テキスト全文
急性リンパ性白血病の基本情報と治療の流れ
急性リンパ性白血病の新規治療と病態
#6. 組織 骨髄 血液 造血幹細胞 骨髄系前駆細胞 リンパ系前駆細胞 巨核球 好中球 単球 単芽球 骨髄芽球 前赤芽球 赤芽球 リンパ芽球 B細胞 NK細胞 樹状細胞 マクロファージ 血小板 赤血球 巨核芽球 網状赤血球 前骨髄球 胸腺 形質細胞 T細胞 急性リンパ性白血病の起源 ここの細胞が増える病気!! 増殖ON/分化OFF
の異常 正常造血
の阻害 末梢血・臓器・
中枢神経への浸潤
急性リンパ性白血病の症状と診断方法
#7. Bリンパ芽球はずっと骨髄にいる 悪性リンパ腫との違いを押さえよう 悪性リンパ腫で
増えてる細胞
=成熟したリンパ球 リンパ節で増える まずリンパ節腫脹 主に骨髄で増えてくから
リンパ節は腫れるとは限らない Tリンパ芽球は早々に
骨髄から胸腺へ 縦隔腫瘤を伴って
発症することが多い
#8. 呼び名の確認 骨髄 髄外 胸腺 Tリンパ芽球 Bリンパ芽球 リンパ節 Bリンパ芽球 Tリンパ芽球 Bリンパ球 Tリンパ球 悪性リンパ腫
Malignant lymphoma 急性リンパ性白血病
Acute lymphoblastic leukemia (ALL) リンパ芽球性リンパ腫
Lymphoblastic lymphoma (LBL) 増えてる細胞は同じ。
増えてる場所が違うだけ
#9. 血小板 赤血球 好中球 体内に侵入してきた細菌を殺す 酸素を全身に運搬 止血 血小板 赤血球 好中球 感染症 (発熱性好中球減少症) 貧血 (息切れ、倦怠感) 出血 (鼻出血や点状出血など) 正常造血の阻害 増殖した細胞の臓器浸潤 リンパ節腫脹や髄外腫瘤
※中枢神経へ浸潤しやすい (=自然免疫) 急性リンパ性白血病の症状 頭痛、嘔吐、神経症状など
急性リンパ性白血病の診断基準と治療戦略
#10. 急性リンパ性白血病の診断 何らかの症状 血液検査 末梢血中の芽球
貧血
血小板低下 骨髄検査 骨髄中芽球≥20% 急性白血病 ペルオキシダーゼ染色<3% 急性リンパ性白血病
(or AMLの一部) 染色体検査
t(9;22)があるかどうか PCR検査
BCR-ABLmRNAがあるかどうか フローサイトメトリー
B細胞か、T細胞か
AMLの一部か
#11. 増殖スイッチの代表格"BCR-ABL融合遺伝子" 9番 22番 ABL BCR BCR-ABL 血液細胞の増殖を制御 増殖スイッチがずっとON 融合遺伝子 "転座" B細胞
受容体 BCR-ABL ATP
(エネルギー3つ) 8番染色体 融合遺伝子 チロシン基 リン酸化 融合遺伝子 様々な命令
(細胞増殖など)を
伝達する ADP
(エネルギー2つ) チロシンキナーゼ 制御不能に繰り返す BCR-ABL阻害薬
(=チロシンキナーゼ阻害薬の1種) フィラデルフィア染色体(= Ph)
#12. 腫瘍細胞の量 1兆 寛解 10億 寛解導入療法 地固め療法 寛解
白血病を"コントロール"できて、
正常造血を取り戻した状態
(芽球<5%) 0 白血病細胞が0になれば"完治" 白血病細胞が0にならなかった場合は数か月~数年後に再発する 再寛解導入療法 化学療法で治る可能性が
低い場合は
造血幹細胞移植などを行う 地固め療法 急性リンパ性白血病の治療
寛解導入療法とその実際
#13. 寛解導入療法の実際 エンドキサン、ダウノルビシン、
オンコビン、Lアスパラギナーゼなど ステロイド 正常な白血球 白血病細胞 嘔気 脱毛 感染症好発時期 腫瘍崩壊症候群 DIC(血がサラサラ) 骨髄検査!! 輸血療法 1setの化学療法で
8~9割が寛解に
なります 30日
ちょっと 約5%、致命的な合併症が起こりうる!! 悪性リンパ腫のCHOPの強化版
(敵は同じリンパ球) 白血病が中枢神経に入りやすいため 抗がん剤の
脳せき髄腔への投与(髄注)
#14. Ph陽性の場合 ステロイド 正常な白血球 白血病細胞 感染症好発時期 腫瘍崩壊症候群 DIC(血がサラサラ) 骨髄検査!! 輸血療法 これだけで
ほぼ全例が
寛解に!! 4週くらい 致命的な合併症の頻度が減少した!! 抗がん剤の髄注 ダサチニブやイマチニブ(BCR-ABL阻害薬) 状態落ち着いたところで エンドキサン
ダウノルビシン
オンコビン
ステロイドなど
+
BCR-ABL阻害薬
#15. 化学療法で治るかどうかの判断 腫瘍細胞の量 寛解 寛解導入療法 予後因子①
寛解導入療法の効き目 0 治療終了後再発する可能性大 微小残存病変 (MRD)あり 完治!! 精密検査で
残存病変あり 残存病変なし 寛解だけど、
・フローサイトメトリー
・PCR
で白血病を検出できた場合 最初の治療反応性が
最終的な予後も左右する!! 化学療法に加えて
造血幹細胞移植も検討
急性リンパ性白血病の予後因子と新規治療法
#16. 化学療法で治るかどうかの判断 腫瘍細胞の量 寛解 寛解導入療法 地固め療法 予後因子②
白血病の質 0 予後良好群
化学療法のみで治る可能性が高い 予後不良群
化学療法のみでは治らない
可能性が高い Ph染色体陽性
Ph染色体陽性のような増殖力
初発時白血球数>3万 小児
予後不良因子を持たない
#17. ALLの新規治療 CD22 抗CD22抗体 カリケアマイシン
(抗がん剤) イノツズマブ
(ベスポンサ) CD19 B細胞性ALL CD19受容体
+
CD3受容体 ブリナツモマブ
(ビーリンサイト) T細胞 強制的に
T細胞を活性化 癌細胞を
攻撃! 抗がん剤をぶちこむ! B細胞性ALL CD3 B細胞性ALL CD19 CD19受容体 リンパ球
回収 T細胞を改造!! 活性化して
癌細胞を攻撃!! キメラ抗原受容体-T細胞療法
(CAR-T)
#18. Tips ・発生頻度は小児と高齢で2ピーク
小児の中で最も頻度が高い悪性腫瘍!! AMLは骨髄球系(自然免疫)を壊す治療
ALLはリンパ球系(獲得免疫)を壊す治療 ・小児 > 若年成人 > 成人 > 高齢と完治率は低くなる ・急性骨髄性白血病(AML)との治療の違いは?? →ALLは細胞性免疫・液性免疫がより低下する
・サイトメガロウイルスなどのウイルス感染症
・ステロイドの副作用 高齢になればなるほど白血病の"タチ"が悪い
高齢になればなるほど化学療法の耐用性が低い 中枢神経への治療(髄注など)も頻回に必要!!
急性リンパ性白血病のまとめと重要ポイント
#19. (どの細胞に) (何が起こって)(結果どうなる) 急性リンパ性白血病とは リンパ芽球に 増殖ON・分化OFF
となる遺伝子変異 正常造血の阻害
増殖細胞の臓器浸潤 Take Home Message