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黄色ブドウ球菌菌血症対応マニュアル

投稿者プロフィール
ふくしま

東京大学医学部附属病院

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概要

黄色ブドウ球菌菌血症の対応について、最近の知見も含めまとめました。

黄色ブドウ球菌菌血症の一般的なこと以上のややアドバンスドな内容もあり、内科専攻医や感染症に興味のある先生向けかもしれません。

最後にバンコマイシンの投与の仕方とDuke-ISCVID criteriaについてもおまけで記載しました

本スライドの対象者

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テキスト全文

黄色ブドウ球菌菌血症の概要と目的

#1.

黄色ブドウ球菌菌血症対応マニュアル 東大病院感染症内科 フェロー 福島 孝洋 [詳細版]

#2.

目的 黄色ブドウ球菌菌血症について自分の学習を兼ねてまとめました 内科専攻医以上が学びになるようなレベル/分量で記載

#3.

おもに参考にしたもの Am J Med. 2023;136(1)19-26 JAMA. 2025;334(9):798-808. Clin Infect Dis. 2023;77(11):e57-e68.▶ Staphylococcus aureus菌血症の良質なreview ESC/AHAのIEのガイドライン Bennett JE, et al. (Ed.) 2019. Mandell, Douglas, & Bennett’s Principles & Practice of Infectious Diseases, 9th ed. Elsevier▶感染症の有名な成書

#4.

目次 S. aureusとGPC菌血症 抗菌薬選択 血液培養の再検 感染源/転移巣/感染性心内膜炎の精査 治療期間 1 2 3 4 5 バンコマイシンの投与方法、Duke-ISCVID criteria 資料

S. aureus菌血症の疫学と検査方法

#5.

S. aureusとGPC菌血症 Chapter 1

#6.

S. aureus(黄色ブドウ球菌)について 粘膜(中咽頭や前鼻孔)、皮膚、会陰部に30%のヒトで定着 グラム染色でブドウの房状の陽性球菌(GPC cluster) ブドウ球菌の中でもっとも病原性が高い、かつ医療関連感染症のおもな原因 MSCRAMMがフィブリノーゲンやコラーゲンなど組織表面に付着させやすくしている ▶心内膜炎や化膿性関節炎などに寄与 バイオフィルムも形成することがある https://www.jscm.org/atlas/viewform.htm?id=1-7Accessed on July 17, 2023 1 S. aureus, 血培からGPC

#7.

S. aureus菌血症 (SAB) について ■疫学 アメリカでは院内のカテーテル関連血流感染症(CRBSI)の原因第2位 ■予後 抗菌薬やソースコントロールを行っても1か月死亡率は18%、3か月死亡率は27%程度 JAMA Netw Open. 2019;2(3):e191938. Clin Microbiol Infect. 2022;28(8):1076-1084. Infect Control Hosp Epidemiol. 2016;37(11):1288-1301. 急性心筋梗塞の30日死亡率は12%であり同等かそれ以上 1 S. aureus, 血培からGPC

#8.

血液培養からGPC clusterが検出されたとき ■S. aureusの場合 めったにコンタミネーションとは考えられない 万が一コンタミを疑うときは慎重な経過観察とフォローの血液培養が望ましい ■CoNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)の場合 コンタミネーションのことが多いが、CRBSIの代表的な起炎菌でもある 専門家の推奨がなければ基本的に全例治療対象 1 S. aureus, 血培からGPC

#9.

血液培養からGPC clusterが検出されたとき バイタル・全身状態の変化を評価し、カテーテルの刺入部や皮膚所見など熱源を改めて再評価する 菌名が即日でる施設では検査室に確認しつつ菌名を待つことも考慮 菌名まちの場合はまず真の菌血症かコンタミネーションかを考える 1 S. aureus, 血培からGPC

#10.

