに長期滞在する方が 気を付けるべき感染症 • ベトナムで働いていることによって感染する確率が上がる病気。 • 日本に持ち込んではならない病気。 • ベトナムで長期に生活していく人が気を付けるべき病気。

ベトナムでのトラブルとその対策

#75.

麻疹(はしか)・風疹・流行性耳下腺炎(おたふく) • 麻疹(はしか) 咳嗽、鼻汁、結膜炎や、全身に広がる発疹を認める疾患。空気感染であり感染力が強い。 特効薬はなく対症療法のみであり、発症すれば麻痺などの神経学的後遺症が残ったり死亡 することがある。感染しないことが重要。 • 風疹 飛沫感染をする。主な症状として発疹、発熱、関節炎、リンパ節の腫れがある。 まれに脳炎を起こすこともある。 特に妊娠初期の妊婦に感染すると、様々な障害を持った子供が生まれる可能性が高まる。 特効薬はなく対症療法のみである。感染しないことが重要。 • 流行性耳下腺 突然の両側または片側の有痛性耳下腺腫脹や微熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、食欲低下。 飛沫・接触感染である。特効薬はなく対症療法のみである。 引用・参考文献 ・東京都感染症情報センター 麻しん ・NIID 国立感染症研究所 風疹 ・東京都感染症情報センター 流行性耳下腺炎 ・厚生労働省 風しんについて

#76.

麻疹は海外で感染、日本国内で発症! 8割が成人例 2014年にはホーチミンで麻疹がアウトブレイクしている 引用・参考文献 ・Vietnam Breaking News ・こどもの定期予防接種のベトナムと日本との違いについて

#78.

2013年、日本で風疹大流行 免疫が不十分な年齢で流行が認められる 引用・参考文献 ・風疹の感染予防の普及・啓発事業

結核のリスクと予防策

#79.

出産のご予定がある方だけでなく、全ての赤ちゃんを 守るために予防接種した人を増やす。 妊婦が風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが 「先天性風しん症候群」(先天性心疾患、難聴などの先天異常)を発症する恐れが ある。 厚生労働省の方策として 妊娠前の女性だけでなく、 成人男性、 妊娠中の女性の家族 も予防接種を受けることが勧められて いる

#80.

結核 • 2016年のWHOの統計によると、ベトナムにおける結核の感染率は日本の約9倍(ベトナ ム133.0人/人口10万人vs 日本16人/人口10万人)、死亡率は90倍(ベトナム0.9人/人 口10万人vs 日本0.01人/人口10万人)。 • さらにベトナムにおける結核の特徴として多剤耐性結核菌が約45倍(ベトナム8.7人/人 口10万人vs 日本0.2人/人口10万人)出現してHIVとの合併率(ベトナム4.4人/人口10 万人vs 日本0.07人/人口10万人)も高い。 参照http://www.who.int/tb/country/data/profiles/en/ • 感染者の大半は症状を発症する場合は少なく、無症候性、潜伏感染していることが多 い。但し、潜伏感染者が何らかの原因で免疫力が低下したり体力が落ちたときに発症し て感染源になることがある。 • 空気感染するため、以下の方が検診の対象者。 ア)患者の同居家族,あるいは生活や仕事で毎日のように部屋を共有していた者 イ)患者と同じ車に週に数回以上同乗していた者 ウ)換気の乏しい狭隘な空間を共有していた者 エ)結核菌飛沫核を吸引しやすい医療行為(感染性結核患者に対する不十分な感染防護下での気管支内視鏡検査,呼 吸機能検査,痰の吸引,解剖,結核菌検査等)に従事した者 オ)集団生活施設の入所者(免疫の低下した高齢者が多く入所する施設,あるいは刑務所等で感染性結核患者が発生し た場合) 引用・参考文献 ・WHO Vietnam Tuberculosis profile. ・東京感染症情報センター 結核 ・企業で役立つ結核の正しい知識 外国人実習生を受け入れる企業向けパンフレット

#81.

