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医師の働き方改革解説スライド(詳細編)

投稿者プロフィール
厚生労働省

医政局医事課 医師等医療従事者働き方改革推進室

66,346

80

概要

厚生労働省の勤務医に対する情報発信に関する作業部会の議論を反映し、医師の働き方改革の院内及び関係者間での制度周知に活用するために厚生労働省が作成したものです(Q&A付き)。

(参考)「医師の働き方改革解説スライド(基礎編)」https://slide.antaa.jp/article/view/bde0d929fe6445f7

参考文献

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テキスト全文

  • #1.

    医師の働き方改革 ~患者さんと医師の未来のために~

  • #2.

    目次

  • #3.

    我が国の医療と医師の働き方

  • #4.

    日本の医療は、「いつ、どこにいても必要な医療が受けられる社会」を作り上げてきました。この安心・安全をこれからも守り続けるために、医療者が日々努力を重ねています。

  • #5.

    しかし、この「いつ、どこにいても必要な医療が受けられる」社会は、医療者の中でも特に、一部の医師の極めて長時間の労働によって支えられているのが現実です。

  • #6.

    みなさんが長時間、医療現場と向き合う中で、例えば、たくさんの業務がある中で、「他の医師や他の職種の方々に助けてもらえそうな業務はなるべくシェアしたい」と思ったり、「たまには休んだり、自分の時間も大切にしたい」というような思いを持つようなこともあるのではないでしょうか。

  • #7.

    このような、医師が体と心のゆとりが持てない状態では、患者さんに不安を与えかねません。

    さらには、睡眠時間が短く、疲労がたまった状態では、判断力が鈍り、医療事故につながる可能性もあります。

  • #8.

    さらには、今後、日本の医療を取り巻く状況はますます大きく変化していきます。

    例えば、高齢化が進む中で、それぞれの地域における高齢者は増加し、医療需要が高まっています。

    また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、がんなどの集学的治療の割合が高まるなど、医療ニーズも変化してきています。

    特に高齢者においては、こうした複数の疾患を持つ患者さんが多く存在し、患者さんの生活や健康状態に合わせた総合的な医療提供が求められます。

  • #9.

    その一方で、少子化により人口減少社会を迎える中、医療界においてもマンパワーの確保が困難となりつつあります。

    少子高齢化の進み具合は地域により異なりますが、地域によっては、医療人材の確保や、医師の偏在がこれまで以上に課題となっていきます。

  • #10.

    このように求められる医療の役割が増え、一方でそれを支えるマンパワーの確保が難しくなっていく中、医師個人の業務量はこれからも増加していくかもしれません。

    高齢者の増加によって、患者さんの治療にはより時間と人手がかかります。

    また、医師は生涯修練が求められる職業ですが、最新の高度化した医療を提供するための「担い手」としての修練には、これまで以上に年月がかかることも想定されます。

  • #11.

    医療はすでに、医療者の精一杯の努力で支えられている中で、今後、こうした状況の変化が見込まれます。

    地域に必要とされる医療を守り続けるためには、医師を含む医療の担い手が、より持続的に医療を提供できるような社会の実現が必要になってきます。

  • #12.

    そのためには、医療分野でも、時間の制約のない働き方ができる人だけで業務を行うようなやり方を見直して、子育て中の方々や高齢な方々など、多様な環境にある医療従事者が活躍しつづけるために、働きやすい環境を作っていくことが大切です。

  • #13.

    こうした中、医師の働き方改革を進めていくことは、医師本人だけでなく、患者さんにとっても重要なことです。

    医師の働き方改革の推進による、医師にとってのメリットとしては、

    ①前日の勤務から翌日の勤務までの間のインターバルが確保されることで、必要な休息をとれるようになる、ということや、

    ②医療現場全体でのタスク・シフト/シェアを推進することで、医師でなければできないより専門的な業務に集中できるようになる

    といったことが考えられます。

  • #14.

    一方で、医師の働き方改革の推進による、患者さんにとってのメリットとしては、

    ①医師の健康が確保されることで、医師の作業能力が適切に維持され、インシデント、アクシデントの発生が抑えられるようになり、より安心・安全な医療が受けられる、ということや、

    ②医療従事者それぞれの専門性を活かした医療提供システムが形成されることで、患者さんの個々の状況にあわせた医療サービスの提供が進み、結果としてその患者さんにとっての質の高い医療が受けられる

    といったことが考えられます。

  • #15.

    働き方改革は、雇用主や管理者だけの問題ではなく、職場の全員が主人公です。

    いまの働き方の何を大事にし、何を見直して行くべきか、年代や職種を越えてみんなで話し合えば、職場の文化は変えていくことができます。

    医療を未来へつなぎ、そして守り続けるために、それぞれの医療機関で働き方改革を進めていきましょう。

  • #16.

    Question ! 長時間労働によるデメリットの具体的な内容が知りたいです。 データはありますか? Answer ・下図のとおり、勤務時間が長くなるほど、医療事故やヒヤリ・ハットを経験した割合が高いこと が指摘されています。このほか、長時間労働がパフォーマンスの低下やバーンアウト(燃え尽 き)のリスクと関連することなども指摘されています。 医療事故やヒヤリ・ハットの経験 (勤務時間区分ごと) (平均的な1ヶ月における実勤務時間) (出典)平成29年度厚生労働省・文部科学省委託「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書(医療に関する調査)」 ※詳細は、以下「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル」も参考にしてください。 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000708162.pdf 我が国の医療と医師の働き方

  • #17.

    Question ! 睡眠不足だと、診療にどのような問題が生じるのですか? Answer ・睡眠不足は、作業能力を低下させたり、反応の誤りを増加させたりすることがわかっています。 ・また、慢性の睡眠不足では、主観的な眠気と客観的な疲労・覚醒度低下が乖離することが知られ ています。長時間労働等により慢性的な睡眠不足を強いられている長時間労働の医師は、強い疲 労度を感じながらも、医師としての強い使命感・責任感により勤務を継続しつつ、眠気を感じな い、すなわち、主観的眠気を生理学的に認識しづらい状況下で、過重労働を継続していることに 注意が必要です。 ※厚生労働省の検討会において、睡眠と疲労の関係についてのデータが報告されています(第5回医師の働き方改革 に関する検討会 資料1-2)。 URL:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000189110.pdf ※以下「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル」も参考にしてください。 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000708162.pdf 我が国の医療と医師の働き方

  • #18.

    制度の基本について~基本的な労働法制~

  • #19.

    医師も雇用されている勤務医であれば、労働者であり、労働基準法が適用されます。

  • #20.

    労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことであり、明示・黙示にかかわらず、使用者の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間にあたります。

    診療をしている時間だけが労働時間、というわけではなく、着用を義務付けられた服装への着替えや、診療前後のカルテ確認、申し送りの時間など、業務に必須の準備や後処理を行う時間は基本的には労働時間に該当することになります。

  • #21.

    医師の労働時間を考える上で重要なのが、“宿直”についての考え方です。

    医療法上の規定で、病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならないこととされています。

  • #22.

    では、いわゆる“宿直”の時間は労働時間に含まれるのかどうか、という点ですが、原則的な考え方としては宿直中の手待ち時間であっても労働時間に含まれることになります。

    一方で、勤務する医療機関が労働基準監督署による「宿日直許可」を受けている場合は、その宿日直に携わる時間は、例外的に労働基準法上の労働時間についてのルールが適用されないことになります。

    ただし、例えば、突発的な事故による応急患者に対応するための診療の時間など、許可を受けた宿日直中に通常の勤務時間と同様の業務に従事する時間については、許可の効果が及ばず、労働基準法の適用があります。

  • #23.

    そのため、“宿直”が労働時間に含まれるかどうかは、勤務する医療機関の「宿日直許可」の有無によって異なります。

    まずは、自身の勤務している医療機関での“宿直”の取扱いがどうなっているのかを確認することが大切です。

    なお、労働基準監督署による宿日直許可の基準としては、

    ・ 常態として、ほとんど労働する必要のない勤務であり、通常の労働の継続ではないこと

    ・ 問診等による診察など、特殊の措置を必要としない軽度又は短時間の勤務であること

    ・ 夜間に十分睡眠がとり得ること

    などが必要とされています。

  • #24.

    続いて、いわゆる“研鑽”の時間は労働時間に含まれるのかどうか、という点ですが、”研鑽”であっても上司等の明示・黙示の指示があるものの場合には、労働時間に該当することになります。

    “研鑽”の時間も含めて、医療機関で過ごしている時間が全て労働時間になるというわけではありませんが、労働時間に該当するかどうかは、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかによって判断されることになります。

    例えば、自らの知識の習得や技能の向上のために行う研鑽のうち、診療等の本来業務と直接の関連性がなく、上司等の明示・黙示の指示無く行われるようなものであれば、医療機関にいる時間であっても労働時間には該当しません。

    一方で、上司等の明示・黙示の指示によって行われるものであれば、所定労働時間外に行われるものであったとしても、労働時間に該当することとなります。

  • #25.

    まずは、自身の勤務している医療機関において、研鑽についての取扱いがどうなっているのかを確認することが大切です。

    一般的に研鑽に当たると判断されるものの具体例としては、

    ・ 診療ガイドラインや新しい治療法等の勉強

    ・ 自主的な学会・院内勉強会等への参加・準備、専門医の取得・更新に係る講習会受講等

    ・ 宿直シフト外で時間外に待機し、手術・処置等の見学を行うこと

    などが挙げられます。これらについて、労働時間に該当するものと労働時間に該当しないものを明確にするための院内のルール、手続き等の取扱いを確認しましょう。

  • #26.

    ここまでは、労働時間自体の考え方について説明しましたが、では、その労働時間には上限はあるのでしょうか。

    勤務医も労働者である以上、労働基準法で、1 日や1週間の中で働くことのできる時間が決まっています。

    法律上で定められている法定労働時間は、1 日で 8 時間、1 週間で 40 時間までとされており、法定休日は 1 週間に 1 日以上とされています。

    この基準が労働基準法の大原則ではありますが、やむを得ずこのルールを超える場合には、労働者と医療機関との間で予め協定を締結しておく必要があります。

    この協定に関するルールは、労働基準法第 36 条に規定されているため、通称「サブロク協定」と呼ばれています。

  • #27.

