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小児科医が理解しておきたい 一般小児科医でもできる発達障害診療の入り口

投稿者プロフィール
どっと@小児科

総合病院

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137

概要

最近社会的にも話題になることの多い「発達障害(神経発達症)」についてまとめます。本スライドでは分かりやすいようにあえて障害と表記しています。初期研修医の先生・小児科後期研修医・子育てに関与している先生の、神経発達症の基礎知識として役立ちましたら幸いです。

◎目次

・はじめに

・発達障害のポイント

・もくじ

・part.1 発達障害とは

・誰でもかけらはもっている

・発達障害の分類

・発達障害の頻度

・主な発達検査

・発達障害の治療目標

・発達障害児は増えている?

・part.2 ① 自閉スペクトラム症(ASD)

・ASD児の年代ごとの特徴

・サリーとアンの課題

・ASD児への主な対応

・構造化や視覚的支援の例

・part.2 ② 注意欠如・多動症(ADHD)

・ADHD児の支援

・応用行動分析(ABA)

・叱り・怒られる頻度を減らす

・part.2 ③ 限局性学習症(SLD)

・SLD児の支援

・薬物療法

・Take Home Message

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

  • #1.

    理 が 医 科 ⼩児 い た き 解してお ⼀般⼩児科医でもできる 発達障害診療の⼊り⼝ どっと@⼩児科

  • #2.

    はじめに どっと@⼩児科医 です 今回は、最近社会的にも話題になることの多い 「発達障害(神経発達症)」 についてまとめます *英語表記「disor der 」を「障害」とされていましたが障害=マイナスイメージがあり、現在は「〇〇症」とされます 本スライドではわかりやすいようにあえて障害と表記しています ー このスライドの主な対象者 ー ・初期研修医の先⽣ ・⼩児科後期研修医 ・⼦育てに関与している先⽣

  • #3.

    発達障害のポイント • 考え⽅や発達過程が 少数派 で周囲に合わせることが困難 • 脳の機能的な問題で、しつけや育て⽅のせいではない • 程度にグラデーションがあるが、環境によっては軽くても ⽣活に困難を伴う⽅も多い • 主な対応は 環境整備 で、ときに薬物療法を⾏う 誰もが安⼼して⽣活できる環境や⽀援を考えていく 定型発達に合わせるではなく、⾃分らしく⽣きていく環境を整える

  • #4.

    もくじ 1. 発達障害とは 2. 疾患ごとの特徴 ① ⾃閉スペクトラム症(ASD) 専⾨外でも特性のある児を⾃分の専⾨領 域の患者さんでみることは少なくありま せん。 基礎知識として、理解しておきましょう ② 注意⽋如・多動症(ADHD) ③ 限局性学習症/学習障害(SLD) 3. 薬物療法について

  • #5.

    part.1 発達障害とは ・⽣まれつきの ⾏動や認知の障害 で、特定の能⼒や 社会的機能の獲得・実⾏に困難がある ・特に 周囲の環境とのミスマッチ により、⽇常⽣活や 社会⽣活に困難がある(社会的不利をもつ) 少⼈数の⼩学校では特に困らなかったのに ⼤⼈数の中学校で不適応症状が出ることも よくあります。環境は特に⼤切な要素です。

  • #6.

    誰でもかけらはもっている 例えばASDの特性は「有」・「無」できれいに分かれるものではない ⼈ 数 ⼈ 数 定 型 発 達 ASD ⾃閉症特性の強さ 特 性 の 薄 い 児 グレーゾーンが ⼀定数存在する ASD ⾃閉症特性の強さ

  • #7.

    発達障害の分類 合併することは 珍しくありません︕ 知的発達症 ⾃閉スペクトラム症(ASD) Autism Spectrum Disorder ・コミュニケーションの困難 ・興味や関⼼、⾏動の偏り 注意⽋如・多動症(ADHD) Attention-Deficit Hyperactivity Disorder ・不注意、集中できない ・多動、じっとしていられない ・衝動性が⾼い 限局性学習症(SLD) Specific Learning Disorder 書字障害 / 読字障害 / 計算障害 +発達性協調運動症(DCD) Developmental Coordinate Disorder 不器⽤・体を動かすことが苦⼿

  • #8.

