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匿名希望
「尿道カテーテルのコツ」~現役泌尿器科医が教える、バルーン留置必勝法~ 男性編
#泌尿器科 #尿道カテーテル #バルーン挿入 #ゼリー #牽引
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最終更新:2021年12月20日
尿閉の診察~カテーテルの抜去を目指して~アプローチの方法
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最終更新:2022年7月20日
尿路結石について ~診断から初期対応まで~ 基本編
#泌尿器科 #尿路結石 #NSAIDs #尿管ステント #ESWL #TUL #PNL
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最終更新:2022年2月21日
精巣外傷 急性陰嚢症の診察 Vol.3
#高エネルギー外傷 #精巣外傷 #抗精子抗体 #精巣壊死
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最終更新:2022年4月11日
急性陰嚢症の診察 Vol.1 精巣捻転
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最終更新:2022年3月25日
血尿の対応 ER編 ~現役泌尿器科医が教える初期対応~
#救急外来 #血尿 #泌尿器科 #尿道カテーテル #血尿グレード #膀胱タンポナーデ
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最終更新:2022年1月5日
それって本当に尿管結石?!
#エコー #ER #尿管結石 #知識をつなぐ2020 #三銃士レクチャー
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最終更新:2021年1月13日
【#実体験】ダブルボードカリキュラムを見据えた救急科のキャリアデザインの一例【展望です】
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最終更新:2023年1月29日
NLP Practitionerと考える 医療現場でのコミュニケーションと心の保ち方
#コミュニケーション #患者説明 #終末期 #メンタルヘルス #Breaking Bad News
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最終更新:2023年1月23日
講師 サラリ医マン
医師、泌尿器科専門医、性機能専門医、性感染症専門医、医学博士。 都内での初期研修・後期研修ののち、 大学・基幹病院での臨床・研究に従事。 趣味が高じてファイナンシャルプランナー2級・ 福祉住環境コーディネーター3級を取得。 最近、「男性不妊戯画」がちょっと話題。
「先生、○○号室の△△さん、陰部が 腫れているんですけど診てください」 「はーい(併診状書けばいいかな…)」 救急外来では、急性陰嚢症と呼ばれる痛みを 伴った陰嚢腫大の相談が比較的多いでしょう 一方、病棟からの相談や「ついで」として無痛 性の陰嚢腫大が相談されることも 診察時に考えておくべきことを紹介します
4.
• 陰嚢水腫 • 精液瘤 • 精巣静脈瘤 • 陰嚢浮腫 • 腫瘍(精巣腫瘍・傍精巣腫瘍) • 鼠径ヘルニア 寝たきり患者さんなどは症状を訴えられないため、炎症を伴う疾患にも注意する
5.
Outer inguinal ring: 外鼠経輪 Tunica albuginea: 精巣白膜 Epididymis & Vas deferens: 精巣上体&精管 Tunica vaginalis: 精巣鞘膜 Visceral layer: 臓側版 Parietal layer: 精巣鞘膜板 ( 精巣白膜に接する ) Internal spermatic fascia: 内精筋膜 Cremaster muscle 精巣挙筋 Cremasteric fascia : 精巣挙筋膜 Tunica Dartos : Dartos 筋膜 ( 肉様膜 ) External spermatic facia : 外精筋膜 Skin : 陰嚢皮膚 鼠径ヘルニア 精索静脈瘤 精液瘤 精巣腫瘍 陰嚢水腫 陰嚢浮腫
6.
問診 • 有痛性の急性陰嚢症と異なり、正確な発症日時は分からない • 恥ずかしさなどから受診が遅れることも • 本人だけでなく、介護者が気づいて報告することも へそ~大腿は 「陰部」 と表現される 可能性 • ペニス・陰嚢・会陰すべて「陰部」として表現される • 陰部腫瘤として泌尿器科紹介⇒外痔核、などもあるため問診・触診は重要 • 患者背景も重要(前立腺肥大:鼠径ヘルニア 心不全:陰嚢浮腫 など)
7.
