テキスト全文
V-A ECMOの導入と目的について
#1. V-A ECMOの導入から離脱~命をつなぐ~
前橋赤十字病院
救急科
高橋 慶彦
#2. 参考文献 ECMO Blue Book (ELSO)
●Extracorporeal Life Support Organization
(ESLO)が発行するECMO specialist向けの
標準的テキスト
●ECMOの適応・回路・管理・トラブルシュー
ティング・離脱までを幅広く網羅
●ELSOの学会でのみ購入可能
●本書を中心に最新の知見や演者の経験も交え
て解説する
#3. 誰に導入するか? 5分
2. どう導入するか? 5分
3. どう管理するか? 15分
4. トラブルシューティング 10分
5. どうECMOを終えるのか? 5分
本日の内容
ECMOの適応と管理方法
#4. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4. トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか?
本日の内容
#5. 1. 重症心原性ショック
2. 肺塞栓症
3. 術後心不全
4. 通常の心肺蘇生に反応しない心停止(ECPR)
V-A ECMOの適応
~どんなシーンで使用される?~
#6. V-A ECMOの目的
~BTNを避けるために適応を考える~ 1. Bridge to Recovery(BTR)
・自己心肺機能の回復まで支え、ECMO離脱がゴールとなる
2. Bridge to Decision(BTD)
・神経学的予後や臓器障害、回復可能性などを評価し、次の治療方針を決めるまでを支える
3. Bridge to Transplantation/VAD (BTT)
・自己回復が期待できない場合に、心移植や長期補助人工心臓などの次の治療につなぐ。
4. Bridge to Nowhere(BTN)
・回復せず、移植・VADなどにも進めず、出口戦略がなくなった状態。
ECPR導入基準と評価方法
#7. ECPR導入基準
~ECPR候補の大枠~ ▶上記基準でECPRを行った場合、1ヶ月神経学的予後良好は
1点:0%
2点:3.0%
3点:7.3%
4点:16.3%
Resuscitation. 2022 Jun 14:S0300-9572(22)00568-8. ELSOが提案する導入基準:
・年齢70歳未満
・No-flow time < 5分
・Low-flow time < 60分
・初期波形がVF、無脈性VT、PEA
・目撃のある心停止
・CPR中のEtCO2が10 mmHg以上
・間欠的なROSCまたは再発性VF
・CPR中に生命兆候がみられる
・重篤な生命予後規定疾患がない ※No-flow time: 心停止からCPR開始まで
※Low-flow time: CPR開始からECMO確立/またはROSCまで
※ROSC(return of spontaneous circulation): 自己心拍再開
#8. ECPR導入基準
~まずは典型的によさそうな患者を逃さないために~ Resuscitation. 2014 Jun;85(6):762-8. ▶上記基準でECPRを行った場合、1ヶ月神経学的予後良好は
0–1項目:2.3%(1/43)
2項目:8.0%(13/163)
3項目すべて:16.1%(50/311)
従来の代表的な導入基準: SAVE-Jという研究由来
・年齢75歳以下
・初期波形(shockable: VF, pulseless VT)
・要請から病院到着までの時間45分以内
※Shockable rhythm: VFやVTなどの除細動適応の初期波形
#9. ECPR導入基準
~まずは典型的によさそうな患者を逃さないために~ Resuscitation. 2014 Jun;85(6):762-8. ▶上記基準でECPRを行った場合、1ヶ月神経学的予後良好は
0–1項目:2.3%(1/43)
2項目:8.0%(13/163)
3項目すべて:16.1%(50/311)
従来の代表的な導入基準: SAVE-Jという研究由来
・年齢75歳以下
・初期波形(shockable: VF, pulseless VT)
・要請から病院到着までの時間45分以内
年齢≦75 VF/pVT 病着≦45分 ※Shockable rhythm: VFやVTなどの除細動適応の初期波形
ECMO導入の流れとカニュレーション
#10. TiPS 65 Score
~Shockableでさらに予後がいいのは?~ ▶上記基準でECPRを行った場合、1ヶ月神経学的予後良好は
0点:1%
1-2点:5-15%
3-4点:30-40%
・(Time)要請から病着まで≦25分
・来院時のPH≧7.0
・病着時の波形がshockable rhythm
・年齢が<65歳
J Am Heart Assoc. 2025 Sep 2;14(17):e042734. 難しいかも
#11. START-ECPR Score
~Non-shockableも適応外ではない~ ▶上記基準でECPRを行った場合、退院時に神経学的予後良好は
0点:4.4%
1点:10.7%
2-3点:30.8%
・病着前の一過性のROSC
・病着時の波形が心静止でない
・来院時の生命兆候あり(あえぎ呼吸・対光反射・痛み刺激への運動反応)
3項目すべて陰性だと、死亡率92%; 神経予後不良95% JAMA Netw Open. 2020;3(11):e2022920 難しいかも
#12. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4.トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか?
