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風邪の定義と急性気道感染症の概要
#1. かぜ/感冒急性気道感染症を深く学んでみよう 社団医療法人養生会
ComFaMかしま病院
#2. 急性気道感染症とは 急性上気道感染症(急性上気道炎)及び急性下気道感染症 (急性気管支炎)を含む概念
「風邪」は狭義の「急性上気道感染症」という意味から、「上気道から下気道感染症」を含めた広義の意味まで、様々な意味で用いられる
気道症状 だけでなく、急性や亜急性の発熱や倦怠感、種々の体調不良を「風 邪」と認識する患者が少なくない
よって患者が「風邪をひいた」 といって受診する場合、その病態が急性気道感染症を指しているのかを区別する ことが重要
#3. 急性気道感染症の疫学 急性上気道感染症による 1日当たりの外来受療率は 人口 10 万人あたり195人
原因微生物の約 9 割はライノウイルスやコロナウイルスといったウイルス
A 群 β 溶血性連鎖球菌やマイコプラズマ、クラミドフィラが一部関与する
急性気道感染症の年間平均罹患回数は
10 歳未満で 3~7 回
10~39 歳で 2~3 回
40 歳以上で 1~2 回 と年齢が高くなればなるほど罹患する確率が低い
急性気道感染症の疫学と高齢者の注意点
#4. 急性気道感染症の疫学 在宅医療を受けている 65 歳以上の高齢者を対象としたコホート研究によると、年間 229 件の発熱例のうち普通感冒はわずかに 13 件!
高齢者が「風邪をひいた」として受診してきた場合、「その病態は本当に急性気道感染症を指しているのか?」について疑問に持って診療にあたる必要がある
#5. 急性気道感染症の概念 「かぜ」として受診される病態 急性気道感染症 感冒 急性鼻副鼻腔炎 急性咽頭炎 急性気管支炎
#6. 急性気道感染症の病型分類 病型 鼻汁・鼻閉 咽頭痛 咳・痰
感冒 △ △ △
急性鼻副鼻腔炎 ◎ × ×
急性咽頭炎 × ◎ ×
急性気管支炎 × × ◎
抗菌薬が必要な症例と不必要な症例を見極めるために有用な分類
◎は主要症状
△は際立っていない程度で他症状と併存
×は症状なし~軽度
感冒の自然経過と急性咽頭炎の診断基準
#7. <感冒> 感冒の典型的自然経過
微熱や倦怠感、咽頭痛を生じ、続いて鼻汁や鼻閉、その後に咳や痰が出てくる
発症から2日目に受診するケースが多い
発症から 4日目前後に症状がピークに達する
7~10 日間で軽快していく
咳は 3 週間ほど続くこともあるが、持続する咳が必ずしも抗菌薬を要するような細菌感染の合併を示唆するとは限らない
通常の自然経過から外れて症状が進行性に悪化する場合や、一旦軽快傾向にあった症状が再増悪した場合には、二次的な細菌感染症を考慮する
#8. 感冒の自然経過と受診行動の関係 症状の程度 発症 1回目受診
(2病日) 2回目受診
(4病日) 症状軽快
(10-14病日) 発症2日目の受診で改善せず、ピークを迎える4日目に再受診し、不適切な抗菌薬投与がなされ、「抗菌薬が効いた」との誤解を生むケースが多いとされています
#9. <急性鼻副鼻腔炎> 急性ウイルス性上気道感染症のうち、急性細菌性鼻副鼻腔炎を合併する症例は 2%未満
鼻汁の色でウイルス感染症と細菌感染症との区別はできない
症状が二峰性に悪化する場合には細菌感染症を疑う
#10. <急性咽頭炎> 大部分の原因微生物はウイルスであるが、一部抗菌薬の適応のある A 群 β 溶血性連鎖球菌感染(GAS)を含むため鑑別が必要
GASは成人においては全体の 10%程度
20~59 歳の急性扁桃炎患者の約 30%、小児の急性咽頭炎患者の約 17%が GAS 陽性だが、咽頭培養から検出される GAS のすべてが急性咽頭炎の起因微生物ではなく、無症状の小児の 20%以上に GAS 保菌が認められる
急性咽頭炎の危険症候と診療のポイント
#11. <急性咽頭炎> McIsaac の基準
発熱 38℃以上 1 点
咳がない 1 点
圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹 1 点
白苔を伴う扁桃腺炎 1 点
年齢:3~14 歳 +1 点、15~44 歳 0 点、45 歳~ -1 点
GAS陽性率 小児4点で68%
リンパ節腫脹を伴う伝染性単核症との鑑別が必要(IMは前頸部より耳介後部~後頚部リンパ節腫脹が多い)
#12. <急性咽頭炎> 咽頭痛を訴える患者のRed Flag(危険症候)
急性喉頭蓋炎、深頸部膿瘍(扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、Ludwig アン ギーナ等)、Lemierre 症候群等の命に関わる疾病が原因である可能 性もある
人生最悪の喉の痛み
開口障害
唾を飲み込めない(流涎)
Tripod Position(三脚のような姿勢)
吸気性喘鳴(Stridor)
といった徴候があればこれらの疾病を疑い、緊急気道確保ができる 体制を整えるべき
急性気管支炎と肺炎の関連性について
#13. <急性気管支炎> 急性気道感染症による咳は 2~3 週間(平均 17.8 日間)持続
原因微生物は、ウイルスが 90%以上を占め、残りの 5%~10%は百日咳菌、マイコプラズマ、クラミドフィラ等
膿性喀痰や喀痰の色の変化では、細菌性の判断はできない