血液培養からGPC clusterが検出されたとき 以下の有無を踏まえて真の菌血症として治療すべきか評価する 敗血症などの臓器障害がある 病歴や身体所見、画像などから真の菌血症らしい(またはほかの熱源が疑わしい) 陽性となったセット数▶2セット以上陽性だと真の菌血症らしい 血液培養陽性までの時間▶短ければ短いほど真の菌血症らしいが参考所見(個人的には20時間以内を目安としている) 必要に応じてコンタミネーションか真の菌血症かの判断のために血液培養を再検する Clin Microbiol Infect. 2018;24(9):964-969. 1 S. aureus, 血培からGPC

抗菌薬選択に関する経験的治療の考察

#11.

SABでまず行うべきこと 血液培養で1本だけ陽性でも下記を行う 大事! Am J Med. 2023;136(1)19-26 Mandell, Douglas, & Bennett’s Principles & Practice of Infectious Diseases, 9th ed. Elsevier 1 S. aureus, 血培からGPC

#12.

抗菌薬選択 Chapter 2

#13.

抗菌薬選択 経験的治療 意見① MSSAにおける経験的治療においてVCM単独からのde-escalation vs βラクタムでも持続菌血症の発生率増加などの可能性 ▶VCMの血中濃度も予測困難なため、感受性が不明である場合は 抗MRSA薬とセファゾリンを併用すべき 意見② 予後には影響しないことも踏まえ、IEや敗血症など早期に菌量を減らしたいとき以外は抗MRSA薬のみ追加し、セファゾリンは必須ではないのでは Am J Med. 2023;136(1)19-26 Clin Infect Dis 2013;57(12):1760-5 2 抗菌薬選択

#14.

抗菌薬選択 経験的治療 意見③ 血液マルチプレックスPCR (FilmArray®)などで数時間でMSSA, MRSA, S. epidermidisが判別できるようになったため、それを踏まえて判断する 2 抗菌薬選択

#15.

抗菌薬選択 経験的治療 ■個人的な結論 現時点では正解はないので 敗血症の場合は①抗MRSA薬の開始②抗菌薬が未投与ならMSSAカバーできるβラクタム系の開始(複数菌が疑われる場合以外はセファゾリンを開始) 待てる場合、FilmArrayが使えればそれを踏まえて判断 FilmArrayが使えなければ抗MRSA薬(±セファゾリン)を開始▶IE疑いや血管内デバイスありなど持続菌血症になりそうな場合、 個人的には併用する、そうでなければ単剤でもいいかも 2 抗菌薬選択

#16.

抗菌薬選択 MSSA ■PIPC/TAZでの治療は? MSSAにも活性があるが… 後方視的研究で、PIPC/TAZを継続した群でCEZやoxacillinを使用した群より死亡率が増加 ■VCMでの治療は? VCMとCEZで比較するとCEZ治療群で死亡率が低かった Open Forum Infect Dis. 2019; 6(7): ofz270. Clin Infect Dis 2015; 61:361–7 2 抗菌薬選択 原則はセファゾリンで治療するのが望ましい

#17.

抗菌薬選択 MSSA ■中枢神経病変がある場合の治療は? セファゾリンは中枢移行性に乏しい 海外だと抗MSSA用のペニシリンがある(oxacillinなど) 何を「中枢」とするかは難しい▶髄膜炎、脳膿瘍は含むことが多い (IEに伴う)脳出血、脳梗塞も含む印象(cloxacillin vs CEZの研究でも除外) 脊髄硬膜外膿瘍は含まないことが多い(通常量CEZでも治療可) Lancet 2025; 406: 2349–59Open Forum Infect Dis. 2021;8(3):ofab071. 2 抗菌薬選択

#18.

抗菌薬選択 MSSA ■中枢神経病変がある場合の治療は? 日本での選択薬は施設や専門家によってまちまち  ①セフトリアキソン髄膜炎量  ②セフェピム髄膜炎量  ③zone edge testをして”beach”ならペニシリンG  ④ビクシリンS®(cloxacillinが配合されている) 最近では高用量セファゾリンでMSSA髄膜炎も治療可との報告もある Clin Microbiol Infect. 2020;26(10):1415.e1-e4. 2 抗菌薬選択 専門家と相談して決めるのが望ましい

MRSAに対する抗菌薬の選択と投与方法

#19.

