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航空機内医療 Xmas ver. 

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2021/12/8

内容

医師になるとみんなが1回は気になる「この中にお医者さんはいらっしゃいませんか?」を再考したAntaa イベントのスライドです。

ちなみに筆者は「やまとなでしこ」の東十条医師になりたくて医学部を目指しましたが、いまだ航空機内で松嶋菜々子には出逢えていません。

伊藤涼

海上自衛隊/板橋中央総合病院


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感染症科(166)

産業医(3)

初期研修医(232)

その他(258)


航空機内医療 Xmas ver. 

  1. コロナで海外旅行しにくいからせめて机上の空論だけでも、、、 『お客様の中にお医者さんはいらっしゃいますか?』 板橋中央総合病院  呼吸器内科 / 総合診療科        伊藤  涼

  2. 今日のざっくりサマリー Q.ドクターコールに応えられるようになるには? ①善きサマリア人の法について学ぼう! ―その行為、どんなときも法的に守られる?! ②専門外でも大丈夫! ―機内の医療設備、バックアップ体制を知ってください!

  3. ・“ドクターコールに遭遇した場合の対応”を尋ねると、1790人のうち 「申し出る」と答えたのは28.2% で 「申し出ない」が18.2% それ以外は「その時にならないと分からない」と答えた。 ・“応じる際に不安に思うこと”については、 40.3%:「専門外の患者である」 28.5%:「結果が悪かった時、訴えられる」 を挙げている。 ■医師たちの見解 (m3による調査)

  4. 今日のざっくりサマリー ①善きサマリア人の法について学ぼう! ―日本にはない法整備 ―サマリア vs 応召義務 ②専門外でも大丈夫! ―機内の医療設備 ―実際の発生率は?どんな症例に出くわす? ―救急医のバックアップ体制

  5. みなさんはこんな言葉を聞いたことがありませんか?

  6. 『お客様の中にお医者さんはいらっしゃいませんか?』

  7. 6年時の臨床留学の際に初めて遭遇しました 24歳時、エジプトにおける臨床研修の帰り(エディハド航空) 患者発生にともなって例のコール。 対応する医師。飲みすぎて動けない私、、、 帰国後に知った「善きサマリア人の法」問題・・・

  8. 今日のざっくりサマリー ①善きサマリア人の法について学ぼう! ―日本にはない法整備 ―サマリア vs 応召義務 ②専門外でも大丈夫! ―実際の発生率は?どんな症例に出くわす? ―機内の医療設備 ―救急医のバックアップ体制

  9. ■「善きサマリア人の法」とは 「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために、 無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という法。 (Wikipedia 善きサマリア人の法) ⇒飛行機や新幹線などの公共の場で急病人が出た場合、医者(含む 一部の医療従事者)がプライベートで医療行為をし、万が一医療事故が起きても、常識的な対応をしていれば罪に問われないという法? (伊藤の解釈) 「善きサマリア人の法」問題

  10. ■現状 ・アメリカやカナダ等では法整備化されているが、日本では法整備されていない。 ・2016年2月より、JAL/ANAの医師登録制度が開始。 事前登録しておくと、客室乗務員が「ドクターコール」をせずとも登録済みの医師に協力依頼ができるシステム。 迅速な救急医療処置を期待されるも、どうにもイマイチ普及しない。 その原因の1つは ⇒メディカルスタッフを完全に守ってくれる法律が日本には存在しない   という点があげられる。 「善きサマリア人の法」問題

  11. ■ 「サマリア」は既存の法を用いて色々な解釈がとれる 複数人の法律家に相談し、既存の法律と照らし合わせてみました。 ※ほぼすべて法律家の意見であり、伊藤がそれを基に文章にしています。 〇医師法19条 応召義務 医師は診察治療の求めがあった場合には正当な事由がなければこれを拒んではならない。 ⇒厚労省の1949年の通知では「医師の不在、医師の病気など」以外に拒むことは許されなさそうだが、「事実上診療が不可である」という点からは拒むことができるかもしれない。(伊藤『いや、”診療”はできるのでは?』) またそもそも機内において医師と患者の間に無償の診療契約が成立しないため、拒めるのでは? (伊藤『診療所ではないし、たしかに』) 「善きサマリア人の法」問題

