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エスディー@脳神経内科

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多発性硬化症との違いを知っておこう!おさえておきたい視神経脊髄炎の診断と治療

  • 内科

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  • 初期研修医

  • 多発性硬化症
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エスディー@脳神経内科

総合病院

内容

多発性硬化症と視神経脊髄炎の違いを知り、古くて新しい視神経脊髄炎の疾患概念と治療を整理しましょう。初期研修医、内科系専攻医の先生の、知識の整理にお役立てください。

◎目次

・本スライドの対象者と目標

・多発性硬化症とはどんな病気?

・視神経脊髄炎とはどんな病気?

・NMOSDの原因のひとつ;抗アクアポリン4抗体

・NMOSDの国際診断基準(2015年)

・最近のトピックーMOGADとは?ー

・MSとNMOSDの違いを整理しよう!

・MRI画像にも違いがある!

・NMOSDの診療で知っておくべき5つのポイント

・1. 再発のクラスター期が存在する

・2. MSとは重症度と進行の仕方が違う

・3. MS治療薬はNMOSDを悪化させる

・4. AQP測定はELISAよりCBA法を用いるべき

・5. NMOSDは他の自己抗体陽性が多い

・NMOSDを疑った時にすべきことは?

・治療は急性期と慢性期に分けて考える

・ステロイドからバイオ製剤の時代へ

・日米欧で治療方針は少し違う

・受診するのは脳神経内科だけではない!

・Take Home Messages

参考文献

  • 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017 監修 日本神経学会日本神経学会

  • 三須建郎、藤原一男. NMO-SDの疾患概念 脳神経内科, 90(1):1-6, 2019.

  • Dutra BG et al. Neuromyelitis optica spectrum disorders: Spectrum og MR imaging findings and their differential diagnosis. Radiographics. 38:169-93, 2018.

  • Akaishi et al. Neuromyelitis optica spectrum disorders with unevenly clustered attack occurrence. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 7(1):e640, 2020.

  • Warabi Y. et al. Interferon beta-1b exacerbates multiple sclerosis with severe optic nerve and spinal cord demyelination. J Neurol Sci 2007; 252:57-61.

  • 中島一郎. 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の既存治療 脳神経内科, 96(4):431-434, 2022.

  • 福元尚子、磯部紀子. 抗MOG抗体陽性視神経脊髄炎の病態と診断 脳神経内科, 97(2):165-168, 2022.

  • 清水文崇. 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と自己抗体 脳神経内科, 97(2):175-180, 2022.

テキスト全文

  • 1.

    多発性硬化症との違いを知っておこう! おさえておきたい 視神経脊髄炎の診断と治療 エスディー@脳神経内科 日本神経学会専門医・指導医 総合内科専門医 日本認知症学会専門医

  • 2.

    本スライドの対象者と目標 対象者;初期研修医、内科系専攻医 目標;古くて新しい視神経脊髄炎の疾患概念と治療を整理する • 多発性硬化症(MS)とは違う視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の疾患概念とは? • 抗アクアポリン4抗体、抗MOG抗体とは? • MSとNMOSD、抗MOG抗体関連疾患(MOGAD)の鑑別のポイントとは? • 急激な症状悪化と重篤度がMSとは違う • MSの治療はNMOSDを悪化させる可能性がある • バイオ製剤による新たな治療戦略とは?―ステロイドからバイオ製剤による治療の時代へ

  • 3.

    多発性硬化症と視神経脊髄炎の 違いを知ろう 多発性硬化症と視神経脊髄 炎の違いは長らくわかりま せんでした。 2004年のある抗体の発見に より、2つの疾患の違いが明 らかになってきたんだ!

  • 4.

    多発性硬化症とはどんな病気? まずは、多発性硬化症についておさらいしておきましょう。 • 多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)は神経免疫疾患のひとつ。まだその原因はわかっていません。 • 視神経や大脳・脊髄など中枢神経に脱髄病変を起こすことにより、発症します。 • 病型により、主に①再発寛解型 ②1次性進行型 ③2次性進行型に分類されます。 • 疫学的には、本邦の男女比1:2.9、有病率7.7人/10万人(北米140人、欧州108人)、平均発症年齢は30歳前後 • 診断には、頭部MRI、髄液検査(オリゴクローナルバンド、ミエリンベーシック蛋白)、電気生理学的検査(VEP, SEPなど)が有用です。 • 治療は、急性期にはステロイドパルスや血漿交換、慢性期にはインターフェロンやナタリズマブ、オファツムマブ など8つの疾患修飾薬が使われています。 • 慢性期のステロイド使用は再発予防がないと言われています。 • 経過が、再発時のみならず慢性的に緩徐に進行することがわかっており、特に脳萎縮が大きな課題となっています。

  • 5.

