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緑内障の基本と診療ガイドライン
#1. by ドクターK TODAY'S THEME 緑内障を深堀りしよう! ophthalmology @doctorK1991
#2. by ドクターK TAKE HOME MESSAGES • 緑内障進行の危険因子は多く、それらを鑑みて患者さんに 適した個別化医療が今後は求められる • 発達緑内障から小児緑内障となり、定義が明文化された • 妊婦、出産、授乳時の原発開放隅角緑内障(POAG)の薬 物治療は不明点も多いが、なるべく影響の少ないものを選 択する ophthalmology @doctorK1991
#3. by ドクターK 【NEW】 緑内障診療ガイドライン(第5版) 2022年2月に緑内障診療ガイドライン第5版が 出ましたので、その内容を踏まえて、見落と しがちな点に注目して解説していきます。 ophthalmology @doctorK1991
緑内障の定義と自覚症状
#4. by ドクターK 緑内障とは • 緑内障は、『視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分 に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の 機能的構造的異常を特徴とする疾患である』と定義されている ophthalmology @doctorK1991
#5. by ドクターK 緑内障とは • 自覚症状は乏しく、視野異常出現時には既に進行していることが多 い • 眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査、隅角鏡検査、光干渉断層計(OCT)、 視野検査などを行い、診断する • 治療は点眼加療が第一選択となる。その他、眼圧状況、視野進行の 程度に応じて各種緑内障手術を行う ophthalmology @doctorK1991
緑内障の危険因子と個別化治療
#6. by ドクターK 緑内障の危険因子 • • • • • • 高眼圧 • 高齢 • 家族歴 • 陥凹乳頭径比(C/D比)が大きい • 乳頭出血 • 乳頭周囲脈絡網膜萎縮(PPA)β域が • 大きい • ophthalmology 角膜厚が薄い 角膜ヒステレシスが低い 眼潅流圧が低い 拡張期・収縮期血圧が低い 2型糖尿病 落屑症候群 薬物アドヒアランスが不良 @doctorK1991
#7. by ドクターK 発達緑内障ではなく、小児緑内障 World Glaucoma Association(WGA)における小児緑内障の診断基準 ophthalmology 発達緑内障という用語が用いられてきたが、WGAでの提言を踏まえて、 小児緑内障と定義されることになりました。特に、小児の特性上、眼圧 値の測定が難しいこともあるため、角膜径や眼軸長の伸長、Haab線など の所見が診断に重要となります。 @doctorK1991
#8. by ドクターK 緑内障治療も個別化治療 患者の個別化医療のために考慮することは • • • 眼圧 眼底変化 視野障害の程度 • • • 治療による効果 患者のQOL、余命 危険因子の有無 など 最近は眼科でも個別化医療の重要性が強調されています。眼科は点 眼の種類が多く、副作用もさまざまです。どこまで治療するのかな ど、患者さんと相談する場面が少なくありません。 ophthalmology @doctorK1991
緑内障による生活への影響
#9. by ドクターK 緑内障による悪影響 緑内障の進行によって • • • 運転、読書、歩行などの能力低下 認知機能低下 転落、転倒の危険性増加 などが報告されている 緑内障は視力・視野障害だけでなく、日常生活に大きな影響を与え ます。今後、平均余命が延長することが予想され、緑内障の管理は 患者のQOLを下げないようにするために重要だとされています。 ophthalmology @doctorK1991
#10. by ドクターK 緑内障患者のアドヒアランス • 初回緑内障点眼薬処方患者は治療開始約1年で40%が治療から 脱落する →(理由)1.自覚症状がない 2.治療の負担の割に、眼圧治療効果を実感できない このアドヒアランス不良は緑内障進行リスクの一つなので、40%の 方々が脱落しないように、繰り返しの説明が重要となります。とは いっても、最近は40、50歳代で診断が付く方も少なくありません。 仕事や家事などが忙しく、受診できないケースもあります。 ophthalmology @doctorK1991
妊婦における緑内障治療の考慮
#11. by ドクターK 妊婦、出産、授乳時の原発開放隅角 緑内障(POAG)の薬物治療の是非 • 前提として、妊婦、胎児、授乳時における安全性が確立されている 緑内障治療薬は存在しない • 妊娠中には眼圧が下降することが多い →眼圧コントロールが悪化するなら、レーザーや手術を考慮する ophthalmology @doctorK1991
#12. by ドクターK 妊婦、出産、授乳時の原発開放隅角 緑内障(POAG)の薬物治療の是非 • ブリモニジン酒石酸塩のみがヒト胎児危険度でカテゴリーBに属する ※その他の緑内障点眼薬はカテゴリーC ophthalmology @doctorK1991
#13. by ドクターK 妊婦、出産、授乳時の原発開放隅角 緑内障(POAG)の薬物治療の是非 • 妊婦への影響がありうる点眼薬 ✓ プロスタノイド受容体関連薬:子宮筋収縮作用 ✓ ピロカルピン:胎盤灌流障害 • 乳汁移行がありうる点眼薬 ✓ β受容体遮断薬、ブリモニジン酒石酸塩、炭酸脱水酵素阻害薬 ※β遮断薬については血漿中濃度の6倍に濃縮されるとの報告がある が、乳児への影響については不明点が多い ophthalmology @doctorK1991
緑内障進行の危険因子と参考文献
#14. by ドクターK TAKE HOME MESSAGES • 緑内障進行の危険因子は多く、それらを鑑みて患者さんに 適した個別化医療が今後は求められる • 発達緑内障から小児緑内障となり、定義が明文化された • 妊婦、出産、授乳時の原発開放隅角緑内障(POAG)の薬 物治療は不明点も多いが、なるべく影響の少ないものを選 択する ophthalmology @doctorK1991
#15. by ドクターK 参考文献 • 日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会. 緑内障診療ガイドライン(第5版) ophthalmology @doctorK1991