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子どもの歯の健康管理と公衆衛生 #1.
ー歯科の車窓から🚂 子どもの歯のために知っておきたいこと Dr. 心拍 /Supervised by Kamome DDS, PhD #2.
このスライドの対象者 ・医師 ・子どもの保護者 ・すべての子どもに関わる人 法的健診である1歳6か月児健診・3歳児健診の歯科の項目の実例に沿って説明します 幼児検診(歯科)は 各自治体で、歯科関係団体と市町村などが協働して 母子保健の歯科領域のため取り組んでいます 医科と歯科の接点もある分野です #3.
世界的に今も、子どもの歯の衛生状態や健康管理の実態はさまざま 例えば、先進国のイギリスでも「抜歯は5歳未満の子どもの入院で6番目に多い 処置であり、5歳から9歳の子どもの入院理由で最も多いものだった」とある 2) 子どもの歯の健康は公衆衛生的な側面がある 健診を受けていなかったり、多数歯にう蝕があるケースなどで「虐待」の 可能性も指摘されている →公的に保護者の指導が必要 *日本小児歯科学会は、1歳6か月児・3歳児健診について全国的に 90%以上の高い受診率を維持しているが10%弱は受けておらず、未受診者の 一部に虐待(ネグレクト)の可能性 があるとしている 1) 1歳6ヶ月・3歳児の歯科検診項目 #4.
1歳6ヶ月・3歳児 歯科検診項目 A) 歯の状態 B) 歯の汚れ C) う蝕罹患型 D) 歯の異常の有無 E) 咬合異常の有無 F) 軟組織異常の有無 G) その他 #5.
1歳6ヶ月児健診 乳歯の萌出が進み咀嚼機能が獲得される時期 → 食生活・歯磨き習慣、子どもと保護者の生活状況からどうしたらいいか、 実現できるアドバイス ■診るもの 母乳、哺乳瓶の継続状態、指しゃぶり・おしゃぶり、歯の生え方、虫歯、 歯みがきの状況 ・前歯で食べ物のかじりとりができるか ・奥歯での咬みつぶし ・口を閉じた鼻呼吸 ・意味のある1語文が話せているか #6.
3歳児健診 乳歯がほぼ生えそろっている 言葉は単語から短い文章へ 食べる機能:ほぼ大人と同じ硬さや弾力のあるものが食べられる → 発育上の個人差がでやすい → 咬みあわせ、食べ方、指しゃぶりなどの習癖 → 母子健康手帳から子育て支援的な対応 ■診るもの 食事や間食の間隔、指しゃぶり・おしゃぶり、歯みがきの習慣、 歯並び・咬みあわせ、上唇小帯・舌小帯 ・前歯のかみ切り、奥歯のすりつぶしによる咀嚼 ・スプーンなどの道具で食べ物の取り込み、一口分の調節 ・丸飲み、ため食いなどの食べ方の癖がないか ・口を閉じた鼻呼吸 ・発音が明瞭になってきているか 3) 歯科検診における歯の状態と異常 #7.
A) 歯の状態 <1歳6ヶ月・3歳児歯科検診項目> A) 歯の状態 B) 歯の汚れ C) う蝕罹患型 D) 歯の異常の有無 E) 咬合異常の有無 F) 軟組織異常の有無 G) その他 ■健全歯 : 健全歯・要観察歯・シーラント(予防処置) ■未処置歯:う歯・処置歯 :う蝕の治療が終わった歯 ■喪失:う蝕で喪失した歯 ■癒合歯・癒着歯:2本の歯が癒合した状態になっている歯 *サホライド歯(進行を抑制するためにフッ化ジアンミン銀(黒くなる) :(歯の)実質欠損がなければ健全歯にカウント B) 歯の汚れ ■唇面の歯垢の付着で診査 1歳半:上顎4前歯 3歳:全部の歯 #8.