結核について • 感染しただけでは症状が出ない(=潜伏感染)。 • また排菌(咳などで体外に菌を出すこと)をしていなければ周囲に感染させる心 配はない。 • しかしながら潜伏感染者が何らかの原因で免疫力が低下したり体力が落ちたと きに発症して感染源になることがある。 • 発病すると以下の症状が出現。 初期症状:せき、痰、寝汗、疲れやすい、37~38度の発熱 悪化症状:血痰、胸痛、体重減少、呼吸困難など • 発症したとしても排菌を必ずしもしているわけではないので、 外来通院治療をしながら日常生活をするパターン(排菌なしの判断後) 隔離に入院となるパターン(排菌ありの判断後)。

#82.

予防対策 • 予防接種歴を確認する。受けてなければ医師に相談。 参照:ベトナムで施行されている予防接種率について。 • 咳をしている人に近づかない。 • 初期症状は風邪とよく似ているため、2週間以上連続して咳が出ている場 合には病院で検査を受ける(受けさせる)。 • 検診を定期的に受ける。 • 使用人(ナニー・ドライバー)を雇う場合は,必ず胸部レントゲン写真を含む 検診を行って,感染性のある結核でないことを確認する必要がある。 引用・参考文献 ・ 企業で役立つ結核の正しい知識 外国人実習生を受け入れる企業向けパンフレット

ベトナムでの生活における注意点

#83.

ベトナムにいる日本人医師として遭遇した さまざまなトラブル • アタマジラミ、やけど虫など日本であまり経験しない疾患。 • バイクを利用したひったくりにより引き倒されて外傷を受ける ことが比較的頻繁にある。 • 麻薬・覚せい剤・笑気ガス絡みのトラブルが時々ある。 その他参考情報 ・ Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View ・ 外務省からの情報

#84.

シラミ症 • ベトナムでは未だにアタマジラミがよくみられる。 • 家族内に発生した場合、家族全員が治療対象。 • シラミを除去するためのシャンプーが現地にもあり、病院で処方可能(使 い方が特殊なため説明をしっかり理解する必要あり)。 • また幼稚園などの集団生活で感染するため発生したら担任に報告する 必要がある。 引用・参考文献 ・ シラミをうつされた!? ~ベトナムでできる対処法~ VIET JO 2016年04月22日 ・ NIID シラミ症とは

#85.

やけど虫(ハネカクシ) • ベトナム北部・南部問わずハネカクシによる皮膚障害(やけどをしたよう に赤く腫れ、水疱が生じる)が散見される。 • ハネカクシの体液が皮膚障害の原因なので体についているのを見つけ た場合はつぶさず払い落とす。 • 皮膚障害がこじれると細菌感染が合併することもあるので医療機関を受 診する。 引用・参考文献 ・ 「やけど虫」に注意、叩かずそっと払いのけて;VIET JO 2015/10/14 ・ 日本臨床皮膚科医会 線状皮膚炎

#86.

Topics ➢海外への渡航リスク ➢ベトナムで生じうる状況と対策 ➢ベトナムの医療及び医療機関の状況

医療水準と価値観の違い

#87.

日本の常識が通用しない 日本人には理解しがたい医療水準・価値観 例えば 患者が道端で倒れている。 運よく病院にたどり着けたとして 87 日本 → 患者の( をまず確認 ) 身体の状態 人の命は地球より重い 某国 → 患者の( をまず確認 ) 財布の状態 病人はいいカモ

#88.

日本人には理解し難い医療水準・価値観 医療面 • 医師の技量? 診断技術? ⇒放射線医、病理医は正確に診断できるか? ⇒ベトナムには医療職の免許に対する国家試験がない。 • 衛生、品質、安全性 ⇒輸血・医療器具・薬剤は大丈夫? • 看護師、薬剤師などの技量、資格の有無、不在なことも・・・ • 医療管理システム ⇒カルテ・検体管理などを紛失しないか? 経営面の問題 ⇒営利第一 ⇒必要以上の検査、退院させない、過剰医療

#89.

医療そのもののリスク

#90.

