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関節痛の見方〜診察法, 検査, 鑑別診断〜 肩痛を中心に

  • アレ膠リウマチ内科

  • RA
  • 関節リウマチ
  • PMR
  • リウマチ性多発筋痛症
  • EORA
  • 関節痛

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2017/9/4
照屋周造

沖縄県立八重山病院

リウマチ科からみた関節痛の見方を診察法、検査、鑑別診断に分けて解説。非外傷性肩痛をきたす疾患の頻度、解剖と鑑別疾患、painful arcなどの診察法血液検査について説明。関節炎と非炎症性関節痛・関節外症状のフレームワーク、診察セット。最後に関節リウマチ(RA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)の診断基準、典型例について説明。高齢発症の関節リウマチ(EORA)にも言及しています。


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7つの疾患を鑑別に!肩痛の原因(腱板損傷/偽痛風/関節リウマチ/PMRなど)

#関節リウマチ #PMR #リウマチ性多発筋痛症 #石灰沈着性腱板炎 #肩痛 #腱板損傷 #偽痛風 #インピンジメント症候群 #化膿性関節炎

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関節痛の見方〜診察法, 検査, 鑑別診断〜 肩痛を中心に

  1. 関節痛の見方(肩関節Ver) 2017年8月26日 東京大学医学部 アレルギー・リウマチ内科 照屋周造 teruyashuzo@gmail.com

  2. 本日の目標 関節痛を局所と全体からみる方法を知る 関節リウマチ(RA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)の症状が感覚的にわかるようになる

  3. 関節痛? 先生、○○さんが肩が痛いって言ってます! 全身の痛みを訴えています! 「関節痛です」と呼ばれるわけではない 病棟からのコール

  4. 肩が痛いんですと言われたときにありがちな反応 △「痛み止め出しときます」 (病名は?) △「整形外科に相談してね~」 (診察は?) △「レントゲン撮ってみましょう」    (レントゲンで診断できる?) ×「血圧と血糖値は良いですね~」 (肩は?) ×「後期高齢者ですからね!」 (だから何?)

  5. 『関節痛』をみるときの原則 2つの側面からみる  局所をみる   → 本当はどこが痛いのか  全体をみる   → 痛みは全身の症状の一部ではないか

  6. 関節痛? 肩関節の構造は複雑 出展:http://cnx.org/contents/R3D4RG6w@4/Anatomy-of-Selected-Synovial-J

  7. 肩の診療ができると良い5つの理由 肩痛は結構多い!  成人の20-40%/年、受診するのはその5% 肩痛は長引く! 受診した内1年以内に回復するのは半数 スクリーニングだけなら簡単! 肩関節注射はとっても簡単! 結局かっこいい! ARD 1997 56(5) 308-312 ARD1998 57(11) 649-655 Rheumatology 1999 38(7) 656-662 BMJ 1996 313(7057) 601-602 ARD1995 54(12) 959-964 Pain 2003 102(1-2) 167-178 J Rheumatol 1998 25(8) 1612-1615

  8. 非外傷性肩痛の鑑別疾患とその頻度 腱板断裂       部分断裂        完全断裂       癒着性関節包炎     急性滑液包炎      石灰性腱炎       筋筋膜性疼痛症候群   OA(変形性関節症)  TOS(胸郭出口症候群)    上腕二頭筋腱炎     48-72% (42%) (15%) 16-22% 17% 6% 5% 2.5% 2% 0.8% J Fam Pract. 2002 Jul;51(7):605-11. ※藤井先生スライドよりお借りしました

  9. 肩関節の重要な構造と鑑別疾患 構造物  肩甲骨(肩峰、烏口突起)、上腕骨、鎖骨  関節唇 ※関節唇は線維軟骨  腱板を作る4つの筋(棘上、棘下、肩甲骨下、小円)  上腕二頭筋腱 おさえておくべき鑑別疾患  腱板損傷(rotator cuff injury)  癒着性関節包炎(frozen shoulder)  肩峰下滑液包炎  石灰性腱板炎   ※インピンジメントは上記すべての原因になり得る  関節リウマチ(RA)、リウマチ性多発筋痛症(PMR)  

  10. 診察法 (痛い部位を想定する)  傷害部位を想定する  -可動域 (ROM)  -圧痛部位  -Special test   Painful arc (肩甲上腕関節vs肩鎖関節)   Empty can (肩板損傷のうち棘上筋損傷) Neer / Hawkins (インピンジメント)   Yergason test / Speed test   (上腕二頭筋腱長頭炎) JAMA. 2013;310(8):837-847. http://hospitalist-gim.blogspot.jp/2013/08/2-rational-clinical-examination.html ※Special testは多数あり、単一での感度特異度は高くない  組み合わせて使用することで感度特異度を上げる試みがなされている

