#4.
1.緊急で透析が必要? 緊急透析の適応(急性腎障害) Acidosis 高度の代謝性アシドーシス(pH<7.2) Intoxication 透析で除去可能な中毒 Uremia 意識障害や心筋炎を伴う尿毒症 Electrolyte 高K血症(>6.5)、高Mg血症、高Ca血症 Overload 利尿薬で管理できない溢水
#5.
1.緊急で透析が必要? 維持透析の場合は? 原則 Ø 維持透析患者のほとんどは無尿であるため前述した緊急透析の適応があれば 来院後早急に緊急透析とした方がよい 例外 Ø 入院理由となった疾患がより緊急度の高い疾患であった場合 ⇨可能な範囲の薬物療法を行いながら緊急疾患への対応を なるべく速やかに透析を行えるよう尽力 Ø バイタルや全身状態から透析施行が困難な場合 ⇨持続的腎代替療法(CRRT)を考慮 希望しない場合やCRRTも厳しい場合は透析skipし状態安定化を優先
#6.
1.緊急で透析が必要? 維持透析の場合は? 薬物療法 Ø 利尿薬には効果が期待できないため体液過剰による緊急透析は避けられない Ø 高KならK吸着薬で粘れるかも Ø すでに不整脈の出ている患者や、内服困難な患者では透析を行った方が良い また、粘るメリットに乏しい場合は敢えて粘らずに透析を回した方が良い Ø ただし、従来のカリウム吸着薬(ポリスチレンスルホン酸系)では間に合わない…
#7.
1.緊急で透析が必要? ジルコニウム(ロケルマ®) p こういう時に有効なのが ジルコニウム(ロケルマ®) p GI療法と比較しても経口であり使用しやすく、血糖値のフォローも不要 p 継続投与もしやすく、リバウンドの懸念も少ない p 無味無臭で従来のK吸着薬と比較して飲みやすい p 水も少量で内服可 p 副作用も少ない(浮腫や低K血症、消化器症状が少し認められる) p 全消化管に効くので、即効性が高い
#8.
1.緊急で透析が必要? 考慮しなければならない施設のルール Ø いざ透析を早めにした方がいいとなった時にどうするかは施設により異なる 連絡先 Ø 施設により連絡先は異なる ex)腎臓内科、泌尿器科、透析室看護師・技師などなど… Ø 主科が集めるべき情報を確認しておく ex)普段の透析施設に情報送付を依頼など 時間外 Ø 透析室スタッフはやや年齢層が高いことが多く、子供などの問題で時間外対応を 嫌がる施設も多い Ø 時間内に可能な範囲のことは時間内に済ませる! ex) 午前中入院したら午前中に連絡!
#9.
2.透析情報を集めよう! 基礎情報 ü 原疾患 ü 透析歴 ü 透析導入施設 ü ブラッドアクセス作成日 などなど… 普段の透析施設からの情報に記載あり この情報で今後の透析計画が変わることは正直あまりないが、 導入後日が浅い場合は自尿がまだあるのかな?と考えたり アクセス作成日が直近の場合アクセストラブルに注意する
#10.
2.透析情報を集めよう! ドライウェイト(DW) 定義 Ø 透析療法で細胞外液量が是正された時点での体重 Thomson GE. Arch Intern Med 1967;120: 153-67 Ø 血圧推移や胸部レントゲン所見などを見ながら定期的に調整して決められている Ø しかし、何らかの理由で今回入院しており、入院理由によってはDWの調整が必要 Ø 早めに再評価を行い、必要あらば調整を行う(後述)
#11.
2.透析情報を集めよう! 透析条件 主な情報 ü 透析時間・・・通常は4時間 それ以外の場合何か理由がある 例)透析間体重増加が多いと時間が長かったりする ü 血流量・・・本邦では180mL/分以上240mL/分未満が多い 体が大きく元気な人ほど多く必要 ü ダイアライザー・・・特定の材質にアレルギーがないか。膜面積もチェック 例)APS-15SA:ポリスルフォン膜(膜面積1.5m^2)
#12.
2.透析情報を集めよう! 透析効率 ü KやBUNを始めとした溶質をどれだけ除去できるかの指標が透析効率 ü 体液の除去を意味する除水とは異なる概念 ü 前述した血流量やダイアライザーの膜面積、透析時間や透析回数などが関与している 溶質貯留が多い場合は上記のいずれかの パラメーターを調整する必要がある
#13.
2.透析情報を集めよう! 透析経過 ü 直近3回の透析経過は特に重要 ü 最終透析日も絶対確認しておく必要がある ü 血圧推移や透析中の訴えを見て、入院中の透析の経過について推測しておく ü 特に除水速度には注意 入院疾患によって(感染症など)は普段よりも透析への忍容性 が無くなっている場合もある
#14.
2.透析情報を集めよう! 使用薬剤 ü 抗凝固薬 ü P吸着薬 ü VitD製剤 ü 赤血球造血刺激因子製剤(ESA) ü 鉄剤 ü HIF-PH阻害薬 (低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬) ü K吸着薬 ü 栄養剤 例)キドミン、ネオアミュー などなど…
#15.
2.透析情報を集めよう! 抗凝固薬 ü 未分画ヘパリン(ヘパフィルド®):半減期 45-60分、標準的に使用 ü 低分子ヘパリン(パルナパリン®):半減期 2-4時間 ü ナファモスタット(フサン®):半減期 5-8分、出血傾向の人に ただし、ナファモスタットは高価(644円/瓶で透析1回で4瓶使用) *未分画ヘパリンは5,000単位 1筒:170円/透析1回 非専門医ならそこまで使い分けは気にしなくていい 出血している人にはナファモスタットを使おうかなくらい
#16.
