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妊娠・授乳中の薬の考え方

  • 救急科

  • 産婦人科

  • 催奇形性
  • 乳汁移行性
  • 胎盤移行性
  • 胎児毒性

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2022/5/10
R/N.@産婦人科

総合病院

授乳・妊娠中の投薬の考え方について、添付文書と定番の参考書などに基づいた可否の参照法、妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けた考え方、 緊急時の母体優先の原則についてまとめました。

◎目次

・Take Home Messages

・目次

・添付文書の有益性投与

・情報源はたくさんある

・“時短”のためにおすすめの参考書

・妊娠中と授乳中は分けて考える

・処方例①  妊娠20週、急性上気道炎

・処方例②  産褥2ヶ月、乳腺炎

・救命などの緊急時の対応は?

・妊娠中に推奨されない薬品が投与されたら

-----------------------

授乳中の薬(一覧表)は以下のサイトが参考になります。

・授乳中に安全に使用できると考えられる薬

・授乳中の使用には適さないと考えられる薬

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/druglist.html


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妊娠・授乳中の薬の考え方

  1. 妊娠・授乳中の薬の考え⽅ R.N.@産婦⼈科 ⽇本産科婦⼈科学会専⾨医 twitter: @RN39443862

  2. Take Home Messages 1. 投薬の可否は添付⽂書だけでなく、定番の参考書などを参照する 2. 妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けて考える 3. 緊急時は⺟体優先を原則に、必要な投薬はためらわない

  3. ⽬次 1. 投薬の可否は添付⽂書だけでなく、定番の参考書などを参照する 2. 妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けて考える 3. 緊急時は⺟体優先を原則に、必要な投薬はためらわない

  4. 添付⽂書の有益性投与 ü 医薬品の添付⽂書の記載は 「医薬品医療機器等法/薬機法*」 に基づく ü 数年毎に厚⽣労働省から通知が出され、記載要領が⾒直されている ü 産科診療においては、以前から記載内容の利便性の低さなどが指摘されており、 令和6年からは新記載要領に変更される(令和4年現在は移⾏期間中) 今後改善される可能性はあるが、 現時点では、添付⽂書の情報だけでは臨床上は不⼗分 * 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

  5. 情報源はたくさんある p 薬剤の添付⽂書 p 国⽴成育医療研究センター︔妊娠と薬情報センター p PubMedなどでのハンドサーチ p ガイドライン Ø 産婦⼈科診療ガイドライン産科編、等 p 参考書 Ø Drugs in Pregnancy and Lactation この分野の成書 Ø 薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳、等 産婦⼈科医も基本的に、処⽅のたびに調べています

  6. “時短”のためにおすすめの参考書 多くの産婦⼈科医も愛⽤ ü おすすめは 「薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳」 という参考書 Ø 妊娠中 と 授乳中 それぞれに記載がある Ø 妊娠前、妊娠初期、妊娠後期などに分けて記載がある Ø 児への影響や薬剤の使い⽅・選択法など必要⼗分な記載がある Ø M2 plusなどのアプリで電⼦版が利⽤できる(スマホに⼊れていればどこでもアクセス可能) ü 救急などでの短期処⽅は、この書籍で調べて問題がないものならOK Ø この書籍で調べて分からないような薬剤は、⽂献などハンドサーチが必要 Ø 妊娠中の薬剤の調整などは、処⽅医(各科の専⾨医)の⽅が詳しい (それらの薬剤で緊急対応が必要なら処⽅医や産婦⼈科をコールする)

  7. ⽬次 1. 投薬の可否は添付⽂書だけでなく、定番の参考書などを参照する 2. 妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けて考える 3. 緊急時は⺟体優先を原則に、必要な投薬はためらわない

  8. 妊娠中と授乳中は分けて考える ü 妊娠中は胎盤移⾏性、授乳中は乳汁移⾏性 Ø 授乳には患者毎にこだわりもあるので、気持ちや⼦育て⽅針にも寄り添った対応が必要 ü 妊娠中はさらに 「着床前期」 「胎芽期」 「胎児期」 に分ける Ø 着床前期︓妊娠2〜4週 “all or none” period Ø 妊娠検査薬は陽性にならない Ø ⽣殖可能年齢の⼥性には避けるべき薬剤があることは考慮する (男性でも⽣殖能⼒に影響する薬剤はあるが、胎児異常は報告なし) Ø 不妊治療中ではトラブルを避けるため、妊娠確認(通常は妊娠4週で不妊治療施設で⾏う)前だが、投薬を希望するかを確認する Ø 胎芽期︓妊娠4〜9週 催奇形成に注意 Ø ⾃然流産の発⽣率は約15%、先天異常の⾃然発⽣率は2〜3% Ø 流産の多くはこの時期に起こるが、原因のほとんどは受精卵の染⾊体異常 Ø 妊婦や家族の⾏動、薬剤が原因で流産や先天異常が起こることは稀なこと含め、情報提供はしっかり⾏う Ø 胎児期︓妊娠10週〜出⽣まで 胎児毒性に注意 Ø 胎児毒性の証明は難しいため、胎盤移⾏性の⾼い薬剤の安易な処⽅は避けるべき 基礎知識は⾮専⾨医ならこのくらいで⼗分です