本日の内容
カニューレの選定と特徴
#13.
救急からの情報収集
年齢?目撃あり?By standerあり?AMPLE?、搬送までの所要時間?など
病着時の状態を踏まえた最終判断
チェックシートがあると尚良し
搬送~適応判断
チーム招集・役割分担
リーダー、ALS担当、カニュレーション担当、CE
ECMO物品・回路準備
カニューレサイズ、プライミング
カニュレーション場所
透視室の手配
患者到着前 受け入れ準備を整える 情報に基づき適応判断
カニュレーション
ECMO開始
質の高いACLS継続
気管挿管
CPR(すでに除細動3回行っていれば難治性でありそれ以上除細動しない)
血管アクセス確保
エコーガイド下で
透視での位置確認
脱血管の位置
ECMO開始
回路接続、PUMP ON、酸素確認! 迅速・確実にECMO確立 ECMO導入の流れ
~良好なチームワークが命をつなぐ~ 1 2 3
#14. カニュレーションサイト
~ECPRの第一選択~ Peripheral(=抹消) ECMO
【脱血】大腿静脈
【送血】大腿動脈
※下肢虚血を予防する目的から、
末梢灌流カテーテル(DPC)を留置
【メリット】
・迅速
【デメリット】
・下肢虚血→DPCで対応
・心臓にとっての後負荷
・Differential hypoxemia
#15. カニューレサイズ
~カニューレの太さと長さがその後に響く~ 抵抗を小さくするには、より太く、より短いカニューレを ハーゲンポアズイユの式 この式が示すこと ※送血カニューレは太すぎると下肢虚血を起こすので注意
ECMO設定と管理のポイント
#16. カニューレの特徴
~先端よりサイドホールが重要~ マルチステージカニューレ 先端からは脱血されてない 先端 手前 脱血カニューレは右房近傍に留置を JThorac Dis. 2018 Mar;10(Suppl 5): S606–S612.
#17.
患者の安定化と原因検索・治療 4 ECMO設定
流量: 60-80 mL/ kg/ min
Sweepガス: 流量の50%まで
(脳出血リスクと関連する)
水温は36℃がよさそう(後述) 除細動
流量が3L/ min前後で冠血流および全身灌流が回復
→VF/VTが継続なら除細動を 追加のデバイス
DPC
IABP
Impella
Swan-Ganz
Temporary pacemaker 原因精査・治療
CAG→PCI
造影CT→肺塞栓症の検索
蘇生後管理 5 ECMO管理
トラブルシューティング
合併症対応: 出血、血栓、感染症、臓器虚血
抗凝固管理
何をどう使う?
モニタリングは?
神経集中治療
鎮痛鎮静は?
体温管理は?
痙攣対応は?
呼吸循環管理の指標は? ECMO離脱戦略
フローダウン法?
PCRTO?
離脱できない場合は? ECMO導入の流れ
~ICU管理へとつなぐ~
#18.
患者の安定化と原因検索・治療 4 ECMO設定
流量: 60-80 mL/ kg/ min
Sweepガス: 流量の50%まで
(脳出血リスクと関連する)
水温は36℃がよさそう(後述) 除細動
流量が3L/ min前後で冠血流および全身灌流が回復
→VF/VTが継続なら除細動を 追加のデバイス
DPC
IABP
Impella
Swan-Ganz
Temporary pacemaker 原因精査・治療
CAG→PCI
造影CT→肺塞栓症の検索
蘇生後管理 5 ECMO管理
トラブルシューティング
合併症対応: 出血、血栓、感染症、臓器虚血
抗凝固管理
何をどう使う?
モニタリングは?
神経集中治療
鎮痛鎮静は?
体温管理は?
痙攣対応は?
呼吸循環管理の指標は? ECMO離脱戦略
フローダウン法?
PCRTO?
離脱できない場合は? ECMO導入の流れ
~ICU管理へとつなぐ~
ここを次の章で解説します
血行動態とECMOの影響
#19. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4.トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか?