    ただし、36 協定を締結する場合でも、「無制限に時間外労働や休日労働ができる」という内容の協定を結ぶことができるわけではなく、時間外労働や休日労働の上限を定めて締結することになります。

    また、36 協定で定められた時間はあくまで上限の時間であり、その時間まで働かなければならなくなるわけではありません。

  • #28.

    まずは、自身の労働条件がどうなっているのか、労働条件通知書等を元に確認して理解しておきましょう。

    なお、医療機関との間で締結される 36 協定においては、

    ・時間外・休日労働を行う業務の種類

    ・1 箇月、1 年に延長することができる上限時間

    ・休日労働の上限回数

    などが定められています。

  • #29.

    適用されている労働時間制によって労働時間の取扱いが異なってくる場合がありますので、労働条件を確認するときには、自分の労働時間がどのように取り扱われているのかも確認しましょう。

    医療機関によっては、通常の労働時間制以外にも、変形労働時間制やフレックスタイム制、大学病院などでは専門業務型裁量労働制などの制度が適用される場合もあります。

  • #30.

    Question ! 自分の労働条件はどうすれば確認できますか? Answer ・使用者(医療機関)は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、 労働時間その他の労働条 件を明示しなければならない とされており、法律で規定する一定の主要な労働条件については、 労働条件通知書を交付するなど、必ず書面で明示する必要があります。 ・このため、新たに働き始めるときには、労働条件通知書を受け取りましょう。労働条件通知書の 記載事項では主に以下の8つの項目を確認することができます。 ① 雇用期間 ② 勤務地等 ③ 業務内容 ④ 勤務時間 (いつからいつまで) (どこで働くか) (どんな仕事内容か) (シフト等の時間は) ⑤ 休日休憩 ⑥ 給料計算 ⑦ 支払時期 ⑧ 退職解雇 (何日か・何分か) (時給・月給・交通費等) (賃金の支払い日は) (辞める時の手続き) ・このほか、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定 めた職場における規則集である「就業規則」を確認することも重要です。なお、労働条件通知書 を紛失した場合など、自分の労働条件が分からない場合には、人事関係を担当している部署に相 談してみましょう。 基本的な労働法制について

  • #31.

    Question ! 医師以外の職種での時間外労働の上限規制のルールは 具体的にどうなっているのですか? Answer ・一般の労働者については、2019年4月から時間外労働の上限規制が施行されています。 (中小企業は2020年4月から) ・36協定で締結する時間に上限が設定され、時間外労働は月45時間、年間360時間まで(臨時的で 特別の事情がある場合についても下表の時間数が限度)とされています。 原則 (下記事情が無い場合) 「臨時的」で 「特別の事情」がある場合 時間外労働 ① 月45(42)時間 ② 年360(320)時間 時間外労働 ① 年720時間以内 ② 月45時間超は年6か月まで 時間外労働+休日労働 1か月100時間未満 ( )内の数値は、3か月を超え1年以内の変形労働時間制の場合 ・加えて、36協定で締結する時間数にかかわらず、以下も守る必要があります。 1か月100時間未満/2~6か月平均で月80時間以内 (この規制は副業・兼業に係る労働時間も通算して守る必要あり。) 基本的な労働法制について

  • #32.

    Question ! 医療機関の管理職は、労働者には当たらないのでしょうか? Answer ・労働基準法上、「管理監督者」に当たる場合には、労働時間規制の対象外となります。 ・この「管理監督者」に当たるかどうかは、単に役職名に基づいて決まるわけではなく、 実態に基づいて判断されます。具体的には、 ① 経営と一体的な立場で仕事をしている ② 出勤、退勤、勤務時間等に制限がない ③ 重要な責務を担っていることに対して相応の処遇がなされている という実態にある者のことを指します。 ・そのため、医療機関内では「管理職」と呼ばれる役職にあったとしても、 「管理監督者」には該当せず、労働時間規制の対象となることもあります。 基本的な労働法制について

  • #33.

    Question ! 宿日直許可について詳しく知りたいです。 Answer ・宿日直に携わる時間の取扱いは以下のとおりとなります。 宿日直許可の有無 宿日直許可を 受けていない場合 宿日直許可を 受けている場合 宿日直に携わる時間の取扱い 労働基準法の規制の対象となる労働時間に含まれる (上限規制の対象となる労働時間にカウントされる) 労働基準法の規制の対象となる労働時間に含まれない (上限規制の対象となる労働時間にカウントされない) ※ 許可を受けた宿日直中に、通常の勤務時間と同様の業務に従事する時間については、 許可の効果が及ばず、労働基準法の規制の対象となる労働時間に含まれる (上限規制の対象となる労働時間にカウントされる) 宿日直許可について

  • #34.

    〇断続的な宿日直の許可基準(一般的許可基準)※S22発基17号 労働基準法に基づく断続的な宿日直の許可基準は以下のとおりです。 1.勤務の態様 ①常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書 又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。 ②原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、 顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。 2.宿日直手当 宿直勤務1回についての宿直手当又は日直勤務1回についての日直手当の最低額は、当該事業場に おいて宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の 一人1日平均額の1/3以上であること。 3.宿日直の回数 許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、宿直勤務については週1回、日直勤務について は月1回を限度とすること。ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を 行いうるすべてのものに宿直又は日直をさせてもなお不足であり、かつ勤務の労働密度が薄い場合には、 宿直又は日直業務の実態に応じて週1回を超える宿直、月1回を超える日直についても許可して差し 支えないこと。 4.その他 宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。 宿日直許可について

  • #35.

    〇断続的な宿日直の許可基準(医師、看護師等の場合)※R1基発0701第8号 医師等の宿日直勤務については、前記の一般的な許可基準に関して、より具体的な判断基準が示されて おり、以下の全てを満たす場合には、許可を与えるよう取り扱うこととされています。 ① 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。 (通常の勤務時間が終了していたとしても、通常の勤務態様が継続している間は宿日直の許可の対象にならない。) ② 宿日直中に従事する業務は、前述の一般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の 又は短時間の業務に限ること。例えば以下の業務等をいう。 ・医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下 同じ。)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと ・医師が、外来患者の来院が通常予定されない休日・夜間(例えば非輪番日など)において、少数の軽症の 外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指 示、確認を行うこと ・看護職員が、外来患者の来院が通常予定されない休日・夜間(例えば非輪番日など)において、少数の軽 症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を行うことや、医師に対する報告 を行うこと ・看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を 行うこと ③ 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること。 ※R1基発0701第8号で業務の例示を現代化 ④ 上記以外に、一般の宿日直許可の際の条件を満たしていること。 ※宿日直の許可は、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って得ることも可能 (深夜の時間帯のみ、病棟宿日直業務のみも可能) ※R1基発0701第8号で取扱いを明記 宿日直許可について

  • #36.

    Question ! オンコール待機時間は労働時間に該当しますか? Answer ・労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の 指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。 ※労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定) ・オンコール待機時間全体が労働時間に該当するかどうかについては、オンコール待機中に求めら れる義務態様によって判断する必要があります。 ・オンコール待機中に求められる義務態様は、医療機関ごとや診療科ごとに様々であり、 ① 呼び出しの頻度がどの程度か ② 呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか ③ 呼び出しに備えてオンコール待機中の活動がどの程度制限されているか 等を踏まえ、オンコール待機時間全体について、労働から離れているかどうかによって判断する もので、個別具体的に判断されます。 ※裁判例は個別の実態を踏まえて、労働時間に該当すると認めているもの/認めていないものに分 かれています。 労働時間について

  • #37.

    Question ! 労働時間と研鑽時間にメリハリをつけるために、 医師にはどんな意識が必要ですか? また、診療科内で、医師へこの意識を高めてもらうために、 どのような工夫が必要ですか? Answer 1/2 ・医師がそれぞれの医療機関の労働時間のルール(宿直や研鑽の労働時間の取り扱い)を入職時の 段階で把握しましょう。また、所定労働時間内に業務を終了できるように、集中して仕事に取り 組むことはいうまでもありません。 ・診療科長や労務管理を担当している上級医は、毎月の労働時間が恒常的に長くなってしまう医師 に対して、日頃から各医師と面談を行う等、労働時間のルールの振り返りを行いつつ、長時間労 働の与える健康影響や、労働時間短縮のために医師が希望していることなどについて、話し合い を行うことが望ましいです。また、各医師の労働時間の見える化(各医師の労働時間を記した勤 怠システムや掲示物の活用等)も、医師自身が労働時間を振り返り、診療科内で労働時間短縮の ための対策を検討する上で有効です。 研鑽について

  • #38.

    Question ! 労働時間と研鑽時間にメリハリをつけるために、 医師にはどんな意識が必要ですか? また、診療科内で、医師へこの意識を高めてもらうために、 どのような工夫が必要ですか? Answer 2/2 ・医療機関の管理者は、労働時間のルールを各診療科内へ浸透するために、診療科長や労務管理を 担当している上級医と定期的に医師の働き方改革に関する面談を行い、労働時間のルールの振り 返りや様々な疑問点の解消に努める必要があります。 ・また、医師個人がそのルールに関して疑問がある場合に、勤務先の医療機関に対して問い合わせ ができるような環境(ルールに関するQ&Aの公開や問い合わせ窓口・部門の設置等)を整え、周 知をすることで、その医療機関におけるルールがより浸透することも期待できます。 研鑽について

  • #39.

    制度の基本について~医師の特別則~

  • #40.

    基本的なルールはこれまで説明してきたとおりですが、これに加えて 2024 年 4 月から、医師の働き方についての新しいルールが始まります。

    働き方改革を進める中でも引き続き地域の医療を守ることができるよう、医師の労働時間については、一般的な労働者のルールよりも上限が高く設けられ、特別なルールとなっています。

    一方で、この特別なルールの中には、医師の健康を守るためのルールも併せて設けられています。

    この 2 本柱のルールが 2024 年 4 月から始まることになりますが、まずは左側の、医師の労働時間についての特別ルールについてご説明します。

  • #41.

    2024 年 4 月からは、診療に従事する医師の場合、法律で認められる年間の時間外・休日労働時間の最大の上限として、A水準、連携B水準、B水準、C-1水準、C-2水準のいずれかの水準が適用されることとなります。

    そして、それぞれの水準ごとに、36 協定で定めることができる時間外や休日労働の上限時間についても、年単位での上限が設けられています。

    複数の医療機関で勤務している医師の場合、この上限時間を計算する上では、それぞれの勤務先での労働時間を通算して計算することになります。

    なお、これらのどの水準が適用されるかにかかわらず、月単位でも 100 時間未満という時間外・休日労働の上限が設けられています。ただし、この上限については、後に出てくる“面接指導”を実施した場合には、例外的に適用されないこととなっています。

  • #42.