    視神経脊髄炎とはどんな病気? 次に、視神経脊髄炎スペクトラム障害についてまとめます。 • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)は視神経や脊髄、脳幹など中 枢神経に脱髄病変を起こすのはMSと同様ですが、その発症様式や部位が若干違います。 • 病変部位として特徴は、視神経(視交叉が多い)、延髄背側(最後野)、脊髄に3椎体以上の病変を呈すことなど です。NMOSDに特徴的な症状としてしゃっくりやナルコレプシーといった症状があります。 • 疫学的には、本邦の男女比1:9、有病率3.42人/10万人、平均発症年齢は40歳前後(MSに比し、女性の割合が高く、 発症年齢もプラス10歳程度) • 診断には、抗アクアポリン4(AQP4)抗体の測定、頭部MRI、髄液検査が有用です。 • 治療は、急性期にはステロイドパルスや血漿交換、大量免疫グロブリン療法、慢性期にはこれまで主に経口ステロ イドが使用されてきましたが、近年、4つの抗体製剤が承認されました。 • MSの一部の治療がNMOを悪化させるという報告があり、注意が必要です。 • 主に発作的な再発を認め、MSのように慢性的な進行はしないといわれています(しかし最近、NMOでも慢性に進 行する可能性を示唆する報告があります)

  • 6.

    NMOSDの原因のひとつ;抗アクアポリン4抗体 • MSの中には、視神経脊髄型MSとよばれた一群があり、その一部は視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica; NMO)が 含まれていると考えられています。 • 2004年にLennonらにより、NMOに特異な自己抗体NMO-IgGが報告されました。その後、NMO-IgGの標的抗原が、 中枢神経の主要な水チャンネルであり、アストロサイトのendfootに発現する、アクアポリン4(aquaporin-4; AQP4)であることが報告されました。 • MSの一亜型と考えられてきた視神経脊髄型MSは、実は抗AQP4抗体によりアストロサイトが破壊されることによ り発症することが明らかになったのです。 • 現在、抗AQP4抗体の測定はELISA法のみ保険診療で検査することができます(Cell-based assayは保険適用外)

  • 7.

    NMOSDの国際診断基準(2015年) (Wingerchuk DM et al. Neurology.2015) 抗AQP4抗体は重要な項目ですが、NMOSDの診断には必須ではないことに注意です。 抗AQP4抗体陽性NMOSD 抗AQP4抗体陰性もしくは検査結果不明のNMOSD 1. 少なくとも1つの主要臨床症候がある 2. AQP4抗体陽性 3. 他疾患の除外 1. 1回以上の臨床的増悪で少なくとも2つの主要臨床症候 があり、以下の条件をすべて満たす a. 少なくとも1つの主要臨床症候は、視神経炎、3椎体以 上の長い横断性急性脊髄炎、あるいは最後野症候群 b. 空間的多発 c. 該当する病巣のMRI所見が下記の条件も満たす 2. AQP4抗体陰性あるいは検査未実施 3. 他疾患の除外 主要臨床症候 1. 視神経炎 2. 急性脊髄炎 3. 他の原因では説明できない吃逆、嘔気、嘔吐を起こす最後野症候群のエピソード 4. 急性脳幹症候群 5. NMOSDに典型的な間脳のMRI病変を伴う症候性ナルコレプシーあるいは急性間脳症候群 6. NMOSDに典型的な脳MRIを伴う症候性大脳症候群 AQP4抗体陰性および検査結果不明のNMOSDのMRI追加要件 1. 2. 3. 4. 急性視神経炎;視神経の1/2以上または視交叉の病変 急性脊髄炎;3椎体以上の連続する病変または局所性の脊髄萎縮 最後野症候群;関連する脊髄延髄・最後野病変 急性脳幹症候群;関連する脳室上衣周囲の病変

  • 8.

