#4.
• その名の通り、精巣の外傷 • 交通事故やスポーツなどによる鈍的な外力によって、精巣が恥骨や坐骨の間に挟 まれることで起こる • 海外などでは銃創やナイフなどの鋭的外傷も報告されている • スポーツや工事現場での外傷、ケンカ(膝蹴り)などが原因 • 症例報告が多いのは野球、バイク乗車中の追突事故など • 治療後の妊孕性・内分泌機能・抗精子抗体の出現に注意
#5.
問診 • 事故が起きた時の状況は重要 • スポーツなどの場合は目撃者も多く状況が分かりやすい • 一方で交通外傷や転落事故の場合は受傷の状況が分かりにくいことが多い • 事故の状況が分からない時は高エネルギー外傷として加療する • 高エネルギー外傷の場合、全身を精査する
#6.
視診・触診 • 陰嚢皮膚の裂傷や穿通創がないかどうかを確認する • 高エネルギー外傷の場合は骨盤の動揺性なども確認が必要 • 尿が出せるようなら排尿の有無・血尿の有無を確認する • 陰嚢の皮膚は広がりやすいため、出血量が多くなりやすい • 必ず対側も診察する(特に交通外傷など)
#7.
画像検査 • エコー:低侵襲で迅速 プロ―べはコンベックスではなく リニアを使用する ドップラーで精巣の血流を確認し、 精巣白膜損傷の有無も確認する 白膜破裂の所見は、 感度100%、特異度65%との報告あり 出血が多いとはっきりしないことも 精巣内の拍動 血管を確認する 白膜損傷と 脱出した 精細管 血種
#8.
画像検査 • エコー: 必ず両側の検査を行い、不安であれば何度でも行う • CT/MRI:造影で行う 白膜損傷を評価するために有用なほか、骨盤内の評価も可能 ただし、手術に移行するための時間的な妨げになってはならない 【参照】 Buckley JC, McAninch JW. Diagnosis and management of testicular ruptures. Urol Clin North Am. 2006 Feb;33(1):111-6, vii.
#9.
精巣周囲の出血のみの場合、経過観察可能 抗生物質の内服と鎮痛薬を処方し、冷却 陰嚢のおさまりが悪い&圧迫を期待し、ブリーフの着用がベター 通院指示のうえ、画像検査でフォローする ERで診察した際は後日の泌尿器科受診でOKだろう(受診をお約束頂く) 出血の経過により、虚血が生じる可能性があることを説明する
#10.
白膜損傷がある場合や精巣の血流障害がある場合は緊急手術 外傷を契機に精巣捻転が起こることもあるので要注意 受傷後72時間以内の外科的介入で80~90%で良好な機能的転帰が得られた 一方、遅延群では45~55%で機能的転帰が低下したとの報告あり 広範囲・精巣壊死の場合は精巣摘除だが、妊孕性やホルモン産生能の低下に 注意しなければならない 判断に迷ったら泌尿器科に相談(入院して経過を見ることもある) 【参照】 Wang Z, et.al. Diagnosis and management of testicular rupture after blunt scrotal trauma: a literature review. Int Urol Nephrol. 2016 Dec;48(12):1967-1976.
#11.
精巣外傷のTips:抗精子抗体について 精巣内の精細管は、密着結合を中心とした血液精巣関門(Blood-TastisBarrier:BTB)によって血液と遮断されている 精細管内を血液から遮断することで、精母細胞や管内側に移動した精母細胞を自 身の免疫学的攻撃から守っている 精巣外傷が生じると、精子が血液中に入り抗精子抗体が産生されることも 抗精子抗体の存在は不妊の原因(顕微授精が必要になる) 妊活の可能性がある人には説明が必要
#12.
25歳男性 既往歴なし 休日の草野球中にボールがぶつかり受傷 陰嚢は著明に腫大し、痛がっている 排尿は可能で血尿なし エコー上、白膜損傷なく精巣の血流も良好 ⇒抗生剤・鎮痛剤処方のうえ翌日の泌尿器科受診を指示した
#13.
20歳男性 既往歴なし バイクに乗車中、追突され陰嚢が挟まれ受傷&転倒 ヘルメットは脱げていた 陰嚢は著明に腫大し、痛がっている 排尿は可能で血尿なし 目撃者も少なく高エネルギー外傷として全身のスクリーニングを行った エコー上、精巣血流は確認できるが白膜の境界ははっきりしない ⇒入院のうえ、経過観察を行った ⇒翌日の画像検査では白膜損傷が明瞭化し、緊急手術となった
#14.
精巣外傷は手術適応が悩ましい疾患 泌尿器科でも遭遇することは珍しい 迷ったら相談 「砕石位はこう!」と示す泌尿器科医 入院経過観察も選択肢 【参照】 日本泌尿器科学会 急性陰嚢症診療ガイドライン 2014年版