  11. 検査の目的 炎症があるかどうか ⇒ CRP/ESR、MRI、エコー 変形や骨の変化があるかどうか ⇒ MRI、エコー、X線 自己免疫的機序があるかどうか ⇒ RF、ACPA、ANA、ANCA

  12. 鑑別診断 (治療法から逆引き) ステロイドや抗リウマチ薬が効く疾患  PMR、EORA、その他のリウマチ性疾患 手術・処置を検討できる疾患  脱臼、骨折、Rotator cuff injury  関節唇(SLAP)損傷、頸椎症/頸髄症  血管閉塞 Pain controlしかない疾患  上記以外

  13. 『関節痛』をみるときの原則 2つの側面からみる  局所をみる   → 本当はどこが痛いのか  全体をみる   → 痛みは全身の症状の一部ではないか

  14. リウマチ科的:四肢の痛みの見方 (演繹的) 1.部位と分布を確認する   単関節or多関節、関節or関節周囲 急性か慢性かを確認する 炎症性・非炎症性を判断する (年齢と性別などからも疾患を想起する)  関節炎⇒関節炎のフレームワークへ  関節痛(外)⇒関節痛(外)のフレームワークへ 2.リウマチ性疾患を疑った場合は特徴的な所見を探す (問診・診察・検査)

  15. 関節炎のフレームワーク 関節炎の鑑別    リウマチ性疾患はほとんどここ!

  16. 非炎症性関節痛・関節外症状のフレームワーク 非炎症性関節痛・関節外症状の鑑別   

  17. 網羅的フレームワーク フレームワークが見つからない時のフレームワーク VINDICATE!!!+P

  18. 特徴的な所見を探す 特徴的な所見の探し方  順番を決めておくと見落としが減る  手(爪) ⇒ 頭頸部 ⇒ 皮膚(上下肢) (⇒神経)  手(爪): 爪→指先→手の甲→手掌  ※実際には関節と一緒にみる Nail pitting、爪上皮延長、NFB、爪周囲紅斑、 指尖潰瘍、手掌紅斑、膿疱、Gottron徴候、皮膚硬化 レイノー症状(問診含む)、Mechanic’s hand

  19. 特徴的な所見を探す 特徴的な所見の探し方  手(爪) ⇒ 頭頸部 ⇒ 皮膚(上下肢) (⇒神経)  頭頸部: 顔面→口腔内→頸部→頭皮 蝶型紅斑、 Heliotrope疹、硬口蓋の潰瘍、口内炎、口腔乾燥 舌小帯短縮、脱毛、リンパ節腫脹、唾液腺腫脹  皮膚(上下肢): 皮膚硬化、紅斑、紫斑、結節性紅斑、陰部潰瘍(問診)  神経: 多発単神経炎 

  20. 特徴的な所見を探す 特徴的な所見の探し方    検査(画像、生検含む): 1.臓器障害 (生検の必要があれば生検する)  肺:X線/CT/PFT 心臓:BNP/心エコー/心臓MRI  腎臓:尿検査 腸管:内視鏡 神経・筋:NCS/MRI    血管:エコー/MRI/血管造影  唾液腺/涙腺:機能検査(ガムテストやシルマー試験)/シンチ/造影 2.免疫学的異常 ANA、抗SS-A抗体、ANCA、IgG4、その他特異抗体 3.炎症 CRP、ESR、画像

  21. 最初のステップが実は結構難しい 関節or関節周囲 ⇒ 難しい! 炎症性・非炎症性を判断する ⇒ 難しい! 判断つかないときは保留して逆引きでみる

  22. 四肢の痛みの見方 (逆引き) 治療法で分類   対症療法のみ (理学療法、鎮痛薬、局所注射) 整復/手術 ステロイド 抗リウマチ薬 (±ステロイド) その他 (※皮膚障害、血流障害など)

  23. 四肢の痛みの見方 (逆引き) 治療法で分類する  (理学療法、鎮痛薬、局所注射は適宜追加) 整復/手術  骨折、脱臼、腱断裂、神経障害  ⇒ 明確な受傷機転がある場合    伸展・屈曲できない場合    筋力低下がある場合

