#4.
薬剤クラス 薬剤名 ドネペジル 適応(AD) 剤型・用法 軽度 中等度 重度 DLB(内服 のみ) 1日1回経口(細粒、 錠剤、OD錠、内服 ゼリー、ドライシ ロップ)、1日1回貼 付 主な有害事象 留意事項 消化器症状(悪 心・嘔吐・下 消化器症状少 痢)※用量依存、ない 悪夢、体重減少、悪夢多い 徐脈、失神 ChE阻害薬 リバスチグミン ガランタミン NMDA受容体拮抗薬 メマンチン 抗アミロイド抗体薬 レカネマブ ドナネマブ 軽度 中等度 軽度 中等度 中等度 重度 MCI 軽度 1日1回貼付、週2回 貼付 同上+皮膚のか ぶれ 肝障害、やせ 減量、重度肝 障害× 肝・腎障害減 量、重度肝・ 1日2回経口(錠剤、 同上 腎障害× OD錠、内用液) 食事と一緒に 服用 1日1回経口(錠剤、 腎障害減量 めまい、傾眠、 OD錠、ドライシ ChEIより副作 頭痛、高血圧 ロップ) 用少ない 2週に1回点滴 4週に1回点滴 ARIA、輸注反 応 使い分け 使いやすさ・耐容性・費 用・患者と医療者の好みに 加え、剤形(内服・貼付)、 服用回数の希望、個々の効 果と副作用を踏まえて決定 単剤(ChEI効果・忍容性な し)、併用
#5.
抗認知症薬の効果 ■ まず押さえるポイント 症状改善(認知機能・全般機能)の薬であり根本治療ではない
#6.
コリンエステラーゼ阻害薬の効果 項目 軽度〜中等度認知症 重度認知症 進行期(FAST7) 効果(6〜12か月) ・認知機能:わずかに改善 (MMSE+1.37点) ・介護者による全般的な印象や ADL:わずかに改善 ・約2か月/年遅延相当 ・一部の認知機能、 機能的アウトカム: わずかに改善 その他 ・12人治療 → 1人が有益、1人に 副作用 ・個人差大きい:効果なし:30〜 臨床的に意味のある ・臨床的意義は限定 50%、著効:〜20% 有益性が得られる見 的な可能性 ・長期アウトカム(施設入所・自立 込みはほとんどない 維持)は明確なエビデンスなし(結 果不一致)
#7.
メマンチンの効果 重症度 中等度〜重度AD 進行期(GDS7) 効果 ・認知機能(1年後MMSE+1.2点程度) ・効果を支持するデータはほぼ ・単剤・併用ともにわずかな改善 なし ・施設入所の抑制:効果なし(4年追跡でも差なし) その他 ・安全性プラセボと同程度(忍容性良好) ※エビデンス極めて限定的
#8.
Q.1 85歳の女性。アルツハイマー型認知症(AD)の診断で、近医よりドネペジ ル10mgを処方され、1年以上安定して内服を継続していた。今回、尿路感 染症に伴う発熱とせん妄による軽度の意識混濁のため内科病棟に入院と なった。入院時、ADLは介助が必要だが、意思疎通は可能であった。 内科 主治医として入院中の治療計画を立てる際、 既に内服中の抗認知症薬の扱いについて、最も適切なアクションはどれか。 A. ドネペジルを直ちに中止する。 B. ドネペジルを中止し、抗精神病薬を開始する。 C. ドネペジルは現状の用量で継続する。 D. ドネペジルに加えて新たにメマンチンの併用を開始する。 E. 一般内科医は抗認知症薬の調整をすべきではないため、専門医へコンサ ルトする。
#9.
