テキスト全文
オンライン臨床実習の概要と背景
#1. 2020/9/6 Antaa オンライン臨床実習の いろは 株式会社まなびのデザイン 民谷 健太郎
#3. もしも今年度の病院実習が 全て中⽌になったら?
COVID-19と臨床実習の影響
#5. オンライン臨床実習 論点 患者接触が禁じられた臨床実習を どのように設計するか ?
オンライン臨床実習の設計とツール
#7. オンライン臨床実習の選択肢/制約 題材(症例) 同期/⾮同期 実際の患者 ⼿段/ツール テレビ通話(zoom, skype等) 同 模擬患者 feedback 期 個別 ライブ講義 全体 仮想患者 オンデマンド講義(収録) ⾮ 同 期 掲⽰板/チャット フォーム投稿
#8. 各種媒体の位置づけ 同期 テレビ通話 (zoom, skype等) ライブ講義 TBL: Team Based Learning PBL: Problem Based Learning TBL PBL ⼀⽅的 フォーム投稿 掲⽰板/チャット オンデマンド講義(収録) ⾮同期 双⽅向的
#9. ユーザー/学習進捗、教材の保管・供給、テスト等の評価を 統合的に一括管理ができるツールが…
#10. LMS (Learning Management System) is a software application for the administration, documentation, tracking, reporting, automation and delivery of educational courses, training programs, or learning and development programs. ● Moodle ● manaba 国際的に広く利用されている クラウド型の教育支援サービス(国内) ● Google Classroom Google社が提供している無料サービス (G suite for education) ● Thinkfic オンラインスクール構築(日本語非対応) ● その他 Slack、Microsoft Teams 等 会議ツール応用例も
患者接触禁止下の実習デザイン
#11. 患者接触を禁止されて失われたもの □ 患者との直接的なコミュニケーション □ 五感を駆使したベッドサイドでの診察経験 □ リアルタイムで変化する患者の動的な情報 □ 介入に対するレスポンス評価の機会 □ 患者や家族の多様性を知る機会 □ 指導医の診療の見学機会 □ 各種手技の見学/実践機会 □ 指導医との密なコミュニケーション □ 医療現場の臨場感 / 緊張感 / 強制力 オンライン臨床実習デザインの余地 □ 患者接触禁止下では実現不可能なこと □ 患者接触が無くとも代用可能なこと □ 病院実習では実現が難しいが オンライン臨床実習では可能なこと
#13. 学会誌「医学教育」特集号 Vol.51 No.3 2020
#14. 名古屋⼤学 オンライン臨床実習にも転用可能な オンラインPBLの実践報告 ・シナリオは毎日アップロードされる。 ・学習者は、議論(コアタイム)前にフォーラム(掲示板)で議論する。 ・コアタイムで、学習者はZoomにチューターを招待し議論を深める。 ・シナリオ 配信→ 議論(掲示板) → 議論(Zoom)→シナリオ配信→…のサイクル ・コアタイム 火曜・金曜の午前中に実施 =2日間/1シナリオ ・評価:フォーラムの書き込みで出欠カウント 内容も評価対象 ※ 約5%の学習者が通信環境の問題により 同期型オンライン会議システムに参加困難 * 教員・学習者の負担に対する考慮 ◎
筑波大学と千葉大学の実践例
#15. 名古屋⼤学 オンライン臨床実習にも転用可能な オンラインPBLの実践報告 題材(症例) 同期/⾮同期 実際の患者 ⼿段/ツール テレビ通話(zoom, skype等) 同 模擬患者 feedback 期 個別 ライブ講義 全体 仮想患者 オンデマンド講義(収録) ⾮ 同 期 掲⽰板/チャット フォーム投稿
#16. 筑波⼤学 消化器内科 COVID-19感染拡大による自粛下の 筑波大学消化器内科における オンライン臨床実習の取り組み ・Paper Patient シナリオは2例/4週。(シナリオは4種類) ・シナリオは経過によって複数に分割 設問が設定されている ・学習者は、メールで設問にレポートの形式で回答する ・クルズスはZoomによって双方向オンラインで実施 ・動画視聴:2コマを必須 (フリーの既製動画) ・評価:メールの内容 ※ 5年次 7名 6年次 4名(希望者) 対 ローテート科
