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医学部学生生活の概要と勉強スタイル
#2. はじめに 医学部では6年間の学生生活がある(人によっては数年の延長、ドロップアウトによる短縮がある)
6年間は長そうに感じるが、カリキュラムが多いことによって忙殺される
時間を効率的に使うことが必要である
医者として働いたらできないことは今のうちにやってしまおう
#3. 勉強面について 多くの諸先輩方は「遊べ!」とおっしゃられるであろうが、やはり勉強はしないといけない
ここで自分のスタイルを決めるべきであると進言する
①とにかく進級すればいい!再試験でも何でもギリギリでもいい
②勉強は真面目にやって大人しく進級します
③1年ぐらいは留年してもええわ
概ねこの3つほどのスタイルがあると考える
進級のための勉強法と留年のリスク
#4. ①とにかく進級勢 授業の出席要件、過去問の収集、周りの勉強状況の情報収集は怠らないようにしよう
とにかく最低限、最短の道のりを立てることになる
目測を誤って間に合わないと感じることは恐らく往々にしてある
しかし、大体の場合は直前でもやり切ればなんとかなることが多い
→迂闊に「もう無理」と諦めないこと、大体の落単の原因は精神的なものである
→本当に精神的にダメなら精神科へかかろう。悩まず、GO!
#5. ②真面目勉強勢 一人で勉強できるタイプか、自分の胸に手を当てて考えよう
一人じゃダメなタイプなら、誰かと徒党を組んで同じようなことをやりましょう。同じことをしてください。
一人でもできるタイプなら、情報収集できる環境を作りましょう。情報収集を行った上で勉強しましょう。
→そういう環境を準備できない
→あなたは「一人でもできるタイプ」ではありません。徒党を組むことに全力になりましょう
#6. ③留年予定勢 大学の学則を必ず確認しましょう
何回留年できるのか、どの学年で何回できるのか、救済措置はあるのか等々は必ず見ておくこと
下手に高学年までなあなあで進級して、留年を繰り返して退学になると、「ちょっと医学に詳しいおじさん」が誕生するので気をつけましょう
留年は完全に自己責任の世界であるので良いも悪いもない
大学生活における部活のメリットと孤独の回避
#7. 大学生活について 部活に所属することを大体の人は考えると思いますが、メリット、デメリットを把握しましょう
メリット:情報収集がしやすい、人間関係を学べる、孤独になりにくい
デメリット:部活によっては時間のほとんどを割くことになる、人間関係が辛い、孤独になることがある、お金がかかる
これらは表裏一体。自分のライフバランスを考えよう。
部活のデメリットをとくとくと語る先輩もいますが、それはメリットを大いに享受している上でのデメリットなので気をつけよう
#8. 大学生活で一番避けるべきこと それは、孤独です
一人で居すぎると精神的な負荷がかかります。一人が好きな人でも孤独は話が別です。
辛ければ人に頼ろう。先生、事務、支援センター、もしくは精神科に助けを求めよう。
適度な人間関係を大学で学べないと、医師として働く際に足かせになる可能性があります(観測例あり)
アルバイトの意義と旅行の重要性
#9. バイトについて バイトをすることは全く否定しません
コンビニバイト、飲食店バイトなどの接客を行うバイトは医師としての人間関係のスキル向上に繋がります
好きなバイトをやるといいと思います
ただ、四六時中バイトしかしないバイト戦士になると、学生でできる他のことが全くできていないことがあるので注意
お金は医者になったらある程度稼げるのでお金のためだけに働くことは大いには推奨は私はしません。奨学金を利用するのも一つの手です。
#10. 旅行 学生の間に旅行に行くことを強く推奨します。
コロナ対応も緩和されてきていることから、そろそろ旅行にも行ける時期になります。
海外旅行、国内旅行、なんでもいいです。とにかく旅行しましょう。今しかないです。
おすすめの参考書は「深夜特急」。これを読んで海外に旅立ちましょう。
時には一人で旅行に行くといいと思います。友だちと行くよりも発見は多いです。
医学部特有の勉強法と参考書の選び方
#11. 勉強のやり方 医学部の勉強は他の学部と全く異なります。目標はテストを通過する、国試に合格することです。
上記の目標を踏まえた上でおすすめする勉強方法について解説します
過去問の収集や資料については各大学で仕様があると思いますので割愛します
#12. 映像授業 いろんな映像授業を各社が出しています
それぞれの違いはありますが、基本的に何をやっても好みだと思いますので、気に入ったものを選びましょう
映像授業は非常にわかりやすいので視聴を推奨しますが、基本的に国試レベルの解説が基本なのでこれで終わらないようにしましょう。
一度視聴してわかった気分にならないこと。復習しましょう。覚えていないのに勉強した気分になることが一番まずいです。
#13. 参考書 イヤーノート、レビューブック、病気がみえる等々を一般的に推奨します。その他、マイナーでは「まとめてみた」シリーズを推奨。