2.透析情報を集めよう! 自己血管内シャント Ø ほとんど 橈側皮静脈と橈骨動脈の吻合でタバコ窩もしくは手関節部に 作成されていることが多い Ø シャントがトラブルなく使えているかどうか、また入院時点でシャント閉塞ないか注意 Ø 基本的にはシャント音(聴診)とスリル(触診)をチェック Ø シャント音がしない、シャントスリルが触れないのであれば早めに腎臓内科call 参考)シャントトラブルの例 p シャント狭窄・閉塞 p スチール症候群 p 静脈高血圧症候群・過剰シャント p シャント感染 p シャント瘤 p シャント肢痛
#17.
2.透析情報を集めよう! その他のバスキュラーアクセス Ø 人工血管内シャント(AVG) ü 心負荷には耐えられるが、末梢静脈がはっきりしない例に使用 ü 人工物であり感染すると厄介、開存率も AVF より不良 Ø 動脈表在化 ü シャントの心負荷に耐えられない例で、動脈を皮下に持ち上げて作製(上腕動脈) ü シャントは作製しないのでシャント音、スリルはしない Ø 長期留置型カテーテル ü AVF/AVG 作製困難、事故抜針リスクなど患者背景を加味して、上肢へのブラッドアクセス 設置が困難な例では中心静脈に留置する ü トンネルとカフを使用しており事故抜去になりにくい ü 感染所見に注意
#18.
3.透析計画を立てよう! 透析はいつする? ü まずは緊急で入院後すぐの透析が必要かどうか判断 ü 緊急で不要なら最終透析日を確認し、中3日以上とならないように予定を組む ü 曜日は施設の事情にも合わせつつできれば普段の曜日で その方が患者本人のリズムも合わせやすく、退院日も調整しやすい ü 迷ったら相談を!
#19.
3.透析計画を立てよう! どんな条件でする? p DW・・・必要に応じて体液量評価を行い、DWの調整が必要か考慮する p 透析時間・・・通常は4時間。体液やK、BUNなどのバランス見つつ多少の増減はアリ p 血流量・・・溶質除去に最も関わってくる 食事摂取量次第では減らすことも考慮 p 透析膜・・・アレルギーに注意しつつ普段と同じ膜面積のものを選ぶことが多い p 抗凝固薬・・・ヘパリンかナファモスタットか 入院疾患や手術など処置があったり出血がある場合特に検討が必要
#20.
3.透析計画を立てよう! ドライウェイトの調整は必要? ü 食事摂取量や運動量などによって適正体重が変わってくる ü 例えば食事摂取量が減り、運動量も減ると筋肉や脂肪が減る そのためDWは下げる必要がある ü 逆に落ちてた食事摂取量や運動量が増えるとDWを上げる必要がある ü また、入院理由によってはバイタルが不安定でDWまで除水できないこともある ü そのため血圧推移、胸部レントゲン、下腿浮腫などからDWを調整する方が望ましい ü ただ、酸素投与をおこなっている、または心不全があるなどなければ急がないので 専門医に任せても良い
#21.
4.症例 実際の症例から学ぶ 症例 糖尿病性腎症による末期腎不全で透析歴15年の80歳男性が急性心不全で入院となった。 呼吸数25回/分で酸素3L/minでSpO2 93%程度であった。 直近の透析記録を見ると透析間体重増加は4-5kgで、DWは65kgにも関わらず、最終透析日(2日前)の 透析終了時の体重は68kgであった。普段の透析は4時間で、血流量は200ml/min、透析膜はNV-21U、 抗凝固薬は未分画ヘパリンを使用していた。 採血は K 4.3mEq/L, BUN 50mg/dL, Cre 6.81mg/dLであった。 当患者の今後の透析計画をどう組んでいきますか 下記の事項について検討してください 1. 2. 3. 4. 次の透析日をいつにするか 何時間の透析を行うか 今後の透析日程はどう組んでいくか 血流量や透析膜、抗凝固薬は普段と変える必要があるか
#22.
4.症例 回答 1. 次の透析日をいつにするか A. 酸素投与が必要な急性心不全の状態であり、中2日であるため可能なら入院日に透析を行いたい 2. 何時間の透析を行うか A. 普段は4時間であるが、可能な範囲で除水をしたいため本人の承諾があれば5時間透析としたい 3. 今後の透析日程はどう組んでいくか A. 本日透析を行っても酸素投与が必要な状態が続くならば翌日も連日透析としたい 4. 血流量や透析膜、抗凝固薬は普段と変える必要があるか A. KやBUNといった溶質には問題ないため血流量や透析膜は普段通りで良い 特に出血を伴うような処置の予定もないため抗凝固薬も普段通りで良い
#23.
5. Take Home Message Take Home Message Ø まずは何より緊急で透析が必要か判断する Ø 次に患者さんの透析情報を集める。透析情報には原疾患、透析歴など患者背景 から、ドライウェイト・透析条件・透析クール・最終透析日・ バスキュラーアクセス、直近の透析状況の把握などが挙げられる。 Ø 集めた情報をもとに今後の透析計画を行なっていく (施設のやり方に合わせて透析部門に相談を)