#17. 筑波⼤学 消化器内科 COVID-19感染拡大による自粛下の 筑波大学消化器内科における オンライン臨床実習の取り組み 題材(症例) 同期/⾮同期 実際の患者 ⼿段/ツール テレビ通話(zoom, skype等) 同 模擬患者 feedback 期 個別 ライブ講義 全体 仮想患者 オンデマンド講義(収録) ⾮ 同 期 掲⽰板/チャット フォーム投稿
#18. 千葉⼤学 総合診療科 千葉大学総合診療科における オンライン臨床実習の取り組み ・外来症例PBLの形式 ・LMS: Moodle 課題 → ディスカッション → 動画で補強 ・学習者は、課題に対して掲示板内でディスカッション 小グループ単位 ・他のグループ間の学習者同士のinteractionを組み込んだ(学習者相互学習) ・臨床推論カンファレンス動画の視聴 ・模擬面接 テレビ会議システムの活用 教員が模擬患者役を担う ※ 個々の学生に対してメンターを配置 ※ 「学習者の責任」を明示 →プロフェッショナリズム醸成
オンライン臨床実習の分析と設計
#19. 千葉⼤学 総合診療科 千葉大学総合診療科における オンライン臨床実習の取り組み 題材(症例) 同期/⾮同期 実際の患者 ⼿段/ツール テレビ通話(zoom, skype等) 同 模擬患者 feedback 期 個別 ライブ講義 全体 仮想患者 オンデマンド講義(収録) ⾮ 同 期 掲⽰板/チャット フォーム投稿
#21. まなびのデザイン の オンライン臨床実習
#22. Analysis [分析] Targetは誰か? ニーズは何か? Design ADDIE model [意匠・設計] 対象に どうなってほしい? Gagne,R.M.Wager,W.W.,Golas,K.C.,&Keller,J.M.(2005). Principles of instructional design(5th Ed.). Wadworth/Thompson Learning, p.21 Implement [実施] Evaluate [評価] 効果判定は? Develop [開発] 準備/教材/段取りは ?
LMSを活用した学習環境の工夫
#24. LMS Learning Management System
#25. オンライン臨床実習 課題シートの例 これらの患者情報を踏まえ、 記入フォームにカルテ記載を行う
#26. オンライン臨床実習 解説動画の例 指導医 ⇄ 摸擬Student Doctor 間の ディスカッションをディスプレイ
学習者主体の実習環境の構築
#28. 自主性・主体性に対するエンパワーメント 医療に正解は無い! 仮説と検証のサイクルがあるのみ ここは安全に失敗できる場所 発言・参加を歓迎するような 雰囲気とコメントを
#30. 第50回 日本医学教育学会大会 口演19 臨床実習2 診療参加型臨床実習における 擬似オーダリングの試み 札幌東徳洲会病院 救急科 民谷 健太郎
擬似オーダリングとフィードバック
#31. 擬似オーダリング 医学生の立案したプランが ① 患者安全の範囲内 ② 医学的に妥当性を有する 場合 そのプランを採用し、指導医がオーダーする ※①、②を満たさない場合、指導医のプランをオーダーする
#33. 工夫 ③ Clinical Questionを1日1個 挙げることをルール化
#34. LMS(Learning Management System) によるfeedbackの例
オンライン臨床実習の評価と課題
#35. LMS(Learning Management System) によるfeedbackの例
#36. オンライン臨床実習 解説動画の例 学習者が陥りやすい箇所を 動画で重点的に補強
#37. 株式会社まなびのデザイン 題材(症例) 同期/⾮同期 実際の患者 ⼿段/ツール テレビ通話(zoom, skype等) 同 模擬患者 feedback 期 個別 ライブ講義 全体 仮想患者 オンデマンド講義(収録) ⾮ 同 期 掲⽰板/チャット フォーム投稿
