テキスト全文
末梢静脈路確保の基本的理解
#1. 末梢静脈路確保について考察する
〜「できない」を考える〜
飯塚病院麻酔科
濵井 優輔
#2. 目次
「手技」という行為自体の問題
末梢静脈路確保の丁寧な認識
問題解決に向けた取り組み
#3. 末梢静脈路(ルート)確保と聞いてどんなことを思いますか?
簡単な手技、痛そう、失敗したらいやだな、うまくいくときもあるけどうまくいかないときもある、逆血が途中でなくなった時にどうしていいかわからなくなる、細い血管はいやだ、手が冷たいと取りにくい、緊張する、難しい血管で確保できたら嬉しい、まず血管に当たらない、血管を突き破ったらどうしよう
ルート確保の手技とその難しさ
#4. 次のようなことを考えたことがあるでしょうか
#5. なぜルート確保は簡単な手技と思われるのでしょうか?
#6. 数多く行われる手技だから
多くの人に行われる専門性が少ない手技だから
末梢静脈は見えていることが多いから
動脈ラインや中心静脈カテーテル確保に比べると合併症が少ないから
手順が少ないから
#7. 数多く行われるから簡単?
→数多く行われていても難しい場合はある
専門性が少ないから簡単?
→皆する手技でも難しい場合はある
見えているから簡単?
→見えていても難しい場合はある
合併症が少ないから簡単?
→合併症が少ないことは簡単さとは一致しない
手順が少ないから簡単?
→少ない手順のなかに難しい要素があるかもしれない
#9. 「簡単」という思い込みの弊害
失敗した時の精神的ダメージが大きい
→苦手意識の形成
簡単な手技で失敗したらどうしようという不安→不安に思うこと自体が思考力低下につながり、手技に集中できなくて、成功率が下がる
簡単だから練習しなくてもいいだろう→手技が上達しない
#10. 「たまたま」でも成功してしまう確率がそれなりに高いので簡単とも言える
Success is a lousy teacher. It seduces smart people into thinking they can’t lose. (Bill Gates)
成功はひどい教師である。賢い人々をそそのかして失敗などありえないと思い込ませてしまう。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし (肥前国平戸藩の第9代藩主の松浦静山)
ルート確保における認識の重要性
#11. できない理由1
認識が正確でない(簡単とか難しいとか単純な話でないのに、簡単と認識されてしまう等)
改めて認識することが解決の手助けになるのでは
なんでできないのだろうという疑問を繰り返すことで、見えてきた「できないという現象」を考えていきます。
#12. 〜おことわり〜
できない理由がたくさんでてきますが
やる気を失ったり、焦る必要はない、という説明です
その多さは消しようがない事実であるため、簡単に説明しようとすると齟齬が生じ、そのせいで新たな問題が生じていると思います
解決に向けた楽で早い方法は、結局は問題をじっくり丁寧に読み解くことであると感じられると思います。
#15. 駆血帯を巻く
アルコール綿で拭く
皮膚を手前に引っ張る
針を刺す
逆血が返ってきたら針を寝かせてもう少し進める
外筒を進める
#16. 今思い浮かべた手順で実際にルート確保できるでしょうか?