    A水準は、臨時的に長時間労働が必要となる場合に、全ての勤務医に対して原則的に適用される水準で、36 協定で締結できる時間外・休日労働時間の上限も年間 960 時間です。

    なお、これにより 36 協定において最大年 960 時間までの上限時間を設定できることにはなりますが、A水準の方は全員上限時間を年 960 時間とする協定を結ばないといけない、というわけではありませんし、必ず年 960 時間まで時間外や休日に働かなければならなくなる、というわけでもありません>。上限についてのこの考え方は、この後説明する他の水準についても同様です。

  • #43.

    A水準は原則的に適用される水準、とご説明しましたが、それ以外の4つの水準は、何らかの理由があって時間外・休日労働の時間が年 960 時間を超えてしまうような場合に適用される水準になります。

    まず、連携B水準は、地域医療の確保のために副業・兼業として他の医療機関に派遣されるようなケースで、1つ1つの医療機関では先ほど説明した年 960 時間の水準に収まっているものの、複数の勤務先での業務によりそれを超える長時間労働が必要な場合に適用される水準です。連携B水準が適用さ>れる場合、36 協定で締結できる時間外・休日労働時間の上限は1つの医療機関で 960 時間ですが、複数の医療機関での労働時間を通算した医師個人としての時間外・休日労働の上限は年 1860 時間です。

  • #44.

    続いて、B水準は、地域医療の確保のために救急医療や高度ながん治療などを担っており、1つの医療機関だけでも年 960 時間を超えるような長時間労働が必要な場合に適用される水準です。

    B水準が適用される場合、36 協定で締結できる時間外・休日労働時間の上限は年 1860 時間です。

  • #45.

    C-1水準は、臨床研修医・専攻医が研修を行う上で、修練のために年 960 時間を超えるような長時間労働が必要な場合に適用される水準で、36 協定で締結できる時間外・休日労働時間の上限は年 1860 時間です。

    なお、全ての臨床研修医や専攻医に対してC-1水準が適用されるわけではなく、年 960 時間の範囲内で修練が可能な場合は原則どおりA水準が適用されることになります。今後、臨床研修や専門研修では、各研修プログラムで想定される上限時間数が明示されることになるので、明示された時間数を確認

    し、仕事と私生活のバランスを自分で考えた上で、研修病院を選択してください。

  • #46.

    C-2水準は、専攻医を修了した医師等が、技能研修のために年 960 時間を超えるような長時間労働が必要な場合に適用される水準で、36 協定で締結できる時間外・休日労働時間の上限は年 1860 時間です。

    なお、C-2水準が適用されるためには、研修予定の技能について、医師自らが技能研修計画を作成する必要があります。

  • #47.

    A水準以外の特例的な水準を適用するためには、医療機関が都道府県に水準の指定申請を行い、医療機関単位で指定を受ける必要があります。

    指定を受けた医療機関の医師は、全員が指定を受けたその水準になるわけではなく、実際に長時間労働が必要な業務に従事する対象となる医師を特定することで、その医師のみ特例的な水準、すなわち、連携BやB、C水準が適用されます。

  • #48.

    A水準に該当する医師の具体的な働き方のイメージを示します。時間外・休日労働を年 760 時間行うような、臨床研修医のある 1 週間の働き方のイメージです。

    月曜日から金曜日の 8 時から 17 時までが所定労働時間というケースを想定しています。

    このケースでは、日常的な時間外労働はあまり多くないものの、月に1-2回、夜間の宿直勤務を行っているような方をイメージしています。

  • #49.

    続いて、連携B水準に該当する医師の具体的な働き方のイメージを示します。時間外・休日労働を年 1,000 時間行うような卒後 8 年目の呼吸器内科医の、1週間の働き方のイメージです。

    月曜日から金曜日の 8 時から 17 時までが所定労働時間というケースを想定しています。

    隔週水曜日に副業・兼業先での宿日直許可のある宿直に、隔週土曜日に副業・兼業先での宿日直許可のない宿直に従事しているイメージです。

    ただし、主たる勤務先である大学病院では、週に複数回オンコールを担っており、オンコール中に労働が発生した場合、代償休息が必要になります。

  • #50.

    続いて、B水準に該当する医師の具体的な働き方のイメージを示します。時間外・休日労働を年 1,200 時間行うような、卒後 15 年目の泌尿器科医の1週間の働き方のイメージです。

    月曜日から金曜日の 8 時から 17 時までが所定労働時間というケースを想定しています。

    オンコールや宿日直許可のない宿直に従事したり、時折、休みの日にも当番で病棟業務を行っている状況にあり、月によっては時間外・休日労働が 100 時間以上と見込まれるイメージです。

    なお、オンコールも週に複数回になっており、オンコール中に労働が発生した場合、代償休息が必要になります。

  • #51.

    最後に、B水準に該当する医師の具体的な働き方の別イメージを示します。時間外・休日労働を年 1,800 時間行うような、卒後8年目の心臓血管外科医の1週間の働き方のイメージです。

    月曜日から金曜日の 8 時から 17 時までが所定労働時間というケースを想定しています。

    オンコールや宿日直許可のない宿直に従事したり、患者さんの病態によっては時間外・休日労働が発生しやすい環境です。休みの日にも長時間の手術に従事しているようなイメージです。

    なお、予定された休息時間中や、オンコール中に緊急手術のような突発業務が発生した場合、代償休息が必要になります。

    なお、働き方改革の一環として、カンファレンスを所定労働時間内に行う取組を行っている医療機関も出てきています。

  • #52.

    Question ! なぜ上限時間が960時間や1,860時間になっているのですか? Answer 1/2 ○960時間(A水準が適用される場合の上限時間) ・通常予見される時間外労働として、36協定によって延長することが可能な時間数は、医師につい ても一般労働者と同等の働き方を目指すという視点に立って、月45時間、年360時間とされてい ます。 ・その上で、「臨時的な必要がある場合」に延長することが可能な時間数の上限については、脳・ 心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準(複数月平均80時間以下、休日労働込み)を 考慮し、12ヶ月分として年960時間とされています。(A水準) ※この水準で毎月平均的に働くとした場合には月80時間以下の時間外・休日労働となり、一般労働 者の休日労働込み時間外労働の上限である「複数月平均80時間以下」と同様の水準となっていま す。 医師の労働時間の特別則

  • #53.

    Question ! なぜ上限時間が960時間や1,860時間になっているのですか? Answer 2/2 ○1,860時間(B水準・連携B水準・C-1水準・C-2水準が適用される場合の上限時間) ・地域での医療提供体制を確保する観点からやむを得ず年960時間を超えざるを得ない場合には、 「臨時的な必要がある場合」に延長することが可能な時間数の上限は年1,860時間とされています。 (B・連携B水準) ・平成28年と令和元年に行われた調査において、約1割の医師が年1,860時間を超える時間外・休日 労働を行っていたことから、まずはその上位1割に該当する医師の労働時間を確実に短縮するこ ととして、この水準が定められました。 ・また、一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要とするためにやむを得ず年960時間を超え ざるを得ない場合にも、「臨時的な必要がある場合」に延長することが可能な時間数の上限が年 1,860時間とされています。 (C-1・C-2水準) ・この上限時間については、 ① 日本では、時間外労働とC-1・C-2水準の業務の関係性を検証したエビデンスは現在のところ 存在しないこと ② 医師としての能力の向上に資する業務と、それ以外の日常の診療業務を切り分けて考えるこ とは困難なこと から、2024年4月からの上限規制適用段階においては、その段階で医師に適用される時間外労働 の上限のうち高いものと同じ水準として、B水準と同様のものが定められています。 医師の労働時間の特別則

  • #54.

    病院勤務医の勤務実態調査 医師の勤務実態調査結果を踏まえ、上限時間の設定は段階的に行うこととされた。 (2024年4月までには、まず上位1割の時短を着実に進め、すべての医師の時間外・休日労働を年1860時間以下とする。 また、一般労働者超の労働が許容される場合(時間外・休日労働が年960時間超となる場合)を限定する) 30 (%) (年960時間換算 ※休日込み(以下同じ) 26.3 H28前回調査、今回調査ともに、兼業先の労働時間を含み、指示無し時間を除外している ※2 前回調査ではグラフにおける分布の上位10%は年1,904時間であったが、雇用管理の便宜上、12月で割り切れるきりのよい近似値として 1,860時間としている ※3 今回調査では宿日直許可を取得していることがわかっている医療機関に勤務する医師の宿日直中の待機時間を労働時間から除外した上で、 診療科別の性、年齢調整、診療科ごとの勤務医療機関調整を行っていることに留意が必要 ※4 週労働時間の区分別割合は、小数点第2位で四捨五入している 医師の労働時間の特別則

  • #55.

    Question ! 今後この上限時間(1860時間)は変わらないのですか? Answer ○B水準・連携B水準の上限時間について ・B水準・連携B水準は、あくまでも暫定的な特例であることから、将来的にはなくなり、A水準の 適用に収斂していくものとされています。 ・都道府県単位での医師偏在を解消する目標年とされている2036年に向けて、医師偏在対策の効果 が徐々に現れてくると考えられ、2024年4月以降も3年に1回のサイクル(2027年度、2030年度、 2033年度)で、実態調査等を踏まえた段階的な見直しの検討を行いつつ、規制水準の必要な引き 下げを実施し、2035年度末を目標にB水準・連携B水準は終了することとなります。 ○C-1水準・C-2水準の上限時間について ・C水準については、研修及び医療の質を低下させずに効率的な研修を実現していくことによって、 技能向上に要する時間の短縮が図られる可能性もあります。 ・そのため、この規制水準については将来的な縮減を志向しつつ、医療機関ごとに作成される「医 師労働時間短縮計画」において把握される実績も踏まえて、研修及び医療の質の評価とともに中 長期的に検証していくこととされています。 医師の労働時間の特別則

  • #56.