抗菌薬選択 MRSA ■バンコマイシン静注(VCM) MRSA菌血症の第一選択薬 腎毒性(急性尿細管壊死/急性間質性腎炎)に注意 まれに血球減少(とくに好中球)や耳毒性 血中濃度測定をして用量調整を行う Vancomycin infusion reaction (VIR: redman syndrome)を予防するため投与速度を遅くして投与(※資料参照) 2 抗菌薬選択

#20.

抗菌薬選択 MRSA ■バンコマイシン静注 トラフ濃度15-20 mg/dLであれば十分な濃度と考えられてきた 現在のガイドラインではバンコマイシンの毒性軽減のためにAUC/MIC 400-600 mg/h/Lが推奨 ただ、労力がかかるのと採血時間をある程度厳密にする必要がある▶上記ガイドラインでは可能ならば投与1-2時間後採血も採取することを推奨している(ただ実際に行っている施設は現時点では少ない印象) Am J Health Syst Pharm 2020;77(11):835-64 2 抗菌薬選択

#21.

抗菌薬選択 MRSA ■テイコプラニン静注(TEIC) アメリカにはないがヨーロッパと日本では用いられている バンコマイシンと比較すると腎機能障害は少ない 用量が複雑であり、血中濃度測定も必要 バンコマイシンで有害事象が出現した場合、10%-50%程度でテイコプラニンでも副作用が出る Clin Ther 2009;31(9):1977-86J Clin Pharm Ther 2012;37(3):296-300 個人的にはデータが少ないこともあり、AKIなどバンコマイシンが使用しづらい場合の第2選択薬 2 抗菌薬選択

#22.

抗菌薬選択 MRSA ■ダプトマイシン静注(DAP) MRSA菌血症に対してバンコマイシンと比較して非劣勢 MRSA菌血症に対しては高用量(8-12mg/kg/day)を推奨する専門家が多い 肺炎には有効ではないので注意▶サーファクタントで不活化される CK上昇や好酸球性肺炎に注意 N Engl J Med 2006:355(7):653-65 Clin Infect Dis. 2023;77(11):e57-e68. 2 抗菌薬選択

#23.

抗菌薬選択 MRSA ■リネゾリド経口/静注(LZD) バンコマイシンかダプトマイシンと比較して菌血症では死亡率が増加した Am J Med Sci 2015;349(1):36-41 菌血症の治療には推奨されない(ただ、髄膜炎や皮膚軟部組織、肺炎には有効) 2 抗菌薬選択

#24.

血液培養の再検 Chapter 3

持続菌血症のリスクと血液培養の再検

#25.

持続菌血症について 適切な抗菌薬投与でも1/3の患者で持続菌血症が認められる 1日菌血症が持続するたびに死亡リスクが16%増える 菌血症が2-4日間持続した患者では10%, 5-7日持続した患者では22%の新規の播種巣が見つかる(1回のみでは6%) Lancet Infect Dis. 2020;20(12):1409-1417 Clin Infect Dis. 2020;70(4):566-573 血液培養が陰性となるまで24-48時間間隔で血液培養を再検する (陽性となったら再検とする専門家も多い) 3 血培再検

#26.

持続菌血症について 6%前後で完全に陰性化する前に断続的に陰性となる現象“skip phenomenon”が観察される ただ、治療期間にはあまり影響のないことが多い 心臓内デバイスやCVポートなどを増設する場合には陰性化から3日~(IEの場合には)14日後に留置としてもいいかもしれない Circulation. 2024;149(2):e201-e216. Diag Microbiol Infect Dis 2022;104:115802Clin Infect Dis. 2026:ciag418. 3 血培再検 Clin Infect Dis. 2026:ciag418.

#27.