C) う蝕罹患型 う蝕のある部位や口腔環境で診査 ■1歳6か月の危険因子の例 →歯垢の付着状態 不良 <問診項目> ・主な養育者が父母以外 ・母乳を与えている ・哺乳瓶を使用している ・よく飲むものが清涼飲料水 ・間食の時間を決めていない ・歯の清掃を行わない D) 歯の異常の有無 う蝕以外の歯の異常:矮小歯、結節、エナメル質形成不全、 白斑、先天性欠如歯、過剰歯、テトラサイクリン系抗生物質の 投与や外傷による変色歯 #9.
E) 咬合異常の有無 ■3 歳児歯科健康診断における不正咬合の判定基準 1、反対咬合 :前歯部の連続した 3 歯以上の逆被蓋 反対咬合 2、上顎前突 :オーバージェット 4 mm 以上 3、過蓋咬合 :オーバーバイト 4 mm 以上 (下顎前歯が上顎前歯に覆われて見えない) 4、開 咬 :上下前歯切縁間垂直的に僅かでも空隙 開咬(奥歯が噛んだ状態で 前歯が開いている) 5、叢 生 (そうせい) :隣接歯が少しでも重なり合っている 6、交叉咬合 :(下の歯が上より前に出ている、 前歯なら反対咬合) 左右どちらかでもある 交叉咬合 #10.
F) 軟組織の異常 歯肉、舌、口腔粘膜、 小帯などの異常、 歯肉炎、上唇・舌小帯異常 口内炎、口角びらん、 口唇ヘルペス、コプリック斑、 口腔カンジダ症、血管腫、 地図状舌、ガマ腫 上唇小帯 肥大や位置の異常がある場合、 前歯の離開(歯並び)などに影響する可能性 舌小帯 舌を前に出した時にハート型、舌尖が切歯乳頭につかない、 運動制限で発音障害 ↓ 1歳6ヶ月児では上唇小帯の後退が不十分な場合もある 多くは年齢とともに解消するため経過観察がほとんど 3歳児で機能不全があれば「異常あり」として、経過観察 すぐに外科的処置が必要な場合は少ないが永久歯の萌出時期に 機能不全がある場合、外科的治療を要することがある (耳鼻咽喉科、形成外科、口腔外科) 再発の可能性もあるため治療の時期など専門医に相談 4) 22) 子どもの歯並びと咬合異常の要因 #11.
歯並び(咬合異常) 定期検診では歯並びの状態もチェック 子どもの歯の噛み合わせは、歯の交換(萌えかわり)の順番・顎の成長で 変わっていき、この時期を「混合歯列期」という たとえば、Ugly duckling stage (アグリー・ダックリング:みにくいアヒルの子) 前歯の永久歯が生えてくれる時に、顎の骨の成長に伴って隙間ができる時期で、 これは正常な現象とされる #12.
日本小児歯科学会では、噛み合わせが悪くなる要因として4つの要因を挙げている 1) 1、乳歯をむし歯などで早く失い、永久歯の生える場所がない 2、歯と顎の骨のバランス A 遺伝的な影響 B 機能的(よく噛まないなど)で顎が発達しない場合 3、遺伝的な影響 出っ歯や受け口(反対咬合)には遺伝的な骨性の影響の場合も 4、生活習慣 おしゃぶり・指しゃぶり、舌を前に突き出す(舌前方突出癖)、 口唇巻き込み癖、口呼吸、頬杖、うつ伏せ寝 #13.
