大学附属病院
臨床病期1期(ステージ1)の非小細胞肺癌のガイドライン
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最終更新:2023年1月23日
救急エコーはまず肺より始めよ 簡単ですぐに使えて コスパ最高
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最終更新:2023年1月5日
はじめての胸腔ドレナージ!-注意すべきことは?-
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最終更新:2023年1月3日
呼吸器内科医のキャリアプラン~呼吸器内科医の実際のところ~
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最終更新:2022年12月15日
みんなの救命救急科出版記念!SNSから始まる新たなキャリア
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最終更新:2022年11月11日
Primary survey 呼吸(B)の異常【メカニズムの評価を中心に】
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最終更新:2022年11月3日
肺がん⼿術の 今までとこれから AtsuMii@呼吸器外科
本スライドの対象者 • 呼吸器外科を⽬指す外科専⾨医や後期研修医 • 呼吸器内科を⽬指す内科専⾨医や後期研修医 • 呼吸器をローテする初期研修医
Take Home Messages 1. 肺がんに対する標準術式は肺葉切除+リンパ節郭清。 2. 周囲臓器を合併切除するのが拡⼤⼿術、肺葉切除より⼩さく 切除するのが縮⼩⼿術。 3. 低侵襲⼿術には、創を⼩さく、少なくするものと切除範囲を ⼩さくするものの2種類。
4.
肺切除には 切除範囲によって、 全摘、葉切除、区域切除、部分(楔状)切除 の4種類に⼤別されます 全摘 ⽚側の肺を 全て切除 葉切除 肺葉の単位で 切除 区域切除 肺葉よりも⼩さな 区域に沿って切除 切除範囲が ⼤きくなれば、侵襲や 肺機能の損失も ⼤きくなります 部分(楔状)切除 解剖学的な構造は無視し、 部分的に切除
5.
肺がん⼿術の歴史 〜標準⼿術が肺葉切除とリンパ節郭清になった経緯〜
6.
1933年 Dr. Evarts A. Graham(ワシントン⼤学) 49歳の産婦⼈科医の左上葉肺がんに対して、左肺全摘術 術後18年⽣存 初の 術後⻑期 ⽣存例 それまでは、肺⾎管、気管⽀を肺⾨で⼀括処理していたが、 Dr. Grahamは肺⾎管、気管⽀をそれぞれ処理 今⽇の肺癌⼿術の基礎を築いた 肺がんに対して 外科切除(全摘)が できるようになり ました ちなみに、 胃がんに対する胃切除の最初の報告は、 1881年 Billroth Dr. Evarts A. Graham Graham, E.A. Successful Removal of an Entire Lung for Carcinoma of the Bronchus, JAMA. 101: 1371, 1933.
7.
1950年 Dr. Edward D. Churchill (マサチューセッツ総合病院) ⼿術死亡率 5年⽣存率 肺がん切除 171例 標準術式(全摘) 114例 22.8% 12% 対照術式(葉切) 57例 14.1% 19% ⼿術死亡、⽣存率ともに 全摘より、葉切が良い結果 Dr. Edward D. Churchill 葉切が 標準術式と なりました Churchill, E. D.The Surgical Management of Carcinoma of the Lung, J. Thoracic Surg.20: 349-365: 1950.
8.
リンパ節郭清 “Radical lobectomy” Cahan WG ”根治的肺葉切除”と 1960年 Dr. WG Cahan 和訳されました 肺葉切除+リンパ節郭清を ”Radical lobectomy”と呼び、 肺がんの標準術式とするよう提唱 1969年 Dr. HE Ramsey リンパ節郭清を伴う切除は、 単純切除と⽐較し、⽣存率が良く、 ⼿術死亡に差がない 葉切+リンパ節郭清が 標準術式と なりました Cahan, W.G.: Radical lobectomy: Thoracic and Cardiovascular Surgery 39, 555-572: 1960. Ramsey HE, Cahan WG, Beattie EJ, et al. The importance of radical lobectomy in lung cancer. J Thorac Cardiovasc Surg; 58: 225–230. 1969
9.
まとめ1 • 肺がん対する最初の術式は、全摘でした。 • その後、全摘と葉切の⽐較試験が⾏われ、周術期、⻑期予後とも 結果の良かった葉切が第⼀選択となりました。 • 単純葉切と⽐較し、リンパ節郭清を追加する”radical lobectomy”の予後が良好であり、以降、葉切+リンパ節郭清が 標準術式となりました。
10.
標準/拡⼤/縮⼩⼿術 • これまでの経緯から、肺葉切除+リンパ節郭清が標準術式とな りました。 • 標準⼿術に対する術式として、拡⼤⼿術と縮⼩⼿術があります。
11.
拡⼤⼿術 • 進⾏肺がんに⾏う⼿術。 • 肺の周囲には肋⾻、⼤動脈、⼼臓、椎体などの臓器、組織が存 在します。 • 肺がんがこれらに浸潤した場合に、肺とともに切除(合併切除) します。これが拡⼤⼿術と呼ばれます。 切除する肺の量が 多い訳ではありません
12.