    Question ! 医師に対する時間外・休日労働の上限規制が 適用されない医師はいますか? Answer ・2024年4月から始まる医師の時間外・休日労働の上限規制については、病院、診療 所、介護老人保健施設、介護医療院で勤務する医師を対象としていますが、病院や診 療所で勤務する医師であっても、患者への診療を直接の目的とする業務を行わない医 師は対象としていません。 ・このため、患者への診療を直接の目的とする業務を行わない者(産業医、検診セン ターの医師、裁量労働制(大学における教授研究等)が適用される医師等)について は、2024年4月から、一般の業種の労働者と同様の時間外・休日労働の上限規制 (1年720時間など)が適用されることになります。 医師の労働時間の特別則

  • #57.

    Question ! A水準が適用される医師であっても、 時期によっては長時間労働となる月があっても良いのですか? Answer ・月の時間外・休日労働が100時間以上となる医師に対しては、特例水準(B・連携B・ C)に限らず、A水準の適用医師も含めて、原則として当月の時間外・休日労働が100 時間に到達する前に睡眠及び疲労の状況の確認と面接指導を行う必要があります。 臨時的な特別の事情がある場合には、この面接指導が適切な時期に行われることで、 36協定に定められている上限を超えない範囲において、その月に100時間以上の時間 外・休日労働を行うことは可能です。 ・なお、面接指導の実施時期については、ある程度の疲労蓄積が想定される、時間外・ 休日労働が80時間前後となった時期を目安とすることが推奨されます。また、特例 水準が適用されていない医師(A水準が適用されている医師)であって、疲労蓄積が ないと認められる場合は、月100時間に達した後遅滞なく面接指導を行うことでもよ いとされています。 医師の労働時間の特別則

  • #58.

    Question ! B水準の適用対象となるのは、具体的にはどういう業務ですか? Answer ・B水準は、地域医療の観点から必須とされる機能を果たすためにやむなく長時間労働となる医療 機関を指定するもので、以下の医療機能を有する医療機関が想定されます。 ① 「救急医療体制及び在宅医療提供体制のうち、特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズに 対するために整備しているもの」と「政策的に医療の確保が必要であるとして都道府県医療 計画において計画的な確保を図っている「5疾病・5事業」」の双方の観点から、 Ⅰ 三次救急医療機関 Ⅱ 二次救急医療機関 かつ 「年間救急車受入台数1000台以上又は年間での夜間・休日・ 時間外入院件数500件以上」 かつ 「医療計画において5疾病5事業の確保のために 必要な役割を担うと位置づけられた医療機関」 Ⅲ 在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関 Ⅳ 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療の確保のために必要 と認める医療機関 (例)精神科救急に対する医療機関(特に患者が集中するもの)、小児救急のみを提供する医療機関、 へき地において中核的な役割を果たす医療機関 ② 特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困 難な医療を提供する医療機関 (例)高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等 医師の労働時間の特別則

  • #59.

    Question ! 連携B水準で考えられている、「医師派遣」とは 医師のバイト全てを含むのですか? Answer ・医師が行う副業・兼業のうち、管理者が医療提供体制確保のために必要と認めたもの が連携B水準の対象業務になります。例えば、 ① 管理者からの指示があるもの ② 医師から(事前・事後に)副業・兼業の事実について申告を受けた管理者が医 療提供体制の確保のために必要と認めたもの などが想定されますので、管理者が把握していない副業・兼業は対象となりません。 ・ただし、複数の医療機関で勤務している医師は、副業や兼業先での労働時間・勤務 先・勤務内容などを、主に勤務している医療機関に対して事前に自己申告しておきま しょう。チームメンバーがお互いの仕事を把握するきっかけとなるとともに、困った ときにも助けあえる第一歩となります。 医師の労働時間の特別則

  • #60.

    Question ! 臨床研修のプログラムがA水準かC-1水準のプログラムであるかは どうやって知ることができますか? Answer ・各医療機関のホームページで、プログラムごとに、研修医療機関における想定される 1年間の時間外・休日労働の最大時間数が明示されていますので、確認しましょう。 医師の労働時間の特別則

  • #61.

    臨床研修プログラムにおける最大想定労働時間数の明示 (記載例) 複数医療機関にまたがる臨床研修プログラムにおける想定労働時間の記載方法 例:X病院を基幹型臨床研修病院としたX病院〇〇臨床研修プログラムの場合 X 病 院 〇 〇 臨 床 研 修 プ ロ グ ラ ム 時間外・休日労働 おおよその 当直・日直回数 病院名 所在地 (基幹・協力) (都道府県) (年単位換算) 想定最大時間数 X病院(基幹) 東京都 1,600時間 月1・2回 宿日直許可なし 約1,700時間 対象となる臨床研修医30名 (2021年度) 月1~3回 宿日直許可あり 約660時間 対象となる臨床研修医6名 うち1名は3か月の研修休止あり (2021年度) ※宿日直許可が取れている 場合はその旨記載 イ病院(協力) 東京都 900時間 ロ病院(協力) 東京都 1,500時間 ハ病院(協力) 山口県 100時間 臨床研修医の 当直・日直なし ニ病院(協力) 富山県 1,600時間 月1回 〇〇科と△△科のみ 宿日直許可あり 夜間の勤務が週1回 (救急科研修を目的と しているため) 参考 約1,580時間 対象となる臨床研修医 (2021年度) 2名 臨床研修医の受入がないため 実績値なし 約1,800時間 対象となる臨床研修医 (2021年度) 2名 ※医師の働き方改革の推進に関する討論会において、毎年の研修医募集において、研修プログラム内の他の医療機関での労働時間も含め、 募集前年度実績と想定時間外・休日労働時間数、当直・日直のおおよその回数と宿日直許可の有無を記載することとしている。 医師の労働時間の特別則

  • #62.

    Question ! C-2水準の指定を受けていない医療機関でも、 自分が希望すればC-2水準の適用を受けることはできますか? Answer ・C-2水準の適用を受けるには、研修を希望する医療機関が、研修を希望する技能の分 野におけるC-2水準の指定を受けている必要があります。 ・このため、研修を希望する医療機関の診療科や人事労務管理部門等に、研修を希望す る技能の分野における指定の有無や、今後のC-2水準指定の意向の有無等について問 い合わせをしてください。 医師の労働時間の特別則

  • #63.

    ・・・・ ・・・・・・ 外科分野・産婦人科分野で C-2 水準指定を受けている機関の場合 C-2 水準 C-2 水準 C-2 水準 外科分野における 産婦人科分野における 泌尿器科分野における 技能研修計画を作成 技能研修計画を作成 技能研修計画を作成 ・・・・・・ この医療機関では、泌尿器科分野の医師に C-2水準を適用できません 医師の労働時間の特別則

  • #64.

    Question ! C-2水準の適用を希望する医師は、どのような手続きが必要ですか? Answer ・C-2水準の適用を希望する医師は、「C-2水準対象技能となり得る技能の考え方」に 合致する技能修得のためにやむを得ず年960時間を超える時間外・休日労働を必要と するものとして、本人の発意に基づき作成した技能研修計画が適格な内容であること について、厚生労働大臣の確認(審査組織による審査)を受け、内容が承認されてい る必要があります。 医師の労働時間の特別則

  • #65.

    C-2水準の技能研修計画に記載する技能 (C-2水準対象技能となり得る技能の考え方) 医師の労働時間の特別則

  • #66.

    Question ! C-2水準の技能研修計画は、だれが審査するのですか? Answer ・C-2水準に関する審査は、相当の専門性が必要になると想定されることから、日本専 門医機構の定める基本19領域の関連学術団体の協力を得て、学術団体所属の医師に よる審査が行われます。 医師の労働時間の特別則

  • #67.

    C-2水準に関する審査の流れ 医師の作成した技能研修計画は、その計画に記載されている分野の関連学術団体を 含む複数の学術団体の所属医師により事前の書面審査が行われます。 その後、事前審査に基づき、学術団体の代表者を一堂に集めた審査委員会にて、 審査結果がとりまとめられます。 医師の労働時間の特別則

  • #68.

    制度の基本について~医師の健康を守る働き方~

  • #69.

    目の前の患者さんと地域の医療を守るために、医師はどうしても長時間勤務が必要になる場合もあります。

    そのような現状も踏まえ、医師が適切に良質な医療を提供することを担保するために、2024 年4月より長時間労働を行う上では勤務医の健康を守るための新しいルールが設けられます。

    先ほどご説明した 2 本柱の 2 つ目というわけですが、ここからはこの健康を守るためのルールについてご説明します。

  • #70.

    勤務医の健康を守るための新ルールは大きく分けると 2 点ありますが、まず 1 つ目に、長時間労働となることが見込まれる医師への面接指導について、新しいルールが設けられます。詳しくは次のスライドで説明します。

    続いて 2 つ目ですが、長時間労働が必要になる場合でも、適切な休息を確保するためのルールが設けられます。

  • #71.

    時間外・休日労働時間が月 100 時間以上となることが見込まれる医師には、面接指導が実施されることになります。

    面接指導では、所定の講習を受けた面接指導実施医師が、睡眠や疲労の状況を確認します。面接指導の結果、休息が必要と認められる場合には、医療機関の管理者により必要な就業上の措置が講じられることとなります。

  • #72.

    続いて、長時間勤務の中でも十分な休息時間を確保するための制度として、勤務と勤務の間に休息時間を設ける「勤務間インターバル」に医師に特化したルールが設けられました。

    心と体の健康を守るためには、前日の勤務から翌日の勤務までの間、連続した休息期間を確保し、仕事から離れることが重要です。このため、この勤務間インターバルのルールでは、休息時間を細切れに取ることは認められていません。

  • #73.

    まず勤務間インターバルについての原則的なルールですが、長時間労働となる医師については、始業から 24 時間以内に 9 時間のインターバルを設ける必要があります。

    この 9 時間のインターバルの間は、原則業務から離れている必要がありますが、宿日直許可のある宿日直に連続して 9 時間以上従事する場合には、休息が確保できたとみなし、勤務間インターバルに当てることができます。

    このスライドでは、勤務間インターバルが確保された状態の働き方のイメージをお示ししています。

    このケースでは、朝 8 時に始業してから、23 時までの勤務が予定されていますが、翌日の始業時間である朝 8 時までの間で、9 時間のインターバルを確保することができています。

  • #74.