感染源の精査 Chapter 4

#28.

感染源 ■市中発症 皮膚軟部組織感染症、深部膿瘍(腸腰筋など)、肺炎、骨関節感染症、感染性心内膜炎 最多は皮膚軟部組織感染 およそ20%は感染源が特定されない ■医療関連 静脈内カテーテルや(心臓などの)デバイス、手術関連感染、汚染創の処置、肺炎 最多はカテーテル関連 Mandell, Douglas, & Bennett’s Principles & Practice of Infectious Diseases, 9th ed. Elsevier JAMA. 2025;334(9):798-808. 4 感染源精査

#29.

感染源 直近の処置/外傷や併存疾患の聴取、異物・デバイスの評価、急性の疼痛の有無と部位を評価する 尿路は感染源としてはまれで通常は血流による播種を意味 S. aureus菌血症とS. aureus細菌尿がある患者の5人に1人は椎体炎か腸腰筋膿瘍がある Am J Med. 2023;136(1)19-26 Clin Infect Dis. 2019;69(6):963-9 4 感染源精査

#30.

転移巣の精査 1/3の患者が播種性の転移巣を生じ、とくに人工物がある場合に高リスク ■転移巣を疑うべき所見 市中発症の時点でリスク 治療開始48-96時間後の血液培養で陽性 治療開始72時間以上後の発熱の遷延 JAMA. 2025;334(9):798-808. Am J Med. 2023;136(1)19-26 Mandell, Douglas, & Bennett’s Principles & Practice of Infectious Diseases, 9th ed. Elsevier 4 感染源精査

感染源の精査と転移巣の評価

#31.

転移巣の精査 ■脊椎/椎間板 脊椎の圧痛の確認は必ず行うべき▶無症状であったりただの腰痛として見逃されがち 脊椎MRI(通常は単純)は所見が軽微でも考慮していい Am J Med. 2023;136(1)19-26 個人的には背部痛があれば筋膜性疼痛疑いでもMRIを考慮 4 感染源精査

#32.

転移巣の精査 1椎体のみの椎体炎が疑われる場合でも、非連続性に椎体炎を合併する例が20%程度ある▶ただ神経学的異常がない場合は治療方針はほぼ変わらないため、 撮影部位は疑わしい椎体周囲とすることが多い 椎間板炎を疑う場合は症状が出てからMRIの所見としてでるまで10日程度遅れることがある J Gen Fam Med. 2018;20(2) 68-71 Clin Imaging 2018;51:98-103 必要に応じてMRIの再検を行う 4 感染源精査

#33.

S. aureusと感染性心内膜炎(IE) 市中発症の場合は12%, 院内発症の場合は6%にIEを合併 持続菌血症となればなるほどIEの可能性が高くなる▶1日間は7%, 2-4日間は11%, 5-7日は17%, 7日以上は29% Open Forum Infect Dis. 2022;9(12):ofac647. Lancet Infect Dis. 2020;20(12):1409-1417 S. aureus菌血症の時点で経胸壁心エコーを行うことを推奨 4 感染源精査

#34.

心エコー ■TTE(経胸壁心エコー) 感度:50-60%, 特異度:95% 右心系IEに対してはTTEも感度が高い COPDや胸部手術既往例、肥満などでは描出不十分 状態悪化時に参照できるような、疣贅のサイズや弁不全の程度、膿瘍のサイズなどのベースラインの評価として有用 弁の逆流や心機能障害などの血行動態の評価にはTEEより有用 Circulation 2015;132:1435-1486 N Engl J Med 2020;383:567-76 4 感染源精査

#35.

心エコー ■TEE(経食道心エコー) 感度:90%以上, 特異度:95% 弁輪部膿瘍や小さい疣贅の検出にも適している 疣贅が小さい、または飛んでしまった場合はTEEでも描出困難 弁周囲膿瘍や瘻孔、仮性動脈瘤は経時的に増悪することがあり、早期のTEEでは見逃すことがある 通常は安全に施行できるがまれに食道穿孔などをきたす(5000人に1人) Circulation 2015;132:1435-1486 N Engl J Med 2020;383:567-76 4 感染源精査

#36.

