#4.
吻合の方法 手縫い吻合 器械吻合 ・その名の通り、手術者の 手で針と糸を用いて縫いつ なげる方法。 ・自動縫合器や吻合器を使 用して、ホチキスで留める ことでつなげる方法。 ・3-0あるいは4-0の吸 収糸(バイクリル®やPDS® など)を使用する。 自動縫合器(リニアステープラー) 自動吻合器(サーキュラーステープラー)
#5.
代表的な手縫い吻合法 3つの手縫い吻合の運針(針と糸の動き) を紹介します。後壁⇒前壁の順に縫う ポイントは粘膜と漿膜筋層(以下、漿筋)それぞれを圧着させること。 前壁 後壁 Ganbee 法 ギャンビー 前壁は漿筋⇒粘膜⇒粘膜⇒漿筋 の順、後壁は粘膜⇒漿筋⇒漿筋 ⇒粘膜の順で縫合する。 1本の糸で吻合できる。 連続縫合はやや煩雑となる。 Albert-Lembert (AL)法 アルベルト-レンベルト 全層と漿筋の二層をそれぞれの 糸で縫合する。 2本の糸を用いる必要がある。 連続縫合も容易にできる。 層々二層法 粘膜と漿筋の二層をそれぞれの 糸で縫合する。 2本の糸を用いる必要がある。 連続縫合も容易にできる。
#6.
手縫い吻合のメリット・デメリット メリット ・糸を絞める強さを自身で調節できるため、特に浮腫 の強い腸管の吻合に向いている。ただし、きちんと調 整しないと糸による挫滅がおこるので腕の見せ所。 ・器械を使わないため、低コスト。 デメリット ・手が届かないようなところでの吻合は難易度が非常 に高くなる。=縫合不全のリスクが高くなる。 ・時間がかかる。
#7.
リニアステープラーの仕組み 電動 手動 握りこむことで腸を圧着する。 腸同士を留めるステープル(ホチキス)が入っている。 溝部分に刃が走ることで腸を切離する。 ・電動、手動、腹腔鏡用(長い)といろいろな種類があるが、 仕組みは同じ。
#8.
リニアステープラーの仕組み ①腸間膜を処理した後に ステープラーで腸管を挟 む。 ②レバーを握ることで、ス テープル(緑)が腸管壁をつな ぎ合わせ、刃(青)が腸壁を切 り取る。 ③ステープル(緑)で閉じられ た2つの腸管が出来上がる。
#9.
リニアステープラーを用いた特殊な吻合 機能的端端吻合:FEEA(Functional End to End Anastomosis) ◆ リニアステープラーを複数回使うことで吻合することが できる。 ◆ 見た目上は側側吻合ですが、腸内容の動きは端端吻合と 同じなので、機能的端端吻合といいます。 ◆ 「FEEA」とか「ファンクショナル」と呼ぶことが多い。
#10.
機能的端端吻合の実際の手順 ①リニアステープラー で切離した2つの腸管 に行う。 吻合したい腸管の腸間 膜対側に孔をあける。 ②リニアステープラー を両腸管の孔に挿入し、 腸間膜対側を挟むよう にして使用する。 ③両方の腸管がステー プルによってつながる。 ステープラーの長さ分 の腔が出来上がる。 ステープラー挿入部の ことを共通孔という。
#11.
機能的端端吻合の実際の手順 ④ステープルが重な らないようにずらし て共通孔を持ち上げ る。 ⑤リニアステープラー で持ち上げた共通孔を 切り取る。 ⑥腸間膜背側同士で吻 合される。 ステープラーが複数か かっている部位を補強 する。
#12.
FEEAのメリット・デメリット メリット ・腸管側壁を吻合するため、特に径の異なる腸管の 吻合に向いている。 ・腸管血流の維持に優れる。 デメリット ・浮腫のある腸管では機械的圧挫が強く、腸管壁を 損傷する可能性がある。=縫合不全のリスクが高く なる。 ・3本あるいは4本のステープラーが必要であり、コ ストが高くなる。
#13.