Q.1 入院管理における抗認知症薬の継続と評価 正解:C ドネペジルは現状維持 各選択肢のポイント A:ドネペジルを直ちに中止する 安定内服中のChEIを中止→ 中止に伴う症状出現や症状悪化のリスク B:ドネペジル中止+抗精神病薬開始 抗精神病薬は→ 転倒・誤嚥・死亡リスク↑ せん妄の第一対応は→ 原因治療(感染制御) コツ (正解) C:現状維持 「急性期は“変えない勇気”」 長期安定内服中→ 継続が基本 安定している抗認知症薬は原則継続 せん妄は原因治療が最優先 D:メマンチン追加 急性期の薬剤追加は→ 症状評価を混乱させる E:専門医へコンサルト必須 継続判断は→ 一般内科医でも対応可能であり必須ではない
#10.
Q.2 82歳の女性。中等度のアルツハイマー型認知症(AD)と診断され、認知機 能検査はMMSE 16点/30であった。以前は趣味の裁縫を好んでいたが、最 近は一日中ぼんやりと椅子に座って過ごすなど、アパシー(意欲低下)が 目立っている。また、以前から時折「めまい」を自覚しており、ふらつき による転倒のリスクが懸念された。皮膚はかぶれやすい。現在定期内服は なく、同居の家族は1日1回の服薬介助は可能である。 この患者に対してまず考慮される薬物介入として、最も適切なものはどれ か。 A. ガランタミン B. リバスチグミン C. メマンチン D. セルトラリン E. ドネペジル
#11.
Q.2 アパシーを伴う中等度アルツハイマー型認知症の薬剤選択 正解:E ドネペジル 各選択肢のポイント A:ガランタミン ChEIでありアパシーへの効果は期待できるが 1日2回投与が必要 B:リバスチグミン ChEIでありアパシーへの効果は期待できるが皮膚トラブル(かぶれ)リスク高い C:メマンチン アパシー改善のエビデンスはChEIが先行 D:セルトラリン アパシー改善の根拠は乏しく、むしろ悪化の可能性も指摘 E:ドネペジル (正解) ChEIでありアパシーにエビデンスあり、1日1回投与で管理しやすい コツ アパシーにはまずChEIを検討 「回数・副作用」で薬剤選択
#12.
Q.3 アルツハイマー型認知症で通院中の82歳男性。ドネペジル5mgを半年間継 続しており、MMSEスコアが18点から20点に改善し、ADLも変わりなく過 ごせている。最近、自宅で「ふらつき」や「立ちくらみ」を自覚するよう になり、家族に伴われて受診した。診察時のバイタルサインは血圧128/76 mmHg、脈拍46回/分(整)であり、明らかな徐脈を認めた。以前から高 血圧症と頻脈性不整脈に対してアムロジピン(Caブロッカー)とアテノ ロール(β遮断薬)を併用している。 以下のうち、この場面で最も優先すべき薬剤の対応をひとつ選べ。 A. アムロジピンを減量・中止する。 B. β遮断薬を減量・中止する。 C. ドネペジルを減量・中止する。 D. リバスチグミン(貼付剤)に切り替える E. ドネペジルとメマンチンの併用療法に切り替える。
#13.
Q.3 抗認知症薬の効果維持と副作用への対応 正解:B β遮断薬を減量・中止する 各選択肢のポイント A:アムロジピン減量・中止 血管拡張主体で徐脈への影響は小さい B:β遮断薬減量・中止 (正解) ChEI副作用管理のコツ+α 徐脈 心伝導障害・β遮断薬など併用に注意 消化器症状(悪心・嘔吐) 用量依存 → 減量 / 時間経過 / 制吐薬 体重減少 薬剤変更・夕内服・食事工夫(嗅覚刺激) 悪夢 朝内服・薬剤変更を検討 心拍数低下の主因、ChEIと相加・相乗で徐脈増悪→ まず調整すべき薬剤 C:ドネペジル減量・中止 MMSE改善あり、有効性確認されている、まずは併用薬調整 D:リバスチグミンへ変更 同じChEIであり徐脈リスクは残る E:メマンチン併用 徐脈改善には寄与しない コツ 徐脈+ChEI内服中 → 併用薬をまず疑う 有効なChEIは可能な限り維持
#14.