  9. 処⽅例① 妊娠20週、急性上気道炎 妊婦でなければ、処⽅はカロナール、ロキソニン、メジコン、ムコダインあたり︖ 妊娠20週の妊婦には投与可能だろうか︖︖ 参考書を⾒てみると・・・ 分類 ⼀般名 商品名 総合評価をみます 添付⽂書(妊娠) 有益性投与 ⾮ピリン系解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン カロナール ○ 酸性NSAIDs ロキソプロフェン ナトリウム⽔和物 ロキソニン ○ 中枢性⾮⿇薬性 鎮咳薬 デキストロメトルファン 臭化⽔素塩⽔和物 メジコン ○ 気道粘液修復薬 L-カルボシステイン ムコダイン ○ 総合評価 禁忌 末期 * 妊娠 授乳 安全 安全 * 安全 安全 安全 妊娠後期は処⽅を避けるべき どうやら、ロキソニンは後期はあまり良くないかな、ムコダインは記載がないな・・・ 参考⽂献 • 薬物コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂3版

  10. 処⽅例① 妊娠20週、急性上気道炎 ムコダインの記載について、参考書の該当ページを読むと・・・ 妊娠期 • L-カルボシステイン︓ムコダイン 妊娠中の使⽤に関する情報はほとんどない。カルボシステインのように古くから広く⽤いられて いる薬剤については、現在のところ妊娠中の使⽤による有害事象の報告がないことを踏まえ ると、妊娠には影響しない可能性が⾼い。 ⽅針 l カロナールとメジコンは、妊婦が希望するなら処⽅OK l ロキソニンは妊娠後期は控えるので、あえて処⽅する必要は乏しい l ムコダインも基本的には問題ないだろうから、患者の希望を確認しよう 妊娠中の薬について、 産婦⼈科医もこのように毎回調べています 参考⽂献 • 薬物コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂3版

  11. 処⽅例② 産褥2ヶ⽉、乳腺炎 授乳中で、⽚側の乳房に緊満感と熱感があり、39度の発熱もある・・・ 他に熱の原因もなく、乳腺炎だろうか。処⽅はカロナール、ケフラール、葛根湯かな・・・ 乳腺炎など授乳中のトラブルについては、産婦⼈科診療ガイドライン産科編2020の「CQ419授乳に関する注意点は︖」も ⼀読の価値あり︕ネットに公開されています。 参考書を⾒てみると・・・ 分類 ⼀般名 商品名 添付⽂書(妊娠)* 有益性投与 総合評価 禁忌 妊娠 授乳 ⾮ピリン系解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン カロナール ○ 安全 安全 第1世代セフェム系 セファクロル ケフラール ○ 安全 安全 * 添付⽂書の改訂期間中のため最新版では授乳に関する添付⽂書の記載は割愛されています。 どうやら、カロナールとケフラールは授乳中でも⼤丈夫かな。漢⽅薬の記載がないけど・・・ 参考⽂献 • 薬物コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂3版

  12. 処⽅例② 産褥2ヶ⽉、乳腺炎 ü 漢⽅薬の他、ワクチンやOCT薬・サプリメント、嗜好品、放射線(診断⽤)などは別で記載がある 漢⽅薬(参考⽂献より⼀部抜粋) 妊娠期︓当帰芍薬散など⼀部の漢⽅薬のみ妊娠中の諸病が適応症となっているが、ほとんどの 漢⽅薬についてはデータがないため、妊娠がわかっている場合は積極的には推奨しない。⽣薬だか ら安全とはいえない。 授乳中︓通常の⽤法・⽤量での使⽤は問題ないと考えられているが、成分が不明なものに関し ては注意が必要である。 ⽅針 l カロナールとケフラールは、授乳中でも安全 l 漢⽅薬も基本的には問題ないので、乳腺炎では頻⽤されている葛根湯は処⽅OK 妊娠期と授乳中に分け、 毎回調べて治療⽅針を決定しています 参考⽂献 • 薬物コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂3版

  13. ⽬次 1. 投薬の可否は添付⽂書だけでなく、定番の参考書などを参照する 2. 妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けて考える 3. 緊急時は⺟体優先を原則に、必要な投薬はためらわない

  14. 救命などの緊急時の対応は︖ ü 産科医療では “⺟体優先(Mom comes first)の原則” がある Ø ⺟体の命に関わるような病態では、必要な検査や投薬、処置を躊躇うことはありません Ø ⽣育限界を超えている(現在は妊娠22週頃)なら、新⽣児にもできる限りの医療を提供する 例︓肺⾎栓塞栓症を疑う場合 産婦⼈科ガイドライン産科編2020でも下記の記載があります。 ü 妊娠中でも診断のための造影CTを考慮する。 ü 肺⾎栓塞栓症が強く疑われる場合や確定診断に時間を要する場合には、疑診段階でも ヘパリン投与などの初期治療を開始する。

  15. 妊娠中に推奨されない薬品が投与されたら ü その薬剤が原因と特定されるトラブルが起こることは現実的にはかなり稀 (よほど特殊な薬剤以外はほぼない) ü 妊娠中や授乳中でも、基本的には胎児エコーなどで “経過を⾒守っていく” という対応にとどめる ü 過度に患者を⼼配させないような伝え⽅も⼤切 ※誤投与なら再発予防は⼤切です 例 • 妊娠中には控えることが多い薬剤が処⽅されていたので、今⽇からは⼀旦中⽌しましょう。 • この薬剤だけが原因でお⼦さんにトラブルが起こることは基本的に稀です。 • これからも健診のたびにお⼦さんの具合は確認していきますが、胎動が少ないなど⼼配なことが あればいつでも相談してください。 参考⽂献など確認にすることは⼤切だが、 過度にリスクを強調したりしないことも⼤切

  16. Take Home Messages 1. 投薬の可否は添付⽂書だけでなく、定番の参考書などを参照する 2. 妊娠中(催奇形性と胎児毒性)と授乳中に分けて考える 3. 緊急時は⺟体優先を原則に、必要な投薬はためらわない

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