なぜルート確保ができないのでしょうか。
#17. 20Gの針と固定テープとアルコール綿と駆血帯と針ボックスを持って患者に左手の近くに移動する。患者の手を持ち上げて駆血帯を通してから手台の上に患者の手を置き、患者の手が浮き上がらないように右手の平の根本で抑えながら、右手でクリップを持って広げ、左手でゴムを引っ張りながらクリップの間に持っていき、右手のクリップではさんだら両手を開放する。患者の手背から刺しやすそうな血管を選ぶ。膨らみがイマイチのときは右手でトントンしたり患者の手を下ろして静脈圧を上げるて静脈を膨らませる。左手の親指以外を患者の手のひらに入れて持ち上げ、左手親指を患者の手の甲に当てて末梢側に1Nの力で引っ張り、右手親指で1Nの力で引っ張ってからもう一度左手親指で1Nの力で引っ張り血管の上の皮膚にテントを張るような感じでテンションをかける。アルコール綿を右手で取って手背全体を拭いた後に、20Gの針を右手で持って親指と人差指でキャップを外して近くに落とし、左半身45度くらいで右手で持った針が血管と平行になるように体の位置を合わせる。左手で患者の血管が地面と水平になるように持ち、刺した後の動きをイメージしながら、そのイメージが実行しやすい位置に患者の左手か自分の右手に当てて支えを作る。患者の皮膚と5度くらいの角度をつけて針先1mm程を入れて平行に戻しつつ3mmほど進めて皮下に入った柔らかい感じを確かめる。皮下にないと感じたらさらに2mmずつ進めながら抜けたところで平行に戻す。血管の方向を再度確認し、針先が皮膚のどの深さにあるかを意識して針の窓を見ながら1mm/秒ほどのスピードで針を進める。逆血がなければ皮下ぎりぎりまで引いて、向きや深さを確認してもう一度進める。窓から逆血が確認できたら、針先と血管の位置関係から良さそうな角度を必要に応じて5度位ふり、そのまま2mm進めて、もう一度針と血管の位置を意識して角度を調整してさらに2mm進める。そこでも逆流があれば、右手人差し指で外筒を支えながら1cm程内筒を抜き、人差し指で外筒を支えながら全体を1cm/秒ほどでまっすぐ推し進める。根本まで入ったら、右手で駆血帯を外して、針先あたりを皮膚の上から左手で押さえて血が吹き出さないようにして、内筒を抜いて針を針ボックスに捨てる。点滴回路の先端のキャップを外して外筒に接続して回して締める。点滴のクレンメを解放して点滴の落ちを確認
#18. 教科書では細かく書きすぎると理解できないため、骨格のみの表現しかできない
実際の手順や考慮すべきことは数が多い
#19. できない理由2
量が多いという事実を認識できていない
人間の脳は一度にたくさんのことを一瞬で覚えられるようにはできていない
できない理由3
慣れない言葉や似た言葉に思考を奪われる(内筒外筒よりも中の針と外のカバーとか表現の方がいいかもしれない)
#20. 対策:繰り返し練習する
患者さんへの声掛けといった「手技外」も含めて練習する
意外と思考をとられてしまう
「◯◯さえすればできる」本の考察
#21. 「◯◯さえすればできる」本
読んでもできないのはなぜか?
#22. 「◯◯さえすればできる」本
1冊が厚い → 量が多い
#23. 「◯◯さえすればできる」本
量が多い理由は?
軸となる方法とその応用方法が書かれている
#24. 「◯◯さえすればできる」本
応用とは?
理論や得た知識を、実際の具体的で様々な事例や他の分野の事柄にあてはめ用いること。相手やその場の状況に応じて、変化させながら用いること。 (Wiktionary日本語版)
患者に応じて工夫する必要がある
#25. 「◯◯さえすればできる」本
応用事例が多いのは?
患者状態は千差万別
こんなにたくさんの人に一つの方法で完遂できるだろうか
#26. 「◯◯さえすればできる」本
実際は
「◯◯という方法を軸にして、その方法を使いこなせる様に徹底的に訓練すればできるようになる」本の省略形
#27. できない理由4
患者が先にありきなのに、方法が先にありきで考えてしまう
できない理由5
患者が先にありき→条件が多彩である、という認識が薄い
できない理由6
条件が多彩なのに一つの方法でできるだろうという誤認
#28. 小括
「手技」という行為にまつわる問題点を考えてみました
「手技」の話にありがちですが、患者が先にありきという意識が欠落しやすいという認識が重要と思います
#29. ルート確保の丁寧な認識
丁寧
細かいところまで気を配ること。注意深く入念にすること。 (デジタル大辞泉)
#30. 駆血帯を巻く
アルコール綿で拭く
皮膚を手前に引っ張る
針を刺す
逆血が返ってきたら針を寝かせてもう少し進める
外筒を進める
ルート確保の手順とその注意点
#32. 【ルート確保】 内筒外筒差(2-3mm)よりは長く
血管を貫くよりは短く
#33. 少しの意味を考えないと
貫くのが怖いからと言って0.5mmしか進めない
大味に進めて貫いている
#34. できない理由7
「少し」のような曖昧な表現をしている
できない理由8
その行程の意味を意識できない(やってる最中は意味まで考える余裕がない)
#35. 対策:目的を認識した表現
少し進める
→血管を貫かないようにしながら、外筒が血管内に入るまで進める
#36. 血管を貫くよりは短く
針を寝かせてから進める
→血管を貫きにくくするための行為
#38. 針の角度と貫くまでの距離は?