気管⽀形成術(拡⼤⼿術の1つ) 通常の 肺葉切除 ここで気管⽀を 切ります 気管⽀形成を伴う 肺葉切除 腫瘍が中枢に 存在している場合、 通常の位置で切ると 断端に癌が残るので、 通常より、中枢で 切離する必要があります 気管⽀ 楔状切除 気管⽀ 管状切除 気管⽀の切り⽅は 2通り ⼀部でも気管⽀が つながっている →楔状切除 完全に切り離して しまう →管状切除 最後に、切離した 気管⽀を縫合します
13.
縮⼩⼿術 • 縮⼩⼿術は、切除する肺の量が葉切除よりも⼩さいもの。区域 切除と部分(楔状)切除があります。 区域切除 部分(楔状) 切除
14.
画像診断技術の 進歩 末梢⼩型肺がんの 増加 喫煙率の低下 ⼩さな肺がんには 縮⼩⼿術で良い︖ という疑問が当然出てきます
15.
1995年 GinsbergらLung Cancer Surgery Group(LCSG) 3cm以下の肺がんに対する縮⼩⼿術の妥当性を検討する試験 局所再発率 5年⽣存率 葉切 2.1% 89.1% 縮⼩⼿術 6.3% 83.1% 区域切除と 部分切除が 含まれています 局所再発率、⽣存率ともに 葉切が良かった ⼩さな肺がんに対しても 葉切+リンパ節郭清が 標準術式 Ginsberg RJ, Randomized trial of lobectomy versus limited resection for T1 N0 non-small cell lung cancer. Lung Cancer Study Group. Ann Thorac Surg 1995; 60: 615–622.
16.
0 0.25 CTR 0.5 JCOG 0804 (cm) 腫 瘍 全 2 体 径 腫瘍径とCTR JCOG 0802の結果が、 2022年4⽉に発表され ました! 1 JCOG 0802 部分切除 ⽇本発の試験 葉切除 vs 区域切除 JCOG 1211 区域切除 CTR(consolidation/tumor ratio) 0 3 pure GGN 葉切除 渡辺俊⼀ <0.5 肺癌, 2020, 60:924-928 1 pure solid part solid nodule 低 悪性度 ⾼ 国⽴がん研究センターHPより
17.
⼩さいけれど、充 実部分の⼤きい(= 悪性度が⾼そうな) 病変が対象 JCOG 0802試験 • 2cm以下、CTR>0.5の⾮⼩細胞肺がんに対する葉切除と区域 切除の⽐較試験 部切は ⼊っていません • 5年全⽣存率 葉切除 91.1% vs 区域切除 94.3% と区域切除 で良好な結果 将来的に、⼩型肺がんに対する標準術式が 変更となる可能性あり
18.
まとめ2 • 拡⼤⼿術は進⾏肺がんに対する術式で、周囲臓器・組織を合併 切除するものや、気管⽀形成術が含まれます。 • 縮⼩⼿術は標準術式の葉切除と⽐較し、⼩さな範囲で切除する 術式で、区域切除や部分(楔状)切除が含まれます。
19.
低侵襲⼿術 • 切除範囲を⼩さくする(=縮⼩⼿術)ものと創を⼩さく、少なく するものの2種類あります。 • 創を⼩さく、少なくすることができるようになったのは、内視 鏡等技術の進歩によります。
20.
内視鏡⼿術の歴史 • 1987年 • 1990年 世界初の腹腔鏡下胆嚢摘出術(Dr. P Mouret(フランス)) 国内1例⽬のが腹腔鏡下胆嚢摘出術 (帝京⼤学溝⼝病院外科 ⼭川達郎) • 胸腔鏡⼿術は、1990年から気胸に対して導⼊ • 1992年 世界初の肺癌に対する胸腔鏡下肺葉切除術(Dr. RJ Lewis(アメリカ)) • 1993年 国内初の胸腔鏡下肺葉切除術(東海⼤学 岩崎正之)
21.
• 2002年 世界初のロボット⽀援肺葉切除術の報告(Dr. F.M.A. Melfi(イタリア)) • 2009年 国内初のロボット右肺上葉切除の報告(藤⽥保健衛⽣⼤学 須⽥隆) • 2011年 世界初の単孔式胸腔鏡下肺葉切除術の報告(Dr. D. Gonzalez (スペイン)) 開胸⼿術 胸腔鏡⼿術 ロボット⽀援⼿術 胸腔鏡⼿術、ロボット⽀援⼿術とも 施設によって創の位置、数が若⼲異なります 単孔式はこの創 1か所だけです 20-30cmの ⽪膚切開 3〜5か所、 最⼤8cmの ⽪膚切開 5〜6か所、 最⼤4cm程度の ⽪膚切開 da Vinci(⼿術⽀援ロボット) Intuitive社患者配布⽤資材より
22.
まとめ3 • 内視鏡含めさまざまな機器の進歩により、肺がん⼿術にも内視 鏡⼿術が導⼊され、低侵襲化が進みました。 • 今後も、技術の進歩や新たな知⾒の出現によって、より低侵襲 で適切な肺がん⼿術が患者さんに提供できるようになると考え ています。
23.
Take Home Messages 1. 肺がんに対する標準術式は肺葉切除+リンパ節郭清。 2. 周囲臓器を合併切除するのが拡⼤⼿術、肺葉切除より⼩さく 切除するのが縮⼩⼿術。 3. 低侵襲⼿術には、創を⼩さく、少なくするものと切除範囲を ⼩さくするものの2種類。