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統合ケア 2020年11月

  • その他

  • ゆきあかり

24,079

17

2020/11/24
2020/11/25 更新
小林 聡史

ゆきあかり診療所

総合診療専門医プログラム地域医療のススメの専攻医向けレクチャーで発表したものです。先月はこの資料作成のためアップロードできませんでした。スライドだけだとわかりづらい可能性大ですが笑、ご参考になれば幸いです。


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統合ケア 2020年11月

  1. 複雑な健康問題へのアプローチ・統合的ケア 2020年11月24日 シニアコアレクチャー ゆきあかり診療所管理者 小林聡史

  2. 本スライドの目標 プライマリケアとは何か、その特有の機能や視点を説明できる 統合ケアとは何か、そのレイヤーや強さ、統合の方向性や統合方法を説明できる プライマリケアと統合ケアの関連性について説明できる

  3. Key words 統合ケア 統合の次元:システム統合(マクロ)、組織統合・専門職統合(メソ)      臨床統合(ミクロ) 統合の方向性:垂直統合、水平統合 統合の方法:機能的統合、規範的統合 統合の強度:分離、連携、協調、完全統合 プライマリケア プライマリケア特有の機能:First contact care、Longitudinality、Comprehensive care、Coordinated care プライマリケアの視点:個人にフォーカスしたケア、集団ベースのケア

  4. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.の論文のPDFを画像として引用 スライド構成 左の論文の意訳を中心に構成してますInt J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010. それ以外の文献を参照した場合は右下に記してあります

  5. この論文における統合ケアと プライマリケアの定義

  6. その前に、「統合Integration」って何? https://www.weblio.jp/content/%E7%B5%B1%E5%90%88 2020年9月25日閲覧 いくつかの物を一つにまとめあわせること

  7. 統合ケアの定義:Leutz(2009) 「アウトカム」を向上させるために、「医療システム」と「他の人的サービスシステム」を接続するための探索 アウトカム:臨床アウトカムや、患者満足度、効率性 医療システム:急性期ケア、プライマリケア、高次医療 他の人的サービスシステム:長期ケア、教育、職業サービス、住宅サービスなど

  8. 例:医療×学校給食 アレルギーの子どもの給食の注意事項が きちんと学校に伝わらなかったら、、、 不幸な結果になりますよね。

  9. 例2:医療×職業 過酷な勤務状況で心身の不調を起こしているのに上手く医療に繋がれず、うつ病を発症して休職を余儀なくされたり。

  10. プライマリケアの定義:アルマアタ宣言(1978) プライマリケアは必要不可欠なヘルスケアである 実践的で科学的、かつ社会的に許容できる方法に基づいている 地域社会の個人や家族の協力によって広く利用可能なようにデザインされている 地域や国のどの発展段階であっても維持可能な程度に低コスト 国の保険システムや、地域の社会的・経済的発展のために不可欠 ケアにアクセスするためのFirst contactを担い、継続的なヘルスケアプロセスの最初の要素を構成する

  11. Introduction

  12. 時代は統合ケア! 高齢化による慢性疾患の増加 医療の利用率上昇、医療費の増加 より効果的な医療サービスが必要 医療システムを統合することで、より効果的なサービスが提供できる

  13. しかし、現実では・・・ 多くの高所得国では、専門化、差別化、細分化、分散化がおき 結果として、保健・社会サービスの供給が分断化され サービスの統合が妨げられている 分断化は、最適でないケア、重複によるコストの上昇、ケアの質の低下をもたらす

  14. プライマリケアには統合機能がある プライマリケアに基づくシステムは専門に分化したシステムよりも健康アウトカムが良好 プライマリケアでは、多職種との連携や高次病院との連携だったり、マクロ的な視点で地域全体をケアしたりと、統合的な視点が含まれている

  15. オランダの取り組み Primary focus programが統合ケアの促進を目指している プライマリケア間や、プライマリケア×他の医療・社会サービス部門間の統合 主体的な連携に対して資金提供をすることで 統合の阻害要因や促進要因を見つけるために、開発プロセスをモニタリングしている これらの取り組みを言語化するには概念的なフレームワークConceptual frameworkが必要!

