LGBTと健康問題〜性の多様性の基礎知識【医療者のためのLGBT基礎講座①】

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坂井 雄貴

ほっちのロッヂの診療所/にじいろドクターズ

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LGBTという言葉をよく耳にすることがあると思います。自分には関係ないと感じている医療者も多いかもしれませんが、医療者がLGBTについて学ぶことはとても大切なことです。

本スライドではLGBTの抱える健康問題、性の多様性の基礎知識といった内容を通して、なぜ医療者がLGBTについて学ぶ必要があるのかについてお伝えします。

※本スライドは、2021年1月15日のAntaaオンライン配信「明日から使える!医療者のためのLGBT基礎講座 第1回」の講演スライドです。配信アーカイブは以下よりご覧いただけます。
https://qa.antaa.jp/stream/contents/104

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ショックのまとめ【定義・分類・鑑別を中心に】

救急外来や病棟急変でよく出会うショックについて、確実に知っておくべき知識を理解していますか? ショック=血圧低値と誤解されることが多い、ショックの概念についてまとめました! 生理学や生化学から、ショックの定義や分類、鑑別を中心にまとめています。 初期研修医の先生方や看護師さんにとっては、きっと学びの多いスライドとなっているはずなので、参考にしていただければ幸いです◎

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それって本当に尿管結石?!

<ERで「尿管結石?」って思ったら> 1. 安易に決めつけるのはNG! 2. エコーで“らしい”所見をチェック! 3. 鑑別疾患を意識して、重篤な疾患を見逃すな! 本スライドは、「三銃士 指導医・研修医レクチャーシリーズ」vol.10です。質問・コメントは以下へお願いします。 http://bit.ly/39kNKUy ※「三銃士」は、救急・集中治療医の坂本壮、総合診療医の髙橋宏瑞、鎌田一宏により運営される、医学教育の課題解決を目指した教育ユニットです。 ▶三銃士Facebookページ https://www.facebook.com/dartagnanproject ▶坂本壮のAmazon著者ページ https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B079T41LV8

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LGBTと健康問題〜性の多様性の基礎知識【医療者のためのLGBT基礎講座①】