ベトナムで陥りやすい問題 • 現地事情を理解できる専門家(医師・アシスタンス会社)とのコミュニケー ション不足。 • 初めて海外に出てくるような新規の日系病院、顧問医が必ずしも現場の医 療を認識していない ⇒外国(日本・シンガポール・タイなど)の紹介病院との関係不足 ⇒医療レベルが高い病院ではなく、自分たちの利益になる病院を選択する 傾向がある。 • 現地の病院では治療情報の混乱や、開示拒否が多いので、その後の対応 に混乱が生じやすい。 • 商業主義(長期入院・過剰診療・外国人価格)を第一とする現地医療機関も 多いので 前金をすぐに準備できなければ緊急処置や手術が受けられな い。

医療機関の選び方と情報収集

#91.

受診できる病院の探し方 • 現地の日本大使館・領事館に紹介してもらう。 • インターネットによる情報収集。 – 外務省によるベトナムの医療機関の情報 – 日本渡航医学会推奨 海外トラベルクリニックリスト • 現地のニュースペーパー、口コミも結構大事? • 情報が偏る可能性があるが – 旅行会社に紹介をしてもらう。 – 旅行保険会社に紹介をしてもらう。 – ホテルに紹介してもらう。

#92.

現地の病院の情報 • ハノイやホーチミンなどの都市では外国人患者を診る(と謳っている)病院は幾つ かあるが、そのクォリティは一定していない。 商業目的なだけのこともある。 • また輸血用血液製剤の安全性、入院施設、専門医の質も低い。 • 高度な医療が必要になった際に、バンコクやシンガポールといった医療先進地域 で治療が受けられるように十分な補償が付いた海外旅行者保険に入っておく(な お日本への帰国費用等は距離が遠く高額になるため保険会社の判断でカバーさ れないことが多い)。 • またローカルの薬局や病院で一般的に使用されている薬の質が悪いため、高額で あっても信頼のあるInternational Clinicを受診することが推奨される。 引用・参考文献 ・CDC Yellow book

#93.

ハノイ・ホーチミンなどの都市部なら 三次医療 二次医療 ・地域の国立病院への搬送 ・ベトナム国外の医療先進地域への搬送 ・日本への帰国 呼吸器内科・消化器内科・整形外科 ・産婦人科などの専門医 ・Out Sourcing でCT、内視鏡など 緊急性がない・専門的対応の必要ない 小児科的、外科的、内科的疾患 一次医療 • • ・健康診断・乳幼児健診 ・風邪・インフルエンザ・下痢などの感染症。 ・眩暈・頭痛・腹痛などのプライマリケアでの鑑別が必要な疾患。 ・高血圧・糖尿病などの生活習慣病。 腰痛・関節炎・マイナー外傷などの外科的疾患。 総合診療医 総合診療医は、医療サービスの玄関口として、さまざまな疾患に対応し、状況に よって専門医・より高度な医療施設に依頼。 日常的な健康問題のカバー。

#94.

病院のサービスを知る 多くの日本人向け病院の一般的なサービス内容 • かかりつけ医としての機能。 • 一般的な健康診断・産婦人科検診・乳幼児健診など。 • ワクチン接種:日本で打ち始めたワクチンの続きもベトナムで 可能。 • メンタルヘルスの相談。 • 会社内での健康対策などの相談。

海外旅行者保険の重要性

#95.

日本人向けの病院 (Raffles ホーチミンクリニックの例) • • 以下の図のように総合診療医は、医療サービスの玄関口として、さまざまな疾患 に対応し、状況によって専門医と協働して診療を行う。 重篤な疾患なら国内・国外の高度な医療施設に依頼する。 ・地域の国立病院への搬送 命に係わるような 重症の場合 ・ベトナム国外の医療先進地域への搬送 ・日本への帰国 肺炎や怪我などの中等症 の疾病や小児科・婦人科・ 循環器内科などの専門的 疾患 日本人総合診療医及び 日本人チームによる初期診療 小児科、その他専門的医疾患のうち 軽度から中等度症状まで対応可能。 重症度や疾患により 専門医とのチーム形成で 個別対応

#96.