おしゃぶり 吸啜が自然な乳児期には、機能や形態に問題は生じないが離乳が完了して「噛む」ことに移行する時期には卒業を推奨 2歳を過ぎて奥歯の噛み合わせができた後も続くと唇の閉じ方や舌の使い方に問題が生じることがあるとしている 乳歯の奥歯が生えてくる1歳半からやめる準備を始めて2歳過ぎにはやめる方向を勧めている。(日本小児歯科学会 1)) 指しゃぶり 幼児期は生理的なもので、手と口の協調運動として口の発達にむしろ必要という考え方がある 3歳以上で頻度が減ってくるなら見守り、3−5歳に継続するなら、手遊びや意識をそらすなどやめられるように誘導 10) 口腔内に指しゃぶりをしにくくする装置を使うこともある 8) →指しゃぶりは、前歯が噛まなくなる(奥歯だけが噛む)「開咬」の原因になり、指しゃぶりから舌突出癖に移行し 口呼吸や口唇閉鎖不全など他の問題につながることもあると考えられている 7) 8) 口呼吸 鼻炎などの鼻咽頭の疾患があると口呼吸になりやすく、成長発育期の小児の歯列や咬合は口腔、耳鼻咽喉科疾患など 機能的な要因、とりわけ口呼吸との関係が示唆されている 11) →歯並びが気になる子ども(3、4歳くらいから)は小児歯科(大学病院、小児歯科専門医)などの受診 1) 口呼吸や咽頭の問題がある場合は耳鼻科受診も #14.
子どもの早期の歯の矯正を始める時期 についてはさまざまな議論 特に、 反対咬合 については、歯性・機能性・遺伝的な影響の強い骨格性の原因(合併も多い) があるケースで治療後の後戻りの可能性などから、早期治療に否定的な考え方もあるが、 下顎の成長の第1のスパート期(6歳程度)までに専門医の受診することで、被蓋(上下顎の 咬み合わせ)を比較的短い期で改善、さらに受け口になる下顎の成長を抑えられる可能性がある 7) 8) 一方で、日本歯科矯正専門医学会が過剰な早期治療に警鐘を鳴らす提言も 「上顎前歯が前突した小児(7歳から11歳)に対する 早期矯正治療は有効か?」 というクリニカルクエスチョンに 「上顎前歯が前突した小児(7歳から11歳)に対し、 早期矯正治療を行わないことを強く推奨」 (2016)GRADE 1C:強い推奨/ エビデンスの質「低」 9) →心配/必要な場合、大学病院や専門医・専門機関の受診 母乳と哺乳瓶の影響と虫歯リスク #15.
母乳 イギリスのPublic Health England (PHE) は「母乳を与えないことが感染症(胃腸炎・ 呼吸器感染症・中耳炎など)のリスク上昇と関連、生後12ヶ月までの母乳育児は 虫歯のリスク低下と関連があるとしている 生後6か月は母乳が唯一の食べ物(飲み物)、代わりになるのは粉ミルクだけ 哺乳瓶で与えてよいのも、食間も母乳か粉ミルク、沸騰させた水のみと述べている 子供の食事に母乳やミルク以外の食べ物や飲み物が含まれるようになると、遊離糖の 含有量に応じて虫歯のリスクが高まるとしている 2) 一方、最近のシステマティック・レビュー(Tham 2015)では12か月を超えて母乳を与えた 場合の乳児のう蝕の発生に与える影響の調査には、う蝕の原因となる飲食物の摂取、 フッ素や歯磨き習慣などの交絡因子を考慮 する必要があるがいくつかの研究は不十分 母乳や子どもの食べ物には心と体・文化などの複雑な 要素があり、総合的に判断する必要 であるともしている 5) #16.
日本小児歯科学会の母乳に対する見解 母乳は全身的な健康、母子の絆を強くするほか、離乳食を始める前に咀嚼や嚥下といった 口の機能の発達の基礎になるため、乳児はなるべく長く飲ませることを推奨している 一方で、1歳をすぎると砂糖を取り始めるころが多くなり、虫歯の原因菌(主にミュータンス 連鎖球菌)が歯の表面に付着しやすくなり、そこに寝る前に飲んだ母乳が長く残ると虫歯の リスクが上がる → 母乳を続けているうちは甘いものを避ける → フッ化物を使って予防 → 昼間よく遊ばせて体力消耗、昼寝の時間を工夫など母乳に頼らず眠れるようにする 1) #17.
