#4.
これは「かぜ」でしょうか? 発熱38℃と咳がある1歳児。
食欲はないが、水分は摂れている。
咽頭発赤あり。 質問:これはかぜでしょうか?
はい いいえ
#5.
「かぜ」
とは限らない
#6.
発熱はいつから?→ 発熱4日目は血液検査
呼吸数、心拍数、脱水所見は?→ 重症度項目を満たせば血液検査
聴診は?→ cracklesがあれば胸部X線検査
鼓膜は? 迅速検査は? 尿検査は?
#7.
かぜ診療をする小児科医の頭の中
#8.
現時点では「かぜ」だと思います。
#9.
本日のおしながき ウイルス性上気道炎(かぜ) ウイルス性胃腸炎(おなかのかぜ)
#10.
診断のこと ウイルス性上気道炎(かぜ)
#11.
How to
かぜ診断
#12.
#13.
#14.
ケース1
1歳10カ月児の発熱、咳嗽、鼻汁 5日前から、咳が出始めた。
4日前から、咳がひどくなった。鼻汁も目立つようになった。
3日前から、体温38.3℃の発熱あり、以降続いた。
2日前、近医を受診した。上気道炎として鼻汁吸引の指導と、L-カルボシステイン処方を受けた。
本日、咳嗽、鼻汁、発熱が続き、当院を紹介された。 質問:かぜと即断できる?
はい いいえ
#15.
いいえ
発熱4日目であるため
#16.
血液検査→ CRP 1.2mg/dL
鼓膜発赤なし
「熱は長引いていますが、こじれていません。現時点では普通のかぜだと考えられます」 用語 CRP(C反応性蛋白):体内で炎症や細胞・組織破壊が起こると血中に増加する蛋白。
#17.
かぜの臨床的特徴 咳は1日目にピークとなる。
鼻汁・鼻閉は3日目にピークとなる。
咳嗽・鼻汁は6歳未満で14日、6歳以上で5~7日続く。
頭痛は15%にある。
発熱は15%にあり、最初の3日間で減少する。 Diane E Pappas : The common cold in children: Clinical features and diagnosis. UpToDate(Last updated Apr 05, 2022)
#18.
ケース2
3歳の発熱 前日、発熱38.5℃がみられた。
本日、当院を受診した。
呼吸数45回/分、心拍数170回/分。 質問:かぜと即断できる?
はい いいえ
#19.
いいえ
多呼吸と頻脈が、重症度項目に該当
#20.
血液検査→ CRP 6.8mg/dL
胸部X線:肺野に異常陰影なし
尿中白血球 陽性
「尿路感染症です。入院が必要です」
#21.
重症度項目 用語 JCS(Japan Coma Scale):意識障害を評価する指標。
CRT(capillary refill time):爪を5秒間加圧した後に解除し、爪の赤みが回復するまでの時間。
#22.
ケース3
日齢19の発熱 19日前、在胎39週1日、2,960gで元気に出生した。
本日、体が熱かった気がしたので体温を測ると、38.1℃だった。 質問:かぜと即断できる?
はい いいえ
#23.
いいえ
3か月未満の発熱
#24.
直腸温は37.6℃。
薄着にして15~30分後に再度検温すると、腋窩温36.9℃だった。 追加情報
#25.
生後3カ月未満で検査(血液・尿・胸部X線)を
省略できるケース 全身状態良好が前提。
日齢29以降で、インフルエンザやRSウイルス迅速検査が陽性。
うつ熱直腸温が38.0℃未満、または薄着にして15~30分後に再度検温し腋窩温が正常化。
予防接種から48時間以内の発熱肺炎球菌ワクチンとHibワクチンは接種0~2日後に発熱しやすい。24時間以内に解熱する。
#26.
2日前、発熱、咳嗽が出現した。
本日、発熱が続くため当院を受診した。
体温38.4℃、心拍数130回/分(覚醒時)、呼吸数30回/分、SpO2 95%、見た目はぐったりしていない、意識清明、吸気と呼気にcracklesを聴取、陥没呼吸なし、皮膚ツルゴール低下なし、口腔粘膜の乾燥なし、CRT 2秒。尿路感染症の既往はない。 ケース4
1歳の発熱、咳嗽 質問:かぜと即断できる?
はい いいえ
#27.
いいえ
cracklesを聴取
#28.
胸部X線検査→ 右下肺野に肺炎像あり
血液検査を追加→ CRP 9.4mg/dL
「細菌性の肺炎です。抗菌薬治療が必要です」
#29.
cracklesは気管支炎か肺炎 気管支炎はほとんどがウイルス性である。
肺炎は細菌性の可能性がある。
cracklesがあり胸部X線に異常がなければ気管支炎、異常があれば肺炎とシンプルに考える。
肺炎では血液検査をする。初学者はCRP 4未満ならウイルス性、4以上なら細菌性と考える。
細菌性であれば抗菌薬。入院か外来かは重症度で。
#30.
ケース5
生後11カ月の発熱、咳嗽、鼻汁 2日前、発熱し、咳と鼻汁が出てきた。
前日、近医を受診し、L-カルボシステインを処方された。
本日、熱が続くため、当院を受診した。
体温38.8℃、心拍数150回/分(覚醒時)、呼吸数35回/分、脱水所見なし、cracklesなし。鼓膜所見なし。保育園には通っていない。3歳の兄に咳嗽、鼻汁がある。 質問:かぜと即断できる?