遠隔地の医療リスクのポイント 郊外などの遠隔地 <遠隔地> ・その地域の救急医療体制は十分? ・緊急時の関係者への連絡体制は明確? ・現地医療リスクを踏まえた予防対策は実施済? <緊急搬送> 現地医療機関 ・救急車内の医療設備は十分? ・24時間利用可能? ・最寄りの医療機関までの所要時間・道路事情は? <現地医療機関> ・医師・看護師の人数・質は? ・医療設備は整っているか? 先進医療地域 ・医療機関は救急対応を行っているか?

#97.

海外医療搬送について ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ バンコクから日本まで、コマーシャルフライトで250万円、チャーター機で90 0万円程度。 このため、外傷・疾病費用については2000万円、救援者費用についても 2 000万円加入するように指導している会社も有る。 3000~4000万円分加入していればあれば、”容体が許せば”であるが、 日本まで搬送してくれる可能性がある。 特に新規に進出してきた会社の方の場合、十分な額の旅行傷害保険に加入 していないケースも多く、 会社の保障や家族等に連絡して送金してもらうこ ともある。

#98.

日本の薬と海外の薬の違い • 日本製の薬は入手しづらいが、海外で一般的 に使用されている薬は大抵手に入る。 • 原材料(成分名)さえわかっていれば同様のも のをほとんど入手できる。 出典: Answers News 2018/04/27 UPDATE【2017年製薬会 社世界ランキング】売上高トップはロシュ ファイザーは 2位後退 3位はノバルティス

渡航前の準備とワクチン接種

#99.

Work Permitのための検診 プロセスが複雑 • • 検診が提供できるのはベトナム人医師。 検診の結果+職能、学歴によってWork Permitが出るか出ないか変わることがある。 地域によって異なる検査(特に感染症)の内容(注意:2018年時点) • • ハノイ: HIV、B型肝炎、梅毒、マラリア、結核が検診に含まれる。 ホーチミン: 結核以外の感染症はルーチンでチェックしていない。 来越後の生活習慣病のコントロール不良によりWork Permitが更新 されないこともある • • ベトナムでの生活は生活習慣を悪化させやすい。 Work Permit検診に引っかかってもその後の対応で通る可能性があるので、問題があっ たら医師に受診を(当院でも検診ならびにその後の対応ができます)。

#100.

ベトナムに来る前の準備 • 個々の旅行者・旅行の行程に応じてワクチンの相談が推奨される。 引用・参考文献 ・博多 ひのきクリニック ・ CDC, Yellow Book, Travel Epidemiology ・ Nikkei Trendy連載:受ければ安心、知らないと損する!! 日本のワクチン 2011年1月12日号より

#101.

渡航前のワクチンの打ち方の一例 • 情報を発信する団体・所属する会社・ 病院などによって違うことがある。 • 基本的にはCDCやWHOの情報を参 考にする。 • 国ごとに必要なワクチンが異なる。 • 年齢・病状によっても異なる。 出典: ・日本プライマリ・ケア連合学会 渡航ワクチンとは ・CDC Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View

#102.

成人の渡航時に気を付けるべきワクチン 出典:一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会 ワクチンプロジェクトチーム

ベトナムでの医療サービスの利用

#103.

渡航時の年齢・生年月日 により推奨が変わるワクチン • 肺炎球菌ワクチン: 60歳以上で検討(身体状況による)。 • 破傷風トキソイド: 1968年以前生まれの方(定期予防接種がなかったので)。 • 麻疹・風疹・おたふく・水痘ワクチン: 2回の接種歴がないかつ感染歴がない(特に1990年度以前生まれはMRの定期 予防接種が2回ではない)。 • インフルエンザワクチン: ベトナムでは夏場でもインフルエンザが流行することがあるため要検討 (特に60歳以上)。 • 日本脳炎ワクチン: ベトナム(特に北部)は日本脳炎の流行地域であるため、生後6ヵ月から推奨。 出典:一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会 ワクチンプロジェクトチーム 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの変更点 2018 年 8 月 1 日

#104.