    最近のトピックーMOGADとは?ー • 抗AQP4抗体陰性のNMOSDの中には、他の抗体による視神経脊髄炎も含まれている可能性があります。 • その抗体のひとつが、「抗myelin oligodendrocyte glycoprotein; MOG抗体」です。 • 抗MOG抗体関連疾患は略して、「MOGAD(MOG-antibody associated disease)」と呼ばれています。 • MOGADは小児期では、急性散在性脳脊髄炎(通称ADEM)の症状を呈し、成人では視神経炎の症状を呈すること が多いです。 • 最新の本邦における全国疫学調査では、男女比1:1.14、有病率1.34人/10万人、発症年齢の中央値28歳でした。 • 診断には、抗MOG抗体陽性であることが必須ですが、検査は保険適用外です。(2023.1現在)。 • MOG抗体は髄鞘をターゲットにする点で、抗AQP4抗体とは違う機序で発症します。 • 治療は経口ステロイドが主体で、2023.1現在承認されている抗体製剤で適応があるものはありません。

  • 9.

    MSとNMOSDの鑑別のポイント

  • 10.

    MSとNMOSDの違いを整理しよう! MS 抗AQP4抗体陽性NMOSD MOGAD 男女比 1:3 1:9 1:1 発症年齢 20歳代後半 30歳代半ば (高齢発症もある) 5~10歳と30歳前後 特異的な抗体検査 特になし 抗AQP4抗体 抗MOG抗体 オリゴクローナルバンド (80%陽性) 髄液細胞数増加 髄液蛋白増加 (オリゴクローナルバンド陽 性は20%未満) 髄液細胞数増加 髄液蛋白増加 IFN、フィンゴリモド、ナタ リズマブ、オファツムマブな どの疾患修飾薬 経口ステロイド 免疫抑制剤 エクリズマブ、サトラリズマ ブ、イネビリズマブ、リツキ シマブの抗体医薬 経口ステロイド 免疫抑制剤 大量免疫グロブリン療法 髄液所見 再発予防

  • 11.

    MRI画像にも違いがある! 視神経 脊髄 脳 MS 抗AQP4抗体陽性NMOSD MOGAD 一側性の短い病変 両側後方に視交叉を含む 長い病変 両側前方の長い病変 頚髄の背・外側の短い 病変 3椎体以上に及ぶ長大で脊 髄の両側に広がる横断性脊 髄炎(LETM) 主に頸胸髄レベル 3椎体以上に及ぶ長大で脊 髄の両側に広がる横断性脊 髄炎(LETM) 主に胸髄や脊髄円錐レベル Ovoid lesion(大脳白質の 脳室周囲、間脳病変、延髄 卵円形病変)、Dawson’s 背側(最後野)、脳梁、長 大脳基底核、皮質、視床、 finger(側脳室壁から垂直 径3cmを超える腫瘍様病変、 橋を含む脳幹(第4脳室周 に伸びる病変)、 造影ではcloud-like 囲)、軟膜 造影ではring/open-ring enhancement enhancement (LETM; longitudinally extensive tranverse myelitis) 詳細はDutra BG et al. Radiographics 2018参照

  • 12.

    NMOSDの診療で知っておくべき 5つのポイント 1. NMOSDには再発のクラスター期が存在する 2. MSとは重症度と進行の仕方が違う 3. MS治療薬はNMOSDを悪化させる 4. AQP4抗体価測定はELISA法よりCBA法を用いるべき 5. NMOSDは他の自己抗体陽性が多い 次からのスライドで詳細を説明します

  • 13.

    1. 再発のクラスター期が存在する • 東北大の研究によると、NMOSD患者の再発の半数は最終の急性増悪から12か月以内 に起こっていました➡クラスター期 Ref) Akaishi et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2020. • 治療方針を決定する際に、再発が多いクラスター期なのか、比較的落ち着いている非 クラスター期なのか、考慮すべきです。 • 後ほど紹介する高価な抗体医薬を、どの時期の、どのような患者さんに使用するのか、 まだ決まった方法はありません。

  • 14.

    2. MSとは重症度と進行の仕方が違う • MSは、前述のとおり、再発寛解型、一次性・二次性進行型に分類され、明らかな再 発がなくとも、慢性的に緩徐に進行することがわかっています。 • NMOSDは、再発を繰り返すことで増悪する経過をたどると言われています*。また、 その再発の症状の程度がMSよりも重症であるため、いかに再発を予防するかが、患 者さんのQOLを左右すると考えられます。 • 再発を予測するバイオマーカーは確立されていませんが、血清・髄液GFAPと再発の 関連が最近示唆されています。 progression(明らかな再発にもかかわらず、緩徐に症状が進行すること)を来たす報告があり、 今後の報告を待つ必要があります。 *最近、NMOSDでもsilent

  • 15.

