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ERでの動き方 バイタルサイン ショック

投稿者プロフィール
島田利彦

医仁会武田総合病院

117,438

371

概要

ERでの初動に必要なバイタルサインとショックの捉え方について、症例から考える。初期研修医向け

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

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テキスト全文

ERでの初動とバイタルサインの重要性

#1.

Essential & effortlessバイタルサインとショックERでの初動 2022/04/13 淡海医療センター

#2.

ERでは動いてから考える

#3.

まず動く、動いてもらう トリアージしたら 先に指示を出す! OMI     O2, Monitor, infusion さ る も ちょう しん き

バイタルサインの種類と正常値の確認

#4.

ERでの患者初期評価 :バイタル→自律神経→みため

#5.

あらためてバイタルサイン種類とおおよその正常値は?   血圧   脈拍   体温   意識レベル   呼吸回数        +   瞳孔、尿量 + SpO2 呼吸回数 12-20/min 尿量 0.5-1ml/kg/hr以上

#6.

バイタルから考えよう 1 生来健康な68歳女性 2日前からの高熱   血圧 110/65mmHg   脈拍 84/min 整   呼吸回数 16/min   体温 39.2℃ SpO2 97%

比較的徐脈の定義と原因の考察

#7.

比較的徐脈 McGeeによる比較的徐脈の定義 脈拍が、体温(℃)×10-323 を下回ること 比較的徐脈の原因   レジオネラなどの非定型細胞内病原体、   チフス、既存の房室ブロック、   陰性変時作用のある薬剤(BB, CCB)、   リンパ腫、詐病、薬剤性発熱

#8.

バイタルから考えよう 2-1 40歳代ぐらいの女性   既往等不明    公園で倒れていた    肥満あり  右hand drop+ JCS Ⅱ-30    血圧 175/90mmHg   脈拍 135/min 整   呼吸回数 18/min   体温 36.2℃ SpO2 97%   全身に冷汗あり   次とセットで

#9.

バイタルから考えよう 2-2 70歳代 男性 2型糖尿病   病院での待ち時間中に昏倒     意識レベル Ⅱ-20   血圧 65/48mmHg   脈拍 135/min 整   呼吸回数 22/min   体温 36.1℃ SpO2 測定困難 80%代 四肢に冷汗+冷感著明   血圧に加えて脈圧は?

#10.

2-1. T2DM患者の薬剤性低血糖  低血糖性片麻痺(右に多い)  2-2. 急性心筋梗塞による心原性ショック  低血圧かつ脈圧が小さい(15 mmHg)     脈圧<SBPの25% → 低心拍出量

糖尿病患者の意識障害とバイタルの違い

#11.

Catecholamine surge  血圧上昇+頻脈  ⇒ カテコラミン過剰分泌 循環不全・心不全(CS1) 低血糖 低酸素・高二酸化酸素血症 敗血症 疼痛(解離・SAHなど)、不安、運動 甲状腺クリーゼ、 褐色細胞腫

#12.

糖尿病患者の意識障害  低血糖とDKAのバイタルの違いは?  低血糖で血圧は下がらない  交感神経活動亢進→頻脈+血圧はむしろ上昇

#13.

Copyright restrictions may apply. Feldman-Billard, S. et al. Arch Intern Med 2010;170:829-831. 血糖と血圧は逆方向に動く Concomitant values of mean glucose level and mean systolic blood pressure (SBP) on 24-hour continuous recordings in 12 diabetic patients with hypoglycemic episodes ○収縮期血圧  ●血糖 

#14.

Question break: 39歳女性 抗リン脂質抗体症候群、血小板減少症、慢性頭痛  (SLEの基準は満たさないが補体低値あり) 数日前からの動悸、手の振戦、発汗で内科外来受診 BP 185/110mmHg p 135/min SpO2 98%    RR 16/min BT 36.2℃ 心電図は洞性頻脈 何を考える? Basedow? 褐色細胞腫?