  24. 四肢の痛みの見方 (逆引き) 治療法で分類する  (理学療法、鎮痛薬、局所注射は適宜追加) ステロイド単独でもOK  リウマチ性多発筋痛症 痛風 偽痛風  ⇒ 高齢者で肩と大腿が痛くCRP高値    高齢者で大関節の急性炎症    男性で尿酸高い(下肢1MTP罹患)

  25. 四肢の痛みの見方 (逆引き) 治療法で分類する  (理学療法、鎮痛薬、局所注射は適宜追加) 抗リウマチ薬 (±ステロイド)  リウマチ性疾患

  26. 「膠原病」より「リウマチ性疾患」がおすすめ 膠原病の命名者 Klemperer は病理学者 JAMA. 1942;119(4):331-332.   原因不明 全身性炎症性疾患 多臓器疾患 慢性疾患 結合組織のフィブリノイド変性 自己免疫疾患

  27. 「膠原病」より「リウマチ性疾患」がおすすめ ※難病:行政用語 医学的な呼称ではない Collagen disease / Connevtive tissue disease : 病理学的な分類 Auto-immune disease : 病態学的な分類 Rheumatic disease : 症候学的な分類

  28. 本日の目標 関節痛を局所と全体からみる方法を知る 関節リウマチ(RA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)の症状が感覚的にわかるようになる

  29. RA=自己免疫性慢性多関節炎 (放置すると骨破壊) 診断は、迷うことも多い

  30. ACR/EULAR RA分類基準2010 日本リウマチ学会 HPより

  31. 関節リウマチの因数分解 Low - High <6 ≧6 1-3* 4-10* ≧11 + - + - 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 *小関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん) RA=自己免疫性慢性多関節炎、と覚えていれば分類基準を覚えてなくても診断がつく

  32. 関節炎の評価 手首以遠は小関節 DIP / 1MTP除外 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん)

  33. RA診断時の鑑別疾患 難易度順 日本リウマチ学会 HPより (2016.11.14Ver) 6つのポイントで鑑別 (次スライド)

  34. 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん) 類縁疾患との鑑別ポイント Sick contact (Parvo、Rubella、Other viral infection) 皮膚・爪 (SAPHO、PsA) DIP (OA、PsA) 既往歴 (腰痛・腸・更年期) 大関節主体 (PMR、偽痛風) 本当に 関節炎? (こわばり短時間 運動後痛)

  35. 関節リウマチの因数分解 Low - High <6 ≧6 1-3* 4-10* ≧11 + - + - 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 *小関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん) 以下、実際の症例をみてみましょう

  36. 実例 典型的なRA Low - High <6 ≧6 1-3 4-10 ≧11 + - + - RA確定 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん)

  37. 実例 RA? Low - High <6 ≧6 1-3 4-10 ≧11 + - + - RA確定 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん)

  38. 実例 RA? Low - High <6 ≧6 1-3 4-10 ≧11 + - + - RA確定 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん)

  39. 実例 RA? Low - High <6 ≧6 1-3 4-10 ≧11 + - + - 現時点ではNot RA (6週たてばRAと分類可能) 慢性 炎症 (CRP / ESR) 多関節 自己免疫 (RF / ACPA) 骨破壊 (びらん)

  40. 自然寛解 20-40% RA 30-50% 同じ状態 30-40% Pain control 抗リウマチ薬 Shared decision UA Undifferentiated arthritis 「現時点ではNot RA」の場合 1年後 Nat Rev Rheumatol. 2011 Jul;7(7):381-90.

  41. PMR分類基準 (ACR/EULAR 2012暫定分類基準) Arthritis Rheum. 2012 Apr;64(4): 943-54. Ann Rheum Dis. 2012 Arp;71(4): 484-92 肩:三角筋下滑液包炎、上腕二頭筋腱鞘滑膜炎、肩甲上腕関節滑膜炎 臀部:股関節滑膜炎、転子部滑液包炎

  42. PMR=肩と臀部主体の多発滑液包炎/腱鞘滑膜炎 J Rheum Dis. 2017 Feb;24(1):4-13

  43. PMRかEORAか PMR EORA Nature Review Rheumatology 2012; 8 :509-521.

  44. PMRかEORAかは経過で判断せざるを得ないことも 神田ら 日内会誌 H26. 10. 10 (改変)

  45. Take home message 肩の痛みに対して解剖学的に考える RA=自己免疫性慢性多関節炎 PMR=肩と臀部主体の多発滑液包炎/腱鞘滑膜炎 PMRとEORAの鑑別は難しいこともあり決めつけない ※肩と臀部の両方が痛くない場合、末梢関節炎がある場合CRPやESRが比較的低値のPMR診断は特に注意

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