  12. ■ 「サマリア」は既存の法を用いて色々な解釈がとれる 複数人の法律家に相談し、既存の法律と照らし合わせてみました。 ※ほぼすべて法律家の意見であり、伊藤がそれを基に文章にしています。 〇民放第698条 緊急事務管理に関する規定通りすがりの人が急病人を救助した場合のように何ら義務がないのにお節介を焼いて他人のための行動(事務)をした場合を事務管理(お節介)として規定し、管理者(お節介した人)と本人(助けられる人)の間の法律関係を定めたもの ⇒機内医療の場合に当てはめると、患者さんの身体に対する危害を免れるために事務管理(お節介)をした場合、悪意または重過失がない限り、 結果として救助が失敗しても不法行為責任が免除される、というものです。 「善きサマリア人の法」問題

  13. ■ 「サマリア」 vs 応召義務  ※以下は伊藤の考え ☑機内で事前登録(意志を持って搭乗)したのでは? という疑問 ☑医師法19条は明治時代に制定されたもので、現代は駅前のビル診療(休日はclosed)などに代表されるようにcase by caseが許容されている時代背景もあるため、もはや時代に即していないという考え ☑診療契約が成り立たない?  ⇒契約ではなく緊急事務管理であるという考え ☑もし手を挙げたときは”記録”をしっかり残してもらいましょう! ☑てか国際線ってどこの国の法律が適用されるのかな⇒国際公法の問題 「善きサマリア人の法」問題

  14. ■ 「サマリア」 vs 応召義務 ☑機内で事前登録(意志を持って搭乗)した医師が、目の前の急病者or周囲から 診療を求められたら断ることは許されないのか? という疑問 ☑医師法19条は明治時代に制定されたもので、現代は駅前のビル診療(休日はclosed)などに代表されるようにcase by caseが許容されている時代背景もあるため、もはや時代に即していないという考え →合理的に捉えれば「日本版サマリア」として民放698条で代替できる可能性はあるのでは? 「善きサマリア人の法」問題

  15. ■医師登録制度のメリット・デメリット <医師> 【メリット】 誰よりも先んじて患者救助に向かえる! JAL:サクララウンジ利用、ANA:特になし(登録時にマイル付与) 【デメリット】 医師登録制度では事前に登録していても個人的な理由(酩酊等も含めて)診療を断ることは許されている。しかしながら有事の際に応召義務の適応例と法的に解釈をされる可能性が残存し、そこで重過失をしてしまうと罪に問われる可能性がある。 <一般客> 【メリット】 有事の際にスピーディな対応を享受できる可能性がある。 【デメリット】 特になし? 医療登録制度のメリット/デメリット

  16. 法的な課題がネックの1つ。 それが乗客(一般生活者)の不利益につながっている現状。 医療従事者も一般生活者の命も守る『善きサマリア人の法』 について今日はみなさんに考えてもらえれば幸いです。 今日の目的

  17. 今日のざっくりサマリー ①善きサマリア人の法について学ぼう! ―日本にはない法整備 ―サマリア vs 応召義務 ②専門外でも大丈夫! ―機内の医療設備 ―実際の発生率は?どんな症例に出くわす? ―救急医のバックアップ体制

  18. 航空機内で出来る医療とは?