    3. MS治療薬はNMOSDを悪化させる • MSの治療薬であるインターフェロンβはNMOSDに対し無効ないしは増悪させるとい う報告が複数あります。 ref) Warabi Y. et al. J Neurol Sci 2007; 252:57-61. • MSとNMOSDは病態が違うため、MSの治療薬でNMOSDの再発予防は困難な可能性が あります*。 • このため、MSとNMOSDの鑑別は慎重におこなう必要があります。 *一部薬剤はMS,NMOSD両方に効果がある場合があります

  • 16.

    4. AQP測定はELISAよりCBA法を用いるべき • NMOSDの診断に有用な抗AQP4抗体測定は、ELISA法のみ保険適用になっています。 • 注意したいのは、ELISA法はCell-based assay(CBA)法より感度が20%以上低いと言 われており、10人中2人は偽陰性となる可能性があります。(東北大高橋ほか、医学 と薬学2016) • 従って、ELISAでの結果で陰性であっても、臨床上NMOSDが疑われる場合は、CBA法 による測定をすべきです。MOGADが疑われる症例は、CBA法による抗MOG抗体も測 定すべきでしょう。(ただし実費はかかります)

  • 17.

    5. NMOSDは他の自己抗体陽性が多い • NMOSD患者は複数の自己抗体が陽性になることがしばしばあります。 • 下記の自己抗体の測定を考慮しましょう。NMOSD診断の参考になります。 (一部、保険適応外) • • • • • • • アクアポリン4抗体 MOG抗体 SS-A抗体/SS-B抗体 ds-DNA抗体 抗核抗体 甲状腺自己抗体(抗TG抗体、抗TPO抗体) GRP78抗体 (清水文崇 脳神経内科2022)

  • 18.

    NMOSDの診断のための検査 NMOSDを疑った時に、脳神経内科に紹介する前にチェックすべきことを整 理しておきましょう

  • 19.

    NMOSDを疑った時にすべきことは? • 視力低下やしゃっくりなどで発症した場合、必ず他の症状がないかを確認しましょう。 四肢の脱力、しびれなどの感覚障害、排尿障害、有痛性の筋けいれんもよく認める症状です。 • 圧倒的に女性に多いことがNMOSDの特徴です。一応、上記の症状が急性に出現した場合は念頭におくべきです。 • 抗AQP4抗体は保険診療内で検査可能です。結果がでるのに1週間程度かかる場合があり、脳神経内科に紹介する 前に提出すると治療にすばやく移れます。 • 症状に応じて、脳MRI、視神経MRI、脊髄MRIを検査します。何かしらの異常病変があれば、脳神経内科に紹介を しましょう。(もちろんMRI撮像前に脳神経内科に紹介しても可です) (以下は脳神経内科で行います) • MSとの鑑別が重要なため、診断時は髄液検査も必要です。 • 電気生理学的検査を評価のためにすることがあります(SEP, VEP)

  • 20.

    NMOSDの治療を知ろう 日本では従来、経口ステロイドと免疫抑制剤での再発予防が行われてきま したが、2019年以降4つの抗体医薬が承認され、治療方針が変わろうとし ています。

  • 21.

    治療は急性期と慢性期に分けて考える • 急性期(再発時)の治療 1)ステロイドパルス 2)血漿交換 3)大量免疫グロブリン療法(視神経炎にのみ保険適用あり) • 慢性期(再発予防)の治療 1)プレドニゾロン(経口ステロイド);状態に合わせて漸減する。副作用に注意 2)免疫抑制剤;プレドニゾロンで効果不十分、減量が困難な場合使用。 アザチオプリン(保険償還可)、シクロスポリン(保険適用外) 、タクロリムス(保険適用外) ミコフェノール酸モフェチルは海外で使用されている(日本は保険適用外) 3)分子標的薬;エクリズマブ、サトラリズマブ、イネビリズマブ、リツキシマブ(AQP4抗体陽性のみ)

  • 22.

