テキスト全文
健診心電図異常の精査戦略と背景
#1. 健診で遭遇する心電図異常に対する精査戦略 心エコー・心臓MRIの適応と実践
#2. 背景 健診での心電図異常は、比較的頻度が高い
多くは良性だが、一部は突然死リスクを伴う
過剰精査と見逃しのバランスが重要である 対象となる心電図異常 心室内伝導障害(RBBB, LBBB, IVCD)
J波症候群(Brugada型心電図を含む)
早期再分極 基本戦略 異常のタイプ分類
Red Flagの評価
精査のCost Effectiveness評価
心室内伝導障害の評価と検査方法
#3. Red Flag 症候性
原因不明のめまい・失神
動悸・息切れ
突然死の家族歴
新規所見
高齢者
#4. ① 心室内伝導障害 CLBBB = Diseased Heart
CRBBB = 多くは良性
IVCD = 非特異的 形態検査の意義 心エコー:左室機能・壁運動・弁膜症
心臓MRI:上記 + 心筋線維化評価 実践フロー 心電図で伝導障害 心エコー 心臓MRI(造影が好ましいが、単純でも評価可能) 異常 症状評価
J波症候群のリスク因子と検査意義
#5. ② J波症候群 Brugada型心電図波形も含む
下壁・側壁にJ波
アジア人若年男性に多い
一部で心室細動リスクあり J波のリスク因子 原因不明のめまい・失神
突然死の家族歴
水平型ST上昇
夜間増強 形態検査の意義 心エコー: 器質的疾患除外目的
(ガイドライン上必須ではない)
心臓MRI: 異常例のみ追加
#6. Brugada型心電図 1992年にブルガダらによって報告された、12誘導心電図の胸部V1-V3誘導でcoved型(Type 1)もしくはsaddle back型(Type 2)、それ以外(Type 3)のST上昇という特徴的な心電図所見を呈し、心室細動による突然死を来しうる疾患群
日本人をはじめとするアジア人に比較的多く認められ、成人男性に多く認められる
Brugada型心電図と症候群の診断基準
#7. Coved型(診断的) Saddleback型
+ST終末部>1 mm Type 1または2に似る
ST上昇が<1 mm
#8. Brugada型心電図とBrugada症候群の違い 現在の診断基準では、Brugada症候群と診断できるのはType 1だけ
Type 2、3所見のみでは診断できない
「失神歴」、「心停止歴」、「突然死の家族歴」などのRed Flagがある場合
高位肋間(第2・3肋間)での追加心電図記録
ナトリウムチャネル遮断薬負荷試験などでType 1への変化を確認することがある
早期再分極の特徴と注意点
#9. ③ 早期再分極 若年・アスリートに多い
V2–V5または下壁誘導のST上昇
多くは良性 注意すべき早期再分極 水平型ST上昇(f-QRS含む)
下壁誘導優位
突然死家族歴
失神 形態検査の意義 原則不要
非典型例(疑い)は心エコー評価
#10. 早期再分極(Early Repolarization: ER) 心臓の筋肉が電気的にリセットされる過程(再分極)が通常よりも早く始まることで生じる、特定の心電図波形変化の定義
2015年の国際コンセンサスガイドラインに基づき、12誘導心電図において以下の条件をすべて満たすもの
J点の上昇:QRS波の終末部(J点)が、基線(等電位線)から0.1 mV(1 mm)以上上昇している
J波の形態:QRS波の終末部にノッチ(切れ込み)またはスラー(なだらかな傾斜)が存在する
(V1-3を除く)隣接する2つ以上の誘導で認められること
早期再分極パターンと症候群の違い
#12. 「早期再分極パターン」と「症候群」の違い 健康診断などで指摘されるものの多くは、症状を伴わない単純な「早期再分極パターン(心電図上の形だけのもの)」
一方で、下壁・側壁誘導にこの波形があり、なおかつ「原因不明の失神」や「致死性不整脈の既往」があるなど、いわゆるRed Flagを伴う場合は、早期再分極症候群(ERS / J波症候群)という治療が必要な疾患として区別される
Take Home Messageと重要ポイント
#13. Take Home Message LBBBは必ず評価
早期再分極/ J波は症候性(Red Flag)を重視し、過剰精査を避ける
MRIは目的を持って使う