1. 第1回 明日から使える! 医療者のためのLGBT基礎講座 ほっちのロッヂの診療所 にじいろドクターズ 代表坂井 雄貴
2. 第1回 LGBTと健康問題 性の多様性の基礎知識
3. LGBTと健康問題ー目標 医療者がLGBTについて学ぶ必要があることを理解する LGBTの人々の抱える健康問題・健康格差について知る 健康問題の背景に医療者を含む社会の偏見・差別があることを理解する
4. そもそもLGBTってなんだろう?   L = レズビアン(Lesbian)   G = ゲイ(Gay) B = バイセクシュアル(Bisexual) T = トランスジェンダー(Transgender) トランスジェンダー:  出生時に指定された性別(戸籍上の性別)と  性自認(自身の性への認識)が一致しない人
5. 日本において、LGBTの人は 人口の何%でしょうか。   ?
6. LGBTは人口の約7% 2019年 大阪市での調査 3.3% 2018年 電通ダイバーシティラボの調査 8.9%
7. 7% 「佐藤・鈴木・高橋・田中」や AB型や 左利きや糖尿病・喘息と同じ割合
8. LGBT当事者が抱える医療アクセスの問題
9. レズビアン女性の例 産婦人科に受診したところ医師に「女性なんだから男性と結婚して子供を産みなさい」と言われ、深く傷ついた。 ゲイ男性の例 HIV検査を受けようとしたが、自分がゲイであることを話しても安全なのかわからず、受診できなかった。 パートナーが緊急入院したが、病院・医療者から親族でないことを理由に治療内容の説明を受けられず、面会もできなかった。 LGBT法連合会, 性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版), http://lgbtetc.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/困難リスト第3版(20190304).pdf
10. トランスジェンダーの例 入院の際に自分の性自認とは異なる共同病室へ配置され、入院生活が苦痛だった。 医療機関の受付では戸籍上の名前で呼ばれるため、受診しづらくなった。 救急車を呼んだ時に性同一性障害であることを理由に「どう対応したらいいかわからない」と言われ、搬送に時間がかかってしまった。 LGBT法連合会, 性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版), http://lgbtetc.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/困難リスト第3版(20190304).pdf
11. 医療者のLGBTに対する無理解や偏見が 適切な医療の提供を妨げている 現実があります
12. 医学教育の観点から 平成28年度改訂版  医学教育モデル・コア・カリキュラム 「ジェンダーの形成並びに  性的指向及び性自認への配慮方法を説明できる」 総合診療専門医  2019年度版 研修手帳 簡易事例項目 「男性・女性・性の多様性にまつわる健康問題」
13. 健康の社会的決定要因(SDH)とは 学歴、労働条件、所得、居住地、 ジェンダー、国籍、人種… 健康状態
14. 医療における同性愛の扱い かつては同性愛は“病気・疾患”とみなされConversion therapyが行われていた。 - カウンセリング、ホルモン療法による化学的去勢、 電気ショック療法、ロボトミーなど 1990年 WHOがICD-10から同性愛を削除 1995年 日本精神神経学会がWHOの見解を尊重すると表明 同性愛者を異性愛者に“治そう”とする「治療」には、科学的な根拠は全くありません。
15. 医療におけるトランスジェンダーの扱い ~時代による疾患名・概念の変化~ 1980年 DSM-Ⅲ 性同一性障害   (Gender identity disorder) 2013年 DMS-5 性別違和         (Gender dysphoria) 2018年 ICD-11  性別不合         (Gender Incoguruence)          「性の健康に関する状態」 脱障害化 脱精神病理化
16. LGBTの人々がさらされている健康格差 ●レズビアン・バイセクシュアル女性 は肥満の割合が高い(米) Jackson CL,et al. BMC Public Health. 2016;16(1):807. ●男性と性交渉を持つ男性(MSM)は HIV感染のリスクが高い 日本での新規HIV感染者の71.3%の感染経路が  同性間の性的接触     平成30年エイズ発生動向年本 厚生労働省エイズ動向委員会
17. LGBTの人々はうつ、不安障害、自殺企図、喫煙・飲酒・薬物使用のリスクが高い King.M, et al. BMC Psychiatry. 2008;8(70):e1-17.    Haas M, et al. J Homosex. 2011;58:10-51. ▶大阪における15歳から24歳を対象にした 2001年の調査  自殺未遂の経験率    異性愛男性          4.7%   ゲイ・バイセクシュアル男性 24.5%  (OR 5.98, 95%CI 2.65-13.48)       Y. Hidaka, et al. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. 2008;43(9):752-757. LGBTの人々がさらされている健康格差 約6倍!
18. ●岡山大学のGIDクリニックでの調査 性同一性障害と診断され、 他の精神科的な合併症のない500名 希死念慮の生涯率は72.0% S. Terada. Psychiatry Res. 2011;190(1):159-162 ●LGBTに対する社会的差別は気分障害、不安障害、  物質関連障害の発症と関連している Katie A, et al. Am J Public Health. 2010;100(8):1477-84. Mei-Fen Yang, et al. LGBT Health. 2015;2(4):306–12. LGBTの人々がさらされている健康格差
19. なぜLGBTの支援が必要なのか? 社会の差別・偏見 医療者の適切な知識の不足 LGBTの健康問題 うつ病・自殺 性感染症 貧困・孤立 いじめ・不登校
