#4.
大阪空港の着陸 着陸は通常、空港の滑走路端から発射されている
ILS(計器着陸)の電波に乗り、自動操縦で、3度の角度で降下する。滑走路端で高度15メートルになると機首が自動的に少し上がり、着陸時に前車輪に荷重がかからない様にする。さらに8メートルになるとエンジンパワーがアイドルになる。 この時,人力で機首を上げすぎると尻もちをつき後部機体を損傷する。その他、PAPIにより着陸点まで3度の角度が正しいか確認できる。
#5.
ILS(計器着陸方式)
#6.
PAPI(進入角度指示灯) (precision approach pass indicator) 白 白 白 白 超高
白 白 白 赤 高い
白 白 赤 赤 適切
白 赤 赤 赤 低い
赤 赤 赤 赤 危険
#7.
尻もち事故とは 1978.6にJA8119機はILSにより順調に降下したが、着地の時に機長は操縦桿を引いたままであったので6度の角度が9度機首上げになっていた。従って揚力が大きくなり、バウンドして浮き上がったので直ちに、航空機関士が処置をしたが結果的に13度の姿勢になり着地して尾部を破損した。(後日フライトレコーダの解析で判明)(約700インチ破損)
乗客377名中、2名重傷
機体は、羽田に空輸してボーイングの修理チームにより大修理が行われた。
#8.
日本航空747墜落事故 1985年8月15日、羽田発大阪行きJL123便は、お盆の帰省客、高校野球見学の旅客505人で満席のフライトであった。ボーイング747SR-46、通称ジャンボ機JA8119は国内線専用の特別仕様(グアム線にも使用)であった。
又、この機体は7年前に大阪空港着陸の時,尻もちをついて修理した経歴がある。
#9.
墜落までの経過 18:12 JA8119は羽田を離陸、上昇。
18:24 高度8000mに到達する直前「ドーン」
という異常音が伊豆半島上空で発生。7000mに降下し羽田に引き返す途中、フゴイド、ダッチロール運動が励起された。
18:27 緊急状態発生を宣言
18:28 焼津市上空で 「現在、操縦不能」と連絡
18:35 北西に進み、富士山の西35kmで
7000mから4000mへ降下。
18:56 群馬県御巣鷹山(1565m)に墜落。
#10.
#11.
#12.
航空事故調査 日本では、犯罪として処罰する。
(犯罪処罰型、警察中心)
⇒警察権力の絶大さ、その閉鎖的体質。
しかし、事故調査に必要な認識の不十分さ。
⇒当事者は、不利な場合は、拒否権がある。
欧米では、事故調査委員会が再発防止のため、
調査する。
⇒失敗やミスに対する社会的、文化的態度。
「司法取引制度」あり。
#13.
#14.
ミス作業を発見 事故から10日後、墜落現場の調査をした、米国調査官(NTSB)が、「圧力隔壁の継ぎ板の一部が短い」と指摘した。
ボーイング修理チームが、しりもち事故の修理のため、圧力隔壁の破損のひどかった下半分だけを交換し、上部半分と接合しようとした際、上下の重なり合う「のりしろ」の寸法が足りず、継ぎ板を挟み込んだが、この継ぎ板が二つに分かれており、そのため、リベットの強度不足となった。
#15.
#16.
#17.
【正しい継ぎ方】 【間違った繋ぎ方】 (スプライスプレート) (フィレットシール)
(橙色の部分) (幅の狭いスプライス プレート) リベット間の強度不足 フィレットシール(外観から内部を区別できず)
#18.
ミス作業について この一列のリベットで力を受け持ったため、強度不足で金属疲労が起きたことを電子顕微鏡で立証した。
継ぎ板に関しては、ボーイング社の、作業指示書、設計図、作業報告書にも書いていなかった。
運輸省の航空機検査官も、日本航空の検査員、整備員も修理後に外見上から、ミス作業を発見出来なかった。(周囲をフィレットシールで固めてあるため)
日本航空の検査員は、作業中の立会い検査はしていなかった。
ボーイング緊急修理チームは、世界最高のエリート技術集団である。(JALは信用していた)
#19.
後部圧力隔壁
#20.
ジャンボ機圧力隔壁破壊 ミス作業の場所 約50cm
#21.
#22.
奥多摩町上空での写真解析
#23.
事故調査と原因公表 事故原因は様々な疑問点や異説が提起された
(例えば、自衛隊の曵引機との衝突、JALCAの
事故原因についての単行本など)ため運輸安全委員会は2011・7・29に事故報告書を公表した。
これによると、1979年のボーイングの修理グループによるミス作業が原因で、後部圧力隔壁が破壊し、流失した高圧空気が胴体後部から尾翼に流れ込み、尾翼構造を破壊し、操縦系統の油圧配管を破壊し、油圧がゼロに低下し、操縦不能になり墜落したものと思われる。
#24.
FAIL-SAFEの設計思想 一部が故障しても安全であること。
操縦・油圧系統は3重、4重に分散配置している。⇒(隔壁のところ配管が集中していた)
構造は格子状の構造で、外板に亀裂が入っても破損が広がらないようになっている。⇒(想定外の人為ミス)
#25.
後部隔壁のフェール・セイフ性 ワン・ベイ・フェール・セーフの設計思想で設計されている。
ウエブに亀裂が発生しても、亀裂の進展が、1ベイの間で発見され修理できることが前提となっている。
いくつかのベイで同時に亀裂が進行する場合は考えていない。
亀裂がある程度長くなれば、定時点検時に目視点検が可能で、与圧空気漏れや変形で発見可能である
#26.
STRINGER SKIN FRAME
#27.