質問として成立していない
#39. 針の角度と貫くまでの距離は?
距離(きょり、distance)とは、ある2点間に対して測定した長さの量をいう。(Wikipediaより)→2点間が設定されていない
針の角度が設定されていない自分で場合分けしないといけない
針の角度を色々と変えた場合に、逆血が返る位置から血管を貫く位置までの距離がどのように変わっていくか?
#40. できない理由9
設定すべきものが定まっていない(今回のように「血管を貫く位置」といった目的語が抜けることが多く、論旨がぼやけたり違う話にすり替わったりしやすい)
できない理由10
場合分けで対応すべき時に一つの設定のみを想定してしまう
手技中の思考と声掛けの影響
#41. 話が脱線してしまいました
できない理由11
他の話が出ると混乱して考える余裕がなくなる
#42. 脱線ついでに
脳
思考の容量が限られている
同時に2つのことは考えられない
省エネをしようとする など
脳の特性を組み込んで作戦を立てる必要がある
#43. 指導者側へ
脳の容量は限界があるのでルート確保中の「〜〜して」などの声掛けは、ほとんど理解できないです。
むしろ容量パンパンの状態で声をかけられると、邪魔になることもあります。
危険を避けるための必要な声掛けもあるので一概に声掛けがダメとは言えないですが、受けている側は指導者側が思っている以上に一杯一杯で話を聞く余裕はない、という認識のもとで指導法を考える必要があります(演者も模索中)。
#44. 被指導者側へ
手技中に色々なことを言われてプチパニックになることがあると思います。
その場での対処は難しいので、手技をするまえにイメージトレーニングをし、声がかけられそうなパターンも想像するとパニックになりにくいです。
#45. 脱線したので戻りましょう
できない理由(おまけ)
散った意識を戻す方法を習得していない
対策:一旦リセット
→深呼吸して下さい
→目的をフォーカスしなおします
#46. あらためて話を戻します(←フォーカスのしなおし)
丁寧な認識をするにあたって
針の角度を色々と変えた場合に、逆血が返る位置から血管を貫く位置までの距離がどのように変わっていくか? という話をしてました
まず手始めに、5度はどれくらいの角度ですか?
針の角度と貫通位置の関係
#52. できない理由12
数値と認知がずれている
内筒外筒差も実物をみたり、定規で2mmを実際に見て下さい
#53. 針の角度を色々と変えた場合に、逆血が返る位置から血管を貫く位置までの距離がどのように変わっていくか?
#54. 2/tanθ 2mm θ 最初は進む距離を血管に平行な向きで考えていた
#55. 2/sinθ 2mm θ 実際に刺す時は針に平行な向きで進む距離を考えることが多いことに後で気付いた
#56. 針の角度を色々と変えた場合に、逆血が返る位置から血管を貫く位置までの距離がどのように変わっていくか?
2mmの血管 血管に平行 針に平行
#57. できない理由13
数値が実際はどれくらいになるか認識できていない
できない理由14
設定の仕方が違っている
#58. 演者の誤認2
作図をすると、外筒が血管内に入るためには内筒外筒差以上に進めないといけない。なぜ?
#59. 演者の誤認2
内筒外筒差ではなく外筒が血管内に到達するまでの距離だけ進める必要があったと気付いた
#60. できない理由15
自分の気付いていない問題点がある
血管穿刺時の条件変化への対策
#61. 図ではすんなり入るけど、
実際は思い通りにはいかない
#63. 血管を貫く時にも圧がかかって血管が潰れる
#64. できない理由16
自分の行動で条件が変わることが意識できていない
できない理由17
摩擦などの条件にかかわる因子の多さに対処できていない
できない理由18
条件が何段階にもわたって変化することを意識できていない
#65. 条件→患者に依存することを考えると
「患者が先にありきなのに、方法が先にありきで考えてしまう」という、できない理由がやっかいであることが分かる
#66. 血管穿刺中に血管内腔が狭くなったらどうしますか?