    発達障害の頻度 発達障害は環境も影響するため、発症率の正確な評価は困難 その中で通常診療の参考にしやすいデータとしては下記がある 通常学級に在籍する児の 6.5% に⽀援が必要な可能性がある 2012年度調査「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的⽀援を必要とする児童⽣徒に関する調査結果について」 頻度 特徴 ⾃閉スペクトラム症(ASD) 1-3 % 男児に多い 注意⽋如・多動症(ADHD) 5-10 % 男児に多い 限局性学習症(SLD) 国内では 4.5% アルファベット圏と ⽇本語圏の違いもある 知的発達症 1% 知能検査時のやる気や 視⼒・聴⼒の影響あり

  • #9.

    主な発達検査 対象 年齢 検査ツール 評価⽅法・内容 発達スクリーニング 0 - 5 歳 遠城寺式 親への質問と⼦どもの反応 0 - 6 歳 新版K式発達検査 発達指数(DQ)の評価 5 - 16 歳 WISC-IV 知能指数(IQ)の評価 1.5 - 2 歳 M-CHAT 検診などの1次スクリーニング 幼児期以降 PARS-TR 2次スクリーニング ADHD-RS 学校・家庭の⾏動を評価 QCD 経時的に⽣活での困難を評価 STRAW-R 本⼈に直接実施 LDI-R 担任の先⽣などへの質問形式 Vineland-Ⅲ 養育者への半構造化⾯接 発達検査・知能検査 ASD 疑い ADHD 疑い ⼩・中学⽣ SLD 疑い 主に⼩学⽣ 適応⾏動の評価 0 - 92 歳

  • #10.

    発達障害の治療⽬標 治療内容は疾患によって変わりますが、基本的⽬標は概ね共通 ✗ 発達障害児を定型発達にする ① ⾃尊⼼を過度に損なわれずに⾃分らしく⽣活できること ② ⽇常・社会⽣活を円滑に営める適切な⽀援を受けること まずは本⼈・養育者の ⽣きづらさ がどういったことにあるのかを評価し、 お互いに児の特性を理解し、受け⼊れて⽣活するために継続的な⽀援を⾏う 関係する多職種の⽀援者で連携し、より良い環境を模索していく

  • #11.

    発達障害児は増えている︖ • 特別⽀援学級・通級指導教室の利⽤者は増加傾向にある • 疫学研究としても国内外で発達障害児の増加が報告されている → 増加傾向にあるのはおそらく確かだろう ⾒かけ上の増加︖ 本当の増加︖ • 診断基準の変化 • 考えられる環境因⼦ → 以前より軽症でも診断可能に → 睡眠不⾜・ストレス・化学物質 • 全体としての認知の向上 → 周囲の気づきや⽀援希望増加 ⾼齢妊娠・情報過多など • その他の社会背景の変化 現時点で原因は不明だが、⽀援が必要な⽅が増えていることは理解が必要

  • #12.

    part.2 ① ⾃閉スペクトラム症(ASD) 中核の症状 • 社会コミュニケーションの困難さ • 固定され、変更が困難な⾏動・興味・活動 ・他者の気持ちがわからない、空気が読めない ・⾔語的にも、⾮⾔語的にもコミュニケーションが苦⼿ ・同⼀性へのこだわり、変更や切り替えに対応できない ・固定された興味や過度な集中 ・感覚過敏 / 鈍⿇ → ⾳や服に敏感なのに怪我に鈍感など

  • #13.