視診・触診 • 可能であれば立位で診察する(鼠径ヘルニア・精索静脈瘤の診察に有用) • 陰部のどの部分が腫れているのかを確認する 立位 • 片側か、両側か(両側の場合は陰嚢浮腫の可能性が高い) • 痛みがあるかどうか • 陰嚢皮膚を押して、圧痕性浮腫(Pitting Edema)があるかどうか • 陰嚢浮腫がある場合、下腿浮腫も確認する
8.
画像検査 • エコー: コンベックスではなく、リニアプローベを用いる ベッドサイドでも施行可能 簡易で低侵襲 必ず両側の検査を行い、不安であれば何度でも行う 精巣血流・精巣周囲の液体貯留(低エコー)を確認する 精索静脈瘤も診断可能だが、やや専門的(立位で評価する)
9.
画像検査 • CT: 鼠径ヘルニアを疑う場合は有用 同時に前立腺肥大も評価できる 尿道・陰嚢が入るように撮影指示を (前立腺部までしか撮影されていないことがある) • MRI: 精巣腫瘍を疑った場合(が、専門医の判断の下でOKだろう)
10.
陰嚢水腫 • 小児の場合は鼠径部での精巣鞘膜(鞘状突起)の開存によるものが多い • 成人の場合は炎症後など、はっきりとした原因は不明 • リンパ液の過剰分泌が原因と考えられている • 教科書的にはライトを用いて透過性を確認するが、エコーは精巣内の血流・ 腫瘍所見や交通性なども評価できるため望ましい • 小児は自然経過で治癒することが多い • 成人では自然治癒することはまれ
11.
陰嚢水腫 • 治療は経過観察、穿刺、根治術 • 小児は交通性の水腫が多いため、基本的には穿刺しない • 小児は自然治癒を期待するが、鼠径ヘルニアの合併がある場合は手術を検討 • 成人の非交通性水腫は穿刺しても良いが再発するほか、繰り返す穿刺は炎症を 誘発するため基本的には根治術を提案する • 穿刺の際はエコーで確認しながら、精巣を傷つけないように行う • 緊急性はないので、穿刺を行う際は泌尿器科医の指導下で施行する
12.
精液瘤 • 精液瘤は精巣上体や精管に生じる嚢胞状の腫瘤で、精巣上体頭部に好発する • 精巣上体管が閉塞などで破れ、漿膜下に精液が貯留する • 陰嚢水腫と同じく無症状であるため、気づいた時に発見される • 穿刺により精液を回収できれば確定診断だが、エコーでもある程度診断可能 • 放置しても問題にはならないが、大きくなる場合には外科治療の適応 • 治療により精管閉塞を起こす可能性もあるので、挙児希望を確認する
13.
精巣腫瘍 • 清掃腫瘍の発生には遺伝学的原因と環境因子が関わる • 家族歴、停留精巣、対側の精巣腫瘍の存在は危険因子 • 生下時および20〜40歳で多く見つかるが、60歳以上で見つかることも • 腫瘍の多くは精巣内の低エコー領域として検出される • ごく稀だが、傍精巣腫瘍も存在
14.
精巣腫瘍 • 腫瘍を疑った場合は造影MRI(泌尿器科に紹介ください) • 胸部~骨盤CT、頭部MRIによる転移検索ののち、高位除睾術±化学療法 • 若年発生のため、治療後の妊孕性についても意識する(事前の精子凍結など) • 腫瘍マーカーとしてはAFP、HCG、LDHを用いる • リンパ腫との鑑別としてIL-2を測定することも • 多発転移でも根治を期待できる場合もある、珍しい腫瘍
15.
精索静脈瘤 • 性腺静脈の逆流によって起こることが多いと考えられている • 性腺静脈が腎静脈に灌流する左側に多く、痛みを伴うことも • 陰嚢腫大という表現が多いが、陰嚢皮膚に怒張血管が隆起しているイメージ • 立位で診察し、怒責による膨隆やエコーで血管拡張・逆流を確認する • 男性不妊にもつながることがあるので、泌尿器科に紹介を • 痛みが強い・本人の希望があれば手術を行う (鼠径部で血管処理を行う顕微鏡下低位結紮術が根治性が高い)
16.