  19. 航空機内で出来る医療とは? 立ちはだかる3つの壁

  20. 航空機内で出来る医療とは? <問診の壁> たいていの方ならストーリーを伺うことはできると思いますが、 ・言語が通じない ・高齢者でなかなかおはなししてもよくわからない ・そもそもツラくて話せない etc... →しかしながらこれらは日常診療でもよくあることなので、航空機内特有の壁とは言えないでしょう。

  21. 航空機内で出来る医療とは? <病歴の壁> ・詳しくわかるひともいればわからないひともいる ・お薬手帳は病院にいくときしか持って行かない ・通っている病院の診察券は自宅に保管してある etc... →これは航空機内特有ではないものの、病院外医療では大きな壁となってくるものです。 そういった点から個人が医療情報を持ち歩くことはとても大事になってきます。(すぐブロックチェーンの話をしようとする)

  22. 航空機内で出来る医療とは? <診察の壁> ・"病歴の壁"のせいでアプローチすべきエリアが絞れない=なにをすべきかとても悩む ・騒音のせいで、たいていの聴診器の音が聞こえない ・対応するスタッフが自分一人の可能性大で一般的な診察器具が不足している →これらは航空機内などに特有といってよいかも

  23. 航空機内で出来る医療とは? <JALの搭載機材> ※実際に拝見したらもう少し充実していました!

  24. 航空機内で出来る医療とは? <ANAの搭載機材>

  25. 実際、そんなに必要なのか?

  26. 「この中にお医者さんはいませんかーーー?!」 実際、そんなに必要なのか?

  27. 実際、そんなに必要なのか? 16年前の論文に記載された数年間のデータからはじき出される "1000便あたりの機内救急患者の発生率"を用い、 2016年8月のJALのフライト数と掛け算するというなんともpoorな試みをしてみました

  28. 実際、そんなに必要なのか? 結果 国内線:20.3049件 / 月国際線:24.1340件 / 月

  29. 実際、そんなに必要なのか? 2013年にNew England Journal of Medicineに掲載された論文でも、 2008年1月から2010年10月末までの間アメリカの5つの航空会社の便に搭乗した乗客7億4400万人に対して、機内医療緊急対応を要した患者数は1万1920例、頻度は604便に1件だったとのことでした。 また、計算してみました

  30. 実際、そんなに必要なのか? 結果 患者さん目線(ドクターコールする確率):0.0016%医療者目線(救患が発生する確率):1.66件/1000便 遜色なし!?

  31. どんな症例でコールされる?

  32. 2015年1~12月に発生した機内医療対応245件の内訳(ANA) 意識障害(36%) ※酩酊がどれだけ含まれているか不詳 貧血(8%) 痙攣(6%) 呼吸困難(5%) どんな症例でコールされる?

  33. ・48%のケースで医師の支援あり、うち7.3%は緊急着陸、25%は搬送、8.6%は入院 ・LOC、失神、前失神、呼吸器が多い ・69%のEMS(Emergency Medical Service)要請→37%のみ搬送  ⇒不要な搬送を大幅に減らせる ・搬送例の半分は”返せない”ケースであった N Eng J Med, Vol.368, No.22 : 2013 どんな症例でコールされる? ~論文レビュー~ ・ニトロやβ刺激薬を用いても緊急着陸率はかわらないが、制吐薬は緊急着陸率を有意に下げることができる

  34. ・与圧があるものの、PaO2 95⇒56までdownする(SatはΔ4%程度) 呼吸器疾患患者だとそれ以上一気に下降しちゃうリスクがある ・低圧による傷の離開や気胸リスク、デバイスだと気管チューブや尿カテなどは危険  →空気じゃなくて水を詰める方が安全というエビデンスがある ・空気/飛沫感染のカットオフは8時間以上のフライトおよび感染者との座席位置関係(2列以内) ・911テロ以降、針やシリンジの持ち込みは許可制、薬剤は薬局印必要となっている(真偽確認中) ・医者側もハイリスクな担当患者を搭乗させていいかの線引きが必要だろう     N Eng J Med, Vol.346, No.14 : 2002 どんな症例でコールされる? ~論文レビュー~ 生存可能性が低い 何らかの伝染病 不安定な行動 3w以内のAMI 不安定狭心症 2w以内のCABG 非代償性心不全 コントロール不良の不整脈 ベースのSaO2<70mmHg(RA) COPDの増悪、大量胸水 3w以内の気胸 2w以内の脳血管障害 コントロール不良のてんかん 2w以内の消化器・胸部・耳鼻科・脳外科手術 35週以上の妊婦 ハイリスク妊娠 出生後1w以内 重症貧血 Hb<8.5 g/dl 鎌状赤血球症