哺乳瓶 ジュースやイオン飲料などの糖分の多い飲み物を入れたり、寝るときに哺乳瓶に ミルクを入れて飲ませながら眠ってしまうと虫歯のリスクが高くなる 1歳過ぎに自分でコップを持って飲めるように10か月くらいごろからコップで 飲ませる練習をし、1歳6か月頃には卒乳と哺乳瓶の卒業を、日本小児歯科学会は 一般向けに推奨 1) 間食と食事指導による虫歯予防 #18.
間食について 「食べるのを繰り返すと虫歯になりやすい」 酸産生菌があるときに糖を摂取すると歯の表面の歯垢(プラーク)が酸性に傾き、 pH5.5になると脱灰(歯のエナメル質が溶け出す)が始まるが、唾液によって戻り再度石灰する というStephan, R. Mによる1943年に発表された報告がある 6) プラークのpHの変化を表すステファンカーブのグラフで有名 →だらだら間食を食べ続けない生活習慣が歯を守る ・ 飲食の回数を増やさない ・ 甘いものも摂るならなるべく食事のときに という根拠につながる古典的な研究 #19.
食事指導 PHE(英)の『Delivering Better Oral Health: a toolkit for prevention』ではすべての子どもに 以下を推奨 2) ・ ・ ・ ・ ・ 砂糖を含む食べ物や飲み物の量と頻度を減らし、甘い食べ物は食事の時だけ 発泡性飲料、清涼飲料水、ジュース類は子供の毎日の食事にふさわしくない フルーツジュースは1日に飲む量を150ml(1人前)までに制限、虫歯リスクを減らすため食事と 砂糖不使用の医薬品を常に求める 砂糖の摂取を控える 栄養に関する科学諮問委員会(SACN)は、2歳以上の全年齢層における遊離糖類の平均摂取量が、 食事による総エネルギー摂取量の5%を超えないようにすることを推奨 しかし、子どもたちはその2~3倍を摂取しており、これが健康に悪影響を及ぼしているとしている 2) #20.
日本小児歯科学会は子どものイオン飲料(スポーツドリンク)について警鐘 👉イオン飲料の常飲で多数歯カリエスになることがある イオン飲料は経口補水輸液よりも糖分の濃度が高く甘味が強い(→虫歯の原因)ので習慣化する 傾向があり、pH は 3.6-4.6 (pH 5.4 以下ではエナメル質の脱灰が起こりやすい →酸蝕症の原因) 緩衝能・虫歯原因菌の活動抑制作用のある唾液の分泌量が減少する就寝前に与えるとこの傾向を助長 もう1つの原因として医療機関を受診したとき、輸液が必要でない軽度の脱水の場合は医師から市販の イオン飲料を勧められることがあるが、脱水が改善した後はイオン飲料による水分補給は必要ないという 指導は受けておらず保護者がイオン飲料を身体によい飲み物と思うばかりでなく子どもも欲しがり習慣化 * 過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は,普通の水を与える * 下痢や嘔吐で脱水症状がある時は経口補水液、症状改善後のどが渇いたときは普通の水を飲ませる * やむを得ず寝るとき与えるときは水を飲ませるか、後で綿棒や指先にガーゼを巻き、口腔内を清拭 1) フッ化物の効果と虫歯予防の実践 #21.
虫歯の予防 14) 厚生労働省 ■フッ化物配合歯磨剤の予防効果 世界的に多くの調査があり、報告数が最も多い予防率は30-40% 成人・高齢者の根面むし歯に対して67%の予防効果が報告 12) 歯磨剤はフッ化物歯面塗布と複合応用で、歯面塗布のみに比べ乳歯むし歯の減少率65% が認められた 13) 1)フッ素入り歯みがき粉をつけて2分間歯磨き(朝晩1日2回) 2)歯みがき粉を吐き出す 3)10-15mlの少量の水を含んで5秒ほどブクブクして1回だけ洗口 4)その後1-2時間は飲食をしない ダブルブラッシング法 (から磨きや、みがいた後で十分ゆすぎたい人のために) 1回目に、納得いくまで歯垢を除去し(ファーストブラッシング)、その後充分に洗口 2回目に、歯ブラシにフッ化物配合歯磨剤を利用(セカンドブラッシング)、うがいができる子は 軽く1回のうがい、うがいのできない幼児では、うがいのかわりにガーゼなどで拭う #22.