損傷許容設計 ワン・ベイ・フェール・セーフ設計 この範囲の損傷は、許容できる。
定時検査で発見できる。
#28.
事故調査のツール 1.フライトレコーダー 2.ボイスレコーダー
#29.
#30.
#31.
ボイスレコーダー(CVR)
#32.
#33.
#34.
#35.
事故調査での疑問点 1.急減圧について(警報音は鳴っている)
①乗員が酸素マスクを装着していない
(7000m以上を18分間飛行)
②乗員がチェックリストを読んでいない
2.油圧が無く操縦桿が役に立たない事が分かっていない。(動翼が動かない)
(航空機関士は知っていた)
3.何故、海上に着水を考えなかったか?
#36.
C R M(cockpit resource management) ジェット機時代になり技術は各段に進歩して安全率は高くなったが横ばいである。その原因は人的要素が起因しているためであると判明した。それで、いろいろの研究の結果、乗員の協力関係,チームとしての意思決定プロセス、そして機長のリーダーシップのあり方などが関係していることが分かった。これは、コックピットで使用可能な資源を使って安全運航を向上させることである。
#37.
航空機整備の責任体制 運送事業者である航空会社が整備の基準を定め、認定事業場が整備を実施し、責任が明確に分かれている。
整備の品質を低下させないように、航空会社は要求事項を委託側に明示し、満足しているかどうか目を光らせる。
航空会社の品質保証体制の下で機能させるようにしてあり、委託先管理の責任は航空会社が取る。
#38.
1. 冷静かつ、的確な判断力。
2.成功への揺るぎない自信。
3.プロとして最後まで成し遂げる
責任感。
4.ベテランと言われても、
訓練や備えを疎かにしない。
5.特にシュミレーターで想定外の
事象に対処できる訓練をする。 機長としての要件
#39.
ヒューマン・エラーを防止するには Man(人間)
Machine(機械)
Media(環境)
Management(管理)
Mission(使命)
5Mの複合原因として捉えて、システム全体を検討し、
人間側の改善、機械側の改善、人間と機械の
インターフェイスの改善、システム管理や作業管理
の改善、人間と機械の役割分担の改善を検討する。
#40.
スイスチーズ・モデル 事故 ヒューマンエラー ヒューマンエラー防止
#41.
ヒューマンエラーの積重ね ➡ 大事故 *機長の操縦ミス(大阪着陸の時)
*航空機関士の操作ミス(同上)
*ボーイング作業監督者の修理指示書なし(羽田)
*ボーイング作業者が継板のサイズ取違いミスと
リベットの打ち方ミス(羽田)
*JALの検査員の立ち合いなし(羽田)
*JL123便の事故発生時にチェックリストを
読んでいない(機上)
*酸素マスクを使用していない(機上)
*油圧が無く動翼が動かないことを
機長が分かっていない(機上)
*配管の集中(設計ミス)
#42.
「人間はミスをする」 ⇒「ミスを機械で回避する」 「誰が修理しても間違いが起こらないように工夫し、マニュアルや検査体制を常に見直して改善し守ること」
「謙虚さを忘れないこと!」
#43.
事故と安全 全ての事故は人間が関与している。
全ての事故はヒューマン・ファクターの対象である。
安全は人間によって支えられる。
#44.
安全風土の構築の具体策-1 全社一丸となった安全意識
経営層と現場各部門間の意志の疎通を
図ることを目的とした安全ミーティングの実施
と取り上げた提言に対する迅速な改善施策の
実施。
安全組織体制の見直し
総合安全推進本部を設置し、潜在要因を中心
とした分析とアウトプット、外部機関との連携、
各本部及びグループ会社へのサポート体制
の充実。
#45.
安全風土の構築の具体策ー2 安全啓発センターの開設
安全運航の重要性を再認識する社員教育の
場となるように、事故機の残存機体の一部を
はじめ、創業以来経験してきた航空機事故
の記録を展示。
ヒューマンファクターに関する組織の新設
本部内に専門的に扱う専従組織を新設し、ヒュ
ーマンファクターが発生した場合の要因分析
から現場主体の対策立案機能をサポートする体制。
#46.
事故の風化防止(JAL123便事故の後) 現地:御巣鷹山登山
現物:安全啓発センター見学
(隔壁などの残骸や遺書を展示)
現人:ご遺族や当時事故に携わった
社員からの伝言
#47.
「今日の安全が明日の安全を保障するものではない」 「日々の地味な努力の積み重ねが
安全運航の基盤で社会的責務である」
#48.
JAL機の死亡事故 1952・4 マーチン202 伊豆大島 37名
(1953・10 日本航空KK設立)
1972・6 DC-8-52 ニューデリー 86名
1972・11 DC-8-62 モスクワ 62名
1977・1 DC-8F アンカレッジ 5名
1977・9 DC-8ー62 マレーシア 34名
1982・2 DC8-61 羽田沖 24名
1985・8 B-747 群馬県 520名
#49.
世界の航空機着水事故 生存者あり
1.アエロフロート: ネバ川: TU-124: 脚の故障
2.パンアメリカン:太平洋: B377 :エンジントラブル
3.ALM:カリブ海: DC-9: 天候不良 :23名死亡
4.リーブ・アリューシャン:YS-11:燃料の中の水の凍結
5.ガルーダ・インドネシア:ソロ川:B737:嵐:CA1名死亡6.USエアー: ハドソン川: A320: 鳥と衝突
7.JAL: サンフランシスコ湾: DC-8: 着陸失敗
(1968)
#50.
参考資料 運輸省航空事故調査委員会報告書(1987)
日本航空事故調査委員会資料
「航空技術」 (日本航空技術協会)