鼠径ヘルニア • タマが腫れている→鼠径ヘルニア、は意外に多い • 可能なら立位で診察し、必要に応じ怒責させて鼠径部の膨隆を確認 • 陰嚢皮膚から鼠径部に指を入れ、ヘルニアザックを触知する • エコーでは精巣と異なる場所に蠕動を伴った脱出腸管が分かることも • 前立腺肥大や腹部の手術歴なども発生に影響しているため、まとめて評価で きるCT(単純)は有用 • 嘔気や発熱などの緊急性がなければ経過観察可能だが、外科に紹介しよう
17.
陰嚢浮腫 • タマが腫れている→陰嚢浮腫、の相談も多い • 基本的に両側に生じ、陰嚢皮膚が緊満するまで包皮を含め際限なく腫大する • 背景に心不全や肝不全といった体液貯留をもたらす疾患や、悪性腫瘍などのリ ンパ浮腫を生じる疾患を念頭に精査を進める • 陰嚢を触診し、Pitting Edemaがあるかどうかである程度の診断が可能 • 下腿浮腫がなく、陰嚢浮腫のみが生じるケースも • エコーでは正常な精巣と、肥厚した陰嚢皮膚を認める
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陰嚢浮腫 • 採血・画像検査によるスクリーニングののち、該当する科に紹介を • 浮腫を呈した陰嚢は皮膚が脆弱で、褥瘡や血流不全が生じやすい • ジメチルイソプロピルアズレン(アズノール)軟膏などによる皮膚の保護も有効 • 浮腫が包皮まで及ぶケースは、排尿障害や尿路感染症、嵌頓包茎に注意する • 肉芽の上がりも悪いため、潰瘍などの皮膚処置には注意(泌尿器科に相談) • 体液貯留に対する根本的な問題を解決することが重要だが、ボクサータイプ の下着などで陰嚢を圧迫することで対応可能
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30代男性 独身 入浴時に左陰嚢のしこりを自覚 言われてみると、ここ数ヶ月で徐々に大きくなってきたような気がする その他の症状はない エコー:精巣内部に血流を伴った渦巻き状の低エコー像を認める ⇒精巣腫瘍 泌尿器科に紹介し、精子保存凍結の上で高位除睾術が予定された
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80代男性 長期寝たきり 尿道カテーテルを留置中で、意思疎通は難しい 清拭時に右陰嚢の腫れに気がついたため紹介 発熱なし 触診を行うと痛そうに顔をしかめる様子あり エコー:精巣の近傍に血流豊富なエコー像を認める ⇒精巣上体炎 抗生物質を投与し、陰嚢は適宜冷却のうえ経過観察とした
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50代男性 耐糖能異常フォロー中 両側陰嚢の腫れを主訴に来院 診察では両側の陰嚢腫大を認め、指で押した部分がくぼむ 陰茎・尿道口は浮腫状の陰嚢皮膚・包皮に隠れて見えず、常に失禁している ⇒陰嚢浮腫 精査の過程で、新規発症かつ未治療の心筋梗塞と心不全が見つかる 内科に紹介し、入院加療の方針となった 尿道カテーテルを留置したが、陰嚢浮腫の改善に伴い抜去した
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70代男性 ADL自立 以前より右陰嚢腫大を自覚していたが、最近歩くのにも難渋し来院 エコーでは精巣周囲に血流のない低エコー像を認める 鼠径部との交通性はない ⇒陰嚢水腫 手術を勧めるも入院に気乗りせず 泌尿器科に相談の上、エコー下に18G留置針を精巣を傷つけないように穿刺 再燃する可能性が高く、定期的に穿刺するか根治術が必要だろうと説明した
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無痛性陰嚢腫大は精巣腫瘍の鑑別が重要 泌尿器科以外の疾患でも鼠径部~陰嚢は腫れる エコーはベッドサイドでもおこなえ、簡便 エコーケーブルのねじれを直す泌尿器科医 陰嚢以外に鼠径部や下腿なども診察しよう 【参照】 日本泌尿器科学会 急性陰嚢症診療ガイドライン 精巣腫瘍診療ガイドライン 2014年版 https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/09_acute_scrotum_2014_2.pdf 2015年版 https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/22_testicular_tumor_2015.pdf