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効率的な精神科研修の総論と背景
#1. 効率的な精神科研修のために ①総論 Vol.1 ある無床総合病院一人部長
#2. はじめに • 数カ所の有床総合病院精神科(全て入院期間制限のある急 性期病床)を経て、現在は、500床を超える総合病院の無床 精神科の一人部長として、細々と精神科臨床をしています。 • 救命救急センターや癌拠点病院があるため、自殺企図症例 や末期癌のせん妄・希死念慮など様々な症例に、精神科、 精神保健福祉士(PSW/MHSW)や心理士と共に対応しており ます。リエゾン加算や緩和ケア加算などもとって、病棟リエゾ ンもしていますが、精神科一般再来も行っております。 • 精神病床を持たない限界があるので、適切な情報収集と判 断、円滑な近隣の精神科病院との連携を図っていますが、 やはりマンパワーの限界で、急な頼診などには迅速な対応 が難しいと感じる今日この頃です。 2
#3. 総合病院精神科医として • 「医師」としてみると、一般的な医療の知識や技能に劣るた め、総合病院精神科医における精神科の立ち位置やアイデ ンティティには悩むところが多いです(これは、同じ立場で勤 務された方でないと、精神科医でもピンとこない部分がある かもしれませんが)。 • 現状、精神医学・精神科医療が、人の心に関与できる割合 は、左程でもないですが、「うつ病・抑うつ状態」「自殺念慮・ 自殺企図」「せん妄」「認知症・認知機能低下」「トラウマ関連」 「周産期メンタルヘルス」「不定愁訴」などの主訴で、精神科( 本来より広義な意味のメンタルヘルス科の呼称も増加)とし て、対応して、何らかの成果を出さないといけないのですが、 なかなか上手くいかず、悩んでおります。 3
精神科医としてのアイデンティティと課題
臨床研修制度における精神科の位置づけ
研修医が経験すべき症候と疾病
精神科医に求められる基本的スキル
精神科治療のサイクルと必要な能力
精神科ローテートの意義と学び
研修医が学ぶべき重要な知識
精神科医療におけるコミュニケーション技術
精神科診療における患者との接し方