    一方で、日中にいつもどおり勤務した後、そのまま翌日にかけて宿直を行うような場合には、この 24 時間以内に 9 時間のインターバルを確保できないケースがあります。

    そのため、このような宿日直許可のない宿日直に従事する場合については別の基準が設けられており、その場合には 46 時間以内に 18 時間以上のインターバルを確保することとされています。

    このスライドでは、宿日直許可のない宿日直に従事した場合で、勤務間インターバルが確保された状態の働き方のイメージをお示ししています。

    このケースでは、朝 8 時に始業し、日中勤務した後、朝まで宿直を行い、そのまま午前中は勤務に入り、翌日の昼 12 時に宿直明けの勤務を終了するという予定になっています。

    この場合、始業開始から 46 時間後である翌々日の朝 6 時までの間で、18 時間のインターバルを確保することができています。

  • #75.

    シフトを作成する時点で、適切な休息時間が確保できるよう、インターバル時間を設定する必要があり、シフト作成時点で規定のインターバル時間が確保できていないものは認められません。

    しかし、シフト上はインターバルで休息をとる予定だった時間であっても、患者さんの急変対応など、緊急で業務が発生した場合は対応することが可能です。

  • #76.

    勤務間インターバル中に、緊急で発生した業務へ対応した場合には、対応した時間に相当する時間分の休息が代償休息として事後的に医療機関の管理者より与えられます。

    例えば、9 時間のインターバルを予定していた時間中に 3 時間の緊急対応を行った場合には、3 時間分の代償休息が発生します。この代償休息は、発生日の翌月末までを期限に与えられることになります。

  • #77.

    代償休息のタイミングの例として、とある年の 11 月の 1 ヶ月間に計 8 回の緊急の業務が発生したケースを記載しています。

    この事例では、勤務間インターバル中の緊急の業務が、11/4 に 4 時間、11/6 に 3 時間、11/9 に 1 時間…といったように計 8 回発生しており、これらを全て合計すると 20 時間になりますが、この場合 12 月末までに合計 20 時間分の代償休息が与えられることになります。

    代償休息が発生した場合、シフトを管理する側の立場の方々は、発生からなるべく早い段階で代償休息を付与することや、計画的に付与できるよう、勤務を調整するなどの配慮が必要となります。

  • #78.

    Question ! 面接を実施するのは誰ですか? 直属の上司(産業医の資格なし)が面接を行うこともありますか? Answer ・長時間労働医師への面接指導を実施する医師は「面接指導実施医師」と呼ばれます。 面接指導実施医師となるためには以下2つの要件を満たす必要があります。 ① 面接指導対象医師が勤務する病院又は診療所の管理者でないこと ② 医師の健康管理を行うのに必要な知識を修得させるための講習を修了している こと ・このため、上記2つの要件を満たす場合は、産業医でなくても面接指導実施医師とし て面接指導を実施することができます。しかし、「長時間労働の医師への健康確保措 置に関するマニュアル(令和2年12 月)」においては、「同じ部署の上司は避ける ことが望ましい」とされています。 ・面接指導の実施体制については、面接指導を受ける医師が安心して面接指導を受けら れ、本人の健康確保につながる適切な体制であるかどうかという観点から、医療機関 ごとに整えられます。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #79.

    Question ! 面接指導で確認されるのはどういう内容ですか? Answer ・面接指導実施医師が面接指導で確認すべき内容は、「勤務の状況」「睡眠の状況」 「疲労の蓄積の状況」「心身の状況」となります。 ・また、医療機関の管理者は、面接指導を適切に行うための情報(面接指導対象医師の 氏名、勤務の状況、睡眠の状況、疲労の蓄積の状況、心身の状況等)を確認し、事前 に面接指導実施医師へ提供する必要があります。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #80.

    Question ! 面接指導を受けたくない場合は、拒否できるのですか? Answer ・本人からの申出がある場合に実施する労働安全衛生法による面接指導と異なり、時間 外・休日労働が月100時間以上となることが見込まれる医師(面接指導対象医師)は、 本人の希望の有無にかかわらず、面接指導を受けなければなりません。 ・面接指導対象医師に相当の疲労が認められた場合は、面接指導実施医師から睡眠や休 息等に関する助言や保健指導が行われます。自身の働き方と健康を見直す良い機会で あると同時に、自分でも自覚していない疲労や睡眠負債に気づくことができる機会で もありますので、前向きに面接に臨みましょう。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #81.

    Question ! 面接指導の結果によって、 その後の働き方にはどういう影響が出ますか? Answer ・医療機関の管理者は、面接指導の結果に基づく面接指導実施医師の意見を聴くことと されています。この意見を受けて管理者が必要と認める場合には、管理者はその医師 に対して、必要な就業上の措置を行う必要があります。 ・就業上の措置は医師の健康状態に応じて検討されるものですが、例えば、当直・連続 勤務の禁止や制限、就業内容・場所の変更、時間外労働の制限、就業日数や就業時間 の制限などの措置が想定されます。自分としては多く働ける自信があったとしても、 あくまでも、面接指導は医師の健康を守るための仕組みであり、ひいては医療の安全 を守るためのものであることを理解しておきましょう。 ・ なお、面接指導の結果を問わず、時間外・休日労働が月155時間(=年1860時間相 当)を超えた医師に対しては、速やかに何らかの労働時間短縮のための具体的措置を 行うことが、管理者には義務付けられています。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #82.

    Question ! 勤務間インターバルはどの時点を始点に計算されるのでしょうか? Answer ・勤務間インターバルの始点となる「始業」は、事前に勤務シフト等で予定された勤務 の開始時となります。 勤務間インターバル 勤務間インターバル 勤務間インターバル 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #83.

    Question ! 代償休息が付与されると、 本来働く予定だった勤務時間が短くなるのですか? Answer ・医療機関の管理者は、予定された9時間又は18時間の連続した休息時間中にやむを 得ない理由により発生した労働に従事した場合には、従事した労働時間に相当する休 息時間を付与する必要があり、この休息時間が代償休息となります。 ・代償休息の付与は、できるだけ早い時期に、所定労働時間中における時間休の取得や、 勤務間インターバルの延長を原則に行われることが想定されていますので、この場合 には、次の日などに本来働く予定だった時間が短くなることもあるでしょう。一方、 法定休日(※)などがその代償休息に充てられることもあり得ますので、この場合に は本来働く予定だった時間が短くなることはないかもしれません。 (※)労働基準法により、使用者が毎週少なくとも1回与えなければならないとされている休日で、 土曜日や日曜日のことが多い。 ・医療機関の代償休息付与のルールについては、勤務している医療機関の就業規則等に おいてルールが定められることになりますので、ルールの確認を行いましょう。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #84.

    Question ! 臨床研修医の場合、勤務間インターバルや代償休息のルールが 異なると聞きましたが、具体的にどう違うのでしょうか? Answer ・始業から24時間以内に9時間の連続した休息時間を確保することを原則とする点は 臨床研修医以外の医師と同じですが、C-1水準が適用される臨床研修医については、 臨床研修における必要性から、指導医の勤務に合わせた24時間の連続勤務時間とす る必要がある場合は、その後24時間の勤務間インターバルを確保できるよう、勤務 シフトが組まれます(始業から48時間以内に24時間の連続した休息時間の確保)。 ・また、代償休息の必要がないように勤務間インターバルの確保が徹底されます。その 上で、研修における必要性から、勤務間インターバル中に緊急の業務に従事した場合 には、代償休息が与えられ、その代償休息は、「ローテーション中の診療科の研修期 間の末日」か、「翌月末」までのいずれか早い日までの間に付与されます。 ・なお、A水準の適用される臨床研修医については、臨床研修医以外の医師と同様に、 勤務間インターバルの履行は管理者の努力義務となりますが、適用水準にかかわらず 臨床研修医は医師になったばかりであることには変わりはないため、各医療機関にお いて、適切な勤怠管理と十分な休息時間を考えた勤務シフトが組まれることが望まれ る点に変わりはありません。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #85.

    臨床研修医が通常業務を行う場合:インターバルの時間は9時間(他の水準適用医師と同様) 勤務間インターバルが確保された状態の働き方のイメージ 24時間 AM PM 9時間 翌日AM インターバル 始業 終業 日勤 ※ 始業・終業の時間はいずれも事前に予定されたもの。 始業 休息・研鑽 日勤 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #86.

    臨床研修医が宿直業務を行う場合:インターバルの時間は24時間 勤務間インターバルが確保された状態の働き方のイメージ 48時間 AM 翌日AM 24時間 翌々日AM インターバル 宿直明け業務 の終了 始業 始業 帰宅 日勤 宿直 休息・研鑽 日勤 ※ 始業・終業の時間はいずれも事前に予定されたもの。 医師の健康を守る働き方の新ルール

  • #87.

    現場を支える副業/兼業のために

  • #88.

    日本の医療においては、大学病院や市中病院等からの医師派遣が地域の医療を支えているという側面があります。そのため、日本では多くの勤務医が複数の医療機関で働いています。

  • #89.

    複数の医療機関で勤務している方の場合、副業や兼業先での労働時間・勤務先・勤務内容などを、主に勤務している医療機関に対して事前に自己申告しておくことが好ましいでしょう。

    チームメンバーがお互いの仕事を把握するきっかけとなるとともに、困ったときにも助けあえる第一歩となります。

  • #90.

    また、時間外労働や勤務間インターバルのルールを適切に運用するためには、各勤務医の勤務時間の正確な把握や適切なシフト作成が重要となります。

    とはいっても、シフトの作成や調整を行う人に任せっぱなしではいけません。シフトを作成するのも医師をはじめとした医療従事者の方々ですので、期限を守って勤務希望を提出することや、シフトの調整者からの勤務相談にも快く応じられるよう、お互いに助け合うことが大切です。

  • #91.

    どの勤務先でも最適なパフォーマンスが患者さんに提供されるように、労働時間を含む自分の仕事内容をそれぞれの勤務先にシェアして、突然の自分の欠勤にも対応できるような「助け合える」体制を整えてもらうことが大切です。

  • #92.

    Question ! 勤怠管理を効率的に行う方法はありますか? Answer ・勤怠管理が適切に行われるためには、まず、医師が自身の健康確保のための労働時間 管理の大切さを認識し、それぞれの医療機関の労働時間のルール(宿直や研鑽の労働 時間の取り扱い)を把握していることが前提です。 ・その上で、副業・兼業先の多い医師や、緊急業務が多く発生しやすい多忙な医師は、 出退勤の打刻や、滞在時間の把握、時間外・休日労働の申請等の労務管理の申告・申 請にかかる負担も多くなりがちです。医師が手入力を行わなくても良いような、ID カードによる打刻システム、スマートフォンや位置情報システムを連動させた医師の 勤怠管理システム等、ICT技術を活用した勤怠管理は、医師の負担を減らす意味でも 効率化につながります。 現場を支える副業/兼業のために

  • #93.