4学会合同のフッ化物配合⻭磨剤の推奨される利⽤⽅法【普及版】 2023 年3⽉3⽇ ⼀般社団法⼈ ⽇本⼝腔衛⽣学会 公益社団法⼈ ⽇本⼩児⻭科学会 特定⾮営利活動法⼈ ⽇本⻭科保存学会 ⼀般社団法⼈ ⽇本⽼年⻭科医学会 ⽇本の⼦どものう蝕は経年的に減少傾向にあるが、その罹患率は他の疾患と⽐較しても⾼く、また成 ⼈では約 3 ⼈に 1 ⼈が未処置う蝕を有し、⾼齢者ではう蝕経験者は増加している。 う蝕予防のフッ化物応⽤は 75 年以上の歴史で安全性と有効性が繰り返し確認されており、中でもフッ 化物配合⻭磨剤は⽇本で広く普及している。フッ化物応⽤の研究のアップデートや、市販⻭磨剤のフッ 化物濃度の変更、国際的な推奨の更新を受け、⽇本のう蝕予防および治療を専⾨とする4学会合同で、 現在の我が国における推奨されるフッ化物配合⻭磨剤の利⽤⽅法をまとめることとした。 1⽉に出された⽂章の普及版として、⼀部改訂、2ページ⽬以降の説明を削除、写真を著作権フリーも のに差し替えた。 4学会合同のフッ化物配合⻭磨剤の推奨される利⽤⽅法(2023 年3⽉) (⽇本⼝腔衛⽣学会・⽇本⼩児⻭科学会・⽇本⻭科保存学会・⽇本⽼年⻭科医学会) 年齢 ⻭が⽣ えてか ら2歳 使⽤量 フッ化物濃度 使⽤⽅法 1000 ppmF (⽇本の製品 を踏まえ 900~ 1000 ppmF) ・就寝前を含めて 1 ⽇ 2 回以上の⻭みがきを⾏う。 ・1000 ppmF の⻭磨剤をごく少量使⽤する。⻭みが きの後にティッシュなどで⻭磨剤を軽く拭き取って もよい。 ・⻭磨剤は⼦どもの⼿が届かない所に保管する。 ・⻭みがきについて専⾨家のアドバイスを受ける。 グリーンピース程度 (5mm 程度) 1000 ppmF (⽇本の製品 を踏まえ 900~ 1000 ppmF) ・就寝前を含めて 1 ⽇ 2 回以上の⻭みがきを⾏う。 ・⻭みがきの後は、⻭磨剤を軽くはき出す。うがいを する場合は少量の⽔で 1 回のみとする。 ・⼦どもが⻭ブラシに適切な量をつけられない場合は 保護者が⻭磨剤を出す。 ⻭ブラシ全体 (1.5cm~2cm 程度) 1500 ppmF (⽇本の製品 を踏まえ 1400~ 1500 ppmF) ・就寝前を含めて 1 ⽇ 2 回以上の⻭みがきを⾏う。 ・⻭みがきの後は、⻭磨剤を軽くは #23.
世界の予防 WHOは「砂糖の摂取を減らすことによる食事介入を除けばフッ化物配合歯磨剤の使用は 『う蝕』の発生率と重症度に影響を与えることができる唯一のセルフケア介入」としている 歯が生えたらすぐにフッ素入り歯磨き粉を使って1日2回歯磨きを始める その後すすがないように監督することなどを推奨 15) ケンタッキー口腔衛生連合(KOHC)は口腔衛生習慣は虫歯や 歯周病を予防、健康な口腔を維持として次のような方法で 一般向けに口腔衛生の実践を推奨 う蝕(虫歯)以外に 子どもの歯肉炎などもある 歯科で歯みがき指導 隙間の多い子供の歯ならびに入り やすい食べカスにはフロスがよい ・1日1回、通常は寝る前にフロスで歯を磨く ・起床後と就寝前の1日2回、フッ素入り歯磨き粉を使用して2分間歯磨きをする ・歯ブラシを3-4ヶ月に一度は交換、毛が磨り減っていた場合は必ず交換 ・デンタルシーラント(萌出したての奥歯の溝を埋めて虫歯予防する方法)を推奨 ・健康的な食べ物を食べ、甘い飲み物を避け、代わりにフッ素入りの水道水を選ぶと虫歯予防 16) #24.