20. セクシュアル・マイノリティ であることは 健康の社会的決定要因の1つであり、 医療者が学ぶ必要があります。
21. 性の多様性の基礎知識ー目標 セクシュアリティは男女の二元論ではなくグラデーションであり、個人で異なることを理解する 性的指向と性自認の違いを説明できる 医師が患者のセクシュアリティについて知ることの意味を理解する 21
22. 性って何だろう? 男 女 LGBT? 恋愛対象は もちろん女 恋愛対象は もちろん男
23. ●ジェンダー      社会的・文化的に形成された性  (役割・差異) ●セクシュアリティ   人生においての中心的側面をなす、  その人の性のあり方(全般)    参照:WHO https://www.who.int/reproductivehealth/topics/sexual_health/sh_definitions/en/
24. 4つの性 性自認 (こころの性) 自分の性をどう認識するか 生物学的性(からだの性) 生まれた時の見た目や形で判断された性 染色体・ホルモンの状態 性的指向 (好きになる性) 恋愛・性愛の対象となる性 性表現 自分をどう表現するか
25. DSDs(Differences of sex development:               体の性の様々な発達)(かつてはDisorders of sex development:性分化疾患 と表記) 染色体、生殖腺、解剖学的に性の発達が 先天的に非定型的である状態 (ターナー症候群やクラインフェルター症候群など 様々な疾患・状態の総称)    「男女の中間」「性別が分けられない」のではなく、 男性・女性の身体に様々な状態があることを理解する。 Intersex、半陰陽という言葉は診療の場面で使用しない。      参照:ネクスDSDジャパン https://www.nexdsd.com/ 
26. 性自認(gender identity) 自分の性をどのように認識しているか   シスジェンダー: 出生時に指定された性別と性自認が一致              トランスジェンダー: 出生時に指定された性別と性自認が不一致
27. トランスジェンダーに関する用語 トランス男性(FTM:Female to Male)   出生時に割り当てられた性別が女性、   自認する性が男性 トランス女性(MTF:Male to Female)   出生時に割り当てられた性別が男性、   自認する性が女性 Xジェンダー(英語ではnonbinary)  自認する性が女性でも男性でもない、 あるいは変化する人    FTX、MTXなどと表現することもある 
28. 性的指向 (sexual orientation) 恋愛や性愛の対象となる性 異性を好きになる :ヘテロセクシュアル 同性を好きになる :レズビアン(女性として女性を好き)           ゲイ(男性として男性を好き) 異性・同性どちらも好きになることがある:バイセクシュアル 好きになるのにセクシュアリティは関係ない:パンセクシュアル 他者に性的な感情を抱かない:アセクシュアル 他者に恋愛の感情を抱かない:アロマンティック ❌ 性的「嗜好」ではないので注意!
29. LGBTとSOGI LGBT≠性的少数者 LGBTの他にも多くのセクシュアリティがあり、はっきりと分からない人もいるQuestioning:性のあり方について探求中、       決めたくない人 性的指向・性自認は全ての人に関わるためSOGI(Sexual Orientation/Gender Identity)という表現が主流に
30. 性自認 (こころの性) 生物学的性 (からだの性) 性的指向 (好きになる性) 性表現 性のグラデーション 男性にも様々な 体があります 女性にも様々な 体があります
31. 性自認 生物学的性 性的指向 性表現 性自認 生物学的性 性的指向 性表現 人それぞれの性がある 性自認 生物学的性 性的指向 性表現 レズビアン女性 ゲイ男性 バイセクシュアル男性 トランス女性 性自認 生物学的性 性的指向 性表現 ※この図はセクシュアリティの一例です
32. セクシュアルマイノリティを理解するには ① 性自認と性的指向とを分けて考える    生物学的性    性自認  :自分の性をどう認識しているか   性的指向 :恋愛や性愛の対象となる性      性表現  :自分をどう表現するか ② 男女の二元論を乗り越えグラデーションで考える ③ 時間軸で変化があることを知る
33. 医療者が患者のセクシュアリティを把握する目的 健康リスクの把握  ーLGBTは多くの健康リスクを抱えている 特定の医療ニーズの把握  ー主にトランスジェンダーで  配慮や医療的なケアを希望する場合 関係性の構築  ー信頼できる医療者に  セクシュアリティを理解してもらえること 33
34. セクシュアリティは他者が分類するためのものではなく、自分自身のためにあります セクシュアリティは個人のものであり、ありのままで尊重されるべきもの。 他者が評価したり、決めるものではないことを忘れないでください。 セクシュアリティの意味
35. にじいろドクターズ プライマリ・ケアに関わる医療者のコミュニティ LGBTについて適切な知識と態度を学び、共に考える機会を提供することで、すべての人が公平に健康を考え、享受できる社会を目指す https://www.facebook.com/nijiirodoctors/
36. 謝辞 今回のスライド資料は、にじいろドクターズで作成したものをもとに構成しています 吉田絵理子先生(川崎協同病院 総合診療科)にご支援いただきました 36
37. もっと詳しく知りたい方 37 WHO (2016) FAQ on Health and Sexual Diversity, https://www.who.int/gender-equity-rights/news/20170329-health-and-sexual-diversity-faq.pdf?ua=1 アシュリー・マーデル(2017)13歳から知っておきたいLGBT+, ダイヤモンド社. QWRC (2016) 「LGBTと医療・福祉」http://qwrc.org/2016iryoufukushicmyk.pdf 南山堂『治療』「ジェネラリストのためのLGBT講座」(2020年4月号~)