#38. 8人 1期生 43人 2期生 トライアル 77人 480人 教員数 10名以下 3期生 3大学 のべ4学年 単位認定ありの実施 実績 2週間分の 単位付与に貢献
#39. more information オンライン臨床実習YouTube動画 学会誌「医学教育」特集号 演者の寄稿
#40. ・開発者=いち個人 評価してほしい点 ・診療におけるリアルな時間経過と同期 ・標準化された学習課題を設定できる ・直接カルテ添削をせずにフィードバックを加える工夫 ・大学、学年の垣根を超えた実習環境も可能 ・正規の単位認定に貢献 ・教員の時間的コスト、労力的コストに着眼 ・自大学の教員が参画できる学習環境 ・一度に学年規模の人数をハンドリング可能なシステム (Max 320名 同時)
医学教育の未来と協力者募集
#41. まなびのデザイン 独自性/強み ■臨床医 専門医の資格(救急科専門医) ■医学教育 ・大学受験塾講師/家庭教師 歴 ・医師国家試験予備校講師歴 ・CareNeTVの出演歴/DVD ・日経メディカルで連載中 ・単著の書籍 ・救急/総合診療での広い範囲をカバー ・医学実習生の指導歴(北大[2017-]・旭医[2019-] 内科コア科) ■組織運営 第47回 東日本医科学生総合体育大会 実行委員長
#42. 小括 ● 発言/質問をしやすくできるような工夫・環境づくり ● feedback, feedback, feedback ● 各種ツールの効果的な組み合わせ ● 学習者の人数規模に合わせた実習設計
#43. 例えば、 学習者中心を前提として needs 最高の教材が外注できるとしたら ① 当事者=Student Doctor ② 教員/指導医/医学教育スタッフ ③ 大学 それぞれ どのような希望/心情を抱くか ?
#44. 大学主導の独自コンテンツ まなびのデザインの オンライン臨床実習 大学 大学 教員 教員 Student Doctor Student Doctor
#45. outcome ・レポート提出のみ ・数回のクルズス/講義のみ ・臨床業務に駆り出され放置の時間が増加 ・医学教育スタッフが不在 or 機能しない環境
#46. question なぜ business か? 「ビジネスなんて、お金儲け」 「医学教育は崇高な聖域」 「後輩指導はして当たり前/できて当たり前」
#47. question なぜ business か? 新たな価値を生み出すため manpower time money information のサイクル
#48. message 医学教育・学会誌 寄稿の投稿規定より引用 ①パンデミック/緊急事態宣言下でどのような困難が生じたか ②それに対して、どのような対応を講じた(ている)か ③この数か月を振り返っての個人的な思い・考え 未来の医学教育者へのメッセ―ジ
#49. 個人的な思い・考えとしては、このような取り組みを筆者個人レベルの無償 でのボランティアで開発、管理、実践するには、持続可能性の点で無理がある と痛感した。プロジェクトが大きければ大きいほど、臨床業務の片手間での介 入では到底実現し得ないと考える。 仮に医学教育に専念できたとしても、その活動や成果物に価値が付与されな ければ、結局は医学教育以外の方法で生計を立てなければならない。その結果、 十分な時間を割いて医学教育に熱情を注ぐことから遠ざかってしまうのである。 学会誌 寄稿の最終段落 ①
#50. 医学教育を志す、後続の医学生や若手医師たちのために私たちがすべきこと は、医学教育の価値が正当に評価されるような土壌を耕すことだと思っている。 やりがいや矜恃を胸に医学教育に携わっていること自体、それだけで十分に幸 せである。しかし、敢えて欲を言えば、医学教育に関わってプロダクトを世の 中に提供し続けることが何らかのインセンティヴを生み出し、医学教育「業」 に専念できるような選択肢があっても良いなと思う。そのような道を切り拓い て、医学教育の価値を更に高めることに寄与したい。 学会誌 寄稿の最終段落 ②
#51. 協力者、募集 ! ・医学教育に興味・関心を抱いている医学生 ・医学教育で大いに貢献したいと思っている若手医師 ・医学教育の価値を高めたいと考えている指導医/大学教員 ・オンライン臨床実習を導入したいという大学 ・その他、些細なこと、素朴な関わりで協力したいという方
#52. vb ご視聴 ありがとう ございました ! vb