本日の内容
#20. V-A ECMOの目的
~HbとSaO2が大事~ V-A ECMOの目的は、組織に十分な酸素を届けること
(Oxygen delivery; DO2)
DO2 = 血流 × CaO2
CaO2=1.34×Hb×SaO2+0.003×PaO2
●Hb(酸素運搬役)
●SaO2(酸素運搬役がどれだけ酸素もってるか)
●PaO2(血中に溶けてる酸素: 寄与は小さい) ×
●ECMO流量(前負荷+後負荷
→回転数)
●自己心拍量(前負荷・心収縮) ①血流
ーどれだけ血液を流すかー ②CaO2(動脈血酸素含量)
ーその血液にどれくらい酸素が含まれるかー
#21. V-A ECMOの血行動態
~流量を増やせばいいって訳ではない~ V-A ECMO 流量↑ 静脈脱血↑
右心からの脱血 前負荷↓
右室流入血減少
→心拍出量低下 動脈送血↑
大動脈へ逆行性送血 後負荷↑
大動脈圧上昇
→左室駆出抵抗増大 血行動態の変化 左室駆出量↓ 大動脈弁解放↓ 左室拡張
左室内圧上昇 起こりうる問題 冠血流低下
→心筋虚血
・左室内圧上昇により冠動脈血流低下
・心筋酸素消費↑
・心筋虚血の増加 肺うっ血
→肺水腫
・左房圧上昇
・肺静脈圧上昇 左室内血栓
・大動脈弁が開かない
・左室内で血流鬱滞
→血栓形成リスク ①脈圧(>10mmHg)②エコーでの大動脈弁解放チェック③レントゲンでうっ血評価 モニタリング
ポイント
抗凝固管理の重要性と方法
#22. LV unloading
~なぜECMOにIABPやImpellaを併用するの?~ 左室にたまる血液を大動脈に送ってあげることで、左室に負担を軽く(unload)すること
ex. IABP, Impella, 左房ドレナージ, 外科的ベント LV unloading
とは? LV unloadingの目的は、左室圧、左室容量を下げて、心筋酸素消費を低下させ、
心筋回復までの時間を短縮+肺うっ血を改善+左室内血栓予防 難しいかも ① 圧容量ループとPVA
PVAは心筋が1拍で消費する総エネルギー PVA=SW + PE PVAは1拍あたりの心筋酸素消費量と強く相関する ② 左室圧上昇でPVAは増加
後負荷増加により左室圧・左室容量が上昇 ・後負荷増加により、左室圧・容量が増加
・その結果、SWとPEが増加し、PVA増加
・特にVAでは、PE増加が大きく寄与することが多い ③ 左室アンローディングの効果
左室圧・左室容量を下げてPVAを減らす 左室圧・容量の低下 SW↓+PE↓
(心筋酸素消費↓) 心筋の回復をサポート
#23. Mixing point
~心機能回復で顕在化する問題~ 順行性の自己心由来の血流と、逆行性のECMO血流が交わる場所のこと
→肺うっ血を起こしたまま自己心が改善したときに問題が起こる Mixing pointとは? 脳 脳 脳 脳 脳 脳 ⚠腕頭動脈に低酸素の血液が流れるのを避けたい→右手のSpO2やAラインが大事 腕頭動脈 ①呼吸器調整(+-NO吸入) ②薬剤で心抑制をかける ③V-V ECMOにスイッチ 対応 Differential hypoxemia(ハーレクイン症候群) ※一時しのぎにしかならない
#24.
ECMOにおける抗凝固
~抗凝固はバランスが重要~ なぜECMOでは抗凝固薬が必要? ①血液が異物に触れる
ECMO回路内のポンプ・人工肺・チューブ ②凝固カスケードが活性化
血小板の活性化・凝固因子の活性化 ③血栓形成リスク上昇
人工肺血栓、ポンプ不全、塞栓症の危険 回路血栓予防のため
抗凝固は基本的に必要 ①異物に触れる+せん断応力
ECMO回路内のポンプ・人工肺・チューブ ②血小板・凝固系が消耗
血小板機能低下・凝固因子消費・AVWS ③抗凝固も加わり出血傾向
抗凝固薬の調整は難しい 出血リスクを踏まえた
抗凝固薬の調整が重要 なぜECMOでは出血する?