出血性ショックの評価と身体所見

#15.

39歳女性  採血では甲状腺機能正常  胸腹部CTでは腫瘤・結節なし(褐色細胞腫らしくない)  軽度の心拡大あり BNP測定すると >600  心エコーで僧帽弁狭窄+  尿メタネフリン正常  診断:    抗リン脂質抗体症候群に伴う非感染性心内膜炎    それによるclinical scenario1の心不全

#16.

バイタルから考えよう 3 生来健康な62歳男性 デスクワーク中に失神   血圧 112/68mmHg   脈拍 105/min 整   呼吸回数 14/min   体温 35.6℃ SpO2 98% 問診・診察で何をチェックする?

#17.

出血性胃潰瘍  直腸診 起立性低血圧(シェロング試験) 急性期の採血では貧血やBUN上昇はないかもしれない

意識障害の捉え方と血圧の関連性

#19.

身体所見・バイタル (出血)  起立性脈拍増加 起立性血圧低下 仰臥位頻脈 仰臥位低血圧 否定には使えないが、特異度は高い JAMA. 1999;281(11):1022-1029.

#20.

身体所見・バイタル (出血以外)  腋窩の乾燥、 眼の窪み、 毛細血管充満時間などが有用性高い JAMA. 1999;281(11):1022-1029.

#21.

VSから考えよう 4 26歳男性 頭痛で早朝にERを自転車で受診   目の前でレベル低下していく(JCS 100に)    血圧 155/90mmHg   脈拍 46/min 整   呼吸回数 26/min   体温 36.2℃ SpO2 98%          何をチェックする?

#22.

VSから考えよう 4 瞳孔散大あり、クッシング現象による徐脈

ERでの意識障害の初期評価のポイント

#23.

意識障害の捉え方頭蓋内か、頭蓋外か

#24.

血圧と意識障害  BMJ2002 100mmHg以下なら頭の外、170mmHg以上なら頭

#25.

意識障害患者の収縮期血圧脳病変の有無による血圧の違い 収縮期血圧mmHg 患者数

#26.

ERでの意識障害の初期評価(案) 血圧が高い → 頭蓋内由来の可能性が高い → 徐脈はないか 瞳孔不同と対光反射 その他の神経所見 早めに画像評価へ

急性胃腸炎と敗血症の診断の考察

#27.

バイタルから考えよう 5 ADL自立の86歳女性 嘔吐でER walk in 腹痛なし 排便有り(普通便)   血圧 89/52mmHg   脈拍 98/min   呼吸回数 26/min   体温 37.2℃ SpO2 95% 急性胃腸炎?

#28.

血液培養からGNR 2セット陽性 胆管炎の診断 SIRSの概念(ちょっと古いが)

#29.

Sepsis : qSOFA

#30.

46歳女性 知的障害有り 数日前に尿管結石でNSAIDs処方  その他著患なし 搬送日(5月)に「暑くてしょうがなかった」ので、冷房を全開で数時間入れていた。家人が全身が冷たく、しんどそうなのに気づき救急要請 救急隊接触時 33.4℃台 意識清明で会話可能 BP 133/85mmHg p 135/min RR 30/min SpO2 98% BT 35.6℃ (保温して搬送後)

ショックの病態とその評価方法

#31.

46歳女性 知的障害有り 数日前に尿管結石でNSAIDs処方  その他著患なし 搬送日(5月)に「暑くてしょうがなかった」ので、冷房を全開で数時間入れていた。家人が全身が冷たく、しんどそうなのに気づき救急要請 救急隊接触時 33.4℃台 意識清明で会話可能 BP 133/85mmHg p 135/min RR 30/min SpO2 98% BT 35.6℃ (保温して搬送後) いったん帰宅も夜にCPAで搬送され死亡   血液培養からCandida2/2 (尿培養からも同一菌+)

#32.