心エコー ■経食道心エコー(TEE)やるべき? ガイドライン上は疑わしい場合に実施が推奨されている 人工弁や心臓内デバイスがある患者ではTTEの感度が低いためとくにTEEが推奨される TTE陽性の場合でも手術適応の精査のためにTEEは検討される▶心臓外科や循環器内科と相談しつつ適応を判断 骨髄炎などの合併症があり6週間以上治療予定の場合は、自己弁ではIEでの手術適応をTTEで検索すればTEEは不要かも EurJ Clin Microbiol Infect Dis 2021;40(3):623-31 Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. 4 感染源精査

心エコー検査の重要性と実施基準

#37.

心エコー ■経食道心エコー(TEE)やるべき? VIRSTA scoreが3未満であればIEの陰性的中率は99%▶経食道心エコーは必須ではない(ただ70%の患者が3以上) J Infect. 2016;72(5):544-53 4 感染源精査

#38.

心エコー ■経食道心エコー(TEE)やるべき? 以下の場合はTTEでも感度が43%→98%にあがった(陰性尤度比87→97%, 特異度90%→16%) J Am Soc Echocardiogr. 2016;29:315-22 実臨床ではIEのリスク因子、臨床的な事前確率、TTEの検査の質を総合して適応を検討することが多い TTEで疣贅なし、moderate US quality (poor studyではない)、解剖学的異常なし、弁狭窄なし、TRはtrivial未満、心嚢液は軽度、中心静脈カテーテルなし、植え込みハードウェアなし 4 感染源精査

#39.

心エコー ■フォローのエコーは行うべきか 説明のつかない心不全症状の進行、雑音の変化、新規房室ブロックなどの出現時は合併症出現の精査としてTTE or TEE再検を推奨 IEが強く疑われるが、TTE/TEEではっきりしない場合や陰性だった場合は5-7日後に再検することを推奨 Circulation 2015;132:1435-1486Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. 4 感染源精査

#40.

心エコー ■治療終了時にエコーの再検は必要か IEは再発リスクが高いため、手術していない場合はベースラインとしての疣贅の残存や弁閉鎖不全などの評価が推奨される Circulation 2015;132:1435-1486Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. 4 感染源精査

#41.

検査 その他の精査  心臓MRI、心臓CT、PET-CT、CT angiographyは心エコー所見を補う ▶CT angiographyはTEEと同様の精度で膿瘍や動脈瘤を診断可 弁輪膿瘍などの進展や術前のplanningにも有用 Am J Med. 2023;136(1)19-26 4 感染源精査

#42.

感染物の除去 血管内カテーテルの除去が遅れる(3日以上)と、SABの再発率上昇と関連していた(12.7% vs 4.7%) ソースコントロールの処置までの期間が短いほど、菌血症の早期消失と死亡率低下に関連した Clin Infect Dis. 2020;70(4):566-573 Ann Med 2014;46(3):163-168 ▶早期にカテーテル抜去/入れ替え 4 感染源精査

#43.

感染物の除去 人工弁や血管内グラフトがある場合はほかの明らかな感染源があっても、感染の合併に留意する▶ポケット感染がないSABのあるCIED患者で34%がCIED感染を合併 人工関節など血管内ではない人工物でも播種して感染しうる Circ Arrhythm Electrophysiol. 2015;8(1):137-44. Clin Infect Dis. 2023;77(11):e57-e68. Clin Infect Dis. 2001;32:647-649 4 感染源精査 所見が軽微となることも多いため注意

#44.

ESCのIEの手術適応 Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. 4 感染源精査

治療期間と内服スイッチの考慮

#45.

ESCのIEの手術適応 おおまかには と考える 4 感染源精査

#46.

AHAのガイドラインでの手術適応(左心、自己弁) Circulation 2015;132:1435-1486 4 感染源精査

#47.