  35. ~責任問題とサポート体制~ ・航空会社は一定の責任があり、訴訟の脅威によって設備を整えている ・医者のボランティアが訴訟された例はある! ・医者の応召義務はない@アメリカ、イギリス、カナダ(かかりつけ患者は例外)  ※その他の国は管轄による ・医療の質が担保される(≒重大な過失や故意の違法行為がない)医師ならサマリアで守られる。除外項目は金銭の授受、良心に基づいていない行為。お礼の品やシートアップグレードはok。 ・VS、12誘導などをビデオで地上に中継するシステム(Virgin Atlantic社) ・地上サポートは救急医か航空医学医による。彼らを配置してから、不要な緊急着陸は70%減った。 N Eng J Med, Vol.346, No.14 : 2002 どんな症例でコールされる? ~論文レビュー~

  36. ~責任問題とサポート体制~ ・航空会社は一定の責任があり、訴訟の脅威によって設備を整えている ・医者のボランティアが訴訟された例はある! ・医者の応召義務はない@アメリカ、イギリス、カナダ(かかりつけ患者は例外)  ※その他の国は管轄による ・医療の質が担保される(≒重大な過失や故意の違法行為がない)医師ならサマリアで守られる。除外項目は金銭の授受、良心に基づいていない行為。お礼の品やシートアップグレードはok。 ・VS、12誘導などをビデオで地上に中継するシステム(Virgin Atlantic社) ・地上サポートは救急医か航空医学医による。彼らを配置してから、不要な緊急着陸は70%減った。 N Eng J Med, Vol.346, No.14 : 2002 どんな症例でコールされる? ~論文レビュー~ 極めて経済的!!

  37. ~責任問題とサポート体制~ ・航空会社は一定の責任があり、訴訟の脅威によって設備を整えている ・医者のボランティアが訴訟された例はある! ・医者の応召義務はない@アメリカ、イギリス、カナダ(かかりつけ患者は例外)  ※その他の国は管轄による ・医療の質が担保される(≒重大な過失や故意の違法行為がない)医師ならサマリアで守られる。除外項目は金銭の授受、良心に基づいていない行為。お礼の品やシートアップグレードはok。 ・VS、12誘導などをビデオで地上に中継するシステム(Virgin Atlantic社) ・地上サポートは救急医か航空医学医、彼らを配置してから不要な緊急着陸は70%減った N Eng J Med, Vol.346, No.14 : 2002 どんな症例でコールされる? ~論文レビュー~ 私たちが受けられるサポートとは?

  38. 機内で受けられる救急医のサポート

  39. 機内で受けられる救急医のサポート ■ Medlink (MedAire社) というサービス  ・米国における24時間体制の航空機内医療支援サービス・状況に応じて訓練された機内スタッフが対応、一部MC制度もある ・『病棟〇ースより良い動きしてくれましたよ,,,』(30代 外科医 東京) ・地上の救急医や航空医学医、ひいては専門医のサポートを受けられる ・全世界5000の空港と連携が取れており、緊急着陸から搬送までサポートしてくれる ・世界で27社(2000年現在)と契約しており、日本ではANAのみ導入 ※他にもピッツバーグ大学が提供するSTAT-MDなどの類似サービスがあり、JALには問い合わせ中 ※MedAire社のアライアンス状況なども現在問い合わせ中! ・ちなみにプライベートジェット、ヨットや船舶におけるケースも対応してくれる笑

  40. 機内で受けられる救急医のサポート Miyajima, et al. 2001. 3万フィートの先進医療 21世紀の知っておきたい旅行医学, 2月号.

  41. 海外の現状は?