出血合併症の管理と対策
#25. ECMOにおける抗凝固
~何をどう使うか~ アンチトロンビン ①ヘパリン ③アルガトロバン 数千倍に活性化させる ①未分画ヘパリン
・第一選択
・AT(アンチトロンビン)を介してトロンビン/Xaを抑制
・HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)のリスクあり
・10単位/kg/hを目安に ②ナファモスタット
・トロンビンやⅫa/Xa/Ⅶaを広く阻害する
・半減期が短く比較的出血しにくいとされる
・低Na、高Kの副作用あり
・0.5mg/kg/hを目安に どんな抗凝固薬を使う? ③アルガトロバン
・直接トロンビン阻害薬
・HITが疑われる場合に使用
・高価
・肝障害症例に使いにくい
・拮抗薬がない
・0.7μg/kg/minを目安に トロンビン ①aPTT
・最も広く用いられている
・血漿検査
・低から中用量ヘパリンを反映する
・凝固因子・炎症・インヒビターの影響受ける ②ACT
・ベッドサイドで簡便に測定できる
・全血検査
・高用量ヘパリンを反映する(導入初期に有用)
・多因子依存で不正確かつ検査のばらつきあり ③抗Xa活性
・血漿検査
・ヘパリンによるXaの阻害度を直接測定
→最も正確にヘパリン効果を反映する
・理想的だが、運用上の制約あり モニタリング方法は? ④TEG/ ROTEM
・ベッドサイドで簡便に測定できるが高価
・全血検査
・ヘパリナーゼを使用することでヘパリンの影響と凝固因子の影響を区別して評価ができる
#26. ECMOにおける抗凝固
~本当に抗凝固は必要?新薬登場?~ APTT 1.5-2.0 APTT 2.0-2.5 ・ECMOにおいて、低強度ヘパリン管理は、従来のヘパリン強度に対して非劣性であり、血栓を増やさず出血を減らす傾向にあった
抗凝固は必要最小限の管理に移行していく可能性 難しいかも
#27. ECMOにおける抗凝固
~本当に抗凝固は必要?新薬登場?~ APTT 1.5-2.0 APTT 2.0-2.5 ・ECMOにおいて、低強度ヘパリン管理は、従来のヘパリン強度に対して非劣性であり、血栓を増やさず出血を減らす傾向にあった
抗凝固は必要最小限の管理に移行していく可能性 ECMO中に抗凝固薬を使用しない研究のまとめ 異物との接触による活性化のみを阻害する薬剤 難しいかも
トラブルシューティングの基本
#28.
出血合併症
~出血を制するものはECMOを制する~ 危機的出血は約40%に発生 V-A ECMOでは手術部位/カニューレ部位の出血が大事 Crit Care Resusc. 2024 Nov 26;26(4):332–363.
#29.
出血合併症
~日常の観察で早期発見することが重要~
#30.
出血合併症
~出血の対応チャート~ 出血対応は
段階的にエスカレートする Level 1: 補正 ・抗凝固目標を下げる
・血小板輸血 (> 7.5万/ μL)
・FFP投与 (Fbg> 150mg/L)
・局所止血 Level 2: 出血源への介入 ・外科的介入を検討(IVRも)
・抗凝固目標をさらに下げる
・止血剤を検討
(1)デスモプレシン: AvWSに対して
「フェリング」0.4μg/kg+ NS 20ml IV
(2)トラネキサム酸:
吸入やガーゼへの含浸などで局所投与
静注も可能だが血栓リスクあり慎重に Level 3: 危機的出血 ・抗凝固薬の中止
・血栓予防にECMO流量上げる
・vWF含有製剤投与も検討 Level 4: 制御不能 ・ECMO中止検討
・de-canulationを検討 出血を制御するには出血源を止め、必要ならECMOを抜く判断も必要 参考
ECMO離脱の基準と方法
#31. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4. トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか?
本日の内容
#32. トラブルシューティング
~まずはECMO回路の理解から~
#33. トラブルシューティング
~フローダウン!どうする?~ 問題の箇所より前は圧が上昇し、先は圧が低下する ポイント 人工肺 送血管 ポンプ
神経集中治療の介入と重要性
#34.
トラブルシューティング
~脱血不良への対応~ ① ECMO回転数を下げる ・回転数を下げて脱血圧を下げる
・チャタリング(回路ブルブル)
が消失する回転数の範囲で維持
・その流量で循環維持できるか確認 ②原因の除去 ③ 原因への対応 ④脱血力の確保 ・出血
・血管拡張
・過度の利尿 ・心タンポナーデ
・緊張性気胸
・腹腔内圧上昇
・咳嗽など ・カニューレ位置異常
・カニューレの屈曲/閉塞
・回路内血栓
・脱血カニューレが細い 血液量の不足 静脈灌流の障害 カニューレ/回路の問題 ・輸液反応性の評価(エコー、SVVなど)
・輸血
・昇圧剤
・閉塞病態への介入(ECMO下の観血的処置は慎重に)
・腹腔内圧上昇には、体位、鎮痛鎮静、筋弛緩を検討
・カニューレの位置調整 十分なvolume・原因除去後も
必要なECMO流量が確保できない… ①脱血カニューレのサイズUP
②脱血カニューレ追加
#35.
