テキスト全文
便潜血検査の基本と特徴
#1. 便潜血検査をどう診る? (社医)養生会 ComFaMかしま病院
#2. 便潜血検査の特徴 大腸癌の陽性率は、FOBTとCFの間に有意差はない(Quintero E, et al. NEJM 2012;366:697-706.)
大腸癌既往や家族歴がなく、医師によるCF経過観察などの指示もない一般的な健診ではFOBTを用いる
受診率を高めるためにも、簡便で非侵襲的なFOBTによる大腸癌検診を推奨
免疫法が用いられている
感度 約60%(報告により30~90%の幅あり)
特異度 約90%
2日法が主流
キット、診断料金含めて数百円~数千円程度
FOBT陽性者への対応と誤解
#3. よくある「誤解」 上部消化管出血は影響する?
免疫法は化学法と異なり、胃・膵液によって変性したヘモグロビンはほとんど検出しないため、上部消化管からの出血や食物に含まれるヘモグロビンには基本的に反応しない
便潜血検査で引っかかったのは痔があるせいだろう
CFを行うと、3~5人に1人は肛門の内痔静脈叢に軽度の静脈腫脹を認めるが、腫脹が激しい痔核は少なく、内視鏡検査中に鮮血などの痔核出血を認めることはまれ
痔とFOBT陽性者の合併率に関する大規模研究はない
#4. FOBT陽性者への対応 基本はCFを推奨
全腸検査で異常なしなら、翌年もFOBT検査を行う
1年後に再度FOBT陽性となった場合、腺腫や腫瘍、炎症などが新規に発生している可能性や見逃しを考慮し、再検査の検討を行う
FOBT陽性者に対しては、基本的に毎回精査が推奨される
FOBT陽性者の死亡率とCF検査の頻度
#5. CF所見なしでもFOBT陽性者は死亡率が高い? Libby G, et al. GUT 2018 Epub ahead of print.
免疫法によるFOBTのコホート調査(2000年から2007年)に参加した人を2016年まで追跡
FOBT検査参加者(n=113万4192人)のうち、陽性者(n=2714人)は陰性者に比べて、大腸癌死亡のハザード比が7.79 (95%信頼区間[CI]6.13-9.89、P<0.0001)
FOBT陽性者の循環器、呼吸器、代謝系疾患による死亡のハザード比も1.58(95% CI 1.45-1.73、P<0.0001)と有意に高い
アスピリン内服者は有意にFOBT陽性者が多い
#6. CF検査はどの程度の間隔で行うべきか? 大腸内視鏡検査は、5年や10年に1回の頻度で十分
大腸または直腸内のポリープは、成人にはよくみられるものであり通常は無害
腺腫は進行するとがん化する可能性がある
大腸内視鏡検査ではこれらのポリープを発見・切除できる
腺腫とがんが発見されず、病気の危険因子を持っていない場合は、その後10年間程度は腺腫やがんを発症する可能性は低い
大腸内視鏡検査ではまれに腺腫を見逃すこともあるが、結腸がん・直腸がんの増殖スピードは通常は緩徐
1、2個の低リスクの小さな腺腫を切除した場合、その後少なくとも5年間はがんが発生することはないと考えられる
大腸内視鏡検査は多くの場合10年に1度受けるだけでよい
大きなポリープやがん化を疑われるポリープがある場合に限り、5年ごとの受診が推奨
CF検査のリスクと受診タイミング
#7. CF検査のリスク 大腸内視鏡検査は比較的安全な検査だが、ときにリスクをもたらす
多量の出血をきたすことがある
地割れ潰瘍、憩室炎、激しい腹痛の引き金となる
心血管障害を持つ人には周術期合併症問題をもたらす場合もある
検査には食事制限や事前に下剤を飲む必要が生じる
鎮静剤を使用するため、帰宅のためには付き添いが必要
学校や仕事を休む必要が生じる
#8. いつCFを受けるべきか? 一般的には、大腸がん検診は50歳で開始すべき
大腸内視鏡検査を受けて腺腫やがんがみつからなかったときや、危険因子を持っていない場合は、10年以内に再検査をもう1度受けるだけでよい
1、2個の小さく低リスクといえる腺腫を除去した場合は、5年か10年以内にもう一度受けるのがよい
炎症性腸疾患を患ってる場合
過去に多発ポリープや、巨大またはがん化するリスクが高い腺腫を指摘されたことがある場合
親、兄弟、子供に大腸がん・直腸がんか腺腫を指摘された方がいる場合
これらの場合は、どの程度の頻度で検査を受けるべきか、専門の医師に確認した
ほうがよい
多くの場合ルーチンとしての検査は75歳以上の方には不要
生活習慣改善のアドバイス
#9. アドバイス 生活習慣の改善 多くの果物、野菜、全粒穀物を摂取し、脂肪の多い食品や赤み肉、加工肉は減らしましょう
余分な体重は減らし、運動を習慣づけ、アルコールを制限し、喫煙を控えましょう
正確な検査結果を得られるよう、検査の前処置(絶食や下剤の使用)は医師の指示に従ってください
代替検査を検討することも大切です。あなたに平均的なリスクがあれば、他の検査オプションについて医師と相談し、保険が適応されるかどうかを各保険会社に確認しましょう
CTコロノグラフィや、短いチューブを使用して行う軟性S状結腸鏡検査により、ポリープやがんを検出することもできます
検便ではがんの兆候をみつけることもでき、検査の前処置の必要もありませんが、異常が検出された場合は、大腸内視鏡検査で検査をする必要があります
次に挙げる危険な兆候があれば、医師に報告しましょう
血便、黒色便(タール便)、便が細くなった、便秘や下痢などが一週間や二週間と続いている、腹痛、便が出ないにも関わらず排便したくなる
このほか、倦怠感や貧血、原因不明の体重減少が起こることもあります