#67. 何種類思い浮かべましたか?
針先を寝かす
ゆっくり動かす
血管を針で持ち上げる(血管の上の壁を持ち上げれば血管腔が広がる)
皮膚の引っ張りを緩める(皮膚を引っ張ると血管が潰されるので、引っ張りを解除すると血管腔が広がる)
#68. できない理由19
対応策が複数あることを認識できていない
できない理由20
対応策が複数あって迷う
できない理由21
対応策が複数同時に適応できる場面でも一つの対応策で対応しようとしてしまう
(例、針先を寝かすと血管を持ち上げるは同時にすることができる)
#69. 対応策はいろいろありますが、上手くいかないことが多いのはなぜでしょうか
針先を寝かす
ゆっくり動かす
血管を針で持ち上げる
皮膚の引っ張りを緩める
#70. 先ほど出てきた
できない理由7
曖昧な表現をしている(程度が抜けている)
できない理由8
その行程の意味を意識できない
できない理由22
注意点まで意識できていない
問題解決に向けたスモールステップ
#71. 針先を寝かす→血管に針先が当たらないように針を傾けて血管から距離をとる
ゆっくり動かす
血管を針で持ち上げる→持ち上げる動作で血管を破らないように針先を意識して持ち上げる
皮膚の引っ張りを緩める→皮膚が動いた時に針が血管から抜けてしまうかもしれない→抜けないように皮膚の動きに合わせて針も移動させる
#72. できない理由23
対策に対策が必要である認識が出来ていない
#73. 「ゆっくり」で得られる効果は?
血液の返りなどを確認する時間がある
針の向きを変える等の動作に変わる時に意識を切り替える時間がある
針をゆっくり進めることで、針の動く距離を細かく調整したり、ブレを小さくする
血管が変形する時間をコントロールできる
#74. できない理由24
「ゆっくり」など、そのままでは効果が認識できない言葉で表現してしまう
#75. 寝かせ方によっては逆効果になってしまう
刺入部で曲がって 針先が下を向く
#76. できない理由25
想定と異なった動きになってしまう
など、まだまだたくさんあります(語り尽くせないが表現として合っていると思います)
#77. 小括
実際にルート確保をする際に生じる様々な問題について考察しました
丁寧に考えると思った以上に細かく考えることができるし、問題点はたくさん挙げられます
#78. 問題解決に向けた取り組み
できない理由がたくさんあってげんなり
#79. たくさんある理由→細かく分けたから
枝葉ではなく幹を考えれば少なくなるかも
幹→目的
ルート確保という手技は何のために行うのか?
外筒を血管内に留置するのが目的(それに向けて内筒を入れたり、刺したり、引っ張ったりする)
#80. 「外筒を血管内に留置する」意識する練習
透明なストローを用意しますルート針を用意します
ストローの中に外筒を留置して下さい
ルート確保の問題点と解決策の考察
#81. ストローの中に外筒を留置して下さい
→ルート確保の手順とほぼ同じものが思い浮かぶ
同じ手順ではあるが
手順を先に意識して行動するか目的を意識してどう行動するか 意識が異なる
目的が先にある強みは、必要に応じて手順を変えられる点がある
#82. 目的を意識しやすい⇔患者を意識しやすい
「患者が先にありきなのに、方法が先にありきで考えてしまう」というできない理由の対策になる
#83. 問題点が多いので立ちはばかる大きな壁に見える
#84. 問題点が多いので立ちはばかる大きな壁に見える
スモールステップ
目標を細かく分けて
小さく段階的に達成していく手法
#85. スモールステップ自体はよく知られた手法だが、
そのステップはどうやって作るの?
