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栢原一洋

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救急科をローテートする前に

  • 救急科

  • 初期研修医

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栢原一洋

鶴岡市立荘内病院

内容

4月より初期研修医として働く方向けに、救急科をローテートする前に何を勉強したら良いか、どうやって病態にapproachしていくか、そして心電図や血液ガス分析のTipsの様なものを載せたスライドを作成しました。

当院の1年目研修医向けに作ったものであり、内容は全く難しいものではありません。

どのように考え、立ち回れば良いかなどを記載していますので、是非読んでみてください。

そして医学生の方は是非見学にお越しください、見学だけでも何かを得て帰れます。

本スライドの対象者

医学生/研修医

テキスト全文

  • 1.

    明日、来月から救急科... 鶴岡市立荘内病院 2年目 栢原 一洋

  • 2.

    1年目の研修医の皆様に向けて 初めての救急...何を勉強していけばいいのか 不安感が強い どうやって立ち回れば良くて、何を意識して診療すれば良いのだろう... そういう方たちに向けて、書きました、良ければ読んでください

  • 3.

    自己紹介 地方私立大学医学部卒業 鶴岡市立荘内病院で初期研修終了 現在2年目研修医、来月より救急科後期研修医と して勤務開始

  • 4.

    鶴岡市立荘内病院の紹介 2次救急指定病院 521床、医師数:68名 救急外来受診者数:約16000人程/年 救急搬送:10~15台程/日 心肺停止搬送:140名程度/年 症例数豊富で大変勉強になります(研修医で年間1000人診療する人もいます)

  • 5.

    鶴岡市立荘内病院の研修、地域の特徴 地域の基幹病院であり症例が一手に集まる 研修医は様々な大学から集まる 医師が少ないため、戦力として数えられる 上級医は少なく(しかしこういう病院には職人がいます)、Feed backが十分に得れる環境とは言い難いが、パラメディカルが勤勉 であるために様々な方面で勉強になる 何より「自分で学ぶ」という姿勢、そして責任感が見に着きます そして研修医は伸び伸びと学びます 是非一度見学に来てみてください、救急科を見学されることをお勧めいたします

  • 6.

    救急をまわるのは怖いですか? 救急では様々な患者が来ます 人々の感情が行き交う場所です 時に失敗することもあり、理不尽な事で怒られるこ とも確かにあります

  • 7.

    何の勉強をやれば良い?? 主訴から鑑別疾患を挙げる練習 General appearance、First impression、Vital signsの3つの評価から始め る練習(今回は割愛します) 血液ガス分析、心電図、CT検査の勉強を行う エコーの勉強も大切だが、初期研修開始時はエコーに触れていない ことも多いため、実践の中で学びつつ書籍で勉強していく

  • 8.

    主訴から鑑別疾患を挙げる練習 例)80歳 女性 突然の胸痛で受診 既往歴:糖尿病、高血圧症 →この情報だけで考えられる疾患は?

  • 9.

    主訴から鑑別疾患を挙げる練習 救急医の思考: 80歳、高血圧と糖尿病持ちか...経過が突発、もしくは急性発症であるならばまずは大動脈解離や肺塞 栓症、急性心筋梗塞、そして緊張性気胸の除外が必要だな。 よしまずはベッドで寝てもらってVital signsを測定、採血と同時に詳しい問診を追加、心電図検査を行い ST上昇型の急性心筋梗塞を除外しつつ、エコーで緊張性気胸の除外、大動脈弁のflapや右室拡大、 IVC拡張がないか見ていきつつ、ABCの安定化を確認できているようであれば造影CTまで進もう。 さて心電図、血液ガスの結果は...なんて考えていきます。

  • 10.

    主訴から鑑別疾患を挙げる練習 大動脈解離、肺塞栓症、急性心筋梗塞、緊張性気胸、特発性食道破裂...等をまず挙げ る 現病歴:X年Y月Z日、庭の草むしりをしていた。一段落し、立ち上がった瞬間に胸痛を自 覚。同日ER搬送に至った。 General appearances:従命は可能、見た目はやや悪い First impression:頻呼吸、冷汗を認める、重症な病態が背景にありそう Vital signs:BT:37.0℃、PR:124、BP:R98/60mmHg、L102/66mmHg、SpO2:90~94%(RA)、 RR:24

  • 11.