 ショック+頻呼吸    →敗血症性ショックを考慮     (乳酸アシドーシスやエンドトキシンによる)  発熱のない敗血症は珍しくない(高齢者)  むしろ低体温かも  脱水のみでは頻呼吸にならない  

#33.

おまけ:ΔHR / ΔBT ΔHR / ΔBT > 20 :体温1℃上昇に対し心拍数が20/min以上上昇 細菌感染症のリスクが高い   出典不明 一般的にはΔHR / ΔBT  7程度  Am J Emerg Med. 2020 普段の血圧・脈拍と比較して判断する

#34.

バイタルから考えよう  6 パニック障害のある28歳肥満女性 呼吸苦で救急搬送    血圧 80/62mmHg   脈拍 135/min   呼吸回数 32/min   体温 35.7℃ SpO2 93% パニック発作?

ショックの種類と原因の考察

#35.

肺塞栓 パニック障害による過換気と誤認 ショックバイタル 過換気であればSpO2は下がらないはず 脈圧< sBP/4 は低心拍出量を示唆 さらにHypovolemiaか、Obstructiveかは        → 頸静脈圧で鑑別できる

#36.

ショック ショック  ≠  血圧の低下 不十分な組織灌流や細胞の酸素利用能の低下 などにより,酸素とエネルギー基質の需要・供給バランス が崩れ,細胞機能障害が生じる病態  代償起点により蒼白(pallor) 冷汗(perspiration) 虚脱(prostration) 微弱な頻脈(pulselessness) 呼吸促迫(pulmonary deficiency)が生ずる

#37.

ショックを呈する4病態 ・Distributiveでは心拍出量あるいはSvO2が上昇する可能性がある

#38.

ショック:おぼえかた   S Sepsis, spinal  H Hypovolemic, hemorrhage  O Obstructive (PE, Tamponade, Tension pneumothorax)  C Cardiogenic  X Anaphylaxis  E Endocrine (副腎・甲状腺)

#39.

原因のよく判らないショック  高齢者のsepsis  副腎不全・クリーゼ  肺塞栓  毒物・薬物  TSS(Toxic shock syndrome) # TSS : ブドウ球菌による毒素性ショック    筋痛・発熱などのインフルエンザ様症状や激しい下痢により判りにくい。  紅斑は一部にとどまったり、一過性のこともありえる。溶連菌性TSSなら  壊死性筋膜炎などfocusがある事が多いが、ブドウ球菌性ではfocusに乏しい。  多臓器不全を伴う原因不明のショックで考慮すべき疾患

#40.

徐脈を伴う低血圧・ショック : VF AED ON  Vasovagal reflex  迷走神経反射  Freezing       低体温  AMI / AdamStokes / Acidosis  Electrolyte/Endocrine (高K・高Mg /副腎・甲状腺)  Drug (A:ntihistamine B:eta blocker C:a blocker D:igoxine)  Oxygen   低酸素血症  Neurogenic : traumatic spinal injury 徐脈+低血圧は特に背景を考える!

ERでのバイタルサインの分析と重要ポイント

#41.

ADL自立の86歳女性 嘔吐でER walk in   血圧 89/52mmHg   脈拍 98/min   呼吸回数 26/min   体温 37.2℃ SpO2 95% 下肢に皮疹を認めた バイタルから考えよう5  胆管炎・敗血症の続き Stanford medicine25

#42.

Mottled skin = Livedo racemosa   Autonomic over activationによる皮膚変化.    敗血症性ショック : 死亡、q SOFA、lactateと関連 Actas Dermosifiliogr. 2008;99:598-607

#43.

 Intensive Care Medicine.2011 37(5):801-7 Mottling score 尿量や乳酸値より死亡と相関が強い?

#44.

Take home points ERを生き残る  Vital signは意識して分析する   まず動く、動いてもらう       OMI      さるもちょうしんき  ------------------------------------------------------------------------------    病歴は Onset と Time course から  ワーストケースシナリオの除外を意識する   最後はコミュニケーション   

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