基礎疾患がない 70 歳未満の成人では、バイタルサインの異常(体温 38℃以上、脈拍 100 回/分以上、呼吸数 24 回/分以上)及び胸部聴診所見の異常がなければ、通常、胸部レントゲン撮影は不要
肺炎の種類とその特徴に関する知識
#15. 原因となる病原微生物による肺炎の種類 原因
細菌性肺炎 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球 菌などの細菌が原因で起こる
ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水 痘ウイルスなど、さまざまなウイルスが原因 で起こる
非定型肺炎 マイコプラズマ、クラミジアなど、細菌とウイ ルスの中間的な性質を持つ微生物が原因で 起こる
#16. 感染場所による肺炎の種類と特徴 原因 特徴
市中肺炎 病院や診療所など以外で、日常生活を送っている うちに感染した肺炎のことで、風邪やインフルエン ザをこじらせた時に起こる
早めに適切な治療を行えば、完治が期待できる
院内肺炎 病院や診療所(施設)などに入院してから、48時間 以内に発症した肺炎のことで、抵抗力(免疫力)が 非常に低い人や、人工呼吸器が原因で起こる
予防や治療が比較的難しく、死亡率が高い
#17. 感染した組織による肺炎の種類と特徴 肺炎が起きている部位 特徴
肺胞性肺炎 肺の末端にある「肺胞」が炎症を起こ す肺炎
高熱が出て、咳とともに膿ともいえる黄 色や緑色(時には茶褐色)の痰がたく さん出る
間質性肺炎 「肺胞」を支える組織である「間質」が 炎症を起こす肺炎 呼吸困難や呼吸不 全が特徴で、痰を伴わない乾いた咳が 続く
#18. 肺炎の自然経過、特徴 前触れなしに発症 肺炎球菌
カタル症状後1週間前後で悪化し ヘモフィルス、
発症 モラクセラ など
肺外の全身症状(下痢など)が先行 レジオネラなどの
してやがて肺炎を発症 非定型肺炎
抗菌薬の適応と感冒に対する治療方針
#20. <感冒> 感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する
急性鼻副鼻腔炎の治療と重症度分類
#21. <急性鼻副鼻腔炎> 成人では軽症の急性鼻副鼻腔炎に対しては抗菌薬投与を行わないことを推奨する
中等症又は重症の急性鼻副鼻腔炎に対してのみ抗菌薬投与を検討することを推奨する
(成人における基本)
アモキシシリン水和物内服 5~7 日間
#22. <急性鼻副鼻腔炎> 学童期以降の小児では急性鼻副鼻腔炎に対しては、遷延性又は重症の場合を除き抗菌薬投与を行わないことを推奨する
学童期以降の小児の急性鼻副鼻腔炎に対して、遷延性又は重症の場合には抗菌薬投与を検討することを推奨する
(小児における基本)
アモキシシリン水和物内服 7~10 日間
#23. (付)急性鼻副鼻腔炎の重症度分類 なし 軽度/少量 中等以上
臨床症状 鼻漏 0 1 2
顔面痛・前頭部痛 0 1 2
鼻腔所見 鼻汁・後鼻漏 0 2 4
(漿液性) (粘膿性少量) (粘液性
中等量以上)
軽症:1~3 点、中等症:4~6 点、重症:7~8 点
#24. (付)小児の急性鼻副鼻腔炎に係る判定基準 以下のいずれかに当てはまる場合、遷延性又は重症と判定する
10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの
39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの
感冒に引き続き、1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られるもの
急性咽頭炎と気管支炎の治療方針と患者への説明
#25. <急性咽頭炎> 迅速抗原検査又は培養検査で A 群β溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されていない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する
迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬を投与する場合には、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する
(成人・小児における基本)
アモキシシリン水和物内服 10 日間
#26. <急性気管支炎> 慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳を除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する
#27. 患者・家族への説明 情報の収集
患者の心配事や期待することを引き出す
抗菌薬についての意見を積極的に尋ねる
適切な情報の提供
重要な情報を提供する
急性気管支炎の場合、咳は 4 週間程度続くことがある
急性気道感染症の大部分は自然軽快する
身体が病原体に対して戦うが、良くなるまでには時間がかかる
抗菌薬に関する正しい情報を提供する
十分な栄養、水分をとり、ゆっくり休むことが大切である
まとめ
これまでのやりとりをまとめて、情報の理解を確認する注意するべき症状や、どのような時に再受診するべきかについての具体的な指示を行う