Q.4 75歳の男性。レビー小体型認知症(DLB)生々しい幻視を頻回に訴えるよ うになった。本人はこれらの幻視に対して強い恐怖を感じており、パニッ ク状態で家族に助けを求めたり、夜間に興奮して不眠が続いたりするなど、 生活に著しい支障をきたしている。身体疾患や薬物によるせん妄の可能性 は除外された。なお、血液検査データは eGFR 50 mL/min/1.73m²、 HbA1c 6.8% である。 この場面で幻視に対して追加する薬剤として最も適当なものをひとつ選べ。 A. メマンチン B. リスペリドン C. ドネペジル D. ガランタミン E. 抑肝散
#15.
Q.4 レビー小体型認知症(DLB)のBPSD管理 正解:C ドネペジル 各選択肢のポイント A:メマンチン コツ DLBの幻視はまずChEI(ドネペジル) 抗精神病薬は重篤な副作用に注意し慎重に DLBへ保険適応なく、幻視への第一選択ではない B:リスペリドン ドパミン遮断薬なのでDLBで重篤な副作用(EPS・悪性症候群)リスク→ 原則回避 C:ドネペジル (正解) 幻視への改善エビデンスあり、DLBで保険適用あり D:ガランタミン ChEIだが、幻視への改善エビデンスはドネペジル。またDLBの保険適用なし E:抑肝散 行動・心理症状に用いることあり、エビデンスはChEIが先行
#16.
Q.5 重度のアルツハイマー型認知症(FAST ステージ7)の88歳女性。意思疎通 が困難となり、寝たきりの状態であるため、本人・家族との話し合い (ACP)に基づき、内服していたドネペジル10㎎を漸減したのちに完全に 中止した。しかし、中止から5日後、それまで穏やかだった患者に急激な興 奮、攻撃性、および生々しい幻覚が出現した。他内服の変更はなく、急性 疾患の可能性も低いと判断している。 この場面における最も優先すべき対応をひとつ選べ。 A. 認知症の自然な進行による症状悪化と考え、経過を観察する。 B. 薬剤が有益であった可能性を考慮し、ドネペジルを最大用量で再開する。 C. BPSDと判断し、ブレクスピプラゾールを追加する。 D. 薬剤の中止による反応である可能性が高いため、ドネペジルを直前の用 量で速やかに再開する。 E. 終末期のせん妄と判断し、新たにハロペリドールの投与を開始する。
#17.
Q.5 ドネペジル中止後の症状変化 正解:D ドネペジルを直前の用量で速やかに再開する 各選択肢のポイント A:自然経過として経過観察 進行による悪化は6〜12週後に出現が目安→時期的に不一致 B:最大用量で再開 有効であった可能性<中止に伴う症状。再開は必要だが 直前用量で再開が原則→過量再開は不適切 C:ブレクスピプラゾール追加 処方カスケードとなる→まず原因修正 D:直前用量で再開 (正解) 1週間以内の急変中止反応の典型→速やかに再開 E:ハロペリドール開始 せん妄と断定できない。原因未修正での追加は不適切 コツ 中止後の症状出現時期で鑑別 〜1週:中止反応 2〜6週:有効性の消失 6〜12週:自然経過 事前説明が重要 家族へ悪化時の対応を共有 2〜3週間ごとに50%ずつ減量
#18.
What we should carry forward みんなの抗認知症薬 患者も医師も抗認知症薬とうまく付き合う
#19.
参考文献 • Press D, et al. Treatment of Alzheimer disease. UpToDate. • Press D, et al. Cholinesterase inhibitors in the treatment of dementia. UpToDate. • 認知症疾患診療ガイドライン2026. 医学書院 • かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向 精神薬使用ガイドライン(第3版) • 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025. メジカルビュー社
#20.
次回以降の参加はこちら もっと学びたい方へ 参加はこちらのQRコードから イベントページをフォロー 詳細を勉強したい方は 『老年医学のトビラ』を参照