→解決に向けて小さく問題設定する
問題=できない理由
→「できない理由」が解決の糸口になる
悩みの種が成長の種に変わる(種自体は変わっていないが、認識を変えれば意味が変わる)
#86. 問題解決の糸口は多い方がいいが
今回例示したもの以外はどうやって作るのか
「スモールステップ」自体が達成できるようにスモールステップを踏む必要がある
#87. 「スモールステップ」のためのスモールステップをどうつくるか
情報を取り込む
他の人に聞く
本を読む(「◯◯さえすればできる」本など)
#88. 「◯◯さえすればできる」本について
実際は複雑なルート確保という大問題について、筆者が努力の果てに得た見解を、なんとか分かりやすく伝えようとしている本
本の内容は価値がある⇔本の使い方に問題がある
本の内容を試してみて上手くいかなかった時に、その本の内容を否定するともったいない
#89. 「スモールステップ」のためのスモールステップをどうつくるか
→問題をなんとか言葉にする
スモールステップの意味を考えるとできる目標を立てる必要がある
⇔一方で問題を言葉にするのは最初は難しい
#90. 「スモールステップ」のためのスモールステップをどうつくるか
→問題をなんとか言葉にする
上手でなくても、最初から達成できるステップが作れなくても見当違いの言葉が出ても構いません
何かしらの言葉が出るということが大事で、言葉が出ただけで目標達成です
#91. 「スモールステップ」のためのスモールステップをどうつくるか
→問題をなんとか言葉にする
最初は大きなステップしかできないが、確実に小さくなっていく
その小さくなったものに対して、問題をなんとか言葉にする
見当違いでも、それを糧にできる
「言葉にする」を繰り返して実行可能な行動目標まで落とし込む
#92. 「スモールステップ」のためのスモールステップをどうつくるか
→問題をなんとか言葉にする
観察(感触)の考察を深くするやり方もあります。観察によって問題点を探ります。
→(例)針を刺した時の手応えは? 針が皮下を押し分けているような手応えを感じている時に逆血が返ってきた。針先が少し抵抗がなくなってフワフワして、針先を動かして針のしなり具合や力のかかり具合で針先が血管のどの位置にありそうか感じながら、針先が血管に当たらないような位置に動かして、少しずつ進める。針の抵抗の違いを感じ、プツッといった外筒が血管内に入った感触があったら、外筒を進めていく。
→逆血のスピードで何が変わる?針先の感覚と何が一致する?
#93. 言葉にするという行為は訓練によって確実に上達する
なんとか言葉する→自分で突破口を作る
他人の言葉ではなく自分自身がやりとげた行動になるので自信につながる
言葉にする能力は他の問題解決にも役に立つ
#94. スモールステップの他の効能
ルート確保で細かく考えておくと、他の手技で細かく考えた時に使い回せるステップが多くなる
丁寧に考える
→時間はかかるが応用がきく土台になる
効率よく覚える
→早く習得できるが各々の手技限定の方法も多いため、手技ごとに新しく覚え直す必要がある
#95. 初期段階では効率の良い方法も必要(覚えないといけないことがたくさんあるので)
丁寧な手法の問題点の一つとして
丁寧さを求め過ぎると完全に理解してからやろうとしてしまいがち。結局完全に理解するのは難しいし、やって初めて理解できることもあるので、丁寧な手法に偏りすぎて何もしないようだと理解が遠のく
効率が良い方法も上手く使いながら、丁寧に考える習慣づけ
#96. ルート確保にここまで考える必要性はないが、考えられる内容はかなり量が多い
心理的側面から量が多いと伝える意味は?