サーキュラーステープラーの仕組み 回すことで、アンビルと本体と を近づけて腸を圧着できる。 ここに円周状の刃が入っており、 レバーを握ると刃が出て腸壁を打 ち抜く。 アンビルと呼ばれ、外すことが で、これを片側(多くは口側)の腸 管にいれる。 腸同士を止めるステープルが入ってい る。同心円状に3列配置されている。 赤色のストッパーを外して握ることで吻合する。 電動のものもある。 吻合時に「ファイヤー!!!」と叫びます。 (「叫ばないと吻合されない」ということではない。)
#14.
サーキュラーステープラーの仕組み ①吻合腸管それぞれにアン ビルと本体を挿入し連結さ せ、引き寄せて圧着させる。 ②レバーを握ることで、ス テープル(緑)が腸管同士をつ なぎ合わせ、刃(青)が腸壁を くりぬく。 ③腸管が吻合される。
#15.
サーキュラーステープラーのメリット・ デメリット メリット ・アンビルが挿入できれば吻合できるため、手の届き にくい部位(おもに直腸、食道)の吻合に用いられる。 デメリット ・浮腫のある腸管では機械的圧挫が強く、腸管壁を 損傷する可能性がある。=縫合不全のリスクが高く なる。 ・腸管内に器械を挿入するため、機械の径を著しく 逸脱する腸管には使用できない。
#16.
手縫い吻合と器械吻合 手縫い 吻合 正常腸管 むくんだ 腸管 手が 届きにくい 口径差が 大きい どう使い分ける? 器械吻合 FEEA サーキュラー ステープラー
#17.
Take Home Massage ✓ 手縫い吻合は浮腫腸管の吻合に強い。 ただし、糸による挫滅に注意しよう。 ✓ 器械吻合は口径差が大きい吻合や手が届かない場所の 吻合に有効。 ✓ それぞれの吻合法の特徴を理解して使い分けよう!!
#18.
おまけ 実際の手技でのQ&A① Q. 手縫い吻合で糸を等間隔でかけれません。 A. 支持糸をかけて中点に糸をかける操作を繰り返す 方法だと比較的等間隔に縫うことができます。 私のテクニックは、支持糸のすぐ横に先に1針ず つかけたのちに、中点に糸をかけていきます。 支持糸とその隣の糸は離れがちになりますので、 縫合不全予防に良いと考えています。 イメージ(上から見た図) 支 支 2 1 3 支 1 4 3 5 2 支
#19.
おまけ 実際の手技でのQ&A② Q. 手縫い吻合は連続縫合と単結節縫合の どちらがいいですか? A. 連続縫合のメリットは何よりも「時間短縮」です。 気を付けるポイントとして、糸を引っ張りすぎる と腸管壁をたぐりよせるため、吻合径が小さく なってしまうことになります。逆に引きが弱いと 縫合不全となります。私は連続縫合は玄人向けと 思っています。
#20.
おまけ 実際の手技でのQ&A③ Q. リニアステープラーの刃の種類はどのように使い 分けているんですか? A. リニアステープラーにはステープルの高さに応じ た種類があり、それぞれ色分けされています。低 いものは薄い臓器である血管(静脈)を、高いもの は厚い臓器である膵臓を切るのに使うことが多い です。腸管を切るものはだいたい真ん中ぐらいの 高さのステープラーを使うことが多いです。
#21.
おまけ 実際の手技でのQ&A④ Q. 腹腔鏡手術で腹腔内でよくわからない器械吻合を していたけど、あれはなんですか? A. 腹腔鏡下幽門側胃切除術や胃全摘術では、完全腹 腔鏡下手術のため、体腔内リニアステープラー吻 合を行います。胃切除では「デルタ吻合」、胃全 摘では「オーバーラップ法」とよばれる吻合法を 用います。どちらも原理としてはFEEAと同じで、 側側吻合⇒共通孔閉鎖の手順となります。
#22.
おまけ 実際の手技でのQ&A⑤ Q. はじめて直腸の吻合をします。 どこに注意すればいいですか? A. サーキュラーステープラーは、肛門が支点となっ て動きます。ほとんどの場合、挿入長<体外長と なります。体外では小さく動かしたとしても、体 内では大きく動いてしまい、腸管損傷のリスクが 高まります。術者から「右~」とか「腹側~」と か指示があると思いますが、考えているよりも小 さな動きを心掛けましょう。 肛 短 門 長
#23.
参考資料 • 製品画像は コヴィディエンジャパン株式会社及び、 Johnson & Johnson株式会社(順不同) より提供。