はい いいえ
#31.
いいえ
迅速検査の必要性を吟味していない
#32.
新型コロナPCR検査→ 陽性
家族全員が濃厚接触者として検査され、全員陽性
#33.
迅速検査の基準
#34.
かぜ診療をする小児科医の頭の中
#35.
かぜと診断する検査はない
#36.
#37.
小児科外来に
やってくる子どもは、
ほとんどかぜ かぜ診療に自信を持てば、
小児科外来は9割OK
#38.
本日のおしながき ウイルス性上気道炎(かぜ) ウイルス性胃腸炎(おなかのかぜ)
#39.
診断のこと ウイルス性胃腸炎
(おなかのかぜ)
#40.
How to
胃腸炎診断
#41.
これは「胃腸炎」でしょうか? 本日、朝から腹痛がある7歳児。
昼に当院受診。病院で嘔吐した。
下痢はしていない。
発熱なし、頻脈なし、多呼吸なし。 質問:これは胃腸炎(おなかのかぜ)でしょうか?
はい いいえ
#42.
「胃腸炎」
とは限らない
#43.
#44.
胃腸炎診療をする
小児科医の頭の中 Yes No No No No No Yes No 血便
虫垂炎 ウイルス性胃腸炎 浣腸が有効
その他鑑別 尿路感染症腸重積 嘔吐3日目
重症度項目 下痢 腹痛 嘔吐
#45.
現時点では「胃腸炎」だと思います。
#46.
ケース6
2歳の下痢 4日前、下痢が出現した。
3日前、近医を受診。胃腸炎として、ビオフェルミン®処方。
本日、下痢が続くため、当院を受診。
排便は1日4~5回。保育園の感染症の流行はない。おむつに持参した便は水様便から軟便で、血液の混入はない。
体温36.6℃、心拍数120回/分(覚醒時)、呼吸数28回/分、SpO2 99%。腹痛なし。口腔粘膜の乾燥なく、皮膚ツルゴール低下なし。 質問:胃腸炎(おなかのかぜ)と即断できる?
はい いいえ
#47.
はい
重症度項目に該当せず、下痢あり、血便なし、虫垂炎らしさもなし、下痢が5日目
#48.
胃腸炎の臨床的特徴 下痢があれば、多くがウイルス性胃腸炎。
嘔吐は1~2日で治まり、下痢のピークは1週間。嘔吐3日目は、胃腸炎らしくない所見である。
春はロタ、夏はエンテロ、冬はノロ、一年通じてアデノウイルス。ロタ、ノロ、アデノは迅速検査あり。
ロタウイルスワクチンは有効率98%。
#49.
ケース7
7歳の腹痛、嘔吐 本日、急激にお腹が痛くなったため受診。待合室で嘔吐した。吐物は食物残渣のみ。
昨日、排便は普通にあった。
体温36.3℃、心拍数100回/分(覚醒時)、呼吸数24回/分、SpO2 99% 質問:胃腸炎(おなかのかぜ)と即断できる?
はい いいえ
#50.
いいえ
下痢のない腹痛
#51.
グリセリン浣腸→ 排便あり
30分後、腹痛も嘔気も改善
「便秘症による腹痛だったのでしょう。帰宅後すぐにお腹が痛くなるようであれば、ただの便秘症ではないかもしれませんので再度受診してください」
#52.
便秘症の臨床的特徴 腹痛の原因として最多。腹痛で救急外来を受診する小児の23%が便秘症である。
下痢でなければ便秘症はありえる。
腹部X線は、感度60%、特異度43%。浣腸してみないと便秘かどうか分からない。
#53.
ケース8
4歳の嘔吐 2日前、活気がなくなってきた。食欲低下。
前日、嘔吐が出現。夜から呼吸が荒くなった。
本日、嘔吐が持続し、ぐったりして眠りがちになってきたため、当院を受診。
体温36.6℃、心拍数140回/分(睡眠時)、呼吸数44回/分、SpO2 99%。痛み刺激には反応する。皮膚ツルゴール低下あり。 質問:胃腸炎(おなかのかぜ)と即断できる?
はい いいえ
#54.
いいえ
多呼吸やツルゴール低下が重症度項目に該当
#55.
静脈血液ガス→ pH 7.003、PCO₂ 16.4mmHg、HCO₃ 3.9mmol/L、BE -27.1mmol/L、Glu 452mg/dL
追加情報:1カ月前から水分摂取がすごく増えて、夜尿も出現した。
#56.
腹痛・嘔吐のピットフォール
#57.
胃腸炎診療をする
小児科医の頭の中 Yes No No No No No Yes No 血便
虫垂炎 ウイルス性胃腸炎 浣腸が有効
その他鑑別 尿路感染症腸重積 嘔吐3日目
重症度項目 下痢 腹痛 嘔吐
#58.
本日のおしながき ウイルス性上気道炎(かぜ) ウイルス性胃腸炎(おなかのかぜ)
#59.
小児科外来に
やってくる子どもは、
ほとんどかぜ かぜ診療に自信を持てば、
小児科外来は9割OK
#60.