    ASD児の年代ごとの特徴 0-2歳 ・周囲への興味が薄い 視線が合わない 指差しや模倣(まね)をしない ・ コミュニケーション が困難 ⾔葉の遅れやオウム返し ごっこ遊びを好まない ・強いこだわりがある ・共同注意が得られにくい 2-5歳 ・⼀⼈遊びを好む ・⾔葉の遅れがある ⾔語の⼀時的な退⾏ 単調な話し⽅ ・反復的⾏動、興味の偏り 儀式的な⾏動 〇〇のことに過度に詳しい 5-12歳 ・あいまいな表現・⾏間を 読み取ることが苦⼿ ・ルールの解釈が苦⼿ ⾔葉通りに受け取る 厳しく周囲にも指摘する ・周囲に対し過剰適応ぎみ SNSやLINEに苦労する ・感覚過敏(聴覚、味覚) ・趣味をさらに深堀りする

  • #14.

    サリーとアンの課題 ① サリーとアンがいます ② サリーはボールを「かご」にいれました ③ サリーは部屋を出ました ④ アンはボールを「かご」から「箱」に移しました ⑤ サリーが戻ってきました 問題1. ボールはどこにありますか︖ 問題2. ボールを使いたいサリーはどこを探しますか︖ 定型発達児は 3-4歳 に正答可能となるが、 ASD児では 問題2で「箱」と答えることが多い → 他者を理解する⼒が弱いと考えられている サリー アン

  • #15.

    ASD児への主な対応 *SPELL︓ASD児の⽀援に関する5つの基本的な理念 Structure︓構造化 Positive︓肯定 Empathy︓共感 わかりやすく情報を伝える 否定的な表現を避ける 本⼈の感覚・⽬線を意識 ・スケジュール管理 ・⾛らない→歩こうね ・本⼈の苦しさに共感 ・イラストなど視覚的な⽀援 ・外に出ない→家で遊ぼう ・対応法を⼀緒に考える Low Arousal︓穏やかに Links︓つながり ⾼圧的・威圧的態度を避ける 本⼈・⽀援者を孤⽴させない ・声のトーンを落とす ・周囲の⽀援施設と連携する ・強い刺激を避ける ・多職種で関わりを持つ

  • #16.

    構造化や視覚的⽀援の例 声のボリューム とても⼤きな声 履物の置き場所 ⼤きな声 ふつうの声 ⼩さな声 とても⼩さな声 ⼿洗い順序 砂時計やタイマーの使⽤ 声の⼤きさを視覚化

  • #17.

    part.2 ② 注意⽋如・多動症(ADHD) 中核の症状 不注意・多動・衝動性が⾼い ・集中できない、脱線しやすい ・忘れ物が多い、約束なども忘れやすい ・じっとしていられない、待つことが苦⼿ ・座っていることが求められる場で離席する ・質問が終わる前に答え始めてしまう ・許可を得ずに他⼈を妨害し、邪魔してしまう

  • #18.

    ADHD児の⽀援 環境整備 ・わかりやすく、明確な指⽰ ・視覚的な⽀援や個別⽀援 ・忘れ物をしても良い⼯夫 (予備を準備、宿題は学校でやる) ・リマインダーなどアプリを活⽤ ・先⽣から指⽰をしやすい席にする 環境に合わせる訓練 ・SST → ソーシャルスキルトレーニング ・アンガーマネジメント ・リラックス法を考える ⽀援者のサポート ・掲⽰板や⿊板はシンプルに ・ペアレントトレーニング ・課題はスモールステップを意識 ・多職種での連携

  • #19.

    応⽤⾏動分析(ABA) Applied Behavior Analysis ASDやADHD児への指導の⼀貫として⽤いられる⼿法の⼀つ 「⾏動を ABCフレーム で捉える」 Antecedent︓先⾏事象 Behavior︓⾏動 Consequence︓結果 状況・場⾯・きっかけ 実際の⾏動 何が起こったか 例︓ 友達のおもちゃがほしい → 叩いた → けんかになってしまった 「貸して」とお願いする おもちゃ使えたかも ⾏動を分析することでその⼦の理解を深め、対策を考えることができる 「A」環境整備・「B」代替策の提⽰・「C」良い⾏動の強化/悪い⾏動の消去

  • #20.