    社会医療法人ペガサス馬場記念病院での取り組み ICTによる勤怠管理システムの導入の好事例 社会医療法人ペガサス馬場記念病院では、当直医用にスマートフォンを用意。 Beaconを各病棟、外来、救急外来、医局など院内各所に設置し、そのエリアを通過 した際に自動的に滞在時間を把握できる仕組みを導入した。 これにより各所での労働時間を把握し、合算することで1日の総労働時間を把握している。 医師の負担を軽減するとともに、勤務時間を正確に把握し労働環境の改善につなげられる。 厚生労働省ホームページ 第7回医師の働き方改革の推進に関する検討会 (資料4)医師の働き方改革に関する好事例 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10091.html 現場を支える副業/兼業のために

  • #94.

    慶應義塾大学病院での取り組み 中央システムでの勤怠管理への移行 慶應義塾大学病院では、従来、手書きで行っていた勤務管理日誌をWEB入力へ変更。 これにより勤務管理の省力化や精度の向上を図っている。 Before After 医師業務管理日誌 WEB入力へ変更(2020年10月より) KEIO Univ Hospital ID CARD IN 手書きを廃止 OUT 各人が WEB入力 慶應義塾大学病院提供資料を一部改変 現場を支える副業/兼業のために

  • #95.

    Question ! 複数の医療機関で働く場合、 どの医療機関の労働条件が適用されますか? Answer ・各医療機関の労働条件が適用されます。医療機関ごとに労働条件は異なりますので、 個別に労働条件通知書等を確認することが大切です。 現場を支える副業/兼業のために

  • #96.

    タスク・シフト/シェア

  • #97.

    医療機関では、医師だけでなく様々な職種の方が働いていますが、全ての医療専門職の方々がそれぞれの専門性を活かし、パフォーマンスを最大化することが大切です。

    そのためには、チームでの話合いや、勉強会などを通して、職種間での連携を強化していく必要があります。

    このような専門性を活かした「タスク・シフト/シェア」により、効率化が進めば、患者さんにとってもより質の高い医療提供にもつながります。

  • #98.

    タスク・シフト/シェアにあたり、特定行為研修を受けた看護師であれば、診療の補助の一部を担うことができます。特定行為研修修了者が実施することのできる特定行為として、38 の行為が定められています。

    特定行為研修修了者は年々増加しており、医師からのタスク・シフト/シェアが期待されています。各地域・施設のニーズに合わせて、特定行為研修修了者が活躍することで、医療・看護の質の向上にもつながります。

  • #99.

    特定行為を受けた看護師が行うことができる特定行為としては、

    ・直接動脈穿刺法による採血(動脈血液ガス分析)

    ・経口用気管チューブの位置の調整

    ・中心静脈カテーテルの除去

    ・硬膜外カテーテルによる鎮痛薬の投与および投薬量の調整

    などが挙げられます。

    特定行為区分ごとの研修を修了することにより、医師の作成した手順書に従って、その特定行為区分に含まれる特定行為を実施することができます。

  • #100.

    この特定行為研修修了者以外にも、様々な職種へのタスク・シフト/シェアが進められています。

    例えば、臨床検査技師であれば、現行の制度の下でも、医師の具体的指示があれば、診療の補助として、病棟や外来での採血業務が可能です。

    同様に、薬剤師であれば、病棟や手術室での薬剤管理や、薬物療法に関する患者さんへの説明が可能です。

    この他にも、職種にかかわらずタスク・シフト/シェアを進めることが可能な業務として、診断書の下書きや症例データの登録、患者さんの搬送などは、医師事務作業補助者等の職員が行うことも可能となっています。

  • #101.

    Question ! 特定行為研修修了者は、 令和5年度3月時点でどれくらいいるのですか? Answer ・令和5年3月時点での特定行為研修修了者は6,875名となっています。 タスク・シフト/シェア

  • #102.

    特定行為研修を修了した看護師数(特定行為区分別) (名) 特定行為研修修了者数:6,875名(令和5年3月現在) 各区分別修了者数の合計値:35,506名 (厚生労働省医政局看護課調べ) タスク・シフト/シェア

  • #103.

    Question ! 特定行為研修修了者はどういう業務を行うことができますか? Answer ・特定行為研修を修了した看護師は、保健師助産師看護師法第37条の2に基づき、手 順書により特定行為(38行為21区分)を行うことができます。 ・具体的には、例えば、特定行為研修を修了した看護師は、人工呼吸管理や持続点滴中 の降圧剤や利尿剤等の薬剤の投与量の調整、中心静脈カテーテルの抜去や末梢留置型 中心静脈注射用カテーテルの挿入等の特定行為について、その都度医師の指示を求め ることなく、医師が予め作成した手順書(医師による包括的指示の形態の1つ)によ り行うことが可能です。 タスク・シフト/シェア

  • #104.

    特定行為及び特定行為区分(38行為21区分)※特定行為研修省令別表第一 特定行為区分 呼吸器(気道確保に係るもの)関連 特定行為 特定行為区分 経口用気管チューブ又は経鼻用気管 チューブの位置の調整 創傷管理関連 侵襲的陽圧換気の設定の変更 非侵襲的陽圧換気の設定の変更 呼吸器(人工呼吸療法に係るも 人工呼吸管理がなされている者に対する の)関連 鎮静薬の投与量の調整 人工呼吸器からの離脱 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの) 気管カニューレの交換 関連 循環器関連 心嚢ドレーン管理関連 胸腔ドレーン管理関連 び設定の変更 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置され た穿刺針の抜針を含む。) 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテー ろう孔管理関連 ける血流のない壊死組織の除去 創傷に対する陰圧閉鎖療法 創部ドレーン管理関連 動脈血液ガス分析関連 透析管理関連 創部ドレーンの抜去 直接動脈穿刺法による採血 橈骨動脈ラインの確保 急性血液浄化療法における血液透析器又は血 液透析濾過器の操作及び管理 栄養及び水分管理に係る 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 薬剤投与関連 一時的ペースメーカの操作及び管理 脱水症状に対する輸液による補正 一時的ペースメーカリードの抜去 感染に係る薬剤投与関連 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 血糖コントロールに係る薬 経皮的心肺補助装置の操作及び管理 インスリンの投与量の調整 大動脈内バルーンパンピングからの離脱 剤投与関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投 を行うときの補助の頻度の調整 術後疼痛管理関連 与量の調整 心嚢ドレーンの抜去 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及 胸腔ドレーンの抜去 腹腔ドレーン管理関連 特定行為 褥(じょく)瘡(そう)又は慢性創傷の治療にお テル又は胃ろうボタンの交換 膀胱ろうカテーテルの交換 栄養に係るカテーテル管理(中心静 中心静脈カテーテルの抜去 脈カテーテル管理)関連 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はク ロールの投与量の調整 循環動態に係る薬剤投与 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 関連 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与 量の調整 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 抗けいれん剤の臨時の投与 精神及び神

  • #105.

    特定行為研修制度のパッケージ化によるタスクシフトについて ○ 特定の領域において頻繁に行われる一連の医行為についてパッケージ化し研修することで特定行為研修修了者を確保する。 ○ 2024年までに特定行為研修パッケージの研修修了者を1万人程度養成することにより、こうしたタスクシフトを担うことが可能である。 外科術後管理領域 術中麻酔管理領域 手術 呼吸管理(気道管理含む) 麻酔に係る術前評価 術 前 呼吸管理(気道管理含む 手術 橈骨動脈ラインの確保 救急外来受診 動脈血液ガス分析 全身麻酔の補助 循環動態・疼痛・栄養・代謝管 理 在宅・慢性期領域 救急領域 集中治療領域 外科系基本領域 栄養・水分管理 呼吸管理 初 療 循環管理 集中 的な 治療 など ライン確保等 気管 カニューレ の交換 脱水症状に 対する輸液 による補正 胃ろう カテーテル 若しくは 腸ろう カテーテル 又は胃ろうボ タンの交換 褥瘡又は 慢性創傷の 治療における 血流のない 壊死組織の 除去 ライン確保 疼痛管理 疼痛管理 感染管理 術 中 術中の麻酔・呼吸・ 循環管理 感染管理 創傷管理(洗浄・抜糸・抜鈎) ドレーン管理・抜去 呼吸・循 環 鎮静管理 検査 麻酔の覚醒 ドレーン管理・抜去 術後の呼吸・循環・疼痛管 理 CV抜去 CV抜去・PICC挿入 術 後 創部管理(洗浄・抜糸・抜鈎) 治療 人工呼吸器の離脱 外科の術後管理や術前から術後にかけた麻酔管理において、頻繁に 行われる一連の医行為を、いわゆる包括的指示により担うことが 可能な看護師を特定行為研修のパッケージを活用して養成すること で、看護の質向上及びチーム医療を推進。 CV抜去 人工呼吸器や生命維持装置 などの使用において、集中 治療領域で頻繁に行われる 医行為をタイムリーに実施 することが可能に。 ICU等、他の病棟 へ移動 2次又は3次救急医療 の現場において、迅速 な対応が可能に。 在宅・慢性期領域において、 療養が長期にわたる、もし くは最期まで自宅または施 設等で療養する患者に柔軟 な対応が可能に。 医師だけでなく多様な職種の連携によりチームで提供することにより、 患者へのきめ細かなケアによる質の向上や医療従事者の負担軽減に

  • #106.

    Question ! 特定行為研修修了者へタスク・シフト/シェアによる、 医師の労働時間への影響に関するデータはありますか? Answer 1/2 ・特定行為研修修了者の配置によって、医師の労働時間にどのような影響があるかにつ いての研究データが、厚生労働省から公表されています。 ・この研究によれば、特定行為研修修了者の配置前と比べ、配置後は医師の年間平均 勤務時間が有意に短縮したという結果が報告されています。 (※研究の詳細は次ページ参照。) 医師一人あたりの平均勤務時間の推移 2390.7時間 (SD:321.2) 配置前 1944.9時間 (SD:623.2) 配置後 【出典】 令和元年度厚生労働科学研究費補助金「特定行為研修の修了者の活用に際しての方策に関する研究」中間報告 (研究代表者 真田弘美) タスク・シフト/シェア

  • #107.