大学の先生はこれを使用しているとキレることがありますが、無視して使いましょう
暗記することも多い医学部の勉強では大いに有用です
しかし、これだけを使っているとBSLでは歯が立たないことも多々あります。また、これらでは理解することが難しい内容もあります。
#14. 教科書 標準シリーズ、朝倉内科学、ハリソン内科学を推奨
買わなくてもいいので大学の図書館で見てみましょう
こういった定評のある教科書にはそれなりの理由があります
何かを調べる、もしくはその科目に興味がある場合には大いに活用しましょう
ただし、これらオンリーで試験を突破しようとすると大体挫折しますので他の有用な参考書を適宜利用しましょう
研修医向け参考書とその活用法
#15. 研修医向け参考書 主に高学年向けですが、研修医向けの参考書を強く推奨します
研修医向けの参考書は実臨床に沿っているかつとてもわかりやすいことがメリットに挙げられます
BSLで少しだけイキれます
無数の参考書がありますが次からリストアップします
#16. 「竜馬先生の血液ガス白熱講義150分」 最も強く推奨したい本。
比較的低学年のうちに読んでも理解がしやすいと思います
血液ガスはとても大事ですが、大学の授業ではあっさりとしか扱わないことが多いです
血ガスを理解するとその他の病態理解がしやすくなる(私見)
初学者でも理解できる内容で必読書であると言える。呼吸不全がいまいちわかっていない人の試験対策にもおすすめ。
#17. 「感染症プラチナマニュアル」 BSLの際にポケットに忍ばせておくととても便利。
よくわからなくてもこれを見れば先生の質問に答えられることがあります
実習の際、何かと手持ち無沙汰なときに読むと暇つぶしになります。スマホを見ていると印象悪いですが、これなら大丈夫。
過去問でなんでこの抗菌薬なんだ?というときに役立つことがあります
#18. 「絶対わかる抗菌薬はじめの一歩」 抗菌薬の初学におすすめ。
これを読むとなんとなく抗菌薬がわかります。カンファレンスの会話の理解度が10%ほど上がります。
安心の羊土社の出版なのでわかりやすいです。
他にも抗菌薬初学向けの本はありますが、それぞれ好みがあると思いますので、好きなものを選ぶといいと思います。
#19. 「レジデントのための内科診断の道標」 少し難易度があがりますが、おすすめの一冊。
エビデンスを学ぶことができます。
各項目ごとに読むだけでも非常に勉強になります。
レポートを書く際にこの本を参照するとクオリティが上がります。
内科に興味がある人なら読んで損はないです。
#20. 「ブラック・ジャックの解釈学 内科医の視点」 かの有名な國松先生の著書。
とてもわかりやすく、面白い。勉強気分でも趣味の気分で読んでも面白い。
勉強に疲れたときに読むとモチベーションが上がります。
診断学に興味がわきます。
有用なウェブサイトとアプリの紹介
#21. その他、リストアップ 「レジデントのためのこれだけ輸液」
「レジデントのための腹部画像教室」
「医学生・研修医のための 画像診断リファレンス」
「画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン」
「読み方だけは確実に身につく心電図」
「内科レジデントの鉄則」
「研修医のための内科診療ことはじめ」
「研修医のための見える・わかる外科手術」 など
#22. ウェブサイト 本以外にも活用できるものはたくさんあります。
BSLで利用する際におすすめのサイトは「今日の臨床サポート」、「Up To Date」などがあります。
上記のサイトは大学で無料で使えることがありますのでチェックしておきましょう
論文検索には「PubMed」「医中誌Web」などがあります。
#23. ウェブサイト その2 先程のはBSLで便利なものでしたが、次は普段の勉強で有用なサイトを示します。
「画像診断Cafe」:実際の画像を見て学ぶことができます。初学には絶対に役立ちます。解剖の際にこれを見ることもいいと思います。
「急性腹症のCT演習問題」:こちらは実際の症例の画像を学べます。国家試験でも画像問題が出ますのでとても有用です。
「日経メディカル」:医学の最新情報から学生向けコンテンツもあり、とても勉強になります。
学生へのアドバイスとまとめ
#24. アプリ スマホはみなさん持っていると思いますので、ダウンロードしておくと便利なものをあげます。
「ヤクチエ」シリーズ:添付文書、早見表、検査値があります。
「ABGAnalyzer」:血液ガス分析、医療用計算などができます。
「グラム染色アトラス」:実際に見て学べます。
「DIC/SIRS」:スコアリングを簡便にできます。
その他、「HOKUTO」、「M2PlusLauncher」、「Antaa」は入れておきましょう。
#25. おわりに 学生が学生におすすめする内容でした。
私見が多分に含まれていますので参考程度にお願いします。
参考書、アプリ等、便利なものがあればぜひ教えてください。