トラブルシューティング
~ポンプ不全への対応(ハンドクランク)~ いつでも対応できるようにシミュレーションが大事 旧ECMOからハンドクランクへ ・人を集める
・回転数を約1,500rpmまで低下
・人工肺出口側の回路を鉗子でクランプ
・回転数をゼロにし、遠心ポンプをハンドクラ
ンクへ付け替える
・ハンドルを回す(目安: 1,500rpm程度)
・人工肺出口側のクランプを外し、送血回路の
血液が鮮紅色であることを確認
・回転数を設定値まで上げ、流量を維持する ハンドクランクから新ECMOへ ・人工肺出口側の回路を鉗子でクランプ
・ハンドルを止める
・遠心ポンプをハンドクランクから外し、新し
いECMOのドライブモーターへ付け替える
・回転数を約1,500rpmまで上げる
・人工肺出口側のクランプを外し、送血回路の
血液が鮮紅色であることを確認
・回転数を設定値まで上げ、流量を維持する
#36.
トラブルシューティング
~人工肺劣化は予測できるのか~ 参考: Circuit change score 標準化された回路交換基準はないが、人工肺劣化を示唆するサインは報告がある 回路交換の目安は? Score> 5(+出血所見)で回路交換を検討 このRCTで回路交換の基準に使用された 人工肺劣化を示唆する複数所見を組み合わせ、予防的交換を検討する
患者の意向と治療方針の再設定
#37. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4. トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか?
本日の内容
#38. V-A ECMOの離脱
~いつ離脱を考える?~ (C) 左室流出路波形 (VTI) (D) 左室収縮能の評価 (EF) (B) 僧帽弁輪TDI (s`/ Sa) 血行動態 心エコー ・MAP> 60 mmHg
・脈圧> 20-30 mmHg
・CVP< 15 mmHg
・昇圧剤は最小限(DOB≦5γ, Nad ≦0.1γ) 離脱を狙う基準 ECMO流量<1.5L/ minで
・LVEF> 20-25%
・LVOT-VTI≧ 10-12cm
・側壁僧帽弁輪TDI (TDSa)≧ 6cm/s
・TAPSE≧ 10mm 心停止後の気絶心筋は
24時間頃から改善し、48-72時間で回復することが多い (A) 三尖弁輪移動距離(TAPSE) J Cardiothorac Vasc Anesth. 2020;34:2776-2792.
#39. 全身還流の回復 自己肺の回復
右心左心の回復 フローダウン法 PCRTO V-A ECMOの離脱
~離脱テストの方法~ ・右→左
・右室の負荷なし
・全身灌流の補助は一部残る
・人工肺の補助が残る ・左→右
・右室の負荷あり
・全身灌流の補助なし
・人工肺の補助はなし フローダウン法 PCRTO 自己心へのECMO補助が残る 純粋な自己心の実力が見れる 難しいかも Critical Care. 2025;29:415.
ECMOの着地点と倫理的考慮
#40. 開始基準
LVOT-VTI>10cm、TAPSE≧10mm
MAP≧65mmHg、CVP≦15mmHg、PAWP≦18mmHg
Lac≦2mmol/L、SvO2≧65% PCRTO
① ACT 220-250目標に、ヘパリン15-20U/kg投与する
② 回転数を下げ、逆流0.01 L/kg/minにする(フローメーターを反転)
③ 逆流達成できたらスウィープガスをOFFする 30分後と1時間後に評価
MAP ≧ 60mHg、Nad ≦ 0.2γ、乳酸値上昇なし、新たな不整脈なし
PAWP ≧ 5mmHgの増加なし、HR ≧ 5%の増加なし
FiO2 ≦ 60%、SaO2 ≧ 90% PCRTO終了時
スウィープガスを元に戻す
逆行性シースを元に戻す
フローメーターをもとに戻す ECMO離脱 ECMO再開 成功 失敗 V-A ECMOの離脱
~MRC-PCRTOプロトコール~ 数日後 に再度 参考
#41. 誰に導入するか?