#97. 怒りは期待が裏切られることで発生し、怒りはパフォーマンスを低下させる
期待→うまくやれる方法があるだろう
しかし、実際は問題が複雑なので楽な方法はないだろう
楽にできると期待しなければ怒りが発生せずパフォーマンスが低下しにくい→包み隠さず問題解決が難しい ことを示す方がいいと考えた
#98. 不安というのは「分からない」ことから派生する
→分かれば不安が軽減する
問題が漠然とした状態で考えるよりは、問題の量が膨大であると認識した方が正体が分かって不安は減る
問題自体や解決の糸口も多すぎて迷うが、少しずつであっても確実に問題解決に向かえると理解できれば不安は減る
#99. ルート確保での問題解決への思考法は、より難しい問題に対しても解決の足掛かりになります。
#100. 正直このスライドを見てすごくやる気が出るかというとそうではないと思いますが、少しずつでも確実に成長する方法は精神的に強くなれると思います。
「諦める」という言葉は仏教において
「つまびらかにする」「明らかにする」が、本来の意味である。そして、漢語の「諦」は、梵語のsatya(サトヤ)への訳語であって、真理、道理を意味する。そうであれば、ものごとの道理をわきまえることによって、自分の願望が達成されない理由が明らかになり、納得して断念する、という思考のプロセスをそこに見出せる。
(大谷大学HP、読むページ、生活の中の仏教用語)
→実現不可能な願望に縋ることなく、前向きに進むための心得
#102. できない理由は数が多いだけでなく、属性も多岐に渡る。
俯瞰・詳細で考えてみると
「詳細」要素が強い例
外筒が入り切ってないのに外筒を進めてしまう
針の傾きを立てすぎて血管を貫いてしまう
「俯瞰」要素が強い例
患者ありきなのに、手技ありきで考えてしまう
できない理由が多すぎて処理しきれない
(2つに分類されるのではなく実際はグラデーション)
#103. 「詳細」なものは具体的に分かりやすいが、他のものに気づきにくい
「俯瞰」なものは広く応用できることがあるが、実際の行動には直接は結びつかない
メリット・デメリットが両方にあるがどちらがいいか?
相反するので二つ同時には達成不能(ambivalent)
→どちらがいいと言い切ることは難しい
Ambivalentな要素を含む場合は、そもそも解決できない問題であることが多い →「できないという現象」
#104. 「詳細」も「俯瞰」も両方すればいいか?
時間的な制約で達成できないことも多い
時間をかければ解決するか?
かかる時間が膨大すぎて現実的でないことも多い
#105. 時間がかかる事例
47都道府県を巡るのにどの順番がいいかを検討するのにかかる時間は?
47!≒2500阿僧祇(2.5×1059)通り
→スーパーコンピューターの1京倍の性能の量子コンピュータ1億台で計算すると5億年かかる
5億年と言われると無理があると悟れるし、複雑な問題提起でもない状況でも起こるので珍しいことではない
厳密さは欠けますが、感覚を掴むためのものなのでご容赦を気になる人は「巡回セールスマン問題」で調べてみて下さい。
#106. 量が多いというのは解決できそうな問題のように思うが、量が圧倒的だと解決不能になるし、そこまで量が多くなくても量に悩まされることはありふれている。
→「できないという現象」
最適なものを選びたいという欲求はとても自然だが、そもそも最適解が導き出せないことも多い
→100%確実に成功する方法はないと「諦めて」、とりあえずやってみながら少しでも成功確率を上げる方法を探すのがいいかもしれない。
#107. 「できないという現象」は、構造としてそもそも解決できない問題が含まれています。
「そもそも解決できない」という認識があるかどうかで、問題解決の目標設定が変わります。
解決策はなにかしら存在する → 解決策を探そう
解決策は存在しない → 現状の手段でどうすれば もっともマシな手段になるか
楽な方法を求めるよりは、ルート確保の度に最善策で望みながら、少しずつ改善することが、結局は近道と思います。
#108. 楽でない方法が必ずしも楽しい訳ではないですが、楽をするとかなりの確率で楽しいという感情から遠ざかると思います。
一方で、何とか楽な方法がないかと模索・創造を極めようと思うと、それはそれで努力が必要なのでその方向性も趣がありかつ重要と思います。
「○○さえすればできる」本の作者等も該当すると思います。
試行錯誤の末に結実した喜びはかえがたいものがあります。
大変なこともありますが、せっかくなのでルート確保を楽しんで下さい。
#109. ルート確保について考察しました。
問題はたくさんありますが、それは解決の糸口にもなるという認識を得ることで、今後の役に立てて頂ければと思います。