歯科の診療室より 研修医の頃、かわいい笑顔の子供に虫歯が見つかって お母様(保護者)があまりにもがっかりしているのに 気づいてびっくりすることがよくありました 「子どもがこわがる歯医者さんに連れてきてくれただけでも GJ(グッジョブ)👍ですよ!虫歯は治せるから、大丈夫 これから治療と予防を一緒に頑張りましょう」と伝えるよう に今はしています 信頼関係ができてきたら、保護者の理解を得て 厳しい言い方をすることもあるかもしれませんが 子どもが大好きなおやつはダメ、痛いことをされるんじゃないかと 思ったら、歯医者さんのこと、キライになっちゃいますよね 子供の治療に慣れた歯科医院では、いろいろな工夫をしています TELL SHOW DO Tell 「これから風さんをかけるよ」「飛行機みたいな音がするよ」 「電車(の音)が虫歯をやっつけてくれるよ」 Show 「これを見て、特別に触ってもいいよ」 (器具を見せ、可能なら触れさせる) Do 「お口の中に掃除機をかけようね」(と言ってバキュームを行う) トークン:治療後にご褒美をあげてモチベーションにする 「歯みがきをしないと歯医者さんでまた嫌な目に会うよ!」 ほめる・はげます 仮に治療ができなくても「口を開けられた」などできたことを見つけて 保護者の前でほめ、自尊心を育てる みたいな言い方をしないようにお願いしています 必要な治療が受け入れられなくなって 本当に困るのはお子さん本人だからです 「ここまで頑張れたのはすごいです、おうちでもほめてあげて下さい」 「〇〇ちゃん、よくできたね!すごい、歯医者さんが怖いお友達にも 怖くないよ、僕できたよって教えてあげて」 子どもの歯の発達と予防の重要性 #25.
Tips ・子供の歯と顎や口腔の発達、機能は歯科の定期検診で要チェック ・小児期にできる一生の歯の予防(フッ素・歯みがき指導・食事習慣・定期検診) ・子供の歯の噛み合わせは顎の発達が関係している #26. References 1) 日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp (参照2022-02-24) 2) Public Health England, Guidance Health matters: child dental health, published 13 June 2017. https://www.gov.uk/government/publications/health-matters-child-dental-health/health-matters-child-dental-health (参照2022-02-23) 3) 乳幼児の口と歯の健診ガイド 日本小児歯科学会編 医歯薬出版株式会社. 2019. 4) 舘村卓, 原久永, & 和田健. 舌小帯早期切除施行症例における構音機能障害. 日本口腔科学会雑誌. 1993, 42(4). 5) Tham R and others. Breastfeeding and the risk of dental caries: a systematic review and meta‐analysis. Acta Paediatrica 2015, volume 104(S467). 6) Stephan, R. M., & Miller, B. F. A quantitative method for evaluating physical and chemical agents which modify production of acids in bacterial plaques on human teeth. Journal of Dental Research, 1943. 22(1), 45-51. 7) 下岡正八, 新谷誠康. 小児の歯科治療[診察・診査・診断]. 永末書店, 2010 8) 須貝昭弘. 子どもたちを健全歯列に導くためのコツ. クインテッセンス出版. 2015 9) 日本歯科矯正専門医学会. 「上顎前歯が前突した小児 (7歳から11歳)に対する 早期矯正治療は有効か?」https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/orthodontic-in-children/orthodontic-inchildren.pdf(参照202