  16. でも統合ケアの概念って曖昧・・・ 「ヘルスケアシステム」の実態が多様すぎて、統合ケアの実態を捉えづらい 概念的に不明確であり、体系的な理解が妨げられている 統合ケアの構想、デザイン、提供、管理、評価も妨げられてしまう

  17. 本論文の目的 プライマリケアの観点から 統合ケアの概念的なフレームワークを開発すること

  18. Method

  19. 2つのプロセスでフレームワーク開発 ナラティブな文献検索 narrative literature review グループミーティングと専門家パネルによる文献の統合group meetings and expert panels to synthesise the literature

  20. まずは文献検索 ‘primary care’ and/or ‘integrated care’ and (‘collaboration’ or ‘cooperation’)という検索語で文献検索 MeSH termも使用 英語の雑誌の記事や書籍も対象に含める 関連する可能性のある文献を見つけた場合は研究者に連絡して入手(snowball method)

  21. ディスカッションを通じてフレームワーク開発 筆頭著者が文献チェックし、様々な理論的概念をリストアップ&研究チームがプライマリーケアの主要な特徴をリストアップ 理論的概念とプライマリケアの主要な特徴を組み合わせてフレームワーク作成 フレームワークの内的妥当性についてディスカッションし、改良 統合ケアやプライマリケアの研究者7名と、1時間の会議を6回

  22. Results

  23. 50の文献を使いました フレームワーク開発のために、検索で得られた50の文献を用いた。 文献の取得方法 18件:データベースの直接検索 25件:snowball method(研究者に連絡して入手)(残り7つは記事とか書籍??→記載なし) 文献の用途 12件:プライマリケアの主要な特徴の特定 34件:統合ケアの主要な要素の記述(残り4つは何に用いたのか??→記載なし)

  24. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 システム統合 組織統合 専門職統合 臨床統合 機能的統合 規範的統合 個人にフォーカスしたケア 集団ベースのケア 集団ベースのケア プライマリケア機能に基づく統合ケアのフレームワーク

  25. フレームワークの3つの柱 プライマリケアにおける統合機能Integrative function of primary care 統合ケアの次元Dimensions of integrated care プライマリケアと統合ケアの組み合わせCombining primary care and integrated care

  26. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 個人にフォーカスしたケア 集団ベースのケア 集団ベースのケア

  27. プライマリケア「特有」の機能 First contact care 地域住民が最初にかかる医療機関としてのアクセスを担保 Longitudinality 病気やケガの有無に関わらず継続的に診ること Comprehensive care あらゆるニーズに対して広くサービスが利用可能で、適切な提供ができること Coordinated care 単なる多職種連携とか紹介ではなく、 ケアの優先順位の調整、診療チーム内での調整も含む概念 プライマリ・ケア言始め(ことはじめ)−今さら聞けないひととことば− https://pcij.wordpress.com/tadaookada/otherworks/conceptsonprimarycare/

  28. プライマリケア「特有」の機能 First contact care 地域住民が最初にかかる医療機関としてのアクセスを担保 Longitudinality 病気やケガの有無に関わらず継続的に診ること Comprehensive care あらゆるニーズに対して広くサービスが利用可能で、適切な提供ができること Coordinated care 単なる多職種連携とか紹介ではなく、 ケアの優先順位の調整、診療チーム内での調整も含む概念 プライマリ・ケア言始め(ことはじめ)−今さら聞けないひととことば− https://pcij.wordpress.com/tadaookada/otherworks/conceptsonprimarycare/ プライマリケアは、これらの機能を合わせてケアの統合において中心的な役割を果たす

  29. プライマリケアに含まれる2つの視点 Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010. DiseaseだけでなくIllnessやContextを踏まえたケア 医学的問題と社会的問題を関連付けることが可能 個人にフォーカスしたケアPerson-focused care 対象集団のあらゆる健康問題ニーズに対応し、可能な限り低コストで健康アウトカム改善を目指したケア 対象集団のニーズや社会背景などの特性を踏まえて行う 集団ベースのケアPopulation based care

  30. プライマリケアに含まれる2つの視点 Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010. DiseaseだけでなくIllnessやContextを踏まえたケア 医学的問題と社会的問題を関連付けることが可能 個人にフォーカスしたケアPerson-focused care 対象集団のあらゆる健康問題ニーズに対応し、可能な限り低コストで健康アウトカム改善を目指したケア 対象集団のニーズや社会背景などの特性を踏まえて行う 集団ベースのケアPopulation based care これらの視点により健康と社会システムを関連付けることが可能 →統合ケアの文脈においても重要

  31. フレームワークの3つの柱 プライマリケアにおける統合機能Integrative function of primary care 統合ケアの次元Dimensions of integrated care プライマリケアと統合ケアの組み合わせCombining primary care and integrated care

  32. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 システム統合 組織統合 専門職統合 臨床統合

  33. 筒井孝子:地域包括ケアシステム構築のためのマネージメント戦略. 中央法規 2014 https://fujinumayasuki.hatenablog.com/entry/2016/06/28/163907 図は上記を元にスライド作者が作成 統合の方向性 (すべての次元で共通) 垂直統合Vertical integration 異なるレベルのケアをつなぐ統合 水平統合Horizontal integration 同じレベルのケアをつなぐ統合 退院前カンファなど