治療期間と内服スイッチ Chapter 5

#48.

治療期間 血液培養陰性から最低2週間は静注での治療が必要 非複雑性と診断された場合のみそこで中止できる Am J Med. 2023;136(1)19-26 Mandell, Douglas, & Bennett’s Principles & Practice of Infectious Diseases, 9th ed. Elsevier ◆非複雑性の定義(文献によって多少の差異あり) 抗菌薬開始から48-72時間以内に菌血症が解除され、かつ72時間以内に解熱している 感染巣が除去されている(ライン抜去かドレナージ済) 遠隔転移巣がない 血管内異物がない(人工弁、心臓内デバイス、血管内グラフト) TTEでIEが否定的 5 治療期間

#49.

治療期間 ■複雑性の場合 血液培養陰性から最低4週間は静注で治療する IEまたは椎体炎、関節炎などの深部感染症がある場合はそれに準じて追加の期間治療する Am J Med. 2023;136(1)19-26 5 治療期間

#50.

治療期間 最近では合併症のlow risk/high riskに応じた治療期間も提案されている J Infect 2023;86:9-13 Clin Infect Dis. 2023;77(11):e57-e68. Low riskなら2週間、Indeterminate-Highなら4-6週間検討 5 治療期間

バンコマイシンの投与方法と注意点

#51.

内服スイッチは可能か? ■感染性心内膜炎の場合 途中で内服に切り替えても、静注で完遂した場合と比較して死亡率や再発率などのcomposite outcomeが非劣勢だった 推奨されるレジメンはMSSAの場合ABPC 1000mg q6h+RFP 600mg q12h (PCG S)MFLX 400mg q24h+RFP 600mg q12h など N Engl J Med 2019;380:415-424 Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. 日本の保険では厳しい、かつMRSAは除外されている 個人的には現時点でどうしても帰宅希望以外ではやっていない 5 治療期間

#52.

内服スイッチは可能か? ■非複雑性SABの場合 ショックではなかった非複雑性のSABにおいて、5-7日目で内服スイッチしても静注で完遂した場合と比較して非劣勢だった レジメンは (いずれもST合剤優先で)MSSA: TMP-SMX (TMP 160mg) q12h or CLDM 600mg q8hMRSA: TMP-SMX (TMP 160mg) q12h or LZD 600mg q12h Lancet Infect Dis. 2024;24(5):523-534. まだ一般的ではないがどうしても帰宅希望などの場合には選択肢かも 5 治療期間

#53.

S. aureus 菌血症 経験的抗菌薬(VCM±CEZ) 病歴と身体所見 下記を精査 感染源(皮膚、関節、肺、点滴ライン) 心内膜炎 転移巣 感染源はどこか? 人工物の有無は? 直近の処置歴は? 新規か増悪した背部痛や筋肉痛、関節痛は? 陰性が確認されるまで48時間ごとに血液培養の再検 心エコー 転移巣の精査として画像検査 ソースコントロール 感染症内科コンサルト 最低TTE 人工弁や心内デバイスがある場合はTEE CXp, 脊椎MRI, 頭部CT, 腹部エコーなど ラインや感染した人工物の可能なかぎりの抜去、ドレナージ、関節炎に対する洗浄 フローチャート Am J Med. 2023;136(1)19-26 より改変

#54.

感受性に応じた抗菌薬選択 MRSA:VCM or DAP MSSA:CEZ ハードウェアまたは人工物感染の場合、RFPも考慮 複雑性か 2週間IVで治療 No IEか骨髄炎か Yes 最低6週間IVIEなら手術適応について検討 No 他に菌血症の原因が説明つくか IEの可能性が低いか Yes 4週間IVで治療 フローチャート(続) No TEEや他の画像所見で血管内感染あり 4週間IVで治療 最低6週間IV 手術適応についてコンサルト Am J Med. 2023;136(1)19-26 より改変 下記のいずれか ・血管内人工物(人工弁、心臓内デバイス、血管グラフト) ・72時間以上持続する菌血症 ・72時間以内に改善しないか解熱しない ・除去できない感染巣がある(関節炎なども) ・遠隔の感染巣がある ・IEがある Yes Yes No

#55.