ベトナムにある国際的な病院でのワクチン情報 基本的には国際基準とベトナムの法令に従う:Raffles HCMCの例

#105.

ベトナムにある国際的な病院でのワクチン情報 ハンドキャリーで薬品を持ち込むことが禁じられている ので日本のワクチンとは違う製品になることに注意。 ベトナムの狂犬病ワクチンはVerorab・Rabipurを主に使用 している。使用法は添付文章とベトナム保健省の方針に従う。 引用・参考文献: ・海外渡航者の予防接種Q&A ・CDC Health Information for Travelers to Vietnam Traveler View ・Raffles Medical ベトナム ワクチン情報

#106.

ベトナムに持ってくるもの • 海外旅行者保険・クレジットカード付帯保険の内容の確認および証券を 常に携帯する(写真等のデジタルデータ可)。 • 特に既往歴のある方、高齢者に関しては ⇒英文で身体状況を説明する書類。 ⇒ワクチンの接種状況を英語で記した書類。 ⇒普段から使用している薬品(商品名でなく原材料の英語名)に関する 医師の署名の入った処方箋。 • 旅行に必要な薬(常用薬、トラブル対策の頓服、抗マラリア薬(地域に応 じるので医師に要相談)など) 引用・参考文献 ・CDC, Health Information for Travelers to Vietnam, Healthy Travel Packing List ・海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド ・厚生労働省 FORTH もしもの時に備えて -旅行用セット ・CDC Malaria Information and Prophylaxis by countries.

帰国後の健康管理と注意点

#107.

医療費用をどう支払うか? • 海外旅行傷害保険 • クレジットカード付帯海外旅行保険(ただし受診前に保険会社に事前連絡が必須) • 国民健康保険、社会保険 • 会社払い(出張者、現地で働いている方) • ベトナム当地の傷害保険 • 自費払いなど

#108.

海外旅行者保険ではカバーしないものがある *日本の健康保険はカバーしているが • 車の保険と一緒で、契約時に自分で補償内容を選んでいるはずなので、 自分自身で把握しておく(病院にきいてもわかりません!)。 • ほぼすべての場合、海外で発症した急性期(6ケ月以内)の病気やケガを 対象としている。 • また持病や既往症にも適用されない。 • 歯科治療や出産にかかわる事項(妊婦検診等含む)なども適用されない。 • 持病(慢性疾患)、妊娠、予防接種、健康診断、歯科治療に関連した診療 に対して海外旅行傷害保険等は適応されないことが多い。

#109.

Fit to Fly=飛行機に乗れる? • 患者の状態により場合、ストレッチャーや車いす、酸素ボンベなどの医療機器を 飛行機に持ち込む必要があることがある。 • また疾患の種類によっては高所・上空へ移動することによってさまざまな影響が 出ることがある。 • ゆえに航空医学(Aviation Medicine)の専門家の判断を求める必要がある。

#110.

帰国後のフォローアップも大事 渡航後外来という特殊外来がある • 日本に帰ってから体調の不良を感じた場合、必ず感染症科のある病院を受診し、 渡航歴を伝える。 その際には渡航歴に加えて『何処で、何をしたのか?』、『動物との接触があった か?』を必ず伝える。 • 帰国から1年程たってから症状が出ることもあり得る(マラリアなど)。 • デング熱など日本にない疾患は、日本の医師は見たこともないので(すぐには)診 断できない。結果死亡例あり。 ・重篤なショック,多臓器不全を呈し救命し得なかった重症型デングの1例(A fatal case of severe dengue infection complicated by refractory shock and multiple organ failure) 遠藤 真佑 他: 日本では診断されづらいという例 • 帰国後体調が悪い時には日本渡航医学会 帰国後診療医療機関リストより近くの 病院を検索。 引用・参考文献 ・CDC, Getting Sick after Travel

フォローアップの重要性

#111.

フォローアップの一例 引用・参考文献:海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド

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