  34. マクロレベル Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 システム統合

  35. マクロレベル:システム統合 システム内のルールや政策の統合を行うこと 例:地域の医療介護事業所間でシームレスに情報交換できるようなシステム 対象集団のニーズを満たすために、個人のニーズをシステムの中心に据える全体的なアプローチ 効率性、ケアの質、QOL、患者満足度を高めると考えられている 

  36. メソレベル Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 組織統合 専門職統合

  37. メソレベル①:組織統合 独立した組織間でのサービスの調整のこと 例:脳卒中連携パス 組織統合の方法は3種類ある 市場原理:市場競争のために組織間で契約関係を結ぶ 階層構造:組織が同一化し、トップダウンで物事が進む ネットワーク:組織間が自発的に協力しあう ネットワーク形成が最多、理想的

  38. 市場原理 ネットワーク形成 階層構造 (お互いに)関わりあう期間 意思決定の 共有の程度 分離 連携 協調 (完全)統合

  39. メソレベル②:専門職統合 組織内や組織間での専門職間の連携のこと 例:定期的な多施設/多職種での症例検討会 専門職は、継続的/包括的/調整されたケアを集団に対して提供する共同の責任を負っているため、連携によりその質を高めなければならない

  40. マイクロレベル Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 臨床統合

  41. マイクロレベル:臨床統合 臨床場面での専門職のケアの連携のこと ≒いわゆる多職種連携

  42. フレームワークの3つの柱 プライマリケアにおける統合機能Integrative function of primary care 統合ケアの次元Dimensions of integrated care プライマリケアと統合ケアの組み合わせCombining primary care and integrated care

  43. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 機能的統合 規範的統合

  44. 機能的統合 財務管理、人事、情報管理などの支援機能の連携のこと。 例 患者情報共有システムの構築 政策面でのインセンティブ 越境者的存在の人事採用

  45. 規範的統合 組織、個人の中での文化・価値観の共有のこと。 相互に共有された目標と統合文化は、統合システムのすべてのレベルで必要であり、リーダーシップによって作り出すことができる。

  46. 既存の多職種チーム(≒臨床的統合)だけで対応できないときには・・・ メソやマクロレベルでの統合が必要 →機能的/規範的統合により統合を拡充 機能的統合 規範的統合

  47. 具体的にはこんな感じ 老々介護の在宅ターミナルの方。肺炎で入院中にTAAを指摘され、突然死リスクがあるという理由でショートステイ側から退院後の受け入れを拒否された 家で最期まで看たいという希望があるが、ショートステイがないと介護者が疲弊してしまい在宅ケア継続が困難 ショートステイに直接アポを取って相談員や看護師と相談、何かあればいつでも対応するという条件で受け入れて頂いた 「家で最期まで看たい家族を支える」という価値観の統合:規範的統合 有事対応というサポート機能の連携:機能的統合

  48. まとめ

  49. 本スライドのキーメッセージ1 統合ケア:様々なレイヤー(システム全体、組織間、個人間)で適切に連携してより良いケアを目指すこと プライマリケア:身近で継続的な関わりの中でどんな問題でも様々なサービスと連携・調整してケアしていくこと 統合ケアはプライマリケアの専売特許ではなく、医療全体が目指すべきケアの形である プライマリケアはその理念に統合ケアが組み込まれており、統合ケアの実現に重要な役割を果たす

  50. Int J Integr Care. 2013 Jan-Mar; 13: e010.より引用 システム統合 組織統合 専門職統合 臨床統合 機能的統合 規範的統合 個人にフォーカスしたケア 集団ベースのケア 集団ベースのケア

  51. 筒井孝子:地域包括ケアシステム構築のためのマネージメント戦略. 中央法規 2014 https://fujinumayasuki.hatenablog.com/entry/2016/06/28/163907 図は上記を元にスライド作者が作成 退院前カンファなど

  52. 市場取引 組織間ネットワークの取り決め 合併や買収 (お互いに)関与する期間 意思決定の 共有の程度 分離 連携 協調 (完全)統合

  53. 本スライドのキーメッセージ2(図の説明の文字起こし) いわゆるBPSモデルのような、個人にフォーカスしたケアや、公衆衛生的な視点から、地域コミュニティのアウトカム改善を目指す集団ベースのケアがフレームワークの基盤となっている。 マクロ、メソ、ミクロのそれぞれのレベルにおいて統合を目指す。 統合していく具体的な方法としては、機能的統合や規範的統合が必要である。 統合は同一レベル内での水平統合と、違うレベル間での垂直統合の2種類の方向性がある。 統合の強さには分離した状態から完全統合まで幅があるが、強い統合が常に理想的というわけではないので事例に応じて検討が必要。

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