    Answer 2/2 ・前ページでお示しした研究の詳細については以下のとおりです。 <研究方法> デザイン : 後ろ向き調査及び研修修了者へのヒアリング 調査項目 : 出退勤時刻に基づいた医師の年間勤務時間 調査期間 : 特定行為研修修了者配置前 2016年度 特定行為研修修了者配置後 2017年・2018年度 調査施設 : 特定機能病院(500床以上) 配置内容 : 心臓血管外科に2名の特定行為研修修了者(21区分修了)を配置 研修修了者の活動内容 : ① 病棟管理を主とし、それまで医師が実施していた外来との調整や入院のベッドコントロールを実施 ② 医師不在時は、病棟看護師からの相談・報告を受けて、医師の包括指示の範囲内で対処 ③ 修了者2名で、1か月間で28の特定行為を計281件実施 ・術前の患者管理(検査・他科依頼・麻酔科外来) ・心臓血管外科外来 ・病棟回診・処置の介助 ・看護師との合同カンファレンス ・ICUでの術後管理(人工呼吸器管理など) ・CV抜去やPICC挿入 ・輸液量の調整 などを行いました。 タスク・シフト/シェア

  • #108.

    Question ! 医師と特定行為研修修了者が協働していく上で 気をつけるべきことはありますか? Answer 1/2 ・医療安全を十分に確保しながら特定行為を実践するためには、手順書の示す内容につ いて、医師と特定行為研修修了者の間で、指示内容について十分に認識共有されてい ることが必要となります。また、手順書の作成にあたっては、特定行為研修修了者の 手技能力や経験年数等に鑑み、指示内容を変更するなど、定期的に見直しを行うこと が必要です。 ・手順書の作成にあたっては、厚生労働省HPにおいて手順書例集を公開しております ので、ご活用ください。 特定行為に係る手順書例集 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000112464.pdf 【在宅領域版】特定行為に係る手順書例集 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000679735.pdf タスク・シフト/シェア

  • #109.

    Answer 2/2 ・なお、手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示 として作成する文書又は電磁的記録(※1)であって、次に掲げる事項が定められて いる必要があります。 ① ② ③ ④ ⑤ 看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲 診療の補助の内容 当該手順書に係る特定行為の対象となる患者(※2) 特定行為を行うときに確認すべき事項 医療の安全を確保するために医師又は歯科医師との連絡が必要となった場合の 連絡体制 ⑥ 特定行為を行った後の医師又は歯科医師に対する報告の方法 (※1)電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる 記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。 (※2)当該手順書に係る特定行為の対象となる患者とは、当該手順書が適用される患者の一般的な 状態を指し、実際に手順書を適用する場面では、医師又は歯科医師が患者を具体的に特定し た上で、看護師に対して手順書により特定行為を行うよう指示をする必要があること。 タスク・シフト/シェア

  • #110.

    手順書による指示のイメージ 指示 • • • • 患者の特定 特定行為を実施する看護師の特定 処方内容(薬剤に関連する行為の場合) どの手順書により特定行為を行うのか 等 「直接動脈穿刺法による採血」に係る手順書のイメージ 事項 具体的な内容 (1)当該手順書に係る特定行為の対象となる患者 呼吸状態の変化に伴い迅速な対応が必要となりうる患者 (2)看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の 範囲 以下のいずれもが当てはまる場合 呼吸状態の悪化が認められる(Sp02、呼吸回数、血圧、脈拍等) 意識レベルの低下(GCS●点以下又はJCS●桁以上)が認められる (3)診療の補助の内容 病状の範囲に合致する場合は、直接動脈穿刺による採血を実施 (4)特定行為を行うときに確認すべき事項 穿刺部位の拍動がしっかり触れ、血腫がない (5)医療の安全を確保するために医師又は歯科 医師との連絡が必要となった場合の連絡体制 ①平日日勤帯 担当医師又は歯科医師に連絡する ②休日・夜勤帯 当直医師又は歯科医師に連絡する (6)特定行為を行った後の医師又は歯科医師に 対する報告の方法 手順書による指示を行った医師又は歯科医師に採血の結果と呼吸状 態を報告する(結果が 出たら速やかに報告) タスク・シフト/シェア

  • #111.

    Question ! どの医療機関で特定行為の研修が行えますか? Answer ・特定行為研修が可能な医療機関については、厚生労働省HPにて一覧を公表しており ます。なお、特定行為研修の詳細については、各指定研修機関へお問い合わせくださ い。 厚生労働省HP 指定研修機関等について <特定行為に係る看護師の研修制度:特定研修機関等について> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html タスク・シフト/シェア

  • #112.

    Question ! 医師事務作業補助者はどんな業務を行うことができますか? Answer 1/2 ・医師事務作業補助者(「医師の指示で事務作業の補助を行う事務に従事する者」をいう。)等の 事務職員については、以下のような業務を行うことができます。なお、業務を行う上で求められ る専門性の程度や医療機関内の体制等に応じて、適切に役割分担を行う必要があります。 ・また、これらの業務を医師事務作業補助者等の事務職員が行う場合、院内の研修等により、必要 な知識を備えることが望ましいです。 ① 診療録等の代行入力 (電子カルテへの医療記録の代行入力、臨床写真など画像の取り込み、カンファレンス記録や回診記録の記載、手術記 録の記載、各種サマリーの修正、各種検査オーダーの代行入力) ② 各種書類の記載 (医師が最終的に確認または署名(電子署名を含む)することを条件に、損保会社等に提出する診断書、介護保険主治 医意見書等の書類、紹介状の返書、診療報酬等の算定に係る書類等を記載する業務) ③ 医師が診療する前に、医療機関の定めた定型の問診票等を用いて、診察する医師以外の者が患者の病歴や症状 などを聴取する業務 ④ 日常的に行われる検査に関する定型的な説明、同意書の受領 (日常的に行われる検査について、医療機関の定めた定型的な説明を行う、又は説明の動画を閲覧してもらった上で、 患者又はその家族から検査への同意書を受領) ⑤ 入院時のオリエンテーション (医師等から入院に関する医学的な説明を受けた後の患者又はその家族等に対し、療養上の規則等の入院時の案内を行 い、入院誓約書等の同意書を受領) ⑥ 院内での患者移送・誘導 ⑦ 症例実績や各種臨床データの整理、研究申請書の準備、カンファレンスの準備、医師の当直表の作成等の業務 タスク・シフト/シェア

  • #113.

    Answer 2/2 ・医師事務作業補助者へのタスクシフトの業務の一例は以下のとおりです。 医師が診療する前に、 医療機関の定めた定型の問診票等を 用いて、患者の病歴や症状などを 聴取する業務 各種書類の記載 ※医師が最終的に確認または署名 (電子署名を含む)することが条件 診療録等の代行入力 院内での患者移送・誘導 日常的に行われる検査に関する 入院時の オリエンテーション 定型的な説明・同意書の受領 タスク・シフト/シェア

  • #114.

    医師のプロフェッショナリズム

  • #115.

    医師という業務の特性上、学生時代から、臨床・専門研修を越えて、継続して修練に励むことが重要です。

  • #116.

    法に基づく研修、すなわち臨床研修や、専門医の養成期間を終えた後も、自身の技術を高めるための活動は継続していきます。

  • #117.

    医師は継続して修練に励むことが求められている一方で、修練を理由に際限なく労働時間が長くなっていいわけではなく、まずは所定の労働時間内で効率的な研修が出来るよう、労働時間を適切に管理することが大切です。

    特に医師になりたての臨床研修医や専攻医を指導する医師は、臨床研修医・専攻医の労働時間を単に短くするのではなく、研修の密度を高めるような「研修の効率化」を行い、指導医と臨床研修医・専攻医とが互いに満足を得られる研修体制を整えていく必要があります。

  • #118.

    Question ! 臨床研修中において、 医師のプロフェッショナリズムはどのように評価されますか? Answer 1/2 ・各分野・診療科のローテーション終了時に、医師及び医師以外の医療職が「研修医評 価票」を用いて評価を行います。臨床研修2年次終了時の最終的な達成状況について は、「臨床研修の目標の達成度判定票」を用いて評価(総括的評価)されます。 ・評価者は、臨床研修医の日々の診療実践を観察して、医師としての行動基盤となる価 値観などを評価します。具体的には医師の社会的使命を理解した上で医療提供をして いるのか(A-1)、患者の価値観に十分配慮して診療を行っているのか(A-2、A-3)、 医療の専門家として生涯にわたって自己研鑽していく能力を身につけているのか (A-4)などについて多角的に評価します。 ※詳細は、「医師臨床研修指導ガイドライン-2020年度版-」を参照してください。 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/ishirinsyokensyu_guideline_2020.pdf 医師のプロフェッショナリズム

  • #119.

    Answer 2/2 ・医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)に関する研修医評価票 (医師臨床研修指導ガイドライン-2020年度版- より抜粋) 医師のプロフェッショナリズム

  • #120.

    Question ! プロフェッショナリズムを備えた医師を育成するためには、 指導する医師にどういった素養が求められますか? Answer ・医師としての行動を決定づける基本的価値観(プロフェッショナリズム)として、① 社会的枠組みでの公平性・公正性と公衆衛生的視点の確保、②病める人の福利優先、 ③他者への思いやり・優しさ、④絶え間ない自己向上心という4つの価値観が挙げら れています。 ・医師としての行動の背後にある考えや価値観を涵養するためには、医師やそのほかの スタッフの観察とその記録・評価、また、それらに基づく臨床研修医への定期的な フィードバックが重要です。直接の指導を通じて、その臨床研修医を十分に観察し、 その他のスタッフによる記録・評価も参考にしつつ、医師のプロフェッショナリズム に関するフィードバックを行うことをできるだけ心がけてください。 医師のプロフェッショナリズム

  • #121.

    Question ! 医師の働き方改革を推進しつつ、 臨床研修医や専攻医の修練を指導する上で、 気をつけるべきことはありますか? Answer <指導する医師> ・臨床研修指導医や、専攻医を指導する医師は、所定労働時間内に修練が行われるよう 工夫した研修計画を考える必要があります。やむを得ず、所定労働時間外に修練を行 う必要がある場合には、その必要性について十分に吟味してください。 ・なお、臨床研修医や専攻医にとっては、夜間・休日の急変患者に対応することでしか 知り得ない知識・技能もあります。このため、研修の必要性から、指導医が緊急に呼 び出す可能性については事前に説明を行っておきましょう。またその場合は、事後的 に代償休息を付与する等、十分な休息時間の確保を行う旨も伝えておきましょう。 <管理者> ・指導をする医師の健康を確保することも、医療機関の管理者の重要な役割です。一人 の医師に指導に関する業務が集中しないよう、すなわち、業務時間内に指導を行える よう、科内で指導担当者を分担する等の調整を行いましょう。 医師のプロフェッショナリズム

  • #122.