  42. 海外の現状は? 《ルフトハンザドイツ航空の例》 The ‘Doctor on board’ programme というシステム 事前登録制で、おおまかな流れはJAL/ANAのシステムと 同じ 続いて重要なポイントをみていきましょう

  43. 海外の現状は? 《 The ‘Doctor on board’ programmeのポイント①》 Miles & More(ルフトハンザ航空独自のマイラーズサービス)において5,000マイルのプレゼント 航空医学・機内医療援助ハンドブックがもらえる プログラム参加者用にデザインされた特製バッグタッグもらえる 50ユーロ分のプロモーションコードを1回分もらえる 航空医学ドイツアカデミーとの提携による、ルフトハンザ医療サービスが提供するセミナーへ参加できる   ↑※参加することで何かしらかの専門医維持するためのポイントgetできるらしい

  44. 海外の現状は? 《 The ‘Doctor on board’ programmeのポイント②》 ~賠償責任に着眼を置いて~ 医療支援要請に応じた医師は法的に?保護される 患者が訴訟を起こしても、ルフトハンザはそういった状況に 備えて第三者機関(保険会社)と契約しており、医師に責任を押し付けない(ようにする)という決まりがある ただし、明らかな故意による過失は除外される 上記の免責は医師ならびに(熟練した)医療関係者にも適用される

  45. 現場の声 あるJAL機長さんのお話

  46. 現場の声 あるJAL機長さんのお話 <「善きサマリア人の法」について> 「手助けに成功すれば喜ばれるだけ、失敗すれば責任を追及される、失敗のリスクは高い、好んで手を挙げることはないだろう」こう考える医師の方が多くなるのは当然だと思いますし、恥ずかしいこととは思いません。 パイロットの場合、難しい着陸に挑戦して上手く降りれば拍手、失敗すれば死ぬ、という博打には手を出さなくて良いように、着陸に関して許される気象条件などの「制限」がかけられています。もちろん、制限内であれば100%成功することが求められています。 医師の方にはその「制限」がなく、飛行中の機内という限られた中で、どのような患者なのか、使える機材、薬、援助者の有無もわからない状態でも手を挙げることを期待されています。現状で手を挙げるのは相当勇気がいるでしょう。

  47. 現場の声 あるJAL機長さんのお話 <免責に関して> パイロットの業務も似たようなところがあります。航空事故が発生した場合、アメリカでは「故意の破壊行為」またはそれに近い「認識ある過失」がない限り、事故機の操縦や整備に関わっていた個人に対しては刑事責任や民事責任を問わないことが原則となっています。当事者からの証言を得やすくするためです。事故の原因究明と再発防止こそが至上課題という姿勢が明確に現れています。 航空事故が発生した場合、アメリカでは国家運輸安全委員会 (NTSB)が最初に現場に入りますが、日本はまず警察の現場検証があり、航空事故調査はその後です。警察は犯人を見つけるために調査をします。事故でけが人が出るとパイロットは業務上過失傷害?などの容疑者となり裁判の末、損害賠償などを求められることになります。裁判で不利にならぬようパイロットは正直に話すことを躊躇します。事故原因は闇の中です。

  48. 現場の声 あるJAL機長さんのお話 「善きサマリア人の法が制定されれば大丈夫・・ゴール!」とはならないのではないかと思います。 <不幸にして悪い結果となった場合> 善意の医療行為が悪い結果となった場合、苦しいのは病人と医師です。病人は肉体的に更に苦しみ、場合によっては命も危険ですし、医師は訴訟により苦しむことになります。 被害者が加害者に、加害者が被害者に、この裁判に勝ち負けはないでしょう。 <両者が幸せになる方法は・・・> 1)患者も納得できる免責の考え、手続きを取り入れる。 2)飛行中の機内における医療サービスの最終形・理想形を実現する。 ・最終形として、医師がいれば「地上とほぼ同じ医療サービス」を受けられること。 ・患者が直近の医療施設に到着するまで3時間以上かかる飛行を実施する飛行機には、病人が発生した場合に備え、機内で使用可能な十分な医療器材・薬品を搭載すること。(3時間に意味はありません。自分が痛みを我慢できる限度だと思いました。) ・地上と機内は衛星通信を経由する高速インターネット回線により地上からの支援を客室において十分に享受できる装置を装備しておくこと。

  49. ケースに学ぶ

  50. ケースに学ぶ [Case 1 (総合診療医 Fさん)] ドイツからギリシャに向かう道中で「鋭い胸の痛み」を訴える85歳男性に遭遇し、狭心症~心筋梗塞を想定してニトログリセリン投与などを施したものの、その時点でまだ数時間の飛行時間が残っていたため"緊急着陸を機長に助言すべきか"という点でとても悩んだそうです。悩んだ最大の理由は、緊急着陸には多額の費用がかかり、また他の乗客に不利益を与えるためであるとのことでした。しかしながら、患者の命を優先すべきと判断し、機長はそれを受けてビエナに緊急着陸。その後、患者は近隣病院へ救急搬送され、3日後に元気に退院したそうです。

  51. ケースに学ぶ [Case 2 (救急医 Vさん)] フランクフルトからマヨルカ島へ行く道中で糖尿病患者のインスリン打ち間違えによる低血糖(それも意識障害になるほどの)で呼ばれたことが2度あったそうです。 その理由として興味深いことに時差等々の影響で、いつも定時にインスリンを打っている患者が適切な時間/タイミングで打つことができなかったそうです。 いずれもグルカゴン注射で事なきを得たそうです。

  52. ケースに学ぶ [Case 3 (放射線科医Fさん)] ドイツからアメリカ合衆国に向かう道中で、トイレから席に戻る際に足がもつれて明らかに衰弱し、嘔吐までしている女性に遭遇しました。結果的には食事や水分をロクに摂らなかったための脱水状態であったようですが、その女性は「自分のせいで飛行機が進路変更したらどうしよう」と非常に動揺しており、フランクさんが 医師であることを伝え「もう大丈夫だよ」と声をかけると安堵し、次第に表情も明るくなっていったそうです。

  53. ケースに学ぶ [Case 1] 緊急着陸に伴う様々な弊害(コスト、他乗客の不利益など)と患者の命(といってもそれは誤診で軽症の可能性も充分ある)を天秤にかけることの困難さは永遠の課題である。 [Case 2] 航空機内では”いつも通り”が成立しないこともあり、問診のみで救える命がある。 [Case 3] 専門外でもやれることはある。(もちろんわからないときは救急医のバックアップを要請できる) 機内での医師の存在意義として、医学的に対応できることだけが重要なのではなく、患者さんに安心感を与えることができる。

  54. 国内外を比較してわかったこと

  55. 国内外を比較してわかったこと 《海外>日本と感じるポイント》 ①(JALは)登録のハードルが高い JALは日本医師会に登録するor有料で医師資格証を発行しなければならない。 一方、ANAはANAマイレージクラブに入会(無料)するだけなのでハードルはすごく低い。今すぐ入会!

  56. 国内外を比較してわかったこと 《海外>日本と感じるポイント》 ②補償するための第三者機関(保険会社)と契約している 法的な細かいことはルフトハンザドイツ航空からの回答待ちだが、賠償してくれる保険会社の存在は医師らにとって極めて大きい。 結局、日本人医師の腰が重い理由の多くがそこにあるため。

  57. 国内外を比較してわかったこと 《海外>日本と感じるポイント》 ③熟練された機内スタッフ ルフトハンザ航空機内での対処に従事した医師のコメントなどを読み漁っていると、機内スタッフの働きが素晴らしく、メディカルキットを巧みに使いこなしていたそう。きっと訓練の賜物!! 国内の航空会社においても4半期に1度程度のペースで訓練されているそうですが、実際の患者を想定して医師を招聘して訓練したことはないそうです(幾多の合コン調べ)

  58. まとめ どうでしたか? なんとなく現状をつかんでいただけましたか? もし少しでも興味を持ってくださったら一緒に普及するために色々な機関を巻き込んで活動していきませんか? 乗客みんなに、本当に快適な空の旅を。

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