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沖縄県立八重山病院
内科入院中の患者さんでよく経験する肩痛。どのように対応するのが良いのでしょうか?
本スライドでは、7つの代表的な肩関節疾患について解説します。
①肩関節の解剖
②肩痛を来す7つの疾患
③まとめ
※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。
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肩痛の原因 照屋 周造(沖縄県立八重山病院内科) 腱板損傷/偽痛風/関節リウマチ/PMRなど 7つの疾患を鑑別に‼︎
本スライドについて 内科入院中の患者さんでよく経験する肩痛。どのように対応するのが良いのでしょうか? 本スライドでは、7つの代表的な肩関節疾患について解説します。 ※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。 腱板損傷 インピンジメント症候群 石灰沈着性腱板炎 偽痛風 関節リウマチ リウマチ性多発筋痛症 化膿性関節炎
プロフィール 照屋 周造(てるや しゅうぞう) リウマチ専門医/総合内科専門医/青山学院大学ワークショップデザイナー講座修了 沖縄県立八重山病院内科
①肩関節の解剖②肩痛を来す7つの疾患③まとめ
①肩関節の解剖 疾患の各論に入る前に、前提の知識として肩の解剖を確認しましょう。 肩で重要な構造は、骨(上腕骨、肩甲骨、鎖骨)、腱板(rotator cuff)、上腕二頭筋腱です。 肩関節の構造(関節面) 腱板を構成する4つの(後面)
肩関節は重力に対する骨性支持がないため、腱板や上腕二頭筋による支持で腕を支えなければなりません。 よって必然的に腱板や上腕二頭筋腱の損傷が多くなります。 肩関節痛は外来で遭遇する頻度が高い症候であり1)、放置するとQOLを損ないます2) 。
①肩関節の解剖②肩痛を来す7つの疾患③まとめ
1. 腱板損傷 腱板に何らかの損傷や断裂が生じた状態のことをいいます。 慢性肩関節痛で最も頻度が高く、非外傷性肩痛の半数以上を占めるという報告があります3)。
正確な診断にはMRIが必要なため「五十肩」や「肩関節周囲炎」として経過をみられていることも多いです。 読者の皆様には、より正確な表現として病態や解剖学的状態を表す「腱板損傷」を用語として用いることをおすすめします。
腱板損傷が慢性化することで拘縮を来した状態が凍結肩(Frozen shoulder)です。 腱板損傷や後述のインピンジメント症候群は、鎮痛薬で保存的加療を行うことがほとんどですが、数ヶ月以上長引く場合や可動域制限が強い場合は整形外科に紹介しましょう。
2. インピンジメント症候群 インピンジメントは衝突を意味する言葉で、腱板損傷を来す原因となり得る症候群です。 肩関節の場合は肩を動かすときに腱板などの関節周囲組織が衝突することで痛みが生じます。
若年者の肩痛では特に鑑別に挙げたほうが良いでしょう。 診断には、 - Hawkins-Kennedy test - Neer’s test - Painful arc testなどのインピンジメントを確認するための診察を組み合わせる必要があります4)。
3. 石灰沈着性腱板炎 石灰沈着性腱板炎とは、腱板内に沈着した石灰化によって急性の炎症が生じる病態です。 急性発症の激痛に加えて、その名の通り関節周囲に石灰化が見られるのが特徴です。
石灰沈着性腱板炎ではX線所見で石灰化の確認を行います。 MRIでは石灰化がわかりにくいことがあるので注意しましょう。 石灰成分はハイドロキシアパタイトで、石灰化部位も腱板・上腕二頭筋長頭腱・肩峰下滑液包など、関節外であることが偽痛風とは異なる点です。
鎮痛薬での治療も可能ですが、局所ステロイド注射が奏効するため、整形外科へ紹介した方が良いでしょう。
4. 偽痛風 ピロリン酸カルシウムの沈着により生じる非化膿性関節炎です。急性の肩の痛みで発症します。 肩関節の腫脹や圧痛に加え、X線所見で関節面の石灰化を確認することが診断に有用です。
膝関節・手関節に起こることも多いため、それらの関節についても確認しましょう。 また、入院中の発症が多い印象です。 石灰化部位は関節面の線維性軟骨が主体です。 発熱を伴う場合は後述の化膿性関節炎との鑑別が問題になります。 偽痛風はNSAIDやステロイドで治療します。
5. 関節リウマチ 一言で表現するなら「慢性自己免疫性多関節炎」です リウマチ因子・抗CCP抗体↑CRP・血沈↑、骨びらん(+) 放置すると関節破壊が進行します
・慢性の罹病期間 … 6週以上 ・自己免疫疾患の徴候があること … リウマチ因子や抗CCP抗体 ・多関節が侵されていること … 通常4関節以上 ・炎症があること … 診察上の腫脹圧痛や炎症反応上昇 ・X線上の骨びらん を参考に診断します。
6. リウマチ性多発筋痛症 原因不明の炎症性疾患で、高齢者が比較的急性発症の痛みを主訴に受診します。 CRP・血沈↑↑、高齢者 両肩に加え、両大腿の痛みを訴えます。
CRPや血沈など炎症反応が著明に上昇することが特徴ですが、発熱の頻度は低いです。 ⇒ 肩関節そのものよりも上腕二頭筋長頭の腱鞘滑膜炎を 来しやすいので、上腕二頭筋長頭腱の圧痛の有無は確認 しましょう。 また、リウマチ性多発筋痛症の患者さんに視力低下、顎跛行、側頭動脈の圧痛を認める場合は、巨細胞性動脈炎合併の疑いが出てきます。 ⇒ 判断に迷う場合は、早急にリウマチ専門医に紹介しま しょう。
7. 化膿性肩関節炎 肩関節の細菌感染症で、頻度は低いものの見逃してはいけない疾患です。 発熱(+)、全身状態↓ 無治療の場合には、全身への波及や関節破壊・機能障害を生じる可能性もあります。
関節炎に加えて発熱がある場合には、確実に血液培養2セットを採取し、関節液穿刺培養を試みましょう。 化膿性関節炎は原則入院での治療が必要です。 関節液培養と血液培養を採取の上、感染性心内膜炎の合併を検索できる施設での治療を目指しましょう。
8. その他 ここに挙げた筋骨格系の疾患以外にも肩の痛みを訴える疾患はあります。 代表的なのは頚椎神経根症や帯状疱疹などです。 頚椎神経根症による痛みの場合は、C5-C7領域の痛みを肩の痛みとして感じることがあります。肩痛が主訴なのに肩のROM制限が少ない場合は頸椎の評価が必要です。 帯状疱疹や肩関節周囲の蜂窩織炎は視診が重要です。
①肩関節の解剖②肩痛を来す7つの疾患③まとめ
まとめ 肩の痛みは命に関わることが少ないため、一般外来などでは軽視されがちですが、治療がうまくいけば患者さんのQOLを劇的に上げることができます。 読者の方々も肩の痛みを軽視せず、肩痛を治療できる格好良い医療者を目指してください。
文献 1)Ann Rheum Dis. 1997 May;56(5):308-12. 2)J Rheumatol. 1998 Aug;25(8):1612-5. 3)J Fam Pract. 2002 Jul;51(7):605-11. 4)JAMA. 2013 Aug 28;310(8):837-47.