#4.
1. DAPTとは?
#5.
1. DAPTとは? DAPT(Dual Anti-Platelet Therapy)とは、経皮的冠動脈形成術(PCI)を行った後に2剤の抗血小板薬を内服する治療法です。
PCI後のステント血栓症のリスクを下げる目的で行われます。
狭窄部位を広げたステント内にステント血栓症が起きてしまうと、急性心筋梗塞に似た状態となり、重篤な転機をたどる可能性が高いためです。
因みに、抗血小板剤1剤内服することをSAPT(Single Anti-Platelet Therapy)と言います。
5
#6.
2. DAPTの選択肢
#7.
2. DAPTの選択肢 基本的には、併用する2剤はアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬です
現在日本における用法としては、アスピリン(バイアスピリン®)に加えて3種類のチエノピリジン系抗血小板薬が使用されています。
チクロピジン(パナルジン®)
クロピドグレル(プラビックス®)
プラスグレル(エフィエント®) 7 *厳密にはチカグレロルも選択肢ですが、使用頻度が極端に少ないため省略しています
#8.
歴史的には、チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルの順に古い薬剤です。
チクロピジン / クロピドグレル / プラスグレル
チクロピジンの血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症や肝障害などの副作用1)を少なくしたものがクロピドグレルです。 8 New Old
#9.
さらに、2014年にはプラスグレルが本邦で発売され、クロピドグレルで受けていたCYP2C19の代謝を受けずに代謝される2)ことで個人間の効果の不安定さを解決し、薬効の立ち上がりも早いため、最近ではほぼ第1選択となっています。
臨床的にはパナルジンはほとんど使用されることはなく、クロピドグレルもしくはプラスグレルが選択されることがほとんどです。 9
#10.
3. DAPTの治療期間
#11.
3. DAPTの治療期間 DAPTの適正期間については、今もさまざまな臨床試験などでupdateされており、厳密には解決していないのが現状です。
基本的には、出血リスクとステント血栓症リスクのバランスが最も取れる期間を選択することが理想のDAPT期間です。
ステントの進化やPCI治療方法の変化、出血/血栓リスクなどの患者背景などから、専門医がDAPTの期間を選択しています。 11
#12.
抗凝固薬 血栓リスク 安定狭心症治療後 1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 普 高 有 無
DAPT
SAPT OAC
+
C/P
OAC ※日本循環器学会ガイドラインを元に作成
DAPT SAPT 周術期(2週以内) 抗凝固薬 出血リスク ACS治療後 普 高 有 無
DAPT
SAPT 3剤 OAC
+
C/P
OAC DAPT
SAPT 3剤
#13.
13 アスピリンの消化管・頭蓋内出血リスクを懸念し、SAPTはチエノピリジン系(プラスグレルやクロピドグレル)が選択される傾向にあります。
近年の傾向として、ステントの開発技術の向上によりDAPT期間が短縮傾向となってきています。そのために、さまざまな臨床研究が行われています。
基本的なDAPTの種類、期間に関しては無料でH日本循環器学会のHPのガイドラインにわかりやすく記載されていますので、是非参考にしていただくと良いです3-5)。
#14.
4. まとめ
#15.
4. まとめ 基本的にはPCI後のDAPTはガイドラインに従って処方が必要です。
一方、患者さんの出血リスクや血栓リスク、併存疾患などによってテーラーメードで処方期間を調整することも重要です。
いつまでDAPTを飲む必要があるのか、手術の時に中止していいのか、抗凝固薬も開始しなければならない時など迷った際は、循環器医師に相談してください。 15
#16.
1)塩酸チクロピジン製剤による重大な副作用の防止について(PMDA)https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0015.html
2)管理薬剤師.com エフィエント(プラスグレル)の作用機序と特徴https://kanri.nkdesk.com/drags/efient.php
3)安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_nakamura_yaku.pdf
4)急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_kimura.pdf
5) 2020 年 JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Kimura_Nakamura.pdf
文献・WEBサイト 16