    主訴から鑑別疾患を挙げる練習 General apperance、first impression、Vital signsをどう評価するか →明らかな血圧低下はないが、脈拍数が多く代償性ショック等に至っている可能性は否定できな い。また頻呼吸の割に酸素飽和度は100%ではなく、90代前半で揺れている、頻呼吸、冷汗を 伴っており、背景にカテコラミンリリースを伴う重大な病態があるだろう。とカルテに記載する。 すなわち現時点で肺塞栓症の可能性が高く、造影CTを撮像する必要があるとassessmentする

  • 12.

    血液ガス分析 得られる情報が多いかつ迅速な検査 意識障害や急性腹症、敗血症、呼吸不全...様々なcaseで大活躍すること間違いなし 呼吸不全等なく、モニターでSpO2がモニタリングできているのであれば静脈でも良い 個人的に血ガスの良い点:情報量が多いのもそうだが、General appearance、First impression、 Vital signsで軽症と考えていた症例から重症の可能性のある症例を拾い上げることができる

  • 13.

    血液ガス分析、Snap diagnosis AG上昇型代謝性アシドーシス:DKA、AKA、腎不全(初期は正常)、中毒(メタノール、エチレングリコール、サリチル酸等)、乳酸ア シドーシス 乳酸アシドーシス:敗血症、臓器虚血、痙攣後等 AG上昇型代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシス:敗血症 AG正常代謝性アシドーシス:下痢、RTA、生食大量投与後 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス:肝硬変 嘔吐、脱水、利尿剤使用:代謝性アルカローシス 全部がクリアカットにこれらに集約される訳ではもちろんない

  • 14.

    心電図 こちらも簡便かつ情報量が多い Analogでfunctionしか語らないこの検査は強大な手 段である ERで症例を積み上げるかつ心電図の症例集を1冊 読めれば効果的

  • 15.

    心電図、所見まとめ aVr ST↑:左主幹部狭窄、三枝病変、severe AS、RBBB ST上昇+対側変化(early reciprocal changeにも敏感に):STEMI Acute T wave:超急性期MI、高K血症 前壁陰性T波:Wellens症候群、タコツボ、recent MI、肺塞栓症 前壁ST上昇+V1でのST変化なし:タコツボ、STEMIも鑑別 RBBB、前壁陰性T波、S1Q3T3、sinus tachy:肺塞栓症 Giant nagative T wave:タコツボ(←SAH) 電気的交互脈+low voltage:心タンポナーデ

  • 16.

    心電図、所見まとめ② RBBB+左脚前肢ブロック(左軸偏位)、CLBBB:二支ブロック RBBB+左脚前肢ブロック+一度AVB:三枝ブロック 完全左脚ブロック+一度AVB:三枝ブロック RBBB+ST上昇+Syncope:Brugade syndorome V4R,V5RのST上昇:右室梗塞 もちろんこれらの所見も実際の臨床ではクリアカットに毎回これ‼と断定できない場合が当然あります

  • 17.

    CT検査 こちらも実に有用 日本はCT大国であり、これを活用しない手はない 急性腹症や大動脈解離を疑えば、造影CT検査を行う 造影剤でアナフィラキシーが出現することがあるため、対応法は正確 かつ丁寧に覚えておく

  • 18.

    CT検査 読影する手順を体に染み込ませる 血管を確認→消化管、各種臓器を確認(胸腹骨盤CTの場合) 主訴から鑑別疾患を挙げ、それぞれの疾患で画像で現れる所見を丁 寧かつ迅速に確認していく 例:血管は大丈夫か?→free airはあるか?→何も見逃してないよ ね...?

  • 19.

    まとめ Emergentまたはcriticalな病態を見逃さない 血液ガス分析、心電図、CT検査の勉強をする ERでは時間を意識する→早くて安くてうまいのが良い救急医かつ当直 医の条件の一つ 今見逃したら死ぬ病態、患者の予後を変える病態を見逃さない様に しっかり意識する

  • 20.

    終わりに まとめ所見を載せていますが、全部の病態がクリアカットにこれだ‼と教 科書通りの所見を示してくれるわけではありませんのでご注意ください 間違った情報の記載もあるかもしれないため、気になった個所は必ず自 分でも調べてください 症例は適当に作っています 今後ともよろしくお願い申し上げます

  • 21.

    参考文献 鶴岡市立荘内病院救急科 菅秀紀先生 著:ハローABC~菅的救 急医学総論 Dr須藤のやり直し酸塩基平衡 循環器、救急医のための心電図の症例集 ERのクリニカルパール

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最終更新:2022年3月11日



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