    叱り・怒られる頻度を減らす 厳しく怒ることは、良い⾏動には結びつかない 厳しく怒られた記憶しか残らず、怒られた理由も理解できない → 怒られる⾏動を減らすことを⽬的に、隠す、嘘などが増えることもある ペアレントトレーニングのアプローチ ★ ⾏動を 3つ に分ける ・好ましい⾏動 → Positiveな⾔葉かけやご褒美を与える ・好ましくない⾏動 → 計画的な無視や環境調整で対応し、叱る回数を減らす ・許容できない⾏動(犯罪⾏為や公衆衛⽣上明らかな問題⾏動) → 制⽌し、タイムアウトなどを活⽤して冷静に指導

  • #21.

    part.2 ③ 限局性学習症(SLD) 中核の症状 知的な能⼒に明らかな異常はないが、 読む・書く・計算などのスキル獲得が困難 おおまかな分類と理解 読字障害(Dyslexia)︓⽂字を捉え、⾳にすることが困難 書字障害(Dysgraphia)︓⽂字の形を認識することが困難 計算障害(Dyscalculia)︓数の処理、概念の理解などが困難

  • #22.

    SLD児の⽀援 まずは、本⼈が どこに躓いているのか を確認することが重要 多くの⽅が すでにかなりの努⼒をしている ことを理解しておく 読字障害(Dyslexia) ・⽂字の⼤きさ、フォント、⾏間に配慮 ・ふりがなをつける ・読み上げや拡⼤可能なDAISY教科書を活⽤ ・⿊板をMicrosoft Lensで撮影・スキャン ・読書にはオーディオブックなどを提案 書字障害(Dysgraphia) ・ノートやマス⽬の⼤きさを⼯夫 ・キーボードの使⽤/練習 ・板書にカメラアプリを活⽤ ・⾳声⼊⼒なども提案 計算障害(Dyscalculia) ・計算機の活⽤など

  • #23.

    薬物療法 発達障害診療において必須ではないが、有効なことも確か 特に困難の強い⽅や環境調整のみでは対応困難な場合に使⽤ ADHD ASDの易刺激性・イライラ 1st 2nd アリピプラゾール(APZ) リスペリドン(RSP) ・有効性と安全性のバランスからAPZを 第⼀として使⽤されることが多い ・少量で効果が得られることが多い その他 睡眠導⼊剤 ︓メラトベル・ラメルテオン 漢⽅薬 ︓抑肝散、抑肝散加陳⽪半夏など ・メチルフェニデート(カプセル) *要登録 1⽇1回 持続時間 8-12時間 即効性があるが、⾷欲低下などの副作⽤も多い ・グアンファシン(錠剤) 登録不要 1⽇1回 持続時間 24時間 導⼊初期の眠気が強い、⾎圧低下に注意 ・アトモキセチン(カプセル・液剤) 登録不要 1⽇2回 持続時間 24時間 主に不注意症状に使⽤、効果発現に1-2ヶ⽉

  • #24.

    Take Home Message • 発達障害は 脳の機能的な問題 でしつけや育て⽅のせいではない • 特性の強さ以上に、環境によって 困難感は強くなる • 治療の基本は 特性にあった適切な環境 を⼀緒に考えること

  • #25.

    参考⽂献 • 国⽴精神・神経医療研究センター.かかりつけ医等発達障害対応⼒向上研修テキスト. https://www.ncnp.go.jp /mental-health /kenshu /dd_taioryokukojo_H29.html • 坂本昌彦 監修. 関正樹 著. ⼩児科医・かかりつけ医に知ってほしい発達障害のこと. 南⼭堂 • 市河茂樹 編集. 外来で診る⼦どもの発達障害. ⽺⼟社 • 発達障害ナビポータル. https://hattatsu.go.jp /

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