    Question ! 医師の働き方改革の制度がスタートすることを踏まえ、 指導を受ける医師(臨床研修医・専攻医)が 気をつけるべきことはありますか? Answer ・指導を受ける医師は、研鑽時間と労働時間の区別を十分に認識しながら働くことが大 切です。自分の所属する医療機関における所定労働時間を確認し、それ以外の時間で 従事している業務や研鑽が、労働時間に該当するかは、自身でも確認を行うようにし ましょう。 医師のプロフェッショナリズム

  • #123.

    医師としての基本的価値観 (プロフェッショナリズム) (医師臨床研修指導ガイドライン-2020年度版- より抜粋) 1. 社会的使命と公衆衛生への寄与 社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、限りある資源や社会の変遷 に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。 2. 利他的な態度 患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先し、患者の価値観や自己決 定権を尊重する。 3. 人間性の尊重 患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの 心を持って接する。 4. 自らを高める姿勢 自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。 医師のプロフェッショナリズム

  • #124.

    働き方を守る様々な法制度

  • #125.

    さて、医師の働き方改革の制度と直接関連はありませんが、以前より我が国に設けられている、働く人が働きやすい環境を守るための制度を解説します。

    まず、ハラスメントを防止する制度についてです。医療現場でもハラスメントが起きることがあります。

    ハラスメントには、例えば、

    パワーハラスメント

    セクシュアルハラスメント

    妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

    があります。

  • #126.

    ハラスメントにあったときは、自分の所属する機関の相談窓口に相談しましょう。

    すべての企業は相談窓口の設置などを含めた、ハラスメント対策を講じる義務があります。

    企業が講ずべき措置の詳細は、「あかるい職場応援団」をご覧ください。

  • #127.

    相談窓口に相談するときには、事実関係を整理することも大切です。

    1.ハラスメントだと感じたことが起こった日時

    2.どこで起こったのか

    3.どのようなことを言われたのか、強要されたのか

    4.誰に言われたのか、強要されたのか

    5.そのとき誰がみていたか

    そのためには、記録を残しておくなどの対応をすることも大切です。

  • #128.

    ハラスメントに関する悩み事はまずは自分の所属する機関での相談窓口へ相談することができますが、自分の所属する機関に相談窓口がない、様々な理由で相談するのが不安な場合は、これらの機関に相談することができます。

    ・各都道府県に設置した労働局やその傘下の労働基準監督署には、総合労働相談コーナーが設置されています。

    総合労働相談コーナーでは、職場におけるいじめ・嫌がらせや労働条件の引き下げなどのあらゆる分野の労働問題に関する相談を受け付けています。

    ・相談のみでは、トラブルの解決に至らなかった場合、都道府県労働局に、あっせんという制度があります。

    あっせんとは、弁護士などの労働問題の専門家が、中立で公平な立場から、労働者と使用者の双方の話し合いを促進することにより、トラブルの解決を図る制度です。

    ・法テラス(日本司法支援センター)では、様々な法的トラブルに対して、トラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられます。

    ・みんなの人権 110 番は、最寄りの法務局・地方法務局において差別や虐待、ハラスメントなど、様々な人権問題についての相談を受け付ける相談電話です。法務局・地方法務局およびその支局では、窓口において、面接による相談も受け付けています。また、インターネットによる相談にも対応してい>ます。

  • #129.

    労働者である医師には、年次有給休暇を取得する権利が与えられています。

    勤務開始から6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すると 10 労働日分の有給休暇が付与されます。

    また、勤続年数に応じ、有給休暇の付与日数は変動します。

    また、医療機関側は年 10 日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年 5 日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられています。

  • #130.

    さらに、有給休暇とは別に家庭の状況やライフステージに応じて取得できる休暇があります。

  • #131.

    産前産後休業は出産前 6 週間、出産後8週間の休業を保障する制度です。パート・アルバイト等を含め、すべての女性が産前産後休業の対象です。

  • #132.

    産後パパ育休は、通常の育児休業とは別に取得できる育児休業です。産後パパ育休は、お子さんが生まれてから 8 週間以内に、最大 4 週間まで取得することが出来ます。

    また、予め職場に申し出ることで、2 回に分割して取得することもできます。なお、産後パパ育休の期間であっても、労使の間に合意があれば、一定の上限の範囲で休業中に就業することもできます。

  • #133.

    育児休業は、女性は産後休業終了後から、男性は出産予定日から、お子さんが 1 歳になるまでの間、取得することができます。

    両親共に育児休業を取得する場合であれば、お子さんが 1 歳 2 か月になるまでの間で 1 年間、取得することができるようになります。

    また、保育所等に入れないなどの事情があれば、1 歳 6 ヶ月までになるまでの間(それでも保育所に入所できない場合には2歳になるまでの間)、育児休業を取得することができます。

  • #134.

    小学校に入る前のお子さんがいらっしゃる方の場合、職場に申し出ることにより、1つの年度中に最大5日まで、病気、けがをしたお子さんの看護又はお子さんに予防接種や健康診断を受けさせるための休暇を時間単位で取得が可能です。

    また、この対象になる小学校入学前のお子さんが2人以上いらっしゃる場合は、取得可能な上限が 10 日になります。

  • #135.

    介護休暇は、介護が必要な状態の家族がいらっしゃる場合に、そのご家族の介護や世話をするための休暇です。

    対象となるご家族が 1 人の場合は年5日を限度に取得が可能であり、2 人以上の場合は年 10 日まで取得することが可能です。

  • #136.

    介護休業とは、介護が必要な状態の家族がいらっしゃる場合に、その方を支える体制を構築するために、一定期間利用することを想定した休業です。

    対象となるご家族 1 人につき 3 回まで、通算 93 日まで休業できます。

  • #137.

    Question ! メンタルヘルスの不調を自覚したときには、 どこに連絡すれば良いですか? Answer 1/2 ・もし、ご家族や友人、職場の同僚や上司の方等、相談できそうな人がいたら相談をし てみましょう。もちろん、そうした相談相手が見当たらないこともあります。そう いった場合に備えて、事前に、相談窓口を確認しておきましょう。 ・事業場内に設置されているメンタルヘルス相談窓口や健康管理に関する部署の他、外 部の専門的な相談窓口と契約している場合もあります。 働き方を守る様々な法制度

  • #138.

    Answer 2/2 ・厚生労働省では、医療従事者や介護従事者を含む働く方のメンタルヘルス対策につい て、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」において、職 場のメンタルヘルスに関する総合的な情報提供を行うとともに、メンタルヘルス不調 や過重労働による健康障害に関する相談窓口を設置しております。 こころの耳 https://kokoro.mhlw.go.jp/ 働き方を守る様々な法制度

  • #139.

    Question ! 育児や介護で休業している期間には、 どのような経済的支援が受けられますか? Answer <出生時育児休業給付金> ・雇用保険の被保険者で、子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28 日間)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得し た場合に、一定の要件を満たす方は、休業開始前賃金の67%相当額が支給されます。 <育児休業給付金> ・雇用保険の被保険者で、1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月 または2歳)未満の子を養育するために育児休業をした場合に、一定の要件を満たす方は、休業 開始時賃金の67%(休業開始から181日以後は50%)相当額が支給されます。 <介護休業給付金> ・雇用保険の被保険者で、要介護状態にある家族を介護するために介護休業をした場合に、一定の 要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金の67%の介護休業給付金が支給されます。 ※詳しくは、勤務先の医療機関の人事労務管理部門やハローワークにご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html 働き方を守る様々な法制度

  • #140.

    Question ! 育児のために勤務時間を少し抑えて働きたいのですが、 どんな制度が利用できますか? Answer ・以下の制度を利用することができます。 <育児短時間勤務制度> ・3歳に満たない子を養育する場合、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮すること ができる制度 <所定外労働の制限> ・3歳に満たない子を養育する場合、所定外労働を制限することを請求できる制度 <時間外労働の制限> ・小学校就学前の子を養育する場合、時間外労働を1月24時間、1年150時間以内に制 限することを請求できる制度 <深夜業の制限> ・小学校就学前の子を養育する場合、午後10時から午前5時の深夜業を制限すること を請求できる制度 ※詳しくは、勤務先の医療機関の人事労務管理部門にご確認ください。 働き方を守る様々な法制度

  • #141.

    Question ! 介護のために短時間勤務を行いたい場合の 短時間勤務制度とは、どのような制度ですか? Answer ・労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護 を必要とする状態)にある対象家族を介護するための、所定労働時間の短縮等の措置のことです。 ・利用期間・回数については、対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上となります。 <対象となる労働者> ・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く) ※労使協定を締結している場合に対象外となる労働者 ・入社1年未満の労働者 ・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 <対象となる家族> ・配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 <短時間勤務等の制度> ・「短時間勤務等の措置」は会社によって利用できる制度が異なりますが、 事業主に対して、次のうち、いずれか1つ以上の制度を設けることを義務付けています。 ① ② ③ ④ 短時間勤務の制度 フレックスタイムの制度 始業又は就業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度) 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度 厚生労働省HP 短時間勤務等の措置について https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/shortworking/index.html 働き方を守る様々な法制度

  • #142.

    Question ! 有給休暇の期限はいつまでですか? Answer ・年次有給休暇は、法律で定められた労働者に与えられた権利です。 正社員、パートタイム労働者等の区分に関係なく、以下2点を満たしていれば、 年次有給休暇を取得することができます。 ① 半年間継続して雇われている ② 全労働日の8割以上を出勤している ・10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、 5日について、毎年時季指定して付与しなければならないこととされています。 ・有給休暇には時効があり、有給休暇は与えた日から2年で時効となります。 与えた日から1年間で使い切れなかった有給休暇は翌年に繰り越し、新たに与えられた休暇日数 に加算しますが、さらに1年間使わなかったときは時効により消滅します。 厚生労働省HP 年次有給休暇取得促進特設サイト https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/sokushin/roudousya.html 働き方を守る様々な法制度

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