    ステロイドからバイオ製剤の時代へ 日本で承認された4つの抗体医薬をまとめます。すべて抗AQP4抗体陽性のNMOSDのみの適応です エクリズマブ サトラリズマブ イネビリズマブ リツキシマブ 標的 C5 IL6受容体 CD19(B細胞) CD20(B細胞) 投与経路 静注 皮下注 静注 静注 投与頻度 (維持期) 2週ごと 4週ごと 6か月ごと 6か月ごと PSL併用有無 (治験にて) あり あり/なし なし あり/なし 有効性 (単剤はPSL/ISTな し) 再発リスク減少 94%(AQP4+) 再発リスク減少 単剤; 55%(全体), 74%(AQP4+) 併用; 62%(全体), 79%(AQP4+) 再発リスク減少 73%(全体), 77%(AQP4+) 年間再発率の減少 1.34 ➡0.59(AQP4+) (オープンラベル試験) 留意点 髄膜炎菌ワクチン接種要 炎症をマスクする 感染・PMLリスク 感染・PMLリスク 他疾患適応多い 薬価 一番高価 高価 高価 他剤に比し安価 どのようにこの4剤を使い分けるか、ステロイドの併用はどうすべきかなどは今後の検討課題です。 PSL; predonisolone IST; immunosuppressant

  • 23.

    日米欧で治療方針は少し違う • 日本ではNMOSD患者に対し、経口ステロイド、免疫抑制剤(アザチオプリンは使用可,他は未承認)を 中心に使用されてきました。 • 一方で、欧米そして韓国では、抗CD20抗体であるリツキシマブが未承認であるにもかかわらず、 NMOSDの患者さんに数多く使用されてきており、大きな効果を挙げています。 • 逆に、日本ではリツキシマブがNMOSDに承認され、第4の抗体医薬として使用可能になりました。 • 再発後のクラスター期はステロイドの予防効果が示されており、今後は、ステロイド使用に慣れた日本 の脳神経内科医がいかに抗体製剤を使いこなすかがカギと言えそうです。

  • 24.

    受診するのは脳神経内科だけではない! • ここでちょっと注意しておきたいことがあります。 NMOSDの患者さんが最初に受診する科は、決して脳神経内科だけではないことです。 NMOSDという疾患は、神経難病であり、診断まで時間を要することがあります。 • たとえば・・・ 眼の症状はもちろん眼科を受診されます。 しゃっくりは一般内科、消化器内科に受診し、胃薬などで帰されることもあります。 手足のしびれは整形外科、排尿障害で泌尿器科に受診・・・ • 少し診断がおかしいなと思ったら、NMOSDを念頭に抗AQP4抗体を測定したり、脳神経内科に紹介することを考 えましょう!

  • 25.

    Take Home Messages ① 多発性硬化症(MS)とは違う視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の疾患概念を知っ ておこう ② 抗AQP4抗体、抗MOG抗体はNMOSD診断の大きな手掛かりになる ③ MSの一部の治療はNMOSDを悪化させる可能性がある ④ MSとNMOSD, MOGADの違いを知っておこう ⑤ 脳神経内科以外の科にも受診する可能性があるので注意! ⑥ 抗AQP4抗体陽性のNMOSDの治療は、ステロイドから 抗体製剤に変わろうとしてます お疲れさまでした! MSとNMOSDの違いを説明 できるようにしておこうね!

  • 26.

    参考文献; ・多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017 ・三須建郎、藤原一男. NMO-SDの疾患概念 監修 日本神経学会日本神経学会 脳神経内科, 90(1):1-6, 2019. ・Dutra BG et al. Neuromyelitis optica spectrum disorders: Spectrum og MR imaging findings and their differential diagnosis. Radiographics. 38:169-93, 2018. ・Akaishi et al. Neuromyelitis optica spectrum disorders with unevenly clustered attack occurrence. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 7(1):e640, 2020. ・Warabi Y. et al. Interferon beta-1b exacerbates multiple sclerosis with severe optic nerve and spinal cord demyelination. J Neurol Sci 2007; 252:57-61. ・中島一郎. 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の既存治療 ・福元尚子、磯部紀子. 抗MOG抗体陽性視神経脊髄炎の病態と診断 ・清水文崇. 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と自己抗体 脳神経内科, 96(4):431-434, 2022. 脳神経内科, 97(2):165-168, 2022. 脳神経内科, 97(2):175-180, 2022.

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