2. どう導入するか?
3. どう管理するか?
4. トラブルシューティング
5. どうECMOを終えるのか? ~命をつなぐ~
本日の内容
#42. 神経集中治療
~心臓だけでなく脳を守るために~ 神経集中治療の介入ポイント ・適切な鎮痛鎮静(脳細胞を休める)
・酸素化と換気の正常化(CO2は脳灌流に関与)
・低血圧の回避(脳灌流の適正化) ・低Na血症を避ける(脳浮腫)
・発熱を避ける(TTM)
・痙攣を避ける(NCSE) ※NCSE: 非痙攣性てんかん重積状態 1次性脳損傷 脳浮腫
↓
神経予後悪化 心停止による脳虚血 再灌流後の二次性脳損傷 神経集中治療は二次性脳損傷を最小化するための介入である
本日のまとめと今後の展望
#43. 神経集中治療
~TTMのエビデンスの整理~ HACA (N=275)/ Bernard (N=77) 2002 Shockable rhythm 32-34℃ vs. 36-37℃ ⇨ 低体温で改善 HYPERION (N=584) 2019 Non-shockable rhythm 33℃ vs. 37℃ ⇨ 低体温で改善 TTM-1 (N=939) 2013 Shockable + Non-shockable 33℃ vs. 36℃ ⇨ 有意差なし TTM-2 (N=1,861) 2021 Shockable 7割+ Non-shockable 3割 33℃ vs. 36℃ ⇨ 有意差なし Shockable rhythmでは平温管理でよい可能性が高い
Non-shockable rhythmでは低体温管理の有効性をまだ否定しきれない(私見) 解釈 Shockable rhythm Non-shockable rhythm 36℃ 33℃ 初期波形が N Engl J Med. 2002;346:549-556. N Engl J Med. 2002;346:557-563. N Engl J Med. 2019;381:2327-2337. N Engl J Med. 2013;369:2197-2206. N Engl J Med. 2021;384:2283-2294.
#44. 日 時 ・対光反射、角膜反射
・脳波
・SSEP
・頭部MRI 28 40 STOP
Sedation Prognostication
M≦3
□ 対光反射
□ 角膜反射
□ 頭部MRI
□ 脳波
□ SSEP 日 時 日 時 日 時 72 情報(事前意思, 病前機能, 患者/家族の好み) 多職種カンファレンス 5 神経集中治療
~MRC Post-Resuscitation Flow Chart~ 参考
#45. 神経予後評価
~この患者さんは目を醒ますの?~ 不良な神経予後とはCPC≧3を示す
※CPC(cerebral performance category)
CPC 1: 機能良好
CPC 2: 中等度障害
CPC 3: 高度障害
CPC 4: 昏睡・植物状態
CPC 5: 死亡または脳死
#46. ECMOの着地点
~残念ながら目が醒めないと分かったら~ ①終末期かの判断 適切な治療を尽くしても救命の見込みがないと判断される時期
→価値観や治療目標の多様化により、終末期を一律に定義することは難しい 終末期とは? ●不可逆的な全脳機能不全
●ECMOに依存し、移植などの代替
手段がない
●追加すべき治療がなく、近いうち
に死亡が予想される
●回復不可能な疾患の末期
●実現可能な治療目標が、本人の価値観や意向に沿わない場合(私見)
②患者の意向 ●本人の意思・事前指示がある場合
→それを尊重する
●本人の意思は不明だが、推定意思
がある場合
→推定意思を尊重する
●本人の意思・推定意思が不明
→家族と医療チームで患者にとって
の最善を検討
※必要に応じて倫理委員会
●治療を継続する(気切など)
●現行治療のみ維持する
→いわゆるwithhold
●治療を終了する
→いわゆるwithdrawal
※しかし、ECMOを離脱できない
場合に中止できるかは施設の理解
が必要(倫理委員会)
●臓器提供
→ECMO下でも脳死判定は可能
③治療方針の再設定 患者さんの価値観や意向に沿ったゴールのアセスメントと意思決定支援が大事
#47. 誰に導入するか? 年齢<75、初期波形VF/pVT、病着まで<45分
2. どう導入するか? カニューレは太く、短く、位置は右房近傍
3. どう管理するか? VAは後負荷、抗凝固、出血は最大の合併症
4. トラブルシューティング 回路の理解と定期的なシミュレーション
5. どうECMOを終えるのか?~命をつなぐ~ 心も頭も守れるように
本日のまとめ