資料:バンコマイシンの投与方法

#56.

バンコマイシンの投与方法 ■投与量・溶媒 初回は 25-30 mg/kgで開始 2回目以降は 15-20 mg/kg 12時間ごと▶腎機能が極めて良好な場合や若年患者では8時間ごと検討 1g以下の場合は生食 or 5% Glu 100mlに溶解、1gより多い場合は 250mlに溶解▶VIRを起こした場合や懸念する場合は 5 mg/mLにする(1gの場合は 200ml) Sanford ABx Guide亀田感染症ガイドライン:抗MRSA薬の使い方UpToDate: Vancomycin: Drug information Accessed on Dec 31, 2025

Duke-ISCVID criteriaの詳細と適用

#57.

バンコマイシンの投与方法 ■投与速度 1g以下の場合:1時間点滴1gより多い場合:1gより多い分は 500mgあたり30分かけて投与▶1.5gは1.5時間、2gは2時間 VIRを起こしたか懸念される場合は 10 mg/minか1.5倍かけて投与(1gであれば 100min か 90min) 亀田感染症ガイドライン:抗MRSA薬の使い方UpToDate: Vancomycin: Drug informationUpToDate: Vancomycin hypersensitivity Accessed on Dec 31, 2025

#58.

資料:Duke-ISCVID criteria

#59.

Duke-ISCVID criteriaについて Definite IEの場合は感度84%、特異度は94% Definite+Possible IEの場合は感度99%, 特異度21% Clinical criteriaのみの場合、Definite IEの感度は79%, 特異度は94% Circulation 2015;132:1435-1486 Clin Infect Dis. 2024;78(4):922-929. IEの診断はDuke-ISCVID criteriaを使用しつつ総合的に判断する Rejected IEであればほぼIEではない、Possible IEの場合でIEである場合もあるがそうでない場合も多いDefinite IEの場合はclinical criteriaのみの場合でもほぼIE

#60.

2023 Duke-ISCVID Criteria for IE 微生物学的な除外基準 IEに非典型的な病原体で感染源が特定できる菌血症 すぐ消失した菌血症 画像で明らかなIEを示唆する所見なし 非微生物学的診断基準 Marantic endocarditisやNBTEの所見 菌血症などの感染症がない

#61.

2023 Duke-ISCVID Criteria for IE ◆Major criteria Clinical Infectious Diseases, 2023;, ciad271 自己弁では下記が起こしやすい微生物 S. aureus, S. lugdunensis, E. faecalis, streptococcal species (S. pneumoniaeとS. pyogenes以外), Granulicatella and Abiotrophia spp., Gemella spp., HACEK group 1セット内の好気・嫌気どちらかのボトルで陽性なら1セット陽性

#62.

2023 Duke-ISCVID Criteria for IE ◆Major criteria Clinical Infectious Diseases, 2023;, ciad271

#63.

2023 Duke-ISCVID Criteria for IE ◆Minor criteria 免疫複合体による糸球体腎炎の定義:①または②をみたす ① 原因不明のAKIまたはAKI on CKDに加えて以下2つが陽性 血尿、蛋白尿、尿沈渣で円柱、 血液検査異常(低補体血症,クリオグロブリン血症,免疫複合体の存在) ② 腎生検で免疫複合体介在性腎病変に合致する所見 Clinical Infectious Diseases, 2023;, ciad271

#64.

2023 Duke-ISCVID Criteria for IE 注)血液培養からコンタミネーションで検出されることが多い微生物または稀にしかIEを起こさない微生物が血液培養1セットのみ陽性またはシークエンスアッセイで陽性の場合は除く Clinical Infectious Diseases, 2023;, ciad271 ◆Minor criteria

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