1/19
宮崎県立宮崎病院
検査をした時に『検査陽性=病気』、『検査陰性=正常』のように、はっきり白黒つけることができればよいのですが、そのような理想的な検査はほぼ存在せず、どんな検査にも偽陽性や偽陰性が存在します。
偽陽性や偽陰性の割合を考慮して、検査が陽性もしくは陰性の時の疾患の割合を計算するのに「感度」や「特異度」が関係します。このことを理解していると、新型コロナウイルスのPCRや抗原検査が陰性でも、疾患を否定できないこと(=偽陰性の可能性がある)を理解できると思いますし、その可能性がどのくらいかを見積もることもできます。
本スライドでは、「感度・特異度」そして両者から計算できる「尤度比(ゆうどひ)」について解説します。
音声付きの解説は以下のYouTube動画から視聴可能です。
2022.8.15時点のCOVID治療薬と濃厚接触者の就業制限の考え方とワクチンまとめ
#COVID-19
904
337,382
男性更年期とLOH症候群~テストステロンが関わる疾患とは~診察入門
#加齢男性性腺機能低下症候群 #テストステロン補充療法 #AMS #LOH症候群 #男性更年期
9
2,331
働き方改革って何ですか?
#タスクシフト #医師の働き方改革 #自己研鑽
22
6,023
家庭内隔離を上手にする方法
#新型コロナウイルス感染症
12
5,375
初心者のための学会発表攻略のコツ
#医学生 #研修医 #プレゼン #症例報告 #学会発表
188
47,264
医師が知っておくべき労働基準法の基礎知識 「医師の働き方改革に向けて」
#働き方改革 #労働基準法 #長時間労働
111
84,021
とってもわかりやすい! Presented by 総合診療医ドクターPチャンネル
尤度比(LR) 感度・特異度 ゆう ど ひ どんな検査にも通じる考え方で 診断学の基礎となる話
ある日の救急外来に胸痛患者が搬送された・・・ 研修医:最近、股関節手術をして退院したばかりだそうです 研:胸写も心電図もトロポニンも陰性でAMIは否定的ですね 指導医:肺塞栓症の可能性は? 研:D-ダイマーが陰性なので否定的です 指:それだけで否定できるの? 研:先生(笑)、D-ダイマーの感度は90%超えるみたいっすよ だから、めったな事がない限りほとんど大丈夫っす 指:・・・・。 指導医が言葉を失った理由は?
感度、特異度とは? ・言葉の定義 ・どうして必要なの
2×2の表 感度=TP/TP+FN 感度が高い➡偽陰性が少ない(除外に使う検査) 特異度=TN/FP+TN 特異度が高い➡偽陽性が少ない(診断確定に使う検査) 検査前確率(有病率)=TP+FN/TP+FP+FN+TN 検査後確率 ①陽性的中率=TP/TP+FP ②陰性的中率=TN/TN+FN
なぜ必要か? ➡理想的検査は存在せず 検査には偽陽性や偽陰性が存在する
なぜ必要か? ➡理想的検査は存在せず 検査には偽陽性や偽陰性が存在する 最も重要な検査後確率を計算するのに 感度や特異度の考え方が必要
Question 感度90%、特異度40%のD-dimer検査を肺塞栓の検出目的に救急外来にきた胸痛患者に使用したところ10人がD-dimer陽性であった。このうち真の患者(肺血栓塞栓症)は何人? ➡陽性的中率は? (陽性と判定された時に真の陽性である確率)
D-dimer (感度90%、特異度40%) 1 K 陽性的中率=? 検査前確率=(TP+FN)/(TP+FP+FN+TN)=1/(K+1) 定数Kを用いて検査前確率を設定
陽性的中率=90/(90+60)=60% 陰性的中率=40/50=80% 検査前確率50%の場合 1 1
陽性的中率=90/(90+540)=14.3% 陰性的中率=360/370=97.3% 検査前確率10%の場合 1 9
感度・特異度と検査前確率 陽性的中率や陰性的中率といった最も知りたい検査後確率を考える際には感度と特異度とともに検査前確率も同時に考慮する D-ダイマーは肺塞栓症の感度が高い検査で、検査前確率が低く、検査が陰性の時に除外することができる 肺血栓塞栓症の検査前確率は? →(修正)Wells criteria、PERCルールなど
感度・特異度と検査前確率 陽性的中率や陰性的中率といった最も知りたい検査後確率を考える際には感度と特異度とともに検査前確率も同時に考慮する D-ダイマーは肺塞栓症の感度が高い検査で、検査前確率が低く、検査が陰性の時に除外することができる 肺血栓塞栓症の検査前確率は? →(修正)Wells criteria、PERCルールなど
感度と特異度が検査後確率に与える影響 感度70%、特異度98%の検査で検査前確率を50%と設定し 疾患のある群が100名、疾患ない群を100名と仮定 陽性的中率(検査後確率)は70/72=約97.2%と検査前確率50%から上昇。次に感度を6%とすると6/8=約75% →6 →94 特異度が同じでも感度が変われば検査後確率は変わる ➡検査後確率を計算する時は、 感度と特異度の両方考慮する
ここまでのまとめ 検査後確率を評価する際には検査前確率は勿論、感度、特異度の両方を考慮する こうした事を考慮して2×2の分割表の作成は手間 ➡もっと簡便な方法はある?
尤度比 ・尤も(もっとも)らしさを数値化したもの ・ある疾患を疑い検査した結果が陽性の時には有病である場合 (真陽性)と健康である場合(偽陽性)がある ・陽性の結果がどれだけ『尤もらしい』かは、真陽性率と偽陽性 率の比率で表した『尤度比』を用いる(オッズの概念) ➡尤度比は、感度、特異度を一緒にすることで、検査前確率だけ 考慮すれば検査後確率を算出することができる指標
LR+(陽性尤度比) =真陽性率/偽陽性率 =(感度)/ (1-特異度) LR-(陰性尤度比) =偽陰性率/真陰性率 =(1-感度)/(特異度) 検査前Odds×尤度比=検査後Odds LRが5以上もしくは0.2以下から質の良い検査 10以上もしくは0.1以下で非常に質の高い検査 検査前確率と尤度比から簡便に検査後確率を計算できるノモグラムがある(直線をひくだけで簡単に推定できる)
【ノモグラム】 検査前確率とLRがわかれば検査後確率がわかる
・検査には必ず偽陽性や偽陰性が存在する ・検査後確率を計算する時には、検査前確率と感度、特異度を 考慮する ・尤度比は感度、特異度をまとめることで検査後確率を計算す る際の直観的に検査が有用なのかどうかを判断する指標 